バンライフ
断熱性の高いキャンピングカーで湿気は発生する?|実体験と対策

「夏の車中泊って、暑さや湿気が心配」
「断熱性の高いキャンピングカーなら、1年中快適に過ごせるのかな?」
そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
これからキャンピングカーの購入を検討している方にとって、見た目や設備の充実度はもちろん大事ですが、“断熱性”や“湿気対策”といった見えにくい部分こそ、実は快適さを大きく左右するポイントです。
私たしは現在、トイファクトリーのハイエースベース「アルコーバ」で夫婦+大型犬とともに日本各地を旅してきました。
とくに断熱性の高い車両は、夏の暑さや冬の寒さを和らげ、1年を通して快適な室内環境を保てるのが大きな魅力。
この記事では、実体験をもとに
・断熱性の高いキャンピングカーでも湿気は発生するのか?
・真夏のような高温多湿な時期に、どう快適さを保っているのか?
・湿気・結露・カビ対策として実践している具体的な対策
について、実体験を交えて詳しくご紹介します。
高断熱キャンピングカーの仕組みと快適さの理由

断熱とは、空気の流れや熱の移動を遮断することで、車内を外気の影響から守る技術です。
ただしその反面、空気がこもりやすくなります。
私たちが乗っているアルコーバの断熱は、「高断熱・高気密」をコンセプトに、トイファクトリーが独自に追求してきた技術が詰め込まれた仕様です。
具体的には、以下のような特徴があります。
天井・壁の断熱層
新素材の高断熱材を隙間なく貼り付けることで、外気温や湿度の影響を受けにくい仕様になっています。
この断熱材は、従来の断熱材より、環境にも人体にもやさしい素材を採用います。
床の断熱材
発泡注入式の硬質高断熱・防音発泡材を床全面に注入されています。
0.1mmの隙間にも入り込むため、隙間を徹底的に埋め尽くします。
これにより、床からの熱や冷気の伝わりを大幅に抑え、結露やカビの発生も防いでくれます。
アクリル2重ウィンドウ

サイドやリアのガラス窓を、ヨーロッパでスタンダードなアクリル2重窓(ダブルウィンドウ)に変更しています。
高い断熱効果と防音性、結露の防止にも繋がっています。
ドア周りの断熱
スライドドアやバックドアにも、断熱材をしっかりと包み込むように施工されています。
これにより、隙間風や冷気の侵入を防ぎます。
断熱セラミック塗装
ボディ内部には、セラミックコートをスプレー塗装されています。
わずか約0.8mmの塗膜でありながら、住宅用断熱材100mm相当の効果を発揮します。
さらに、発泡断熱材と併用することで、より高い断熱性能を実現しています。
アルコーバの断熱は「外気の影響を極力受けない」高性能仕様
このように、アルコーバの断熱は「外気の影響を極力受けず、快適な室内環境を保つ」ことを目指した、とても高性能な仕様です。
とくに「グランデ仕様」では、断熱性能がさらに強化されており、冬の雪山や夏の猛暑の中でも快適な車中泊が可能だそう。
ただ、残念ながらわが家のアルコーバはグランデ仕様ではありません。
結露やカビの原因となる「温度差+湿度」の関係
結露やカビの発生には、「温度差」と「湿度」が大きく関わっています。
空気は温度が高いほど水蒸気を多く含む

まず、空気は温度が高いほど多くの水蒸気を含むことができますが、冷えるとその許容量が一気に減ります。
たとえば、暖かい車内の空気が冷たい窓ガラスや壁に触れると、空気中の水蒸気が飽和状態を超えて水滴となり、これがいわゆる「結露」です。
この現象が起こりやすいのは、外気温が低く車内が暖かい冬場や、高湿度な季節です。
結露はカビの発生リスクを高める
結露した水分は、カビの発生にも直結します。
カビは湿度が70%を超えると一気に繁殖しやすくなり、結露が繰り返し発生する場所では常に水分が供給されるため、短期間で広がるリスクが高まります。
断熱性の高いキャンピングカーでも注意が必要
断熱性の高いキャンピングカーであっても、車内外の温度差や湿度が高い状況では、窓や金属部分を中心に結露が発生しやすくなります。
結露やカビを防ぐには、温度差をなるべく減らし、湿度をコントロールすることが大切です。
筆者の実体験:「湿気は意外と発生しない」という実感

私自身、トイファクトリーのアルコーバで夫婦と大型犬とともに、2年以上にわたって旅を続けています。
その中で実感しているのは、「湿気は意外と発生しない」ということ。
もちろん、まったくゼロというわけではありません。
しかし、断熱材がしっかり施工されているおかげで、一般的な車両や住宅と比べても、車内の結露や湿気に悩まされることはほとんどありません。
とくに印象的だったのは、梅雨や冬の寒い朝でも、天井や壁、床といった断熱材が入っている部分には結露がほとんど見られなかったことです。
一方、窓ガラスや金属部分など、断熱の影響を受けにくい場所では、多少の結露が発生することもありますが、タオルで軽く拭き取る程度で十分対処できます。
湿気を感じやすいのは、湯沸かしをしたときや、入浴後のバスタオルを車内で干しているとき。
また、雨の日の外出から戻った直後などです。

それでも、換気扇(マックスファン)や窓開け、エアコンを活用すれば、湿度はすぐに下がり、ジメジメ感が長引くことはありません。
断熱性の高いアルコーバだからこそ、湿気や結露のトラブルに悩まされることなく、快適な車内環境を維持できていると実感しています。
湿気がこもりやすい車中泊シーンと注意点
寒暖差が大きい季節の車中泊

