積載の制限に係る法改正でトラキャンが大きく変わる?こんなキャンパーシェルを作ってみたいと妄想してみた



自動車の積載物の大きさや積載の方法については、道路交通法施行令第22条で規定されているのが、これが今年の5月に改正されるという情報を得た。

積載物の制限と言われても、運送業や仕事で大きな物を積む人以外には関係のないことと思われるかもしれないが、実はこれがキャンピングカーの世界に劇的な変化をもたらすかもしれない法改正なのだ。

しかし、キャンピングカーと言ってもキャンピングカーとして登録するクルマや車中泊仕様に架装したVANなどのことではなく、トラックの荷台に積載物として積むキャンパーシェルに主に大きく関わる話だ。

この積載の制限が改正されたらこんなトラキャンを作ってみたいといった妄想もしたのだけど、カヌーなどのような大きな物をクルマに積む人にも関係のある話でもあるので、トラキャンには特に興味のない方もお目通しいただければと思う。

「自動車の積載の制限」について

冒頭で述べた通り、自動車に載せて良い物の大きさや積み方については道路交通法施行令第22条で規定されている。積荷の大きさや積み方がこれに則っていなければ違法行為となってしまう。

では現行法でその規定はどうなっているのか。

専門用語的な言葉ではなく、わかりやすい言葉でそれをまずはご説明しよう。

クルーキャブ

カヌーやカヤックを屋根に積んでいる人で、実は違反している人を見かけることは案外少なくない(※ 上の画像は違反していない)。

取り締まりを受ける機会も多くはないが、非常に運悪く同じ日に二度捕まった知り合いのカヌー関係の業者もいる。

もしかしたら違反に気付いていない人もいるかもしれないので、カヌー・カヤックなどを積む人は今一度ご確認いただきたいのだが、それよりも自作のキャンパーシェルの場合は、「作ってから大き過ぎて違法だった。」では遅すぎるので、さらに注意が必要だ。

では、最初に積める物の長さについて。

自動車に積むことのできる積載物の最大の長さは「自動車の長さにその長さの1/10の長さを加えたもの」となっている。

要するに自分のクルマの長さの1.1倍の長さが積める物の最大サイズということだ。

これが現行法で積載できる物の長さについての規定なのだが、これに加えて「積載の方法の制限」もあり、「自動車の車体の前後から自動車の長さの1/10の長さを超えてはみ出さないこと」と規定されている。

例えば、全長が5mのクルマは最長で5.5mの物を積むことができるが、クルマの長さからはみ出して良い量は、前後合わせて50cmまでで、前ははみ出し0で後に50cm、前に20cm後ろに30cmはみ出しでも構わない。

しかし、仮に積荷の長さが4mしかなかったとしても、前後どちらかに50cmを超えてはみ出してはいけないという意味でもある。

では、これを軽トラに照らし合わせてみると、軽自動車の長さは3.4m以下と定められているので、現行のハイゼットやエブリィの全長は5mm余裕を持たせて3,395mmとなっている。

よって、ハイゼットやエブリィに積むことのできる積荷の長さは最長で3,734.5mmで、軽トラからはみ出して良い長さは339.5mmとなる。

軽トラカヌー

上の画像は長さ3,550mmのカヌーを軽トラに積んだ様子だが、後ろにほぼ規定ギリギリの339mmはみ出すと概ねこんな感じ(きっちり正確ではないが)になる。

積荷の安定を考えると、このように若干後ろよりにずらして積むことになるケースが多いので、カヌーのような重いものだったら、この程度の長さが軽トラに積むことのできるギリギリのサイズといったところでもある。

軽トラでこの状態なので、ボンネットのある軽自動車だったら積む位置がもっと後にずれてしまう。

軽乗用車に、この長さのカヌーを合法的(規定内の長さのはみ出しで)に載せるのは難しいかもしれない。

と言うより、合法的に積んだら積荷のカヌーがキャリアバーから前に出る部分が長くなり過ぎて非常にアンバランスな状態になり、逆に危険だ。

ファンキー軽トラ

カヌーの積載より軽トラに自作のシェルを積む場合の話の方が本題だが、軽トラの荷台に積み下ろしのできる積載物としてのお家を積む場合、家(箱)は、長さが車体から33.9cm以上はみ出さない大きさに作らなければならないということになる。

この寸法を間違えて作ってしまったら大変だ。

もう少し大きなクルマ、ハイエースやキャラバンならどうだろう。

普通のサイズのハイエースやキャラバンなどは大きそうに見えても実は歴とした小型車で、小型車の長さは4.7m以下と定められているので、普通の4ナンバーサイズのハイエースやキャラバンの全長は4,695mmだ。

よって、普通のサイズ(4ナンバー)のハイエースやキャラバンの屋根に載せられる物は、最長で4,695mm x 1.1=5,164.5mmとなる。

ハイエースやキャラバンでも、合法的に積める物の長さは案外長くない。

これ以上の長さの物を積もうと思った場合は、警察に届出をすれば積めなくはないが、走行毎に毎回届け出なければならないので、一時的な運搬を除いて現実的ではない。

それで、今回の法改正でこの制限がどう変わるかと言うと、積載できる荷物の最大の長さは「自動車の長さにその長さの2/10の長さを加えたもの」に改正される。

言い換えれば、これまで最長がクルマの長さの1.1倍までだったのが、1.2倍までに変更されるということだ。

そのため、ハイゼットやエブリィに積むことのできる積荷の長さは最長で4,074mmにまでに、ハイエースやキャラバンなら5,634mmまでに拡大されることになる。

軽トラ・材木

上の画像は前後ともに規定ギリギリの339mmはみ出して、長さ4,070mmの竹と材木を軽トラに積んだ様子だ。

しかし、積載方法の制限については、「自動車の車体の前後から自動車の長さの1/10の長さを超えてはみ出さないこと」となっているので、積荷の長さが最長でクルマの長さの1.2倍とは言っても、例えばこのように前後均等に339.5mmはみ出しているのなら良いが、前後どちらかに339.5mmを超えてはみ出してはいけないので、その点誤解のないように注意が必要だ。

積める物の長さについてはこんな感じで、軽バンや軽トラの屋根にボートやカヤックなどのような長い物を積みたい人にとっては今回の改正は朗報かもしれない。

しかし、乗用車では積荷が前にはみ出すような積み方をするとアンバランスな状態になってしまいやすいので、そのような積み方はあまり現実的ではなく、乗用車の人にとっては実際にはあまり関係のない話ではあるかもしれない。

ところがここからが本当は肝心。

積載物の大きさと積載方法の制限は長さだけでなく、幅についても改正される。

現行法では、自動車の幅を越える物を積むことはできず、積載物の幅が自動車の幅より小さかったとしても、自動車の幅からはみ出して積むことはできない。

箱はみ出し

どんなにしっかり積荷が固定されていようと、上のような積み方はNGだ。

また、ワイドボディーではないハイエースやキャラバンの屋根に長さが1.8mのキャリアバーを取り付けることも違法だ。

しかし、これが、
• 積載物の大きさの制限は「自動車の幅にその幅の2/10の幅を加えたもの」
• 積載方法の制限については「自動車の車体の左右から自動車の幅の1/10の幅を超えてはみ出さないこと」
と改正される。

大きな変化をもたらすのは、長さより幅に関しての制限の改正なのだ。

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