バンライフ
【体験記】キャンピングカー旅19カ国目!きっと誰も行ったことない?!アンドラの知られざる魅力を紹介

スペインとフランスのあいだ、ピレネー山脈にひっそりとたたずむ小さな国「アンドラ」をご存知でしょうか?
国土のほとんどが山に覆われた、まさにアウトドア好きにはたまらない“山の王国”です。
キャンピングカーに暮らしながらヨーロッパを旅している私たち夫婦の、19カ国目に訪れたのがこの「アンドラ公国」。
日本ではあまり馴染みのない国ですが、実際に行ってみると、驚くほど雄大な自然、過ごしやすい環境、そして旅人にも優しい国で、想像をはるかに超える魅力が詰まっていました。
今回はそんなアンドラを、キャンピングカー旅の目線からご紹介。
街歩きが楽しい中心街、圧巻の登山とハイキングが楽しめる自然公園、車でアクセスできる絶景スポットまで、実際に訪れたからこそ伝えられるリアルな情報をお届けします。
キャンピングカーでヨーロッパを旅する夫婦!

私たち夫婦は、キャンピングカーに暮らしながらヨーロッパを周遊中で、旅をスタートしてから、気づけばもう2年半が経ちました。
日々、車内でリモートワークしながら、まるでその土地に“暮らす”ように滞在し、文化や風景、人々と深く関わる旅を続けています。
観光だけでは味わえない、特別で濃密な体験の連続です。
旅の始まりはイタリア。
中古で購入した2005年製のキャンピングカーとともに、これまでにスイス、オーストリア、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、ポルトガルなど、ヨーロッパを南から北まで走り抜け、合計18カ国を巡ってきました。
そして今回、新たに訪れたのが旅の19カ国目となる「アンドラ」。
個人的に“車中泊天国”だと感じたスペインを旅したあと、お隣のこの小さな国へと向かいました。
「アンドラってどんな国なんだろう?」「きっと行ったことがある人は少ないはず!」そんなワクワクを胸に、日本ではあまり知られていないこの国へ、期待をふくらませながら入国しました。
スペイン南部を訪れた時の記事がこちら
アンドラってどんな国?小さいけど魅力がぎゅっと詰まっている!

アンドラ(アンドラ公国)は、スペインとフランスの間に位置する小さな国で、ピレネー山脈の中にあり、まるでヨーロッパの隠れ家のような存在です。
国土のほとんどが山に囲まれているため、冬は一面銀世界が広がり、スキーリゾートが多く点在。
ヨーロッパ有数のウィンタースポーツの拠点となっています。
面積は約468km²で、東京都の半分以下というコンパクトさですが、その中に魅力がぎゅっと詰まっています。
公用語は、スペインのカタルーニャ地方と同じカタルーニャ語。
ただし、観光地では英語、スペイン語、フランス語も広く通じるので、旅行者にとっては安心です。
また、アンドラはEUに加盟していない国ですが、ユーロを正式な通貨として使っているので、隣国との周遊旅行にもとても便利。
山に囲まれていて標高が高いため、冬はスキー天国!
そして夏は涼しく、7〜8月の平均気温は20度前後なので、避暑地としてヨーロッパ中から人が訪れる人気の地です。
空港がない?!アンドラへのアクセス方法