キャンピングカーでは、冬場や湿気の多い時期など、車内と外気の温度差が大きい季節は、結露が発生しやすい条件がそろっています。
外は冷たく湿度が高い一方、車内は暖かく密閉されているため、朝起きたときに窓の内側がびっしょりと水滴で覆われている経験をした方も多いでしょう。
断熱性が高い車両でも、温度差による結露は完全には防げないため、注意が必要です。
人の呼気や調理による湿気の増加
車内で長時間過ごしていると、人の呼吸や汗、調理時に発生する蒸気などが湿気の大きな原因になります。
とくに車内での調理は、湯気や油はねも加わることで湿度が急激に上がり、換気を怠ると湿気がこもりやすくなります。

さらに、ペットがいる場合は、ペットの呼気や濡れた体からも湿気が発生しやすいため、換気や湿気対策をしっかり行うことが大切です。
換気不足、空気の滞留ポイント(天井・窓際など)
断熱性の高いキャンピングカーは気密性も優れているため、換気が不十分だと湿気が車内にこもりやすくなります。
とくに天井や窓際など、空気が滞留しやすい場所は湿気が溜まりやすく、結露やカビの原因になりがち。
対策としては、換気扇(マックスファン)をこまめに稼働させたり、外開きタイプの窓を少し開けて空気を循環させることが効果的です。

また、扇風機やサーキュレーターを使って車内の空気を動かすのもおすすめです。
これらの原因を理解し、換気や湿気対策を日常的に心がけることで、湿気や結露のトラブルを大幅に減らすことができます。
とくに梅雨や冬の車中泊では、温度差と湿度の管理が快適な車内環境を維持するポイントです。
実際の湿度比較:外気と車内、どう違う?
梅雨時期の実際の車内外の温度・湿度を計測した結果をご紹介します。
6月22日(2日目)、天気は曇りのち雨という湿気が気になる一日でした。

このデータが示す通り、車外が湿度90%を超える雨の深夜でも、アルコーバの車内はエアコンや断熱材の効果で湿度60%台に抑えられていました。
また、朝の車内の湿度は59%と快適な範囲を維持し、外気より10%以上低い状態をキープできていたのが分かります。

さらに、エアコン使用時や、朝に外気との温度差が大きくなるタイミングでも、車内の湿度は外気より明らかに低く、ジメジメ感や結露は確認されませんでした。

このように、断熱性の高いアルコーバでは、梅雨のような高湿度環境下でも車内の湿度をしっかりコントロールできることが、実測データからも裏付けられています。
湿気・結露を防ぐための実践的な対策
断熱性の高いアルコーバでも、湿気や結露を防ぐためには、日々のちょっとした工夫が大切です。
ここでは、私が実際に車中泊で行っている対策をいくつかご紹介します。
換気扇(マックスファン)や窓開けの活用

湯沸かしや調理をしたとき、入浴後のバスタオルを干すとき、また外出から戻った直後などは、車内に湿気がこもりやすいタイミングです。
こうしたときは必ず換気扇(マックスファン)を回し、窓も少し開けて空気を入れ替えるようにしています。
短時間でもしっかり換気をするだけで、湿度はすぐに下がり、結露のリスクをぐっと抑えることができます。
エアコンやFFヒーターの適切な利用

梅雨や夏場はエアコン、冬場はFFヒーターを上手に使いながら、車内と外気の温度差を調整しています。
これにより、結露が発生しにくい環境を保つことができ、車内で快適に過ごせます。
小型サーキュレーターの活用

小型のサーキュレーターを取り入れ、主にエアコンの冷気を車内全体に行き渡らせるようにしています。
これにより、空気の滞留が防ぎ、湿気が一箇所に溜まるのを防止できます。
濡れたものはトイレルームで乾燥

濡れたタオルやレインウェア、ペットの足拭きタオルなどは、車内の後方にあるトイレルームで乾燥させています。

使わないときは畳んでしまっています。
ここには温風の吹き出し口があるため、冬場は過度な乾燥を防ぎながら効率よく乾かせるのもメリットです。
結露が発生したときの即時対応

もし窓や金属部分に結露が発生した場合は、すぐに拭き取れるようタオルを常備し、湿気が残らないようこまめに対応しています。
ペット連れならではの追加対策
私たちは大型犬と一緒に旅をしているため、散歩帰りには足をしっかり洗い、濡れた被毛も丁寧にケアしています。
吸水タオルやドライヤーを活用し、湿気が車内にこもらないよう特に注意しています。
こうした工夫のおかげで、梅雨や雨の日でも車内は快適に保たれ、結露やカビのトラブルを防ぐことができています。
まとめ
断熱性の高い「アルコーバ」での車中泊では、真夏の湿気や冬の結露といったトラブルを最小限に抑え、快適な旅を続けることができています。
湿気が気になる場面はゼロではないものの、換気扇やエアコン、小型サーキュレーターを活用して空気を循環させることで、快適な環境を維持しています。
実は結露取りワイパーも早々に購入しましたが、出番はまだ先になりそうです。
とはいえ、今後の旅先や気象条件によっては、結露取りワイパーや除湿剤、小型除湿器などのアイテムを上手に併用するのもおすすめです。
そしてこれから訪れるのは、秋の長雨や、朝晩の寒暖差が激しくなるシーズン。
これからキャンピングカーを検討している方には、断熱性の高いモデルをぜひおすすめします。
一年を通して快適に過ごしやすく、初心者やファミリー、ペット連れでも安心です。
換気や空気の流れ、濡れたものの管理を少し意識するだけで、梅雨や冬でも快適なバンライフが楽しめます。