イベント
ランキングだけじゃない、“出会いが主役”のジャパンキャンピングカーラリー2025東北ゴール
去る2025年11月2日(日)、くるま旅クラブ「ジャパンキャンピングカーラリー2025 in東北」が盛会裡に閉幕しました。
数週間かけて所定のスポットを巡り、スタンプ&ポイントを集めるユーザー参加型イベント。
東北地方(一部関東・北陸)が舞台となった第4回は、岩手県西和賀町「志賀来(しがらい)ドーム」にてゴールイベントが行われました。
事務局の入念なクマ対策に支えられながら、全国から143台、262名の参加者と82頭のペットが和やかな時間を過ごしました。
会場はどんな様子か、上位入賞者はどんな記録を残したか、参加者はどんな旅をしたのかなど、イベントの模様をご紹介します。
筆者が実際にラリーに参加してみた様子は別記事で詳報していますので、ぜひそちらもご覧ください。
雨にも負けず続々とフィニッシュ

ゴールイベント当日、岩手県内陸部はあいにくの天候。
雨足が弱まる一瞬の隙をぬってのゴール記念撮影は少し大変でしたが、全国から集まったキャンピングカーが続々とフィニッシュしていきました。

当日は会場駐車場にて車中泊が可能で、割り当てられたスペースに順次駐車します。
ずらりと並んだキャンピングカーは圧巻!
色も形もナンバープレートに刻まれた地名も、乗り手の人生を表すように個性豊かです。
ゴールイベントの参加は任意ですが、なんと北は北海道、南は沖縄県から参加者が集まったそう。

表彰式などのメイン会場となるのは、人工芝の体育館である志賀来ドームです。
くるま旅クラブの髙橋宣行社長は自他ともに認める“雨男”だそうなのですが、ドームは屋内なので悪天候でも安心でした。

受付を済ませると「くるま旅クラブ温泉タオル」や「完走ステッカー」、災害時の備えにもなる「アルファ米」などがゴール特典としてプレゼントされました。
また、翌日には周辺地域を巡るミニイベント「西和賀町スタンプラリー」が開催されるとのことで、スタンプ台紙が同封されていました。
思い思いに過ごす会場の様子
ゴール後、式典が始まる18時まではフリータイムです。

だいぶ待ち時間があるので退屈するのでは……と思いましたが、そんな心配は無用でした。
隣接する「志賀来温泉 沢内バーデン」(入浴料:大人440円/小学生220円/幼児無料)は、本日くるま旅クラブの貸し切り。
湯YOUパークにも登録し、普段からキャンピングカーを歓迎しています。
夜のイベント後に入浴しようと思っていた人もいるかもしれませんが、実際にはみなさん去りがたい様子で、いつまでも談笑が続いていたので昼のうちに入ってしまうのが正解!

ドーム前には3台のキッチンカーが出店し、ラーメン、焼きそば、ちまき、シュウマイ、もち、コロッケなどが販売されました。
閉店時刻を待たず早々に完売になってしまったメニューもあって、出店者のみなさんも予想外の盛況だったのでは。

11月の雨の東北は防寒着を着ていても寒いくらいですが、熱々のラーメンが冷えた身体に染み渡りました。

写真提供:JCCR2025 / くるま旅クラブ
会場では地元の子どもたちによる「こども太鼓」や、シンガーソングライター「あつ」さんミニライブが開催されました。
ずらりと並んだテーブルに自慢のお酒をめいめい持ち寄り、早くも交流の場となっていました。
バギーもしくは抱っこ限定ですが、ドーム内へのペットの同伴もOK。

物産コーナーでは特産品のYUDAミルクのほか、地元の酪農家さん特製のおつまみセットなどを販売。

参加者のみなさんが持ち寄ったたくさんのお土産は、後に各テーブルに配られました。
欧米では飲み物持参のパーティーのことを「ポットラックパーティー」と呼んだりしますが、会場も手づくりのホームパーティーのような、どこか家庭的で温かい雰囲気です。
会場周辺は飲食店や商店のない自然豊かな場所でしたが、車内に冷蔵庫やストレージを備えることも多いキャンピングカー。
きっと飲食には不自由しなかったのではないでしょうか。
参加者インタビュー「ラリーはどうでしたか?」
約1か月に及んだ東北地方のラリー、実際に参加してどうだったか、何名かにお話をうかがいました。

2回目の参加だという齋藤さんご夫妻は、同じ東北圏内の福島県から。
感想をうかがうと「楽しいかどうかというよりも、とにかくスポットを回るのに必死で」と笑顔。
「印象深かったのは長岡の国営越後丘陵公園。着いたときにはもう閉園で入れなくて一度は仕方ないと思ったんだけど、アプリを見ているとどうしても欲が出てくるじゃない。群馬なんかを回った後、諦めきれなくてわざわざもう一度新潟に行ったよ」と振り返ります。
同じように、当初はスキップするつもりだった青森県の最北端、大間や恐山も予定変更して訪ねたそう。
きれいにスタンプが埋まっていき、ランキングが更新されるのがわかるスマートフォンのJCCRオリジナルアプリは秀逸です。
奥様も「ついつい上を目指したくなるシステム」と評価します。
登録されているのは有名観光地に限らないのも特徴で、「このイベントがなければ行かないなっていう、マニアックなスポットがたくさんありました」とも話していました。
取りこぼしがないよう、多くのスポットを巡ったことが伝わってくる齋藤さんの体験談には理由が。

