van30

VANと30年付き合ってきたからわかる!!VANの魅力はここ!!



ずっと同じクルマということではないのだけど、VANという形態のクルマを愛用するようになってかれこれ30年になる。

現在は自営業だけど、会社勤めで仕事で使っていた頃を含めると付き合いはもっと長くなる。

私は常にクルマの中で生活しているわけではないので、VAN LIFEというのもしっくりこないのでLIFE with VAN 30年といった感じだろうか。

とにかく仕事でも遊びでも、この30年VANは私の生活に欠かせないものになっているのだが、まだ新たな魅力の発見があったりもする。

そんな私がVANに対して思うことなどをこの記事ではお伝えしたいと思う。

そもそもVANとは?

VANとはどんなクルマのことを指すのか。

バン

LIFE with VAN 30年と書いたが、何故かVANやピックアップトラックが好きになったのは自動車の運転免許を取れるずっと前からだったので、少し変わった趣味の少年だったのだと思う。

そんなわけでVANオタクを自認するので、VANについてはそれなりに詳しい。

ちょっとウンチクを語ってしまおうと思う。

バン(VAN)は、元々はトラックをベースに作られた有蓋車のことだ。

現在ハイエースにトラック(無蓋車)はないが、80系の頃のハイエースには同じ顔をしたトラックも存在していたし、現在もダイハツ グランマックス(トヨタ タウンエース)にはバンボディーもトラックボディーも存在する。

カローラワゴン

それに対して、ステーションワゴンは人の乗るところとは完全に別れたトランクのある乗用車(セダン)をベースに、車体後部を人の乗るところと繋がった荷室に仕立て直したクルマなのだが、ステーションワゴンには商用車バージョンのようなものがある。

それがライトバンなのだが、日本ではステーションワゴンは乗用車に区分され、外観が同じ形(内装のことは別として)でも貨物車登録となる車両(商用車)がライトバンと呼ばれている。

現在この「ライトバン」は、トヨタプロボックスと日産ADとこの2車種のOEMのみ(軽を除き)となってしまったせいか、この言葉が使われる機会も減っているが、かつて日本にはライトバンが溢れていた。

今では想像もつかない人も多いと思うけど、ライトバン全盛の頃は各社ほとんどの車種(セダン)にライトバンバージョンの設定があった。

クラウンやセドリックには比較的最近までステーションワゴンがあったから想像できるかもしれないが、昔はなんとスカイラインのライトバンまであったのだ。

日本ではライトバンがあまりにポピュラーだったためか、バンと言うとどちらかと言えばライトバンを指すのが以前は普通だった。

そして、バン=ライトバンと区別するために、「本来のバン(VAN)」であるハイエースやキャラバンなどが、日本ではワンボックスとかワゴン車と呼ばれるのが一般的になったのだと思う。

断定はできないが多分理由はそんなところだ。

しかし、それ以前にはもっと面白い事実がある。

ワンボックススタイルのクルマが総じてボンゴとかボンゴ車と呼ばれていた時期があったのだ。

結構お年を召された方でもこの事実を既に忘れている人も多いのではと思うのだが、子供の頃からのVANオタクだった私は辛うじて記憶に残っている。

現在マツダのボンゴはダイハツ グランマックス、ボンゴ ブローニーはトヨタ ハイエースのOEMになってしまい、マツダが自社製造すらしていないボンゴだが、初代のボンゴは代名詞になるほどのベストセラーだったということだ。

現在もよく知らない人はキャラバンのこともハイエースと呼んだりするが、その比ではない。

新聞記事などでは、現在「ワゴン車が・・・」と書かれているような部分が、メーカーがどこであれ「ボンゴ車が・・・」などと書かれてしまっていたり、立体駐車場に「ボンゴ車進入不可」などと書かれていたのだ。

同様に、その頃は三菱ジープもトヨタランドクルーザーも日産パトロール(日本名サファリの前身のクルマ)もスズキジムニーも全て本来商標であるジープと一般的には呼ばれてしまうことが多かった。

これまた子供ながらに「違うんだけどなあ」と思っていたのだが、ボンゴ同様新聞記事などでも例えばジムニーのことを小型のジープなどと書いてしまい、三菱からクレームが入ることもあったようだ。

今では三菱ジープ(三菱が「ジープ」のライセンスを所有していた)もなくなり、ワンボックスの代名詞だったボンゴもOEMで供給される側になってしまい、スカイライン・ランサー・カリーナなどのライトバンも全て消えてしまった。なんとも寂しい現状だ。

それもそうだが、70年代などはバンや小型トラックの種類が非常に豊富で、かなり個性的なクルマも多数存在し、乗用車ベースのピックアップトラックなんかも多々あり、バン・小型トラックオタクの変な少年にとってはなんとも楽しくエキサイティングな時代だった。

小型トラック

それが現在はOEMだらけで、実際には少し顔が違うだけの同じクルマばかり。

なんともつまらない時代になってしまったものだ。

もうオタクなんてやっていられりゃしない。

「ボンゴ=一般名称」以降も、ハイエースやキャラバン=VANは一般的になかなか浸透しなかったように思う。

80年代以降キャブオーバーバンを指す言葉として最も定着した言葉は「ワンボックス」ではないかと思う。

90年代末頃にDANCE☆MANの「ワンBOXのオーナー」という曲があった。

KC & THE SUNSHINE BANDの「THAT’S THE WAY」のメロディーに乗せて空耳的な日本語の歌詞をつけ、ワンボックスカーオーナーの哀歓を唄った曲だ。

この手のクルマの持ち主の「あるある」を唄っている。

聴いたことのないVANオーナー、今だったらミニバンオーナーも含めてぜひ聴いていただきたい曲だ。

運転に疲れて眠気が襲ってきた時や、人を乗せていて渋滞にはまった時などに大音量でこの曲をかけると大変効果的でオススメだ。

イントロでもう目が覚めてしまう。

最近は日本でも「本来のバン」がVANと呼ばれることが一般化しつつあるが、依然日本では貨物車(商用車)登録の車両がバンで、例えば同じハイエースでも座席の多い乗用車登録の車両はワゴンと呼ばれている。

しかし、アメリカなどではそれを区別する場合は、主に荷物を積む用途の車両をコマーシャルバン、ベースが同じクルマでも座席の多い大人数乗れる車両をパッセンジャーバンなどと呼んで区別しているようだが、総じてVANであり、この手のクルマをワゴンとは呼ばないようだ。

また、形状に関してはキャブオーバーであろうと短いノーズのあるセミキャブオーバーであろうとVANだ。

ミニバン

そして、日本で「ミニバン」はキャブオーバー型ではない短いノーズのある乗用車登録のクルマを指す言葉となっているが、本来ミニバンはフォードエコノラインやダッジラムバンなどがVANの標準サイズだったアメリカで、それより小さいシボレーアストロやダッジキャラバンなどに対して付けられた呼称であって、形状を表す言葉ではない。

例えば、海外向け主体に作られた300系のハイエースのことを「巨大なミニバン」などと形容する人がいるが、それまでトヨタに存在しなかった「トヨタのフルサイズバン」の方が表現としては正しいと私は思う。

また、日本でも300系ハイエースをベースに作られたグランエースが販売されていて、これは商用車ではないが、形は似ていても決してアルファードの大きいバージョンなどではない。

成り立ちが全く違うからだ。グランエースは貨物車の300系ハイエースがベースのパッセンジャーバンだけど、アルファードは元から乗用車として作られているクルマだ。

また、かつてミニバンの代表格だったアストロにはしっかりコマーシャルバンもあったが、現在の日本のミニバンのほとんど(この手のクルマについてはあまり詳しくないが)はトラックではなく乗用車のシャーシをベースに作られている。

