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バンライフ

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【アウトドア好き必見!!】アウトドアを楽しむ幅が広がる、冬の車活用方法!!

FUJI

「冬は車中泊には厳しい季節」のような意見もあるようだが、立場や見方が異なると180˚違った考え方にもなる。

車旅以前にアウトドアスポーツを嗜んできた者や野宿しながら旅をしてきた者にとっては、「車があるから冬も楽に快適に楽しむことができる」であり、寒いと言われる車内も寒風吹き荒ぶ屋外と比べたら「天国」なのだ。

今回の記事は、「これがあれば寒い冬のアウトドアも大丈夫!」のような内容ではなく、そんな視点から見た車を活用して冬のアウトドアを楽しむ際の考え方やヒントなどをお伝えしたいと思う。

発想の転換


TYPE II

言うまでもないことだが、冬のアウトドアを楽しみたければ寒さ対策を考えなければならない。

寒さ対策が要といえば要だ。

更衣室やシャワーなどが完備されたスポーツ施設を利用すれば快適だが、普通の家や宿泊施設と同様で、そうした施設は移動することができない。

そして、施設をベースにアウトドアスポーツを楽しむことが前提となってしまうと、施設のない場所では楽しめないことになってしまう。

これで満足な人に車をベースにすればもっとなどと敢えて推すつもりもないが、悪く言えば自由がない遊び方とも思えてしまう。

海辺

逆に車がなくてもアウトドアスポーツを楽しむことはできる。

そして、移動のできない普通の建物や施設を基準に考えたら、車を冬のアウトドアのベースにしたり、冬の車中泊は厳しいこととなってしまうのかもしれないが、車なしでアウトドアを楽しんでいる側の視点から見たら、車は鉄の鎧をまとったむしろ普通の建物やスポーツ施設に近い存在となる。

こんな風に考えたら、クルマ程アウトドアでの基地として優れたものはない。

さらに平らな寝場所を備えていたなら、雨・風・雪が凌げて移動もできるスーパーアウトドアベースだ。

KAYAK1

ところで、車内で暖をとろうと考えたら、まずは普通の家の中のように空間(空気)を暖めようと考えるのが一般的な思考ではないかと思う。

車内を温める装置として、車のヒーターは本当にありがたい存在だ。

しかし、その理由は今更なので省くが、基本的に車のヒーターを使用できるのは走行中と、発車前と停車後の短時間に限られる。

停車中に長時間使用することはできない。

また、これも理由は今更なので省くが、灯油やガスのヒーターなど火を使う暖房器具を車内で使用することは基本的にNG行為だ。

換気しながら使う方法もあるにはあるが、全くお薦めできることはできない。

では電気のヒーター(カーボンヒーターやハロゲンヒーターなど熱源が電気のヒーター類全てをひっくるめて)はどうだろうか?

酸欠や一酸化炭素中毒の心配はなく(絶対ではないが)、火災の危険性も裸火よりはずっと低い。

出力は一般的な小型のもので800W~1000Wくらいのものが多い。

室内全体を温める暖房器具と言うより、どちらかと言えば当たって温まるようなタイプの暖房器具と言える。

私はこういったヒーターを車内で使った経験がないし、外気温や車内の広さや車の断熱性能によって大きく左右されると思うが、これだけで普通のVANなどであれば結構室内全体が温まるのではないかと思う。

電気ヒーター

私も机の下に置いて使ったりしている。



電源設備のあるRVパークやキャンプ場で、外部電源を取り入れられる車なら問題なく使えるから、そうした施設を利用するのなら優れた暖房器具となるであろう。

しかし、ポータブル電源で使おうとすると、1000Wの機器は結構な上位機種でないと使用できず、普及クラスでは使えないものが多い。

300Wくらいの超小型のヒーターもあるようだが、300Wではおそらく掌など本当に部分的に温められる程度のパワーしかなく、車内空間を温めるようなことは無理なのではないかと思う。

そして、それでさえ例えば容量が600Whのポータブル電源だったら2時間程度しか持たないことになってしまい、これでは全く効率が悪い。

電源設備のあるところ以外では、電気のヒーターはあまり現実味のない暖房器具であると考えられる。



ちょっと立派なキャンピングカーにはFFヒーターが装備されている。

べバストが代名詞的な存在だ。

FFヒーターは空気を汚さず、燃料が軽油のものが多いが燃費も大変良くて、車内用の暖房器具としてこれの右に出るものはない。

消去法で考えて行ったら、電源設備のないところで冬でも家の中のように安全に車内の空気を暖めたいのなら、現実的にはFFヒーターの導入しかないと言っても間違いではないだろう。

