キャンピングカーにキッチンやトイレって要るの? 使えるの?
キャンピングカーやモーターホーム、車中泊仕様の乗用車も含めて「これから購入しよう」という方の中で、どのモデルにするか選ぶための重要な基準のひとつがキッチンやトイレなどの「水回り」ではないでしょうか。
ですが、ビルダーから売り出されるキャンピングカーを見ても水回りの装備は様々。
そもそも本当に必要なのか。
なくても大丈夫なのか。
付いていればなんでもいいのか。
給排水のタンクの容量はどのくらいあればいいのか。
トイレのしくみはどういう方式が便利か。
特にまだキャンピングカーを使ったことがないという方には、実際のところはわからなくて当然です。
そこで今回は、キャンピングカーのリフォームや販売を行っている筆者が「実際水回りって必要?あっても使えるの?」という疑問にお答えしたいと思います。
あらためて、キャンピングカーにとって「水道設備」と「炊事設備」とは。
水回りの話をする前にあらためて、いわゆる「キャンピングカー」という車両の「定義」についておさらいをしておきましょう。
少し難しい表現になりますが、国が定める「自動車の車体の形状」は道路運送車両法という法律で明確に定義されています。
その中で皆さんご存じの8ナンバー特種車両の「キャンピング車」という用途の車両には細かな条件が設定されており、そこには「車室内に居住してキャンプをすることを目的とした自動車 で一定の条件を満たすもの」とあります。
その中で必須条件として「水道設備」と「炊事設備」の装備が義務付けられています。
簡単に言うと、一般的なキャンピング車には必ず水道とキッチンがついている必要があるということです。
しかし構造要件としては給排水各10ℓ以上で洗面台を有することという条件がミニマムで、実際にはこれらの条件を「最低限満たしている」車両が世に出回っています。
法的にはもちろん必要最低限クリアしていますが、それが「実際に使えるか?」となると筆者は疑問に感じる車が多いのが実際です。
実はここの部分、意外と根深い根本的な問題だと感じています。
法律上の「キャンピング車」を作る場合、スペースが狭くても絶対条件の「水回り」を付けなくてはならないという制約があって、本来必要ない、もしくは付けることが望ましくない車両であっても一律この法律に縛られます。
例えば、「車中泊」をメインの利用用途とした場合、ベッド(就寝設備)とリビング、設備は電子レンジぐらいが有ればよいとします。
現在の法律では、これらを満たす状態の車を作ると「キャンピング車」にはできず、登録できる車種としては「乗用車」か「貨物」、車体が大きければその他の「特種車両」での登録になります。
この構造要件の中に「トイレ」や「シャワー」の設置義務はありません。
なのでこれらが付いている車はビルダーの「意向」で取り付けられています。
ここが最大のポイント。
「キャンピング車」としての構造要件を満たすために「最低限の水道設備」を搭載した車両を、一般消費者は「使える物」として捉えてしまうという矛盾です。
これらの事情を知らずに車両を購入し使ってみてから「水道は無くてよかったな」とか、トイレが付いていても「使ったことがない」や「使うつもりがない」という結果を招くのだと思います。