電気ホットサンドメーカーは省エネで車中泊と相性バツグン!
換気設備や防火対策などがしっかり整っていないVANなどで車中泊する場合の調理には、ポータブル電源と電気調理器具を使うのが安全で合理的であると、ここのところ度々記事に書いてきた。
私が車中泊をするのは1人がほとんどでたまに2人。大掛かりなものは全く必要ない。ガスを使わなくなってしまったと言うより、最近では車に必要な調理器具は上の二つがあれば十分と思うようになっている。
左の黒いのはクッキングケトル。ヤカンにも鍋にもなる調理器具だ。これで何が出来るかなんて、あえて説明の必要もないと思う。機能もサイズも1人か2人なら煮炊きも湯沸かしもこれ一つあれば十分だ。
そして右は電気ホットサンドメーカー。もちろん毎度の食事で焼いたサンドイッチを食べるわけではないのだが、実はこれが非常に合理的で優秀な万能調理器具なのだ。
ということで、以前にも「ポータブル電源+家電調理器」の利便性や魅力については書いているが、今回改めて電気ホットサンドメーカーが車中泊にとっていかに魅力のある機器であるかをご紹介したいと思う。
目次
車中泊料理と食材について
その前に、勝手に私が定義する車中泊料理(一般的な定義ではなくて、あくまでここでの定義)について説明すると、「キャンプ場のように外で自由に調理のできるような場所でなくても、換気や防火の設備がしっかり整った車でなくても基本車内でできる料理」となる。
上の画像も車で料理している様子ではあるが、今回定義する車中泊料理からは外れることになる。また、家にいるのと変わらないことのできるキャンピングカーでの料理はまた別扱いとする。
まずはこれを前提に話を進めたい。
ところで、現在空前のキャンプブームの只中にあるが、このブームのキャンプでは、例えば山に登るとか渓流釣りをするなど、何かをするためにキャンプをすると言うよりは、キャンプを設営すること自体と野外料理と食事、もう一つプラスすると焚き火をすることが主な目的になっているようだ。
たまには私もこんなことをすることもあるが、せいぜい年に一二回だ。
料理をして食べに行くことがメインイベントとなっているわけだから、このブームで言うところの「キャンプ料理」や「キャンプメシ」は、時間をかけて凝ったことをするのは当たり前で、食材もその場にあったものと言うよりは、綿密にレシピに沿って揃えるような傾向がある。
こういった類の「キャンプ料理」と「換気や防火の設備がしっかり整った車でなくても基本車内でできる料理」とは全く別物と考えていただきたい。
これらを一括りにされると、チープで手を抜いた料理について語っていると勘違いされかねない。
第一の大きな違いは、冒頭で書いた通り「換気や防火の設備がしっかり整っていない車」の中で火を使うことはできないことだ。
次に大きく違うのは食事に対する基本的なスタンスだ。他に何か目的があって車中泊する場合(それが漠然と「旅行」であろうと大抵の人は何か目的があると思う)は、調理のために多くの時間など費やしたくない。
そして、車外で調理や食事ができない、あるいはしにくいシチュエーションと言えば、道の駅など公共の駐車場を利用して仮眠させてもらう場合が代表例だ。
狭い車内で料理をするのだから、あまり凝ったことなどしたくないし、使う道具は少なく済ませたい。キャンプ場のように炊事場などがあるわけではないから洗い物も極力減らしたい(公共のトイレを洗い物や炊事など他の用途に使用するのはマナー違反だ)。
しかし、車中泊料理には制約もあるが利点も多々ある。車内で料理しなければならない場所ということは、言い換えれば人里近くにいることになる。
これは、道の駅・コンビニ・スーパーなど食材を入手しやすい場所の近くにいることでもある。
道の駅や一期一会となってしまう可能性の高いローカルなスーパーは、その土地ならではの食材も多く面白い。旅なのだから、レシピ通りの凝った料理をするより、個人的にはそっちの方がずっと興味がある。
しかし、大当たりの場合もあるがハズレの危険性もある。扱っている食材に偏りがあり、あまり好みのものが見つからない場合もある。