国土がほぼ山岳地帯で平地が少ないため、アンドラには一般利用の国際空港が存在していません。
そのため、アンドラへ行くには、お隣の国のスペインまたはフランスの空港から陸路で向かう形になります。
一番ポピュラーなルート
・スペインのバルセロナ(El Prat空港)から車やバスで約3時間半
・フランスのトゥールーズ(Blagnac空港)から車やバスで約3〜4時間半
とくに、バルセロナからのアクセスが人気で、シャトルバスや直行便の長距離バスも頻繁に運行されているので、とても便利です。
私たちはキャンピングカーでヨーロッパを周っているため、スペイン側から入国し、国内をぐるっと巡ってフランス側から出国しました。
なお、陸路で入国する際には国境検問があります。
私たちの時はとくにチェックもなくスムーズに通過できましたが、タイミングによってはパスポート提示や、持ち込み・持ち出しの荷物確認があるので、注意しましょう。
【アンドラの車中泊事情】夜中に思わぬハプニング体験?!
アンドラはピレネー山脈に囲まれた小さな国ながら、キャンピングカーに対応したRVパークや駐車場がしっかり整っています。
しかし、そのほとんどが有料で、指定エリア以外での車中泊は原則禁止されているので注意が必要です。
私たちも車中泊禁止エリアはきちんと避けていましたが、ある日利用した、人里離れた山中にある登山口の公共駐車場で、思わぬプチハプニングが起きました。
とくに禁止を示す看板もなく、翌朝早くから登山をする予定で、他に迷惑がかかるような場所でもなかったため、そこで一夜を過ごすことに。
次の日が早いこともあり、早めに就寝していた夜の11時ごろに突然「コンコンコン」とドアをノックする音が!
民家もない真っ暗な山の中だったので、「何事?!」と飛び起きて、窓の外を覗くとそこには警察官の姿が…。
「ここは車中泊禁止だから移動して」とやんわり注意を受けました。
実はこうした出来事は、車中泊仲間の間では“あるある”らしいのですが、私たちにとっては2年半の旅で初めての体験だったので、少し驚きました。
でも、その警察官の方はとても親切で、「この近くに車中泊OKの場所があるよ」と教えてくれて、わざわざパトカーで先導して案内までしてくれたのです。
おかげで無事に移動でき、安心してその夜を過ごすことができました。
このように、他の国では黙認されるような場所でも、アンドラではしっかりとパトロールが行われていて、厳しい取り締まりもあります。
旅を気持ちよく続けるためにも、ルールをしっかり守って事前に車中泊OKのエリアをリサーチしてから訪れるのが重要だと実感しました。
今回は、私たちが3日間の滞在で訪れたおすすめの観光スポットと、実際に訪れたRVパークや車中泊OKのスポットを合わせてご紹介します。
ショッピングに最適!アンドラの首都(Andorra la Vella)

アンドラの中心部にある首都のAndorra la Vella(アンドラ・ラ・ベリャ)は、ヨーロッパで最も標高の高い首都として知られています。
標高1,000mの山あいに広がるこの街は、澄んだ空気と壮大な山の風景に囲まれ、石畳の通りや石造りの建物が美しいだけでなく、ヨーロッパ中から人が集まる名税ショッピング天国としても有名なのです。

アンドラは関税がかからない免税国家。
お酒やタバコ、香水、化粧品、ブランド品、電化製品などが比較的安く手に入るので、買い物目的で訪れる観光客も多く、街中にはショッピングセンターや免税店がずらりと並んでいます。

通りには、おしゃれなブティックからアウトドアブランドのお店もあり、のんびりと街散策するのにぴったり!
とくにチョコレートがお得だったので、私たちはチョコをいっぱい買い込んじゃいました。
そして、もうひとつ見逃せないのが、街の中心に流れるラ・ヴァリラの川沿いです。

ここには、スペインの奇才アーティスト「サルバドール・ダリ」の有名な彫刻「時間の貫通(La Noblesse du Temps)」が展示されています。
時計がとろけるあの独特のモチーフが印象的で、ぜひ訪れてほしい撮影スポットです。
アンドラ・ラ・ヴェリャの駐車場所にはひと工夫を!
中心街の道路は狭く、人通りも車も多く、駐車スペースはかなり限られ、キャンピングカーを停めるには少し苦労します。
そこでおすすめなのが、少し郊外のSant Julià de Lòria(サン・ジュリア・デ・ロリア)のRVパークを利用することです。
キャンピングカー約10台分のスペースがあり、私たちも車を安全に停めて、バスを利用して街の中心街へと向かいました。
駐車料金は1時間1.35ユーロ(約228円)と良心的。
そこからアンドラ・ラ・ヴェリャまではローカルバスで片道1.90ユーロ(約320円)。
バスの本数も多いので、駐車のストレスを減らして快適に街観光が楽しめます。
登山者憧れの山がここに!コマペドローサ国立公園(Parc Natural Comunal de les Valls del Comapedrosa)

