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容量1000Whクラスのポータブル電源は追加充電なしで何日使える?車中泊2泊3日で実証テスト

容量1000Whクラスのポータブル電源を車中泊に使った場合、追加充電なしでどれくらい持つのか実験してみた

私がポータブル電源を使い始めたのは2020年の8月。

比較的早くから使い始めた方だと思うのだが、まだ5年も経っていないことになる。

それなのに、現在ポータブル電源は「車中泊の必需品」とまで言われるようになった。

実際、私もこの4年半の車中泊旅で、ほとんど火を使わなくなってしまった。

ただ、これまで2泊以上の車中泊旅の中で、シガーライターソケットやソーラーパネルからポータブル電源に追加充電しながら使っていたので、「追加充電なし」だと、どれくらい使えるのか知らずにいた。

しかし、出先で困らないようにするためには、「実際どれくらいもつのか」知っておいた方が安心だ。

そこでふと思い立ち、容量1070Whのポータブル電源使いながら、「あくまで普通に車中泊旅をする想定」で、どれくらいもつのか、家で検証実験をしてみることにした。

検証実験で使用した機器


まずはこの実験で何を使用したか紹介しよう。

ポータブル電源


実験に使用したポータブル電源

今回の主役であるポータブル電源は、「Jackeryポータブル電源 1000 New サンゴールド」だ。

詳細はこちら

容量は1070Wh、定格出力は1500W。

今回の実験では使用しなかったが、電子レンジやヘアドライヤー(そもそもヘアドライヤーは使う習慣がない)など大抵の家電製品は無理なく使用できる。


深型の電気ホットサンドメーカー


実験に使用した深型ホットサンドメーカー

何度かDRIMOの記事で紹介している、厚みのある食材もはさめるホットサンドメーカー。

詳細はこちら

いろいろな食材を、潰さずに焼いたり温めたりすることができる、万能調理器として大活躍している。

先代は、酷使したためか先日壊れてしまったのだが、本当に便利なので迷うことなく同じものを購入した。

今回使用したのは二代目(初代は黒色)だ。

定格消費電力は420Wと比較的低めなことも魅力で、小型のポータブル電源でも使用できる。


電気湯沸かしポット


実験に使用した電気ポットティファール

荷物を減らすために、普段は下の写真の鍋とケトル兼用のクッキングケトル(消費電力600W)を使うことが多いのだが、今回は1500Wまで対応できるポータブル電源なので、定格消費電力1250Wの湯沸かしポットを使用することにした。

普段使っている家電

電気グリル鍋


実験に使用した電気グリル鍋

家でも使用している電気グリル鍋。

鍋と熱源が分かれていて、直火やIHクッキングヒーターでも使える便利な一品。

定格消費電力は650W。

定格出力1500Wポータブル電源なら、先ほどのホットサンドメーカー(420W)と同時使用も可能だ。


ポータブル冷蔵庫


実験に使用したポータブル冷蔵庫

ポータブル冷蔵庫には普通の冷蔵庫と同じ仕組みのコンプレッサー式とペルチェ式があるが、この冷蔵庫は冷却能力が高いコンプレッサー式だ。

冷蔵庫というと電力の消費が多そうなイメージがあるが、常にコンプレッサーが稼働しているわけではないので、意外に電力消費は少ない。

ポータブル冷蔵庫の中の食材

サイズは56cm × 32cm × 25cmと庫内が小さいようにも思えるが、氷や保冷剤の分スペースを目一杯使えるので、1人や2人で使うなら十分過ぎる容量がある。

実は、高級クーラーボックスより価格も安く、氷の補充も不要で、大変合理的な機器でもある。

設定温度を下げれば冷凍庫としても使えるが、今回の実験では温度を4℃に設定し、冷蔵庫として使用した。

出かける前にあらかじめ予冷しておくと効率が良い。今回の実験で予冷してから実験をスタートした。

その他の使用機器


・カメラのバッテリーをポータブル電源から充電をすることもあり、これも大変便利だが消費量は微々たるものだ。
・ランタンや扇風機は、バッテリー内蔵の物が多いので、たまに充電することはあるが、頻度も少なく、これも消費量は少なめ。
・ポータブル電源があればパソコンの充電もできるが、私の場合はiPad mini。因みに私はゲームをしないし、旅先で動画を見続けることもないので、iPad miniの電力消費もあまり多くないことを付け加えておく。
・スマホの充電にももちろんポータブル電源を使うが、移動中は車で充電しているため、これもそんなに多くは消費しない。