イオンのような巨大チェーンは全国共通品質の物が多く、安定しているが面白みに欠けるきらいはある。しかし、全国どこへ行っても同じかと思うとそうでもなく、普段のイオンでは見かけない案外大当たりなものに出会うこともある。
いずれにしても、夕方のスーパーや道の駅は車中泊旅行者にとって大変ありがたいことがある。お惣菜や弁当の値引きだ。
出来合いのものを買ってきても、加熱すればそれも調理の一種。お店に近ければ生モノも取り入れやすい。そして盛り付けは料理の一部だ。
こうした条件を大いに活用し、食材を上手く組み合わせれば、チープなキャンプ料理や手抜き料理のような誤解を受けず、時短で安上がりでありながら、案外リッチな気分で車内での食事を堪能することができる。
パンを焼くだけでなくて、その際に大活躍するのが電気ホットサンドメーカーなのだ。
ホットサンドメーカーの具体的な利点と活用方法
直火用のホットサンドメーカーがキャンブームで流行っていて、サンドイッチを焼くだけではなく、様々な活用例を見かける。簡単なところでは中華マンや冷凍焼きおにぎり、冷めた焼き鳥の加熱などがポピュラーなようだ。
どれも入手しやすい食材で、手軽で良いと思う。そのまま電気ホットサンドメーカーを使った車中泊の食事にも応用できる。
しかし、レシピ記事や本も出ているようで、だんだんエスカレートして行き、手軽さからはどんどん遠退いてしまっているようなものもあるから、本末転倒にならないように注意は必要だ。
例えば、調理済みのお好み焼きや出来上がった状態のパンケーキを温め直すためなら電気ホットサンドメーカーの良い活用例だと思うが、狭い車内で小麦粉を溶いて材料を混ぜてなんてのは手軽とは言えない。片付けのことなんて考えただけでうんざりする。
それでは私の定義する車中泊料理からは外れしまうので、お好み焼きやパンケーキを焼くなどはここでは除外する。
また、料理レシピの紹介記事にはしたくないので、例は最小限に抑えるが、具体的な利点を挙げ、その説明をしようと思う。
安全性が高い
これは以前別の記事でも書いていることだが、第一に挙げられる大きな利点は安全性の高さだ。
先程も書いたが、換気設備の整っていない車内での火を使っての調理は、酸欠や一酸化炭素中毒となってしまう恐れがあり、また火事の危険もある。窓やドアを開けていてもなるべくなら車内で火を使うのは控えたほうが賢明だ。
しかし、電気で加熱するのなら酸欠や一酸化炭素中毒の心配はないし、火事のリスクは0にはならないが、火を使うよりははるかに低い。
少なめの消費電力
私の使っているホットサンドメーカーの定格消費電力は600Wだ。この数字はホットサンドメーカーとして標準的なものだと思う。
そして私の使っているポータブル電源EcoFlow RIVER Proの定格出力も600Wだが、特殊な技術によって定格1200Wまでの機器に対応できるようになっている。そのため、ホットサンドメーカーは余裕で使用することができる。
電子レンジの消費電力は最低でも1000W近く(電子レンジのパワーのことではない)、ホットプレートやオーブントースターも600Wを越すものは多い。
他の加熱調理器具と比較すると、ホットサンドメーカーは消費電力が少ない部類なのだ。よって、使えるポータブル電源の選択肢も広いことになる。
ポータブル電源と家電調理器はどちらも、買う前に定格出力と消費電力を確認する必要があるが、定格出力600Wクラスのポータブル電源なら大抵10万円以下に収まり、比較的手の届きやすい価格帯に入る。
軽くコンパクト
私のホットサンドメーカーの大きさは25cm x 15cm x 10cm程度で、重さは1.3kg程度だ。確実にどんな電子レンジ・オーブントースター・ホットプレートより小さい。そして普通のサイズのカセットコンロよりも小さい。狭い車内にはありがたいことだ。
手入れが楽で何かと便利な格子状のプレート
電気ホットサンドメーカーを選ぶ際のポイントして、本体からプレートが取り外せることは重要だと思う。第一に手入れが楽だからだ。外して水洗いもできるが、冷めたら本体から外してウェットティッシュで拭くだけも十分だ。
またワッフル用プレートやたい焼き用プレートなどに交換できるものも多い。それらを使った面白い活用方法もまたあるかもしれない。
そして、大抵のものはそうだと思うが、プレートはテフロンなどのノンスティック加工が施されていると使いやすい。またこれも多くのものがそうなっているようだが、プレートの表面に格子状の凹凸が刻んであるのが良い。
この格子模様は本来パンを焦げ付かせないようにするためにあるのだと思うが、肉や揚げ物などを加熱する際に余分な油が落ちて大変都合が良いのだ。
上下両面加熱
直火用のホットサンドメーカーとの大きな違いは、上下両面同時に加熱できることだ。火にかけるホットサンドメーカーは両面焼くために上下裏返す必要がある。
裏返したって別に良いじゃないと思われるかもしれないが、食材から出た余分な油が、裏返すことによって食材に逆戻りしてしまう可能性があるのだが、裏返えさなければそれを防げる。
何にとって良いかと言えば、揚げ物系を再加熱するような時に非常に良い。先程のプレートの格子模様の凹凸と相まって、食材から余分な油が落ち、それが食材に逆戻りしないからサクッとカリッと温め直すことができるのだ。
これはコロッケにも見えるがカレーパンだ。カレーパンのような揚げ物を加熱した場合、僅かではあるがプレートの凹部分に余分な油が落ちるような感じになり、本当にサクッとした揚げたてに近い状態に仕上がる。
若干潰れてコロッケのような見た目になるが、間違いなく電子レンジで加熱するより美味しく、オーブントースターで加熱するより失敗がないと思う。
また、この若干潰れた状態もまた良く、普通の状態ではあまり考えたことがなかったが、ビールのつまみにも最適な感じになる。
いつも行く海岸近くのローソンで、朝Lチキを買って、昼に電気ホットサンドメーカーで温めてみた。コンビニ揚げ物系の代表格のやつだ。
冷めても不味くはないが、やはり保温機から出して間もない状態と比べると残念感は拭えない。電気ホットサンドメーカーで温めれば、カレーパン同様ベッチャリ感がなく仕上がる。そして潰れることもないので、買いたてと遜色ない。
ちょっと本題から逸れるが、Lチキバンズというのがあったので、チキンフィレサンド風になると思い、これに挟んでみた。
バンズの質は悪くない。十分美味しいのだが、レタスなどの野菜も一緒に挟まないのなら、むしろチキン単体で食べた方が個人的には良いような感じがした。
その他、コロッケやメンチカツなどはもちろん、まだ試してはいないが、天ぷらやさつま揚げなどの練り物系、油揚げなど、とにかくあまり厚みのない揚げ物なら、なんでも美味しく出来ると思う。
それともう一つ忘れてはならないのがデニッシュやパイ類だ。これはコンビニで4個135円とかで売っているようなやつだけど、これをホットサンドメーカーで加熱するだけで生地がサクッとして段違いに美味しくなり、少なくとも1個135円のクォリティーにはアップする。
裏返すわけにはいかないので、これも上下同時に加熱できる電気ホットサンドメーカーならではの成せる技だ。ちなみにオーブントースターでもやったことがあるが、電気ホットサンドメーカーの方がずっと上手く行く。
火加減の調整が不要
火にかけるホットサンドメーカーは案外火加減の調整が難しく、失敗も少なくない。いつも同じクォリティーに仕上げるにはそれなりの経験や試行錯誤が必要だ。
電気なら安定しているため、数回使用すればおおむね検討がつくようになり、あまり失敗することもない。
タイマー
また、私はタイマー付きを選んだ。タイマーがあれば忘れて焼きすぎてしまう心配がない。安定している上タイマーもあれば黒焦げのような大失敗はまず免れる。
少なくともこれまで一度も失敗をしていないのはタイマーのおかげだ。タイマーはあった方が良いと思う。
無限の可能性
その他には餃子や焼売も上手く焼けるし、コンビニや道の駅のおにぎりを加熱するのも良い。特に味つきご飯のおにぎりは少しお焦げのような部分もできたりしてなかなかに良い。
生肉を焼いたり缶詰の肉を焼くのにも良い。焼いてからサンドイッチに挟んだほうがより美味しくなる。
当たり前だけど、サンドイッチの具材を色々試すのも面白い。
便利で無限の可能性のあるような電気ホットサンドメーカー。暫く、或いはもしかしたらこの先ずっと私の車中泊料理のメイン機材になりそうだ。