コマペドローサ国立公園はアンドラ最西部のラ・マサナ地区に位置し、登山や自然好きにはたまらないエリアになります。
アンドラの中心部から車で約20分とアクセスも良好で、さまざまなハイキングトレイルが整備されており、登山初心者〜上級者まで楽しめて、自然を思いっきり堪能できます。
この国立公園には、アンドラで最も高い山「コマペドローサ山」があり、登山者の憧れの一座でもあります。
今回は、私たち夫婦もこのアンドラ最高峰、標高2,942mの頂上を目指して、登山に挑戦しました!
登ったのは5月中旬。
季節は春ですが、山の中腹からは雪がたっぷり残っており、アイゼンやピッケルなどの雪山装備は必須です。
途中から雪も多くなり、傾斜も急で、体力だけでなく技術的にも求められる場面が多く、かなり挑戦的な山登りとなりました。
それでも、振り返ればそこには美しい谷、連なる山の稜線、空に溶け込むような白銀の風景が広がり、達成感いっぱいで一生忘れられない体験になりました。

積雪期のコマペドローサは、中〜上級者向けの難しい山ですが、夏になると一変。
雪もすっかり溶け、登山道は安定し、初心者〜中級者でもチャレンジしやすい山に変わります。

また、山頂を目指さなくても、湖や滝を巡るルート、森林浴を楽しめるルートなど、家族連れでも楽しめるスポットが多数あります。
コマペドローサ国立公園のキャンピングカー駐車スポットは?

コマペドローサ国立公園は山岳地帯に位置していますが、それでもキャンピングカーも駐車できる広めのスペースが豊富にあります。
ただし、駐車は日中のみで、夜間は車中泊禁止がほとんどなので要注意!
車中泊をするには、コマペドローサ国立公園から最寄りのラ・マサナの街のRVパークを利用するのがおすすめです。
外部電源、給水、排水場も完備されていて、料金は1泊18ユーロ(約3,000円)。
周囲にはレストランやスーパーもあり、落ち着いた山あいの街でのんびり過ごすことができます。
ラ・マサナのRVパークのマップ
雲海を眺めながら車中泊!ペス・デ・ラ・カーサ(Pas de la Casa)

ペス・デ・ラ・カーサは、アンドラ東端のフランス国境のすぐそばにある小さな町で、数歩でフランスへと入国できちゃうほどの場所です。
でも実はこの町、アンドラ随一のスキーリゾートエリアが有名で、標高はなんと約2,400m!
車で簡単に高地までアクセスでき、どこを見ても圧倒的な山岳風景が広がっています。
私たちが訪れたのはスキーシーズンではなかったのですが、それでも山にはチラホラ雪が残り、素晴らしい景色を堪能することができました。
冬はもちろんスキー・スノーボードの聖地として賑わうペス・デ・ラ・カーサですが、夏場にはいくつものハイキングコースがあり比較的涼しく、避暑地としては最適です。
1年中アクティビティを楽しめるので、オールシーズンで訪れる価値はあります。
標高2,400mでの貴重な車中泊体験

なんと、標高約2,400mの高地にある駐車場は車中泊がOK!
目の前には360度の大パノラマが広がっています。
朝晩は雲海を眺めたり、夜には満天の星空と、まるで自然が創り出す映画のスクリーンの中で眠り、目覚めるといった車中泊体験ができます。
設備は一切ありませんが、「五つ星ホテル顔負けの」絶景の中で、他では味わえない貴重な体験になりました。
ただし、標高が高く開けているので、夜はかなり冷え込み、風も強いので、防寒対策はしっかりとするのが大事です。
まとめ:小さな国に大きな感動
アンドラは知る人ぞ知る”穴場”の観光スポット
正直、旅の計画を立てるまで、その存在すらあまり認識していなかった小さな国、アンドラ。
でも、実際に足を踏み入れてみると、小さいながらに壮大な山々の中には「自然・文化・買い物・癒し」がぎゅっと詰まった、まさに隠された宝石のような場所だということがわかりました。
しかも、スイスやフランス、オーストリアなどの有名なスキーリゾート地と比べて物価が安いので、滞在費が抑えられて、お得に旅を楽しむことができます。
「誰も行ったことのない場所に行ってみたい」「ちょっと人とは違う旅をしてみたい」そんなあなたに、アンドラはぴったりの国。
混雑も比較的少ない“知る人ぞ知るスキーパラダイス”のアンドラを、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか?