キャンピングカー
ハイエースより広いバンで旅をした!VANLIFEのリアルな使い心地

この7月からレンタルも始まったToy-Factory VANLIFEを実際に2泊2.5日の旅で試させてもらう機会を得た。
その使い心地についての記事を書き始めたら、想像していた以上にこの「VANLIFE」の魅力、伝えたいことが多過ぎて、一回の記事で収まりきらなくなってしまったため、この記事ではその続き伝えたいと思う。
とにかく魅力的な動くワンルームだったので、前回の記事と併せて読んでいただき、興味を持ってもらえたらレンタルを利用してみることもおすすめする。
前回の記事はこちら▷ハイエースより広いバンで旅をした!VANLIFEで体験したリアルな居住感
電装関係
「VANLIFE」は、室内両サイドほぼいっぱいに間接照明(左右別々にON/OFFが可能)が設置されていて、これは標準装備となっている。

間接照明というと雰囲気重視のようにも思えるが、この間接照明は暖色系の柔らかい光で、室内全体が照らされ、光量が十分ありながら目に優しく、大変実用的と感じるものだった。
一応LEDランタンなども持参したのだが、この間接照明だけで十分で、ほかの照明器具の必要性を感じることはなかった。
長時間の室内照明の使用に対応するためにも、サブバッテリーはほぼ必須の装備とも考えられるが、電装パッケージ(サブバッテリー・走行充電・電源管理システムなど一式)やインバーター(1500W)、100Vコンセントなどはオプションだ。
そして、サブバッテリーは目的に応じてリチウムイオンと鉛を選べる(最大で150Ahのリチウムイオンバッテリーを2個積める)ようになっている。
たとえば、さまざまな都合で、ポータブル電源をメインの電源にするか、併用したいと考える人もいると思う。
使い方に応じて、システムを選択できるようになっているのは合理的だ。
電源のない場所でも快適に過ごせる
レンタル車両はほぼフルオプションなので、電装パッケージ搭載、エアコンもFFヒーターも装備されていた。
今回の旅では、初日は道の駅で仮眠し、2日目はRVパークで宿泊。

RVパークでは外部電源を利用した
道の駅では当然ながら外部から電力を取ることはできないので、電源はサブバッテリーに頼ることになる。
初日の晩(道の駅)はエアコンが必須とは言えない気温だったが湿度が高かったため、就寝するまではエアコンを稼働。
ポータブル冷蔵庫の電源はもちろん入れっぱなしで、夕食と翌朝の朝食では深型の電気ホットサンドメーカー(食材の温めや調理に使える万能調理器)なども使用した。
それでも翌朝出発する時点でサブバッテリーは十分余裕があり、RVパークまでの約2時間のドライブの走行充電で、しっかり満充電になっていた。

外観がスッキリしているのでエアコンの室外機はどこにあるのだろうと思い、2日目の朝に確認したら、床下に設置されていた。
シートの使い心地
DUCATOはFF(前輪駆動)なので、FR(後輪駆動)のVANより床が低めだ。
そしてキャブオーバーのVANと大きく違う点は、ウォークスルーであることと、運転席と助手席を回転式にできることだ。
「VANLIFE」のフロントシートも回転式で、折り畳み可能の肘掛けも付いた豪華で座り心地の良いキャプテンシートだ。
回転するシートは使いやすい?

しかし、こういった作業が面倒だと、案外その機能を使わなくなってしまうようなことにもなりがちだが、「VANLIFE」の車内は広いのでシートを回転させる際も車外に出る必要などなく、座ったまま簡単に回すことができるので、非常に実用性が高い。
実際、このシートの回転機能を有効活用し、後ろに向けたフロントシートをダイニングのシートとして使用するDUCATOベースのキャンピングカーは多い。
ただし、フロントシートの位置が高いので、それに合わせてセカンドシート部分の床を上げているモデルも多く、結果的に全体が狭く見えてしまうと少々残念ではある。
その点「VANLIFE」は、セカンドシートの高さが低めなので、この問題はなく、室内は広々として見える。
しかし、セカンドシートの高さに合わせたテーブルは、フロントシートから使うには低い。
事前に写真で見た時にこの点が気になっていたのだが、実際に使用してみたところ、取越し苦労だった。
確かに食事をする際には、低いと感じるものの、くつろいでいる時にカップを置いたり、つまみを置いたりする程度なら、ソファー用のローテーブルのような感覚で、それも案外良かった。

食事をする際には、コンテナボックスをスツール代わりにすると高さがちょうど良く、食事も快適。
そのスペースも十分にあるため、セカンドシートに2人並んで座らなければならないようなことにもならず、のびのびと食事を楽しむことができた。
オプションのセカンドシート
次にオプションのセカンドシートの使い心地についてだが、キャンピングカーのセカンドシートは、ほとんどの場合ベッドとしても使用されるため、座面が真っ平であることが多い。
このシートもその例に漏れず、座り心地は可もなく不可もなくといったところだ。
今回は走行中に使用することはなかったが、走行中の座り心地はN-VANのセカンドシートよりはマシ、といった程度なのではと思う。
しかし、このセカンドシートの使い心地には意外な良い点もあった。

