自由にアレンジできる軽トラキャンパーを何種類も作っているビルダー発見!【自遊空間、取材リポ】取材に行ったら驚くような結果に!
ご存知の通り、現在軽のキャンピングカーや車中泊仕様車への関心が非常に高まっている。
そんな中、軽トラや1トントラック用のキャンピングシェル類や軽トラ用のキャリアなどを世に送り出していて、非常に活気の感じられるメーカーを見つけた。
トラベルハウス、Boo3、トラベルトラック、トライターなどを製造販売する、兵庫県の株式会社自遊空間だ。
私のメインの生息地は千葉県の房総半島南部なのだが、家族は大阪の堺に住んでいるため、大阪へは行くことが多い。
その際に少し足を伸ばして兵庫県の三田(東京港区にミタという地名があるが、ここの地名はサンダと読む。サタンがサンダを訪れたというダジャレのような話でもある)へ赴き、この会社を取材させてもらってきた。
自遊空間のトラキャン・トラベルハウスって?
では、まずは自遊空間の代表作とも言えるトラベルハウス(商標)を軸にして、同社の製品の特徴や在り方について話を進めよう。
積み下ろしの可能なトラキャン
トラベルハウスは軽トラの荷台に載せるキャンパー=トラックキャンパー、いわゆるトラキャンだ。
トラキャンと言えば、大抵は寝台やキッチン設備などの内装が作り込まれた状態で販売されている。
しかし、トラベルハウスは空の箱と言うか、空の部屋のような状態(後で説明するが内壁や断熱材などは施工済み)が基本となっている。
内装の施工は自遊空間にオーダーすることも可能で、豊富なオプションもそろっているが、ユーザーが好きなように内装を施したり、各販売店がユーザーの要望に応じて独自に施工したりできる自由度を残した状態としているのだ。
キャンピングカーの内装はビルダーの工夫のしどころでもあるが、製品の規格が決まっているような状態となると、全てのユーザーの好みや要望にピッタリ適うことはなく、不要なものが付いてきてしまうことも少なくない。
人によっては不要となってしまう装備は、邪魔になって逆に使い勝手を損ない、スペースを無駄にするだけだ。
またそれだけでなく、余計な出費を強いられることにもつながってしまう。
一方、箱からトラキャンを全て自作する人もいて、出来栄えよりも一から全て自作することにこだわる人もいる。
それも楽しみ方の一つだから、それを否定するつもりなど毛頭ない。
しかし、強度、雨漏り、手間や重量などのことを考えると、しっかりとした知識と技術を持ったプロに箱は作ってもらってしまった方が絶対的に安全安心なのは事実で、結果的にはその方が経済的に有利になる可能性も十分にあり得る。
また、こうした形態は、VANに近い強度や安全性を保ちながら、VANの内装を自分で仕上げるより自由度が高くて作業がしやすいといったことも大きなアドバンテージとなる。
要するに、トラベルハウスは内装を自作したいDIY派にとっても、専門業者に依頼する人にとっても理想を描くことのできる上質なキャンバスのようなものでもあり、無駄を省いて理想的なキャンパーに作り上げることのできる非常に合理的なシステムなのだ。
また一方、あえて固定式の什器などを設置しないままトラベルハウスを使うのも一つの方法だ。
例えば、余計な出っ張りなどがなければMTBやロードレーサーなどのトランスポーターとしても使いやすい(この写真の中の自転車は小型だが)。
その他の大型のアウトドアギア類なども軽く飲み込んでしまう広さだが、作り付けの寝台などなくとも、コットを置いたりマットを敷いたりすればシンプルでクールな軽キャンパーへと簡単に変身させられる。
机と椅子を置けばモバイルオフィスやリモートワーク用の部屋となるし、時には畳を敷いて移動式の茶室として使うなんてのも洒落ている。
普通に大きな荷物や大量の荷物の運搬にも使えるので、平日はそういった業務に使用することも可能だ。
このように、一台で用途に応じて色々と使い回しができることもできることも大きな魅力であり、これはまさに自遊な空間だ。
また、トラベルハウスのしっかりとした造りは、キャンパーとしてだけでなく、移動販売車やキッチンカーとしてもベースとしても最適だ。
断熱がおろそかだったりすると地獄のような職場環境にもなってしまうが、ベースとなる部屋がしっかりしていれば、軽トラの荷台に無理な体勢を強いられない快適で立派なキッチンが出来上がる。
そして、この「ハコ」は積み降ろしが可能なため荷物扱いとなり、車両自体は税金その他の諸経費の安い軽自動車の4ナンバー登録のままとなる。
積み降ろしには簡単に設置のできる専用のジャッキを使用する。これも少し慣れてしまえば大した手間でもなさそうだ。
積み降ろしが可能であれば、普段は無蓋のトラックとして使用することもできるが、積み下ろし式の利点はこの二点だけではない。
軽トラベースでも8ナンバーのキャンピングカーとして登録するクルマもあるが、その場合は寝台のサイズやキッチン・水回りの設備など、キャンピングカーとしての要件を満たす設備が備わっていなければならない。
しかし、キャンピングカーとして使用する人の中にも、全く調理や水回りの設備の必要性を感じない人は案外多い。
そうした人達にとっては、キャンピングカーとしての要件を満たすためだけに設置された、あまり使い勝手が良いとは言えないようなキッチンや水回りの設備は、先にも書いたようにスペースとお金を無駄にするだけとなってしまう。
積載物扱いとなる積み降ろし式の4ナンバーキャンパーは、これらの問題を解決する最善の策でもあるのだ。
また、積み降ろしが可能なら車両のみを交換することが可能だ。
車両本体(特に中古車両を買った場合)よりトラベルハウスの方がずっと長持ちする可能性も大いにある。
車両を買い替えても「住み慣れた部屋」を使い続けられるのなら、それも大変大きなアドバンテージとなる。
材料・材質へのこだわり
トラベルハウスは、頑丈で軽いアルミ合金フレームとガルバリム鋼板の3倍の耐食性を誇る特殊鋼板の外壁、住宅用断熱材、ベニヤやその他の木材を使用した温もりの感じられる内壁で構成されている。
最初の方で空の部屋のような状態と書いたが、断熱材や内壁までしっかり仕上げられ、中で快適に過ごせるようになった状態がトラベルハウスの基本の姿だ。
では何故トラベルハウスにはこういった材料が採択されているのか?
