キャンピングカー・車中泊情報Webマガジン - DRIMO(ドリモ)

キャンピングカー

キャンピングカー

ハイエースより広いバンで旅をした!VANLIFEで体験したリアルな居住感

VANLIFEの使い心地や居住性を検証

2025年7月から、Toy-Factoryのオリジナルキャンピングカー「VANLIFE」というバンコンのレンタルが、東京都町田市・グランベリーパーク内にある「Toy-Factory 東京店」で開始される。

それに先駆け、この車両を実際に試用させていただく機会を得た。

「VANLIFE」のベース車両はFIAT DUCATO(フィアット デュカト)。

この車両は、ヨーロッパ各国でモーターホームのベース車両として圧倒的なシェアを誇るモデルだ。

欧州では商用車としても非常に人気が高く、多くのキャンピングカーがこのDUCATOをベースに製造されている。

また、DUCATOの欧米仕様は「ダッジ・ラム・プロマスター」としてアメリカ市場で販売されており、こちらも同様にキャンピングカーや商用バンとして最もポピュラーなモデルだと聞いている。

日本のハイエースやキャラバンより大柄だが、欧米でのハイエース的な存在だ。

そして、自作派のベース車両としても大変人気があるが、ビルダーの製作するバンコンのベース車両としても、世界的に見たら現在最も多く使用されている車両なのではないかとも思う。

しかし、この「VANLIFE」は過剰な装備ははぶき、無垢のオーク材をふんだんに使用したシンプルで温もりを感じる内装が施されており、一般的な既製品のキャンピングカーとは少々毛色の異なる個性的な1台だ。

今回の記事では、実際に使って見たからこそわかる、この「VANLIFE」の居住性や荷物の積載性など、停車中の使い心地に話題を絞って忖度なく正直にお伝えしようと思う。

試乗旅の概要


本題に入る前に、この「VANLIFE」をどんな使い方をしたのか、旅の概要を説明しておこう。

旅の目的地:湘南から西伊豆へ


今回の取材車両は「Toy-Factory 湘南店」(神奈川県藤沢市鵜沼海岸)にあったため、そこで借り受けた。

※レンタルサービスは2025年7月から町田市のグランベリーパーク内「Toy-Factory 東京店」で開始される。「Toy-Factory 湘南店」でレンタルできるわけではないのでご注意を。

トイファクトリー湘南店の外観

因みに鵜沼海岸は、江ノ島と辻堂の中間辺りに位置し、湘南店の名に相応しい立地だ。

高速道路・急な上り坂と下り坂・ワインディングロード・比較的狭い道・ちょっとした渋滞など様々な条件での運転も試してみたかったのと、私が車中泊をする理由で最も多いのがSUPやカヤックのツーリングに向かうための足と宿であるため、出発地が鵠沼で、これらの条件を満たす目的地ということで選んだ行き先は西伊豆だ。

東名下り線の足柄・御殿場へ向けての急坂や、新東名の120km/h区間も走行、伊豆半島の急峻な坂道や、日曜午後に必ず発生する国道134号の渋滞など、運転環境も盛り沢山だったので、これらの状況の中でどうだったのかといったことについてはまた改めて報告したいと思う。

積載した荷物:普段以上の大荷物で実践


VANLIFEに積載した荷物

車内の積載性も試したかったので、インフレータブルのSUPのボード2本と関連道具の他に、軽い引越しかと思うほどの普段より多めの荷物を積み込んで出かけることにした。

VANLIFE車内に荷物を詰め込んだ

この写真はベッドの上に荷物が積まれてしまっている状態だが、上下段ともベッドはかなり広い。

レンタル車両はほぼフルオプション装備であるため、広い空間の中に上段ベッド(標準装備)と、上段ベッドの下に半分入り込む形で直角に交差する下段ベッド(オプション)も装備している。