上段ベッドの下には、頑丈な角材が隙間を開けて並んだ仕切り板があり、ここにオプションのマットを敷き詰め、セカンドシートの背もたれを倒すだけでベッドが出来上がる仕組みだ。
セカンドシートをベッドとして使用する多くは、テーブルを外して、その部分までベッドにするものが多い。
その場合、寝るときにはテーブルや、足元の荷物なども片付ける必要があり、これが案外面倒臭い。
しかし、「VANLIFE」では、背もたれを倒すだけでベッドができてしまうため、テーブルの上も足元も片付ける必要がない。
お座敷スタイルにハマる
初日は夕食までセカンドシートの背もたれは立てていたのだが、翌朝背もたれを倒したままに。
すると座面が広くて胡座をかきやすくなり、案外その状態が快適なことに気付いてしまった。
まるで、狭いけれど居心地の良い学生アパートの部屋ような感覚だ。

そのままテーブルの前で横になることもできるので、ゴロゴロとくつろぐことができる。
二晩目の夜は、片方はお座敷スタイル、もう片方は座り心地の良いキャプテンシートにふんぞり返るという、ちょっとだらしないがすごくリラックスした状態で過ごした。
まるで家にいるような使い方ができるのも、シンプルな内装であるが故だ。
最初は、「壁の色や質感の特徴が強く感じる」と言っていた相方も、すっかりこの空間に馴染み、「慣れてくるとこの壁の感じが良い」という意見に変わっていた。
ベッドの使い心地
標準装備の「横向き常設ベッド(後部の上段ベッド)」は横になると長さが1,820mm、幅が1,305mmあるので、日本人の平均身長から考えると、2名並んで寝るのに問題ない人の方が多いサイズだ。

しかし、仰向けに寝る時は、踵が直角に曲がっているのではなく、爪先が伸びているのが普通だ。
私の身長は174cm(日本人男性の平均身長より少し高い程度)なので、この長さがあれば十分に収まることになるのだが、壁に足の先が少し当たるような状態になった。
しかし、幅が1,305mmもあるので、ほんの少し斜めに寝れば問題は解消するし、私は横向きで寝るタイプなので、個人的には全く気にならずに快眠できた。
十分な高さ
後部ベッドの床下は72cmもあるので、比較的高い場所にあるのだが、頭上高が100cmとかなり高く確保されていて、長さ以外は多くのカプセルホテルの個室空間より大きいことになる。

普通のVANなどで車中泊をした際は、朝起きたら車外に出て伸びをしたり、軽くストレッチをしたりすることが多いが、この車両はベッドの上に座った状態で背筋を伸ばすことができ、ベッドの上でストレッチなどもできてしまう。
思った以上に、「座った状態で背筋を伸ばせる」ということが快適だった。
この広い空間があるのは、運転で疲れた体をしっかり休めることができるので、旅クルマとしてとても理に適っていると思う。
オプションの下段ベッド
オプションの下段ベッドの作り方は「シートの使い心地」で書いた通りとても簡単。
長さは2,190mmもあり、大谷翔平クラスの身長の人でも大丈夫だ。
また、以前の記事でも書いた通り、このレイアウトなら上段と下段でお互いを気にすることなく寝られるだろうと予想していたのだが、思った通りだった。
お互いの存在を気にすることなく(相方は耳栓はしていたようではあるが)、どちらも快眠することができた。
下段ベッドの上半身は完全に外に出ているため、閉塞感を感じるようなことはない。
ただし、マットを敷いた状態で上段ベッドのフレームの下までの高さが33cm(マットの厚みは5cm)とあまり高くはないため、うっかり膝を立てたりすると、フレームに膝や爪先などをぶつけてしまう可能性があるので、その点は注意が必要ではある。
シンクとカウンター
サイドのスライドドアを開けると、正面(室内右側)には、奥行きが27cm、幅が140cmもあるカウンターが運転席後ろから後部ベッドの部分まで幅いっぱいに広がっている。
このカウンターにシンクが組み込まれ、オプションの着脱式テーブルもこのカウンターに装着する仕組みになっている。
カウンターの下には給水・排水それぞれ12Lの水タンクが格納されていて、さらにカセットコンロも標準装備品に含まれているが、ビルトインの調理機器のようなものは設置されていない。
水道設備と調理機器は不要と考える人もいるが、8ナンバーのキャンピングカーとして登録するためにはどちらも必須の装備なので、これらを省くことはできない。
そういった事情があるため、中には形だけで全く実用性のなさそうなシンクが組み込まれているキャンピングカーもある。

「VANLIFE」のシンクは大きくはないが、十分実用に耐えるサイズだった。
逆に、カウンターが大きすぎる、特に奥行きが広いものは、必要性をあまり感じない人にとっては室内を狭くする原因になってしまう。
私は基本的に、食器を汚さないよう調理し、使ったとしてもテッシュやウェットテッシュで拭き取って済ませてしまうので、あまりシンクの必要性を感じたことはない。
今回も食器洗いにシンクを使用することはなかったが、ちょっと手を洗いたい時や、飲み物を変える際にカップを軽くすすぐ時などに便利で、液体を器に注ぐ際などもシンクの上で作業すると安心だ。
蛇口とシンクも、案外あると便利なことを実感してしまった。
また、サイズや位置もちょうどよく、使いやすくて良かった。
人間は贅沢に慣れてしまうのは簡単だ。
固定された調理機器があった方が良いかどうかもは、人によって意見が分かれるところだ。
私の場合、車内で本格的な料理をつもりはないのだが、状況によってテーブルの上で調理したり、屋外で調理したりするので、固定された調理機器より自由に使えるスペースがあった方が良いと考える。
「VANLIFE」のカウンターは奥行きは実用的で、幅は広くて使いやすく、私にとって絶妙なサイズ感だった。
オプションのテーブルも、2人での使用には十分なサイズで、簡単に外せるので、仮にセカンドシートをオプションで追加しなかったかった場合もこのテーブルは付けた方が良いと思うほどだった。
遮音・遮熱・換気などについて

道の駅で仮眠した夜は曇り空だったが、SUPツーリングから戻る頃には小雨が降り始め、夜は結構な大雨に変わった。
しかし、車内に入ってしまうと雨音など全く気にならず、空調も効いて大変快適に過ごすことができた。

翌朝、RVパークと事務所を兼ねるカヤックガイドさんに「昨晩は雨音がうるさくて風で車も揺れて大変だったんじゃないですか?」と言われた。
どうやら風雨の厳しい夜だったようなのだが、そんなことに気付くことなく、朝まで安眠できてしまった。

炎天下では車内の温度上昇に大きく影響するのは天井の断熱だが、これだけ遮音性が高いのであれば、遮熱性も相当高いのではないかと思う。
使い勝手の良い窓
室内両サイド(左側はスライドドア上)には、跳ね上げ開閉式のアクリルの窓が設置されている。
このタイプの窓は、下の写真のように雨の日でも開けておくことができて便利だ。

欲を言えば換気扇があればもっと理想的だと思ったのだが、この窓がなかなかに優れていた。
この窓の内側に、下げると網戸、上げると遮光性の高い蛇腹式のカーテンが組み込まれている。

上の写真は網戸のみ閉めた状態を外側から見た様子で、車内が見えてしまっている。
一方で、カーテンの遮光性は高い。
両方全開にすることも、どちらか一方を全閉することももちろんできるが、下の写真は上半分は網戸にして、半分カーテンを引き上げた状態だ。

カーテンを多めに閉めて上側を網戸にしておくと、外から室内の様子が見えにくい状態で換気もできることになる。
大変実用性の高い仕組みだ。
荷物の積載に関して
荷物が多いと、どんな感じか試してみたくて普段より多めの荷物を持って行った。

かなり散らかっているように見えるが、収納力は十分で荷物の積み下ろしもしやすかった。
戸棚のようなものは少ないが、先述の通り必要に応じて、追加して行くような形で良いと思う。

そして何より、ベッド下の収納スペースが広大だ。
今回、一番大荷物の畳んだインフレータブルSUP2本(98cm x 38cm x 36cmのバッグ)も、下段ベッドの両脇に楽に置けた。
室内の幅が広いので、この状態でも1人が寝るスペースとしては十分だった。

ちなみに、上の写真では上段ベッドの上にも荷物がたくさん置かれているが、これらも全て下段ベッドの下に収まってしまうので、寝る時も全く問題なかった。
しかし、後部ベッド下の高さが72cmあるものの、仕切り板の下の高さは27cm、下段ベッド上の高さはマットを外した状態で38cmとあまり高くない。
全体を仕切り板で分けるのではなく、一部72cmの高さを活かせるスペースがあればさらに良いのではないかと感じた。
倉庫も備えた素晴らしい動くワンルーム

全体を通して少し褒め過ぎだったような気もするが、嘘偽りなく本当に快適だった。
もちろん「ここはこうだったら」のように感じた部分もあった。
それでも、標準装備など基本となる部分がしっかりしていて、内装のセンスも自分好み。
さらに必要なものが、オプション設定となっているので自由度が高く、より自分仕様に仕上げるようなことがしやすい。
大袈裟でなくこれなら住めると思ったのだが、住めるというより、これを体験してしまったらここに住めるようなシンプルな生活をしてみたいと思うようになってしまった。
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