日本ドメスティックのミニバンは、パッセンジャーバンと言うより、背の高いステーションと表現した方が正しいのかもしれない。

長々とどうでも良いと言えばどうでも良いウンチクを語ってしまったが、何かの参考になることでもあれば幸いだ。

汎用性の高さが魅力

それで肝心なVANならではの魅力についてなのだが、それは色々あるけど、とどのつまり汎用性と自由度の高さに尽きると私は思っている。

何も手を加えていない貨物車登録(商用車)のVANの荷室は、基本的には殺風景な動く倉庫のような状態だけど、言い換えれば無垢のキャンバスのようなものでもある。

車中泊をするなら、もちろん無垢のキャンバスのままにしておいてマットを敷いたりコットを置くだけでも十分と言えば十分。

実際私は長年ずーっとクルマを旅の最中のねぐらとして使ってはきたのだけど、実はあまり内装に手を加えることなく使ってきた。

トヨタデリボーイ

例えば、トヨタデリボーイはタイヤハウスの出っ張りが2人で寝る時には邪魔になるため、取り外し可能な寝台を作ったこともあったが、結局あまり使うことはなく、そのまま床に直接マットを敷いて寝ることがほとんどだった。

ボンゴOEMのバネットは天井板があまりに汚かったのでベニアに張り替えたりはしたけど、その他は内装には全く手を加えることもなく使っていた。

車内の写真

このクルマは後輪が小径ダブルタイヤで天井高は若干低くなってしまうけどタイヤハウスがなく荷室の床は全面フラットだったため、そのままでも床の幅は広く使えたので、敢えて寝台を作る必要がなかった。

そして暑い日は窓全開、場所によってはリアゲートも開けて、中にメッシュのコットを置き、その上に蚊帳の代わりにメッシュのテントを張って寝たりしていた。

車内の写真

ポップアップルーフ付きのステップワゴンなどは、手を加えるのとは逆で、使わない3列目のシートを取っ払って乗車定員を5人に減らし、5ナンバーの乗用車から4ナンバーに構造変更して使っていた。

車内の写真

部屋のような内装やキャンピングカーにもずっと憧れはあったのだけど、何故こうして使ってきたかと言えば、大きな荷物、大量の荷物を積めないクルマは仕事の関係で問題外だからだ。

ところで、VAN LIFEという言葉があるが、この言葉は元々の意味とは少々変わって、なんとなく一般的にイメージするキャンピングカーとは少し違った雰囲気の、具体的に言えば例えばウッディだったり、自作、或いは手作り風な内装の棲めるクルマのこと、を指したり、そんな雰囲気のクルマに仕立て上げるような意味として使われているような感じがする。

しかし、雰囲気や法的なこと(登録)は別として、やはりそれもキャンピングカーの一種だ。

無垢のキャンバスのような室内を自分好みの内装にデコレーションできるところもVANの大きな魅力だが、あまり作り込み過ぎないようにしておけば本当に汎用性が高く。

私はそれこそがVANの一番の魅力なのではと最近再認識している。

この6年半の間、思いつきや生活スタイルの変化などに応じて何度もキャラバンの内装は改装を繰り返してきたが、現在は敢えてベッドを設えてしまわず、フラットな床面を多く残すようにし、寝るときはコットを置いたり、床にマットを敷いて寝るようにしている。

滅多に人を乗せることもないが、全くないわけではないので、後部座席も残したままにしている。

車内の写真

例えばこれは身内の家の整理で不用品を満載した時の様子。

キャンピングカーにこんな芸当はできない。

まさにDANCE☆MANが「ワンBOXのオーナー偉いぜっ♪」と唄ったような状況だ。

ワンボックスに荷物を積んだ様子

変わってこちらは仕事中。

まだ車内に大きな箱も一つ残ったままだが、それにプラスしてこれだけの荷物を余裕で積むことができる

それでいて、寝るときはコットを置けば快適な寝室になる。

変幻自在だ。

以前寝台を設えていた頃もマットは固定ではなく寝るときに敷くようにしていたので、フラットな寝台の上にこれと同じ量の荷物を積むことはできた。

しかし、床が低い方が重い荷物を積むときは楽なのは当然。

そして私は車中泊ももちろんするのだが、頻度で言えば重い荷物を積み下ろしする機会の方がずっと多い。

頻度の多いことに重点を置いた方が合理的だ。それで現在行き着いたスタイルが、敢えてベッドは設えてしまわない内装だ。

ベッドスペース

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