バンライフ
【体験記】3年でヨーロッパ22カ国を車中泊旅した夫婦が、ハンガリーをたった2日で出国。その理由とは?
ヨーロッパ各地をまるで「暮らすように旅する」私たち夫婦。
キャンピングカー旅を始めて3年、これまで22カ国を巡ってきました。
いつもは、1カ国に数週間から1カ月以上滞在し、のんびりペースで進みながら、その土地の空気や人々の暮らしに触れていく、それが私たちの旅のスタイルです。
ところが、23カ国目のハンガリーでは、まさかの滞在わずか2日で次の国へ移動することに……。
自分たちでも想定外の”最短記録”となりました。
なぜハンガリーは2日だけになったのか。
現地のキャンピングカー事情や、実際に旅して感じたことまで、リアルなバンライフ体験をお届けします。
ヨーロッパをキャンピングカーで旅する夫婦

2023年にイタリアで中古のキャンピングカーを購入し、そこから旅がスタート。
スイスやオーストリアの雄大なアルプス山脈を超え、北欧のノルウェー、フィンランドの北極圏まで走り、最西端のポルトガルと、これまで22カ国を巡りました。
旅の基本は、有名観光地よりも小さな田舎町や穴場の自然。
山岳地帯や海辺を中心に巡っています。
トイレやシャワー、キッチン、ベッドなどを備えた車内は、生活に必要な設備がひと通りそろっている、まさに“動く家”。

リモートワークをしつつ、現地で暮らすように自由気ままに移動しています。
2025年後半は”東ヨーロッパ”が舞台。
西欧に比べ観光客が少なく、まだ知られていない魅力が詰まった地域です。
さらに、キャンピングカー施設も少なめで、車旅にはちょっぴりハードルの高い地域ですが、それもまた冒険のひとつ。
白紙の地図を開く気分で、チェコ、ポーランド、スロバキアを巡り、次の目的地はハンガリーです。
どんな風景と出会いが待っているのか、期待を胸に国境を越えました。
スロバキア旅の様子はこちら
ハンガリーってどんな国?
ハンガリーはヨーロッパのほぼ中央にある内陸国。
周囲をオーストリア、スロバキア、ウクライナ、ルーマニア、セルビア、クロアチア、スロベニアの7カ国に囲まれています。
国土は約9万3,000平方キロメートルで、日本の約4分の1、人口は約960万人で東京都より少し少ない規模です。
公用語はハンガリー語。
周辺のヨーロッパ諸国の言語と系統が異なるため、初めは少し戸惑うかもしれません。

通貨はユーロではなく「フォリント(HUF)」、西ヨーロッパより物価はやや安めです。
首都ブダペストは、国内で最も人気の観光都市。
ドナウ河岸、ブダ城地区、アンドラーシ通りはユネスコ世界遺産に登録され、「ヨーロッパ屈指の美しい首都」と称されます。
もう一つの名物が「温泉」。
国内に約1,300以上の泉源があり、ブダペストだけでも約120〜130カ所。
日本の静かな温泉とは異なり、水着で入るスパや温水プール感覚で、地元の人も観光客もおしゃべりしながらのんびり過ごします。
治安は比較的安定。
日本からの旅行者はまだ多くありませんが、ブダペストを中心に人気が高まっています。
歴史と文化、そして温泉と美しい街並みが調和する魅力的な国です。
23カ国目のハンガリーへ入国!期待と第一印象は…?

スロバキアの小さな田舎町を抜け、ゆるやかな丘を超えるとハンガリーの国境。
ハンガリーもEU加盟国なので入国審査はなく、気づいたら超えていました。
まず目に入ったのは、地平線まで続く草原と畑の風景。
そして素朴な家並みのそばでは、小さなスーパーマーケットの前で地元の人が世間話をしている、観光地らしさはなくどこか懐かしい空気が漂っていました。
一方で衝撃だったのは、道路事情です。
地方へ入ると舗装は荒れ、ひび割れや深い穴が点在、キャンピングカーはたびたび大きく跳ね、まるでジェットコースターのよう。
車体が「壊れるんじゃないか」とヒヤヒヤする瞬間もありました。
そんなスリルたっぷりの道を約2時間走り、最初の目的地・マートラの丘陵地。
ハンガリーの最高地点でもあり、緑豊かな美しいエリアです。
本来なら数日のんびり過ごすはずでしたが、結果的に滞在は「わずか2日」で終了することに。
この決断の背景には、いくつかの理由がありました。
ハンガリー滞在を短縮した5つの理由
無料のキャンピングカー施設が少ない

私たちはこれまで、無料で車中泊できるスポットを活用して低コストでのんびり旅を楽しんでいました。
フランスやスペイン、ドイツ、イタリアでは、無料で給水・排水、車中泊できる専用スポットが豊富にあり、とても快適です。
ところがハンガリーでは、同様の無料スポットがほとんど見つからず、私たちの旅のスタイルとは少し合わないなと感じました。
もちろん有料のキャンプ場はありますが、私たちのような低コスト旅には、「毎日費用をかけて泊まるのは少し大変」という印象。
ワイルドキャンプに適した自然スポットが意外と少ない