実験開始


朝7時スタート


普段は、夕方や夜に家を出ることが多いが、今回は朝7時に出発する想定で実験をスタートした。

冷蔵庫は先ほど書いた通り、前の晩に家のAC100Vで予冷しておき、朝7時にポータブル電源のシガーライターソケットに繋いだ

そして、この時間に出発するなら、朝食は家で済ませるか、途中コンビニで買うことが多いので、初日の朝食を調理することはない。

また、私は少なくとも週に一度は海岸で1日を過ごしているが、そういった際も朝家で沸かしたお湯を保温ボトルに入れて持って行くようにしている。

初日の食事

容量1L程度の高性能な保温ボトルがあれば、昼食時にお湯を沸かさなくてもカップ麺やアルファ化米、1日分のコーヒーやお茶のお湯も確保できる。

初日朝から昼まで


車中泊旅中の昼食も、やはりお湯だけ済むものか、コンビニや外食かのいずれかがほとんどで、調理をすることは滅多にない。

この日の昼食も、保温ボトルのお湯でカップ麺を作り、サラダチキン(真空パックで日持ちし、冷たいままでも問題ないので大変便利)で済ませた。

そんなわけで、昼を過ぎてもポータブル電源はまだ冷蔵庫の電源にしか使用していない。

朝7時にポータブル電源の残量100%の状態で冷蔵庫の使用をスタートし、正午に残量を確認したところ97%だった。

5時間冷蔵庫を使用しても3%しか使っていなかったようだ。

使用機器:ポータブル冷蔵庫
ポータブル電源残量:100%→97%(−3%)



初日昼から夕食前まで


昼食後にiPad mini(残量44%)の充電をする。

もちろん冷蔵庫も繋いだままだ。

そして、iPadの充電が完了した時点で、ポータブル電源の残量は94%だった。

またしても3%しか減っていなかった。

ただし、その後19時に残量を確認すると88%に減っており、なぜか午後は消費がやや多めだった。

iPadの充電も終了し、また冷蔵庫だけになっているのに、この数時間は午前中より何故か減り方が早くなっていたようだ。

使用機器:ポータブル冷蔵庫、iPad mini(残量44%)
ポータブル電源残量:97%→88%(−9%)