たまたまお声がけした齋藤さん、実はすべてのスポットを巡った“スタンプランキング1位”(ほかにポイントランキング1位が複数組あり)のご夫婦だったのです。
東北から関東・北陸にかけ300か所以上あったラリースポット、1日に10スポットも巡った計算です。
かなりの計画性と行動力が必要だったはずで、「すごい!」のひと言です。

続いて話をうかがったのは、北海道から初参加した石原さんご夫妻。
ラリースポットに行ってみたら雑草が生い茂っていたことや、龍泉洞の狭い通路が怖かったこと、雨続きだったこと、タブレットでの参加だったためGPS情報が上手く取得できなかったことなど、残念エピソードをたくさん語ってくださいましたが、その表情は実に楽しそう。
スタンプにはこだわらずドライブし、大谷翔平選手のふるさとである岩手県や、今年度で一般公開を終了する史跡尾去沢鉱山が印象深かったといいます。
旅先での「あのときは大変だった」という経験は、後になると笑える思い出話になるもの。
いい旅だった、と思い返す日が来ることを予感させます。

第2回から連続参加中の服部さんご夫妻は、遠く奈良県からの参戦。
お仕事があったため何度も東北を訪れるようなことは難しく、ゴールイベントにかけて数日間だけの参加だったとのこと。
そのため今回はランキングは競わず、18時頃には車中泊場所に着くようなゆったりしたスケジュールだったといいます。
「前回は夜でも走るくらいの勢いだったけど、今回はちゃんと寝られてゆっくりできました」と奥様は笑います。
また、特に奥様が心配されていたのが各地で頻発する熊被害。
JCCRシステムの設定上、夜間はスタンプを獲得できなくなっていましたが、それが無理なスケジュールを抑止できてよかったと評価していました。
奈良までは遠いですが、往路は日本海側から、復路は太平洋側から帰る予定とのことで、道中も楽しい旅の一部となりそうです。
参加者ミーティング「夜の語らい」

写真提供:JCCR2025 / くるま旅クラブ
日の落ちた18時、くるま旅クラブ髙橋社長の挨拶と、乾杯の発声で式典が始まりました。

今回のゴールイベントは西和賀町の全面協力で開催されたとのことで、西和賀町長も登壇。
続く表彰式では、すべてのスポットを訪れるのみならず、すべての協力施設のQRコードポイントを獲得した「完全制覇者」が華々しく表彰されました。
QRコードポイントは買い物や宿泊などの条件をクリアしなければ獲得できず、ぐっと難度が上がるはず。
わずか1か月というラリー期間でのフルコンプリートに脱帽です。
表彰されたのは上位者だけでなく、キリのいい数字の特別賞やフォトコンテストなど、限られた日数しか参加できない人も評価される仕組みになっていました。

髙橋社長からの差し入れのほか、各自がキャンピングカーから持ち寄ったお酒で、みなさんほろ酔いムード。
ビンゴゲームや「あつ」さんの音楽が会場を盛り上げます。
「旅好き」「キャンピングカー好き」という共通項で集まった人々は、初対面でもあっという間に打ち解ける雰囲気があります。
豪華な食事が並ぶわけでも、派手にショーアップされているわけでもないアットホームなイベントですが、一生の友人ができそうな場となっていました。
第5回の開催も発表!

参加者の願いが通じたのか、翌朝には紅葉の映える美しい青空に恵まれました。

朝食にと、YUDAミルクからヨーグルトとグラノーラの無料プレゼントがありました。
ボリューム感がありながらも、ヘルシーで美味しい!

写真提供:JCCR2025 / くるま旅クラブ
閉会式の後は、恒例の記念撮影をして解散。
別れがたく、車外で話し込んでいる人も多くいましたが、来年の再会を誓って1台、また1台と会場を去っていきました。
キャンピングカーでの旅は、自身や周囲が平和で、健康で、安全であるからこそできること。
次の1年の無事を祈って、それぞれが解散していったことと思います。

ラリーをきっかけに知らない場所に行けてよかった、という感想をもった筆者でしたが、会場ではそれと同じくらいランキング上位を狙って真剣勝負をしている人も多く、同行のご友人やご家族が微笑ましく見守っているのも印象的でした。
上位入賞を狙って熱い闘いを繰り広げるもよし、知らない場所をのんびり訪ねるのもよし、さまざまな楽しみ方ができるのがジャパンキャンピングカーラリーです。
ゴール地などの詳細は計画中とのことですが、くるま旅クラブでは第5回となる2026年もラリー実施を予定。
来年はあなたも参加してみませんか?