DIYで快適な車内空間を追い求めるクリッパーオーナーインタビュー
「荷物をもっと詰めるから、本当はハイエースみたいなバンが良いんだけど」と語りながらも、愛車の軽ワゴンタイプのクリッパーを見事にDIYし、快適な車旅の頼れる相棒にしているのが、九州を拠点にする肉三郎さんだ。
走り屋だった頃から長年かけて培った“オトコのソロ車旅”のスキルを生かして、走り屋を卒業した今も、毎日のように愛車を乗り回しているという。
今回はそんな肉三郎さんに、こだわりの車内空間とDIYのポイントを重点的に語っていただいた。
【プロフィール】
肉三郎さん(40代)九州を拠点とする
愛車:日産クリッパー
車中泊歴:数10年
目次
若い頃はバリバリの走り屋。数10年にわたり車を使った遊びを極める
―車旅と車中泊歴を教えてください。
若い頃は走り屋をやっていたので、かれこれ20年は車を使って遊んでいます。今まで15~20台は相棒がいて、軽でもバリバリ走っていましたね。軽と言っても、最近の軽ワゴンではなく、アルトワークスとかミラアヴァンツァーとかですが。
愛車を完全なる車中泊仕様にしたのは、ここ半年くらいの話です。初代車中泊仕様車はスズキエブリーでしたが、2020年のお正月を迎えるにあたり、日産クリッパーに乗り換えました。
このクリッパー、実はたまたま代車で乗ったのがキッカケで購入したんです。稼働能力が良くターボもあるので、遠出も気軽にできるようになりました。ターボがあるのとないのとでは、自分の稼働性も変わってきますね(笑)
走り屋だった頃のなごりで、クリッパーもエアロ、サイドステップを履かせて、ちょっといかつい仕様にしているのもこだわりです。
若い頃だったらマフラー交換までするところですが、我満しています。マフラーを交換してしまうと、車内がガチャガチャになってしまうので。
足回りそのものは“走れる仕様”になっていますが、時代もありますし、車内を“おうち仕様”にしたので、あまりバリバリに走ることはありませんね。
大人になって少し丸くなった……というよりは、車旅の違った楽しみ方ができるようになったのかもしれません。
―車中泊仕様にされたきっかけは何だったのでしょうか。
車が好きすぎて、自宅よりも車の方が安心してぐっすり眠れるタイプの割に、実は「車中泊」という言葉は今まで何となくしか知らなかったんです。もともと観光地めぐりが好きで、走り屋の頃から現地で仮眠したりしていたので、実際には何年も前から車中泊デビューしていたわけですが(笑)
車で寝ることに抵抗はまったくなかったですね。男だし、迷惑にならない場所でカギをかけて寝れば良いだけなので。特に緊張感なくデビューしていたと思います。
車内で座っても天井には余裕が。DIYでより快適に
―車内のかんたんなご紹介をお願いします。
基本的な荷物は、常に車内に積んでいます。前もって予定していなくても、急に仕事が休みになったり早く終わったりしたら、そのままスグに車で遊びに行けちゃう仕様にしています。
僕は身長173cmですが、車内で座っても天井には余裕がありますよ。天井の荷物入れ部分はさすがに突っかかりますが。
助手席を倒して一番前に移動したら、寝っ転がった場合の足から頭の長さはギリギリですね。横幅は寝返りも余裕でできるくらいです。
ただし、寝ながらズボンを履くのには苦労しますね。ちなみに、布団は車旅専用のモノではなく、自宅と兼用です。
―かなりDIYをされているんですね。ポイントを教えてください。
車内を部屋に見立ててDIYをしています。
一番の自信作は、換気扇。空気の入れ替えはもちろんですが、車内で調理する場合にも大活躍してくれています。
換気扇は初号機を失敗して、すぐに作り直しました。プラダン(プラスチックダンボール)を切り抜き、ファンをネジ留めしてはめ込むのですが、隙間が空かないようにするのがすごく難しかったです。
2号機は失敗を生かして、数時間で完成させました。ちなみに、ファンは2つセットで2,000円前後。モバイルバッテリーがあれば作れるので、仕組み自体はかんたんです。
フラットな床にもこだわりました。人間というのはハッキリした段差は意識しますが、ちょっとした段差はあまり気にしないもので、知らず知らずのうちにストレスになったり、つまづいたりするんですよね。
だから、車内のちょっとした段差をしっかりなくして、フルフラットにしています。