夕食から消灯まで


ランタンはバッテリー内蔵の物が多いと先ほど書いたが、19時にLEDランタンを繋いでみた。

そして、ここからが最も電力を消費する夕食タイム。

夕食の準備

メニューはカツカレー。

カレーはレトルトで、ご飯はパックのご飯、カツはスーパーのお惣菜コーナーで見つけたおつとめ品だ。

実際の車中泊旅でも、非常用として缶詰やレトルト類なども備蓄はしているが、私は好んで現地のスーパーや道の駅で食材を調達するようにしている。

電気鍋でパックご飯とレトルトカレーを蒸し温め


パックのご飯は、蒸す方法で温める。

この方法は、熱湯で加熱(15分以上)するより加熱時間が短く(蒸す場合は約5分)、使用する水も断然少なくて済む。

燃料と水を大幅に節約できて、熱湯加熱や電子レンジより美味しくも感じるので、非常に合理的な方法だ。

蒸し方の方法はこちら

そして、レトルトカレーもなるべく中身を下に寄せて同じ鍋の中に入れ蒸し温める。

水量が少ないのでレトルトカレーは全体がお湯の中に浸からないが、鍋に蓋をして蒸すので、これで問題ない。

ホットサンドメーカーで温め


トンカツは、クッキングシートに包んでホットサンドメーカーの中に入れた。

夕食に食べるとんかつをホットサンドメーカーで温める

こうしておくとホットサンドメーカーの中も汚れないし、カツを切る時もそのままクッキングシートの上で切ればまな板も汚れなくて良い。

ポータブル電源の定格出力が1500Wあると、この調理が同時に行えるので大変便利だ。

ちなみに、盛り付けた皿はオーストラリアで車中泊旅をしている時に現地で買ったホウロウ製。

このサイズと頑丈さが大変便利で、30年経った今でも重宝して使っている。

夕食のカツカレー

野菜も添えるとなかなかに立派なディナーの完成だ。

食べたあとの食器

皿が汚れるカレーは、翌日のパンの耳を切って皿についたカレーを拭き取り(拭き取りに使ったパンの耳はもちろん食べてしまう)、その後は食器用のウェットシートで拭き取れば皿洗いも完了だ。

電力消費が最大の時間帯


さすがに電気グリル鍋とホットサンドメーカーを使うと電力消費量も多くなり、夕食が終わった時点でのポータブル電源の残量は88%から65%になっていた。

この間に23%使用したことになる。

その後iPhone(残量38%)を充電し、22時にランタンを消灯したのだが、その時点でのポータブル電源の残量は62%だった。

使用機器:ポータブル冷蔵庫、LEDランタン(3時間)、電気グリル鍋(約15分)、ホットサンドメーカー(約8分)、iPhone(残量38%)
ポータブル電源残量: 88%→62%(−26%)



2日目朝


翌朝6時にポータブル電源の残量を確認すると49%にまで減っていた。

この間に使用しているのは冷蔵庫だけだ。

同じく冷蔵庫だけ繋いでいた初日午前中の5時間は、3%しか減っていなかったのに対し、夜中の8時間で13%減るというのはどういうことなのか分からない。

初日夕方も減りの早い時間帯があったが、減り具合にムラがあるようなことが判明した。

使用機器:ポータブル冷蔵庫
ポータブル電源残量:62%→49%(−13%)



電気湯沸かしポットでコーヒー


朝のホットコーヒー

初日は室内だったが、2日目の朝は気分を変え外に移動した。

そして朝は湯を沸かすことからスタートする。

いつも家で使用している容量1.2L・定格消費電力1250Wの「あっと言う間に」はさすがに速く、約5分で湧いてしまう。

そして、1Lは保温ボトルに入れ、残りはインスタントのカフェラテに使用する。

コンビニの優秀なマシンが淹れてくれるコーヒーを飲むときもあるが、外では早く飲めて片付けも簡単なスティックタイプのインスタントコーヒーをもっぱら利用している。

湯を沸かした後の残量は33%になっていたので、1.2Lの湯を沸かすために15%分の電力を使用したようだ。

ホットサンドメーカーで食材を温める


二日目の朝食

その後、前日に買って冷蔵庫で保管していたナナチキとコロッケをホットサンドメーカーで温め、ナナチキはパンに挟み、チーズと野菜も加えてボリュームのあるホットサンドを作った。

ホットサンドメーカーで食事を用意

この調理の所要時間はトータル10分弱で、ポータブル電源の残量は28%になっていたので、5%分の電力を使用したようだ。

使用機器:ポータブル冷蔵庫、電気湯沸かしポット(約5分)、ホットサンドメーカー(約10分)
ポータブル電源残量:49%→28%(−21%)



予定変更


昼食は朝沸かしたお湯で、キーマカレーメシを作り(お湯を入れて混ぜるだけだが)、サラダチキン。

夜まで冷蔵庫以外に電気を使用する予定はないが、この時点でこれまでの使用量と残量から、夕食の調理までか翌朝には電力が尽きそうであると予測できてしまった。

しかし、結果が概ね予測できてしまうと面白くない。

天気が良かったので、試しに10時半頃から車の屋根にソーラーパネルを平置きしてみたところ、40W以上発電していた。

入力より出力が勝ってしまうとよろしくないようだが、冷蔵庫のコンプレッサーが稼働中の消費電力を確認していたら30W~40W程度だったので、冷蔵庫を使用したままソーラーパネルで充電することができる。