木材で作られた骨格は、走行中の振動などで狂いや歪みが生じやすく、収縮や膨張もある。
これらは耐久性に影響するだけでなく、雨漏りの大きな原因の一つともなってしまう。
また、木材でアルミ合金のフレームと同じ強度の骨格を作ろうとしたら、重量がずっと重くなってしまうことは必至だ。
最大積載量が350kgで、決してパワフルとは言えない軽トラにとって、少しの重量の違いも走行に大きな影響を及ぼしてしまうばかりか、ちょっと油断していると重量オーバー(違法行為)にもなりかねない。
最も素人には馴染みやすい反面、案外油断禁物でもあるのが木材で骨格を作る方法だ。
鉄骨は丈夫で溶接もアルミより容易だが、アルミ合金より重量が嵩みやすい。
そして何より錆という大敵が存在する。
特に木材と組み合わせると木の吸収した水分が鉄を錆びさせる原因となってしまいやすいことも厄介な点だ。
そして、内部でフレームが錆びていても見つけにくく、修理するには外壁や内壁を剥がすなど大掛かりなことになってしまう。
FRPは形の自由度が高く、比較的丈夫で軽量ではある。
しかし、案外知られていないことだが、よく燃える。鋼板の外壁と比較したら火災時の危険性がずっと高くなってしまうのは大きな弱点だ。
また、鋼板より紫外線に弱く、メンテナンスを怠ると激しく劣化してしまう。
こうした理由から、トラベルハウスには軽くて丈夫なアルミ合金フレームと、ガルバリム鋼板の3倍の耐食性を誇る特殊鋼板の外壁と、快適な室内を実現する住宅用の断熱材や温もりの感じられる内壁材が採用されている。
しかし、ここまで材料にこだわると、コスト的には決して有利ではない。
他社の軽トラキャンと比較した場合に「外観が似て見えるのに高い」と感じる人もいるかもしれない。
トラベルハウスは、こうした諸々の利点や安全性をしっかり理解できる人、或いはそういったことを最優先に考えられるオトナの選択肢なのかもしれない。
とはいえ、実際に見て触ってみたところ、このクオリティーで100万円台前半という価格(※ オープン価格のため、地域、販売店、装備内容によって金額は異なる。)は、決して高くはないと思ったのが実感だ。
高品質で安全に長く使えるのなら、決して無駄に高くなどないと考えられる人にとっては、むしろ安いとも言える金額だと思う。
株式会社自遊空間について
先に製品の概要を紹介して会社を後から紹介するのは順序が逆なような気もするが、組織(会社)があって製品があるのではなく、製品あってこそと思うので、この順序とさせていただいた。
自遊空間は2020年に創業の新しい会社だが、既に全国に約150店の販売網を抱えている。
そのため、ユーザーが遠くまで足を運ばなければ入手できないなどということはなく、また、購入後のメンテナンスなどに関しても安心だ。
販売店のウェブサイトを見ても熱い想いのようなものを感じるところが多く、そういったことからも信頼性の高さを窺い知ることができる。
また、会社自体は新しいが、社長の坂本竜也氏はキャンピングカーのメーカーで経験を積んでいる人で、確かな技術を持った職人さん達の集まっている集団なので、知識と技術は間違いない。
そして、坂本社長に何故この事業を始めたのかと質問したところ、開口一番「キャンピングカーって楽しいじゃないですか!」だったことに非常に好感が持てた。
もの作りの原動力はこうでなければと思う。
「ブームだから」とか「たまたまそういった関係の会社で長く働いていた経験があるから」などが先だったらちょっと残念だが、楽しいとか好きが先に立っている。
知識や技術は勿論だが、そんな想いのある会社の製品こそ私は信頼できると思うのだが、いかがだろうか?
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