ワイルドキャンプは、トイレや水場のない“自然の中で車中泊するスタイル”。
山や湖、海辺にキャンピングカーを停め、朝の静けさや満天の星空を味わえる、私たちが一番大好きな車中泊スタイルでもあります。
事前に「Park4night」で候補地を調べて行きましたが、ハンガリーでは思ったほど素敵な自然スポットが見つからず。
もちろん、十分楽しめる場所もありますが、私たちの好みで言えば「もう一歩」だった、というのが正直な印象でした。
雨続きの空模様で旅のモチベーションも低下

訪れた時期はあいにくの雨続き。
予報でも、この先10日間は雨マークが並んでいました。
バンライフは外と近い分、雨の日はどうしても行動が制限されます。
外に出て景色を楽しむことも難しく、結果的に旅のテンションがぐっと下がってしまいました。
道路の悪路に大苦戦

私たちは普段、有料高速道路を避けて一般道路・地方道を中心に旅をしています。
ところがハンガリーの地方道は、想像以上に舗装が荒く、深い穴やひび割れが点在していました。
穴を避けながら慎重に進んでも追いつかず、デコボコに乗り上げるたびにキャンピングカー全体が大きく揺れ、キッチン用品や装備、家具が「壊れるんじゃ…。」と少しヒヤヒヤしました。
北から南へ縦断した限りでは、たまたま私たちが通ったルートが悪かったのか、国全体の傾向なのかは不明です。
ただ、これまで走ったヨーロッパ各地の中でも一、二を争う悪路に感じました。
道の状況を踏まえ、「無理せず次の国へ進んだほうが安心だね」と話し合うほどでした。
正直そこまで行きたいと思うスポットがなかった
首都ブダペストに行く案もありましたが、キャンピングカーで大都市を訪れるのは毎回大仕事。
安全に停められる駐車場探しや、郊外に停めてから公共交通機関で中心部へ向かう手間など、時間もストレスもかかります。
今回は「そこまでして行かなくてもいいかな」と判断し、立ち寄りは見送りました。
もちろん、都市観光が好きな方にとっては魅力的な場所だと思います。
このような理由から、私たちはハンガリーでの滞在を短縮することに。
旅はこの先は、ルーマニア、ブルガリア、ギリシャへと続く予定で、冬本番を迎える前に東ヨーロッパを抜けたかったため、少しペースを上げる決断をしました。
唯一訪れた、ハンガリー最高地点「ケーケシュ山」

ハンガリー滞在中に私たちが “観光らしいスポット”として訪れたのは、ハンガリーの最高地点「ケーケシュ山(Kékes)」(標高1,014m)です。
自然のアクティビティや山登りが好きな私たちは、北部のマートラ山地を目指すことに。
ハンガリー全体はなだらかな地形ですが、この一帯は緑豊かな丘陵地帯が広がり、車なら山頂近くまでアクセス可能。
クネクネの山道は舗装がよく整備されていて、これまで走ってきた地方道よりも快適に登ることができました。

周辺には広めの駐車場やレストラン、土産ショップもあり、滞在しやすい環境。
豊かな森林と清らかな空気に恵まれ、夏はハイキングや自然観察、冬はスキーやスノーボードも楽しめます。

山頂自体は木々に囲まれており、眺望が限られていますが、テレビ塔の展望台に上がれば、森の上に広がる360度のパノラマを楽しむことができます。
国の最高地点としては派手さはありませんが、そのぶん地方の人たちが自然の中でのんびり過ごすためのスポットという雰囲気が広がっていました。

夜は駐車場で車中泊し、静かな山歩きと緑豊かな景色を楽しむ、ゆったりしたひとときでした。
滞在は短かったものの、ケーケシュ山での穏やかな時間は、ハンガリーの思い出として心に残りました。
まとめ:思い通りにいかないこともあるのが、バンライフの醍醐味
ハンガリー滞在は、これまでのヨーロッパ旅と比べると短めで終わりました。
でも私たちの旅は、休暇ではなく「仕事もしながら、暮らすように旅をする」スタイル。
すべての観光地を訪れることは難しく、時には旅のルートや時間、天候、体力、自分たちの都合に合わせて、柔軟に予定を変更することも必要です。
旅を続けていると、相性の良い国(地域)・そうでない国が自然と見えてきます。
ハンガリーは私たちにとって特別な魅力を強く感じた国ではありませんでしたが、静かな自然や素朴な町の雰囲気に触れられたことは、確かな収穫でした。
すべての国が「お気に入り」になる必要はありません。
自分たちのスタイルを大切にしながら、その土地のリアルを自分の目で感じ続ける、それこそがバンライフの醍醐味です。
ハンガリーもまた、私たちの旅の地図に静かに心に刻まれました。