2つあるランタンは、小さくてどこでも吊り下げられるタイプを使っています。
そのうちの1つは、細長い棒状で磁石がついているタイプにしました。アウトドアでも使えるので重宝しています。
鉄の車体に何も考えずにペタッとくっつけて設置できるので、ストレスフリーで灯りを確保できますし、災害時にも役立つと思います。
どちらもUSBで充電するタイプで、電池のゴミが出ないのも良いですね。
以前よりも車旅の頻度が多くなったので、磁石でくっつく棒状のライトは、長いものを追加でほしいと思っています。
その他の車中泊で使うモノですが、自宅でも車でも使うモノは、袋に入れて運びやすくしています。
残りは作った収納ボックスに入れているんですが、箱を置くと車内が狭くなるので、カゴにしようかなとも考えています。
ちなみに、床下とベッドの隙間は、アウトドア用品を収納するスペースに。余すことなく空間を活用できていると思いますね。
車旅はもちろん、DIYそのものも楽しみ1つに
―DIYの感想をお聞かせください。
僕はDIYするにあたって図面を起こすようにしているんですが、それでも失敗したり、思うように完成しなかったりすることもあります。正直なところ、動画や雑誌などを参考にして作ってみても、思うような仕上がりにならないことは多いんですよ。
100円均一などで「あ、これ使えそう!」と思って購入したアイテムを、結局使わないこともしばしばです。
実際にDIYをして感じたのは、真っすぐな部分はかんたんだけど、カーブ部分はとにかく大変だということ。ちょっとした車体のカーブなどは、完全に再現するのがすごく難しいんですよ。
作っている最中にケガすることもあります。でも、楽しくてDIYはやめられません。
車旅が楽しいのはもちろんですが、車旅をもっと快適にするためのDIYもクセになっちゃうんですよね。何か新しいモノを作ったら、すぐに試してみたくなって、次の休みにはすぐに車内に持ち込んでいます(笑)
―費用もかなりかかったのではないですか。
DIYにかかった費用は正直あまり覚えていないのですが、車内全体で1万円くらいでしょうか。
材料よりも工具を買いそろえる方が高くつきましたね。特に鉄板を加工する機材は高かった。
でも、工具はそろえて良かったと思います。工具があれば1日で寸法ピッタリのモノを作れるので、その分、車旅ができる時間も増えるでしょう(笑)
もしもカッターで1か月かけて作ったのに寸法が合わなかったら、心理的にもかなりのダメージになりますしね。
―車中泊仕様にする前と後で、ライフスタイルに変化はありましたか。
車中泊仕様にしてから、車内で快適に寝られるようになりました。しっかりと眠れるので、今まで以上に気軽に車旅に出かけています。週に7日は車に乗っているかな…って、毎日ですね(笑)
車旅のスケジュールはいつもゆるく決めています。絶対に寄りたいところだけピックアップしておいて、あとは現地で情報収集をしながら、良いなと思うところをめぐるだけ。最近では、鳥取や四国まで4泊5日の車旅もしてきました。
地元の方やたまたま旅先で出会った人から、おいしいお店やおすすめの観光スポットなどを教えてもらったりするのも楽しいんですよね。動物を連れている方と、ちょっとお話させてもらうのもおもしろいです。
人との出会いは、車旅の醍醐味の1つだと思います。
燃費では劣っていても、総合的には軽ワゴンがおすすめ
―今後の展望をお聞かせください。
近々、長崎をめぐりたいと思っています。同じ九州ですが、まだ行けていないところが多いので。
それから、オフ会などに参加して、車旅をされている方とたくさん出会いたいですね。
僕はもともと性格がおとなしいので、そんな自分の殻を破れるチャンスは積極的につかんでいきたいです。そして、また換気扇の話になりますが、プラダンではなくてべニア板で作り直す予定です。もっと格好よくしたいので。
―最後に、車中泊仕様の車を考えている方にアドバイスをお願いします。
燃費だけ見るとワゴンタイプの軽は敬遠しがちですが、車内で快適に過ごしたいなら、やっぱり僕は軽ワゴンをおすすめします。
横風を受けやすいのはデメリットですが、カーブしている箇所が少ない軽ワゴンだとDIYもしやすく、車内空間も広々としていますよ!
4ンバーだと税金も安いし、高速道路代も安く抑えられますしね。
車中泊仕様の車を考えている人は、ぜひ検討してみてください。