上段ベッドだけでも就寝定員は2名だが、下段ベッドも含めると就寝定員は4名になるので、2名での使用ならかなり広く使うことができる。

しかも、横になるとお互いのベッドが視界に入らない配置で、ワンルームではありながら、まるで隣のテントに入って寝るようなプライベート感が得られた状態になる。

使用人数:海仲間と2人で


私が普段車中泊する時は、現地で仲間や仕事の場合はお客さん達と合流することはあっても、車中泊をするのは圧倒的に1人であることが多いのだが、今回は使い心地も試すために2名で出かけることにした。

この配置と広さなら、おっさん2人の旅でも快適に使えそうだが、気心の知れた相手であればパートナーが女性でも問題なさそう(少しハードコアなアウトドアスポーツの仲間の場合は同じテントで寝ることもあるので問題ない)と思い、せっかくなので旅のパートナーは妻でも恋人でもないが気心の知れた海仲間の女性で試してみることにした。

また、同じ部屋にいるのは問題ない仲ではあるが、もしどちらかのいびきがうるさくてどうしても寝られないような場合は、気候も温暖な時期なので、どこでも寝られる私が外に出て寝れば良いだけだ。

旅の日程:2泊2.5日のリアルプラン


全てにリアルを追求し、以下のような2泊2.5日のような予定を組んだ。

旅のパートナーは少し仕事を早上がりして電車で「Toy-Factory 湘南店」の最寄駅の小田急線鵠沼海岸駅まで来てもらう
・金曜夕方(17時~18時頃):「Toy-Factory 湘南店」を出発
・金曜夜:途中の道の駅で仮眠
・土曜日中:SUPツーリングを楽しむ
・土曜夜:西伊豆の田子にある海が目の前の「RVパーク TAGOBASE」に宿泊
・日曜:近隣を寄り道しながら18時までに車両を返却する


この予定なら、外部電源なしの道の駅での仮眠と、外部電源やシャワー設備なども整ったRVパーク泊の両方を試すことができるし、現実的に多いパターンのスケジュールの組み方だと思うので、自分に照らし合わせて使い心地をイメージしてもらいやすいと思った次第だ。

レンタル車両「VANLIFE」の概要


小学生の粗筋だらけの読書感想文のようになってしまっては実際に試用させてもらった意味が薄れてしまうので、この車両についての詳しいことはToy-Factoryの公式サイトを見ていただきたい。

「VANLIFE」詳細はこちら▷Toy-FactoryHP

と言いつつ、まずは今回の取材車両についての概要や特徴などについて、主観を交えながらざっと紹介しておこう。

車体サイズ:L2H2の迫力


軽トラとVANLIFEを並べた様子

私の愛車のハイゼットジャンボを飲み込んでしまいそうな大きさだ。



まず、ベースのFIAT DUCATOについてだが、車体の大きさが何種類かある。

その中で、「VANLIFE」のベースとなっているシャーシはL2H2(Lは長さ、Hは高さ)というタイプで、このL2H2のボディーサイズは全長5,410mm・全幅2,100mm・全高2,525mmだ。

L2H2はDUCATOの中では小さいサイズなのだが、ハイエーススーパーロングワイド(ハイルーフ)の寸法が各々5,380mm・1,880mm・2,285mmなので、でかい方のハイエースと長さはほぼ同じで、幅は20cmちょっと広くなり、高さは30cm近く高いことになる。

室内高:直立ができる!


この数値を見て高さがずいぶん大きいと感じた人が多いであろうと思うが、ハイエースは何も架装していない状態のハイルーフの室内高が1,635mmなので、中で直立できない人の方が多い。

「VANLIFE」は床も天井も張った架装した状態で室内高が1,850mm確保されているので、日本人だったら屈むことなく中で直立できる人の方が多いと思う。

VANLIFEの室内全体

食事をして寝るだけだったら中で立てなくても良いとも思え、私もどちらかというとそんな風にも考えてしまっていたが、実際に中に入ってみるとこの高さがあることによる解放感は格別で、室内長や室内幅が近い数値だとしても、何か次元の違う空間になると感じた。

また、ハイルーフのハイエースの全高が2,285mmである理由は高さ制限が2.3mの駐車場のことも考慮に入れているからなのかと想像できるが、ルーフキャリアやルーフラックなどを装着したら軽く2.3mは超えてしまう。

この室内高を体験してしまうと、どうせある程度以上の高さになってしまうのなら、いっそここまで高くしてしまっても良いのではないかと思えてきた。

室内幅:横向きベッドの恩恵


駐車場に停まっているVANLIFE

次に幅についてだが、2,100mmの全幅は日本車にはないサイズだ。

しかし、この幅があるおかげでDUCATOは進行方向に対して横向きに寝るベッドを設置することができるのが大きな利点で、縦方向のベッドしか設置できない場合と比較すると、スペースの利用効率において雲泥の差が生じることになる。

「VANLIFE」も車体後方に長さ1,305mm×幅1,820mmの大きな「横向き常設ベッド」が標準装備されているが、ベッド下は高さ幅ともに大きなラゲージルームとなり、ベッドより前にも広いスペースが残ることになる。

荷物を置いていないVANLIFE

そのスペースの広さたるや、運転席の後ろから上段ベッドまでの間に設置されているカウンターの横幅が140cmもあるので、いかに広大であるかがわかる。

レンタル車両には、オプションのセカンドシートと着脱式テーブルが設置されていたが、セカンドシートとテーブルが設置されていない場合は上の写真のような状態になり、とにかくこの「リビングスペース」は広い。

また、私は4tトラックや1ナンバーのトヨタコースターなどの運転経験もあるが、運転していて車体幅の違いを感じるのは、小型車サイズに収まる1,700mm以下か、せいぜい1,800mmくらいまでに収まっているか否か。

それ以上あると2,000mmを少しばかり切っていようと2,100mmであろうと大した違いはなく、それより車体の見切りの良さの方が重要となるのが実体験に基づく感覚だ。

ならば、高さ同様幅もここまで大きくして「横向き常設ベッド」を設置することのできる車体の方が私は良いように思う。

VANLIFEの内装


特徴①:VANだけど部屋感のある空間設計


「VANLIFE」の室内に入って他のバンコンとの大きな違いを感じたのは、室内高や室内幅の違いによることだけではない。

ハイエースもフォードエコノラインやダッジバンなどのアメ車のフルサイズバンのバンコンも、どんなに大きくても、凝った内装を施しても、「車内感」が完全に抜けることがない。

DUCATOも、キャブコンのようにいかにもキャンピングカーといった印象の外観ではなく、外観はあくまでVANだ。

しかし、DUCATOベースのバンコンは、外観がVANの形を崩さないまま、キャブコンに似た感じのする室内になる。

VAMLIFEの車内の様子

エコノラインやダッジバンをハイルーフに改造したバンコンとサイズは似ていても、決定的に室内の雰囲気が大きく違うことになる理由は、壁が垂直に立っているからだと思う。

また、キャブコンのドアは小さいことが多いが、DUCATOはVANなのでサイドには大きく開くスライドドアが備わっている

大きく開くスライドドアは荷物の出し入れがしやすくて便利なことはもちろんだが、垂直に立ち上がったサイドドアを開けておくと、家のリビングルームの掃き出し窓を開けたような雰囲気にもなる。

車内から外を眺めた様子

朝起きてスライドアドアを開けたら、室内は散らかっているが、外の景色が家の庭のように見えた。

こんな面白い魅力もある。

景色の良い場所にリビングルームごと引っ越したかのように、借景を楽しむなどといった使い方も楽しそうだ。

特徴②:無垢のオークをふんだんに使用


「VANLIFE」は名前からもなんとなく想像がつくが、全体的にウッディーで手作り感のあるような雰囲気の内装が特徴だ。

運転席からリアの様子

内装の施工は、「Toy-Factory」と「CRAFTPLUS」のコラボで生まれたバンライフモデルで、内装にはオークに無垢材がふんだんに使用されている。

機能性と合理性を追求したキャンピングカーは、無機質で冷たい雰囲気の内装となってしまうようなこともあるが、それとは対照的な内装だ。

プラスチックが多用されたような雰囲気が苦手な私は、この内装に大変好感を抱いたが、感じ方や好みは人によって異なるので、逆にこういった雰囲気を好まない人もいるであろうし、ギミック満載のような室内を好む人は、物足りないと感じるかもしれない。

しかし、そこで無理に万人受けしようとして中途半端なことになってしまうのは最も残念だ。

機能や装備をとにかく満載したキャンピングカーとは役割分担(VANLIFEの機能や装備が貧弱という意味ではない)しているようで、私はそこにも好感を持てた。

今回借りたレンタルの車両はシートがデニム生地の仕様だったが、室内の印象を大きく左右するシートカバーやベッドマットの生地はCRAFTPLUSデザインの8種類から選べるようになっているので、壁や内装に合わせて好みに組み合わせることができる点も魅力的だ。

実は合理的でもある内装材


取材車両の居住空間は土禁なので、居室内には靴を脱いで上がっていたのだが、雨天に当たってしまったため、出入りの際にサイドドア付近が濡れてしまうことは免れなかった。

しかし、自然な風合いを活かした床であるのに、濡れても雨が染み込んでしまうようなことはなく、さっと拭けば全く気にならず快適だった。

好きな人にとっては雰囲気抜群の無垢のオーク材は、ワインの樽などにも使用される木材であるため水濡れに強く、実用性にも大変優れた素材でもあるのだ。

VANLIFEの床

床が複雑な形状をしていないので床掃除がしやすい◎



アウトドアスポーツを好む人には、こういったウッディーな雰囲気を好む人も多いが、ウォータースポーツやウィンタースポーツ、泥汚れなどが多いスポーツなどにも使いやすく、趣向と実用性の高さを両立していることになる。

特徴③:自分好みに仕上げやすい室内


「VANLIFE」はオプション設定となっている装備が多い。

これは、標準装備を少なくして最低価格を低く抑えることが目的ではなく、実際に使って実感したのは、自分好みに仕上げやすくするための配慮ということだ。

たとえば、収納棚や就寝定員が多ければ便利そうだが、冷静に考えるとこれは「自分は使うことはないな」などと思うようなことも多い。

悪い言い方をすれば、余計なお節介のようなものが色々付きすぎてしまっているクルマが案外多いと私は思っている。

レンタル車両はフルオプションのような状態であったため、着脱式のテーブルと下段ベッドの一部にもなるセカンドシートが設置され、乗車定員も4名となっていたが、このセカンドシートもテーブルもオプションなので、標準の状態では乗車定員も2名だ。

装備を付けないという選択肢がある利点


荷物を置いていないVANLIFE

セカンドシートのない状態



セカンドシートがなかったとしたら、凸凹のない平らで広い空間が残るので、好みのイス・ソファー・テーブルなどが置ける

また、そういった家具は車外でも使用できるので合理的でもある。

さらに、何も手を加えていないVANのように大量の荷物を積み込むこともできるので汎用性も高い。

そして、一つのベッドに並んで寝ない場合は、床が広いので1人はコットを置いて寝るようなこともできる。

実際に使用してみて、セカンドシートもテーブルも実用性は高いが、この「VANLIFE」を選ぶ人は、大人数での使用より2名で広々と使いたいと思うような人が多いのではないかと思うので、「付けなくても良い」という選択ができるのは良いことだ。

加工もしやすい


また、垂直に立った木の壁は、普通の家のように自分で棚を設えるなどといったこともしやすい。

好みや必要に応じて、調度品を必要な数だけ設置できる自由度があるといった意味でも、この木の壁は合理的だ。

書き始めてみたら伝えたいことが多すぎた


ここまで書いたところで、伝えたいことが多すぎて一回の記事ではとても収まりきらなくなってしまった。

あまりにこの「VANLIFE」が魅力に溢れていたため、内容を削るのも残念なので、次回の記事でより具体的な使い心地の報告をしたいと思う。

VANLIFEのモデル詳細はこちら

トイファクトリー「Share Camper」キャンピングカーレンタルのご予約はこちら

笠原 サタン

スポーツカーやピックアップトラックも好きだけど、車を見ると快適に寝られるかどうかを先ずは考えてしまう。 VANと旅と波乗りとネコをこよなく愛するPaddler。