太陽の向きにパネルの向きを合わせれば、もっと効率良く発電できるが、リアルを追求(走行中にそんなことはできない)し、平置きのまま、15時半頃までの5時間ソーラーパネルで充電してみることにした。

その結果、残量40%まで回復したので、12%分充電できたようだ。

使用機器:ポータブル冷蔵庫
ソーラーパネル充電:5時間充電
ポータブル電源残量:28%→40%(+12%)



2日目の夕食から3日目の朝まで


ホットサンドメーカーで食材を温め


2日目も19時からLEDランタンを点灯し、この時点での残量は38%だった。

夕食のメニューは、加熱すれば食べられるミニハンバーグ5個と、直径15cm弱のミニサイズのピザがメインで、どちらもホットサンドメーカーを使って調理する。

ミニハンバーグはアルミホイルに包んで加熱した。

2日目の夕飯の準備

ミニサイズのピザなら、折ったり切ったりしなくてもこのホットサンドメーカーの中に入ってしまう。

そして、1枚焼くのではなく、間にスライスチーズも挟んでチーズ増量状態にして2枚合わせて焼くことにした。

ホットサンドメーカーでピザを調理

両方合わせて調理時間は10分程度で、調理終了時の残量は30%だったので、電力の使用量は8%程度だったことになる。

前の晩に使った19%分の電力の半分以下で済んでしまった。

湯を沸かすより焼く方が電力消費が少ない


2日目の夕飯

沸かす湯の量が少量で済む蒸し料理とは言え、湯を沸かすのはやはりエネルギーの消費量が多いようだ。

その後、iPhone(残量52%)を充電し、ランタンを消灯した22時時点のポータブル電源の残量は26%になっていた。

使用機器:ポータブル冷蔵庫、LEDランタン(3時間)、ホットサンドメーカー(約10分)、iPhone(残量52%)
ポータブル電源残量:40%→26%(−14%)



3日の朝食はホットサンドメーカーを使用


3日目の朝の残量は17%で、朝のホットサンドを作った後の残量は13%になっていた。

3日目の朝食はホットサンドメーカーで調理

ハムとチーズと野菜を挟んだ普通のホットサンドだったので、前日の朝食より若干電力消費量が少ない。

使用機器:ポータブル冷蔵庫、ホットサンドメーカー(約5分)
ポータブル電源残量:26%(起床時17%)→13%(−13%)


ソーラーパネルで充電したのは12%分だったので、追加充電がなければちょうどここでバッテリーが空になった(朝のルーティーンの湯は沸かせずに終了)ことになり、予測よりは少し長くもったようだ。

二晩目の夜中に減っていた量は9%分ということになるので、初日の夜中に13%分も減っていた理由は依然不明なままだ。

この実験でわかったこと


この実験とは別に、1Lの水を鍋に入れて1000WのIHクッキングヒーターで沸かしてみた。

1250Wの湯沸かしポットよりも多くの時間がかかったうえに、消費電力も湯沸かしポットより多かった。

電気グリル鍋でお湯を沸かす

つまり、速さだけでなく、1250Wの湯沸かしポットを使った方が効率も良いようだ。

また、「湯を沸かす」系の調理をするより、ホットサンドメーカーを使って温めたり焼いたりするような調理をする方が、断然消費電力が少なくて済むということが明白になった。

下記のような使い方であれば、実際のところ1日2食どころか1回も調理をしないこともある(これが私の車中泊旅の実情)ので、容量1070WhのJackery ポータブル電源 1000 Newがあれば、追加充電なしでも3日かそれ以上過ごせそうだ。

・冷蔵庫は24時間稼働
・1日1回の湯沸かし
・調理はホットサンドメーカー中心
・スマホやタブレットの充電を適宜行う


電力の消費量は人によっても季節によっても大きく異なるので、自分の使い方を想定して、こういった実験をしておくと良いと思う。

笠原 サタン

スポーツカーやピックアップトラックも好きだけど、車を見ると快適に寝られるかどうかを先ずは考えてしまう。 VANと旅と波乗りとネコをこよなく愛するPaddler。