普段見られないレストア工場内部にカメラが入った! BUDDY AUTO潜入取材 第2弾!
古い車を新車のように蘇らせるレストア。
製造から月日が経って走れなくなった車だとしても、人が手を加えることで再び表舞台に立つことができる。
レストアは「時間を戻せる」という意味でロマンがあるだろう。
Jeepのワゴニアやモーターホームなどをレストアし、販売しているショップがある。
神奈川県横浜市新羽町にあるBUDDY-AUTOだ。
Sturdy Luggage Supplyというファッションブランドも展開しており、アメリカンスタイルの提案をトータルで行っている。
今回の取材ではBUDDY-AUTOの水野代表にお話を伺った。
レストアの過程や醍醐味、BUDDY-AUTOの技術力やこだわりとは?
▼前回の記事はこちら
レストアへの想いと技術力の秘密
BUDDY-AUTOのレストア工場は横浜市新羽町にある。広さは約100坪。25mプールと同じくらいの広さだ。
工場内にはレストアや修理を待つワゴニアやモーターホームが並んでいる。
レストアの期間は半年から1年。長いもので2~3年かかるという。
それでもBUDDY-AUTOを頼るオーナーは後を絶たない。
「お客さまもレストアの過程が楽しいみたいですね。ときどき様子を見に来て追加で整備を依頼されることもありますよ。自分がオーダーしたものが形になるというのが醍醐味ですよね」
車両が新車のように蘇っていく過程はもちろん、自分好みに整備して世界に一つだけの車両を作れることも醍醐味の一つのようだ。
レストアは、ほぼ全ての部品を分解するところからはじまる。
数万点ある部品を可能な限り新品に交換し、新車を作るように再構築していく。
さらに、BUDDY-AUTOは「新車の状態に戻す」というレストアにとどまらない。
内装のデザインなどはオーナーの好みを聞き、乗りやすい車体に仕上げる。
このような手間をかけてまでレストアをするのはなぜなのだろうか。
「古いものを大切にしていこう、直して長く使っていこう、ということをお客さんに伝えていきたいですね」
一度生産されたものを長く大切に使っていってもらいたいという想いが、BUDDY-AUTOのレストア技術を高めた。
創業当時こそ整備を委託していたものの、現在は板金塗装以外の整備は全て自社で行っている。
「エンジンのオーバーホール、ミッションのオーバーホール、ブレーキの整備、純正ステアリングの張替え、ウッドモールの張替えなど、板金塗装以外の整備は弊社の工場でおこなっています。縫製部門もあって内装のレストアも自社で行っているんですよ」
整備スタッフの人数は水野代表を含めて3人。
英語のマニュアルを解読しながら、少数精鋭ではあるが地道に整備を手掛けている。
では、どのようにレストアの技術を習得していったのだろうか。
「基本的にはやりながらですね。もちろん整備をする上で必要な知識や資格は取得したうえでの話ですが、実際仕事をしてみると教わったことだけでは通用しないこともあるんです。その場合は調べながら自分のやり方で行うしかないですね」
レストアの仕事は前例にないことの繰り返しだ。
わからないことはその都度調べ、自分なりの解決方法を探していく必要がある。
トライアンドエラーを繰り返しながら経験を積んだ。
「前例にないことを楽しめないと、この仕事はやっていけないかもしれませんね。私は小さいころからものを分解して組み立てたり改造したりすることが好きだったんですよ」
古いものを大切にする心と好きなことへの探究心。
これがBUDDY-AUTOの技術力の源だ。
純正のよさをそのままに、現代の技術で乗り心地を追求したワゴニア
BUDDY-AUTOの創業は2001年。
ワゴニア部品のネット販売からはじまり、レストア・販売・修理なども手掛けてきた。
ワゴニアは1962年から1991年まで生産されていたアメリカ製SUV車。
いまだに世界中で高い人気を誇っている。
そんなワゴニアを実際どのようにレストアしているか、もうすぐ完成予定のワゴニアを例に話を聞いてみよう。
紹介するのはゴールドのグランドワゴニア。年式は1990年だ。
レストアはできるだけ新車の状態を再現することがコンセプトではあるが、実際には予算の都合で作り込むことは難しい。
しかしこのワゴニアは、オーナーから「新車に限りなく近づけてほしい」という要望があり、かなり細部まで作り込まれている。
レストア期間約3年の大作だ。車の部品は数万点。
部品はアメリカから輸入したり国内で再生させたりして、可能な限り新品に交換している。
劣化した部品は折れてしまうことがあるため、1本の部品を取り出すために2~3時間かかることもあるそうだ。
では、この車両をレストアする上で大きな特徴は何なのだろう。
「オリジナルに忠実でありながら、現代でも快適に乗れるような車に仕上がっていることです。見た目は純正のように、オリジナルになるべく近い雰囲気で整備しつつ、使い勝手も考慮して現在の技術を取り入れたりしています」
例えば、車の心臓部分であるエンジン。当時はキャブレーターを使ってエンジンに燃料を噴射していた。
それを、現在では当たり前になった電子制御の燃料噴射装置に交換している。
この他にもクーラーを現在の仕組みのものに交換したり、バックモニターやバックソナー(レーダー)を搭載したりしている。
見た目は旧車だが、現在の技術を集約して乗り心地まで考えられた車になっているのだ。
また、内装はオーナーの好みがより反映されるので、オーナーと相談し要望やイメージを汲み取りながら細部にわたり作り込んでいく。
「この車の場合は純正シートの形を忠実に再現していますが、素材は全てレザーにしています。もともとは布とレザーが使われたシートだったんですよ」
革の色や質感までもオーナーの好みを反映させている。
純正の雰囲気を損なわないようにしつつ、少しずつ改良を加えているのだ。
このワゴニアは、BUDDY-AUTOが持っている技術が集約されていると水野代表は話す。
オリジナルに忠実でありながら、現在の技術やオーナーの意向をバランスよく取り入れられている。