しかし私の車にはFFヒーターがない。

と言うよりない車の方が圧倒的に多い。

そこで発想の転換となる。

移動ができて限りなく普通の家に近い機能を求めたものがキャンピングカーかもしれないが、FFヒーターがないなら家にいるときとは違った発想で暖をとる方法を考えれば良いまでだ。

例えば、難しい理屈は抜きにして例を挙げると、300Wのヒーターに直接触れることはできないが、電気の消費量が1/6の50Wの電気あんかには直接触れることができる。

そして、その方が暖かそうなことも想像がつく。

その上を小さなブランケットなどでカバーしたらさらに熱効率が良くなる。

電気あんかにべったり手をつけていたらその最中は何もできないが、電気の消費量はずっと少なくて済む。

自由を求めるのなら、その数分間の不自由を我慢するのなんて些細なことだ。

そして、そんな方法で冷えてしまった手足を回復させることができたら、その熱を逃してしまわないように手袋や靴下や靴で保温する。

熱を逃してしまわない方法も工夫のしどころだ。

こんな発想の転換と小さな工夫を積み重ねれば車は素晴らしいアウトドアの基地となる。

次のページ⇨ 他に考えている温まる新たな手段を紹介!

最近考えている新たな手段


暖かい空気の次に暖をとる方法としてお湯の利用が思い浮かぶ。

風呂好きの人は多い。

また海はベタベタして嫌だと言う理由で、海から上がったら風呂かせめてシャワーを浴びたいと考える人は多い。

しかし、元々私はそんなに風呂に対する執着心がないだけでなく、海水は全く気にならないため、海から上がっても砂だけ落とせれば良いや程度で、これまで自分の車にお湯を用意しておこうなどと考えたことがなかった。

ところが、前の冬から片脚がまともな血流を失ってしまったせいで、足の保温には人一倍気を使わなくてはならなくなってしまい、そのせいで冷え性の人の気持ちも理解できるようになってきた。

とにかくあまり冷やしてしまうと命取り(足の)にもなってしまうので、この冬は海上がりにお湯で足を温める術を真剣に考え始めている。

足湯

また、道の駅とかで足湯を利用させてもらって効果を実感している人も多いと思うが、足湯は足の疲れや浮腫みの解消になるだけでなく、足を温めることで体全体も温まってくる。

手足をお湯で温めることができるだけで、アウトドアで体が冷えた後の車中泊生活にも良い影響を及ぼすのではないかと思う。

と言うことで、このお湯に関する話題はこれまでに実践してきたこと言うより、まだ実験段階の話が中心になってしまうが、車にお湯を確保しておく方法について考えてみよう。

ポリタン

普段私は飲んだり調理に使う水とは別に、自分が浴びたり道具類を洗ったりする水用として10Lのポリタンクを使っている。

そのままザブザブかけてしまうと10Lはあっという間に使い切ってしまう量だが、ポンプを使うと節水できて、一回で10L使い切ることなど殆どない。

以前は専用の電動シャワーを使っていたのだが、既にいくつか壊れてしまい、現在はホームセンターで買った風呂の水を洗濯機に移し替えるためのポンプを使っている。

なんとなくこっちの方が丈夫で長持ちしそうで、価格も安い。

ホースの先には普通の散水用のノズルを付けているのだが、水流を色々変えられてこれがまたなかなか便利。

たたでさえ水は重くかさばるのに大量のお湯を準備するのはさらに大変なことになるから、節水(節湯)は大切だ。

クーラーバッグ1

ポリタンクに入れたお湯を温かく保つ方法としては、専用の保温カバーなども販売されているが、元々持っていた容量30L位のクーラーバッグに試しに入れてみたところ、10Lのタンクなら2個入りそうだ。

クーラーバッグ2

容量的には収まるのが当たり前と言えば当たり前の結果だが、この通り形が合っていれば20Lのタンクも収まる。

しかし、クーラーバッグは保冷のために作られたものだから、保温に使っても劣化したりしないかは不明。

あまりに高温のお湯は入れない方が間違いない気もする。

また専用の保温容器であっても当然魔法瓶のような保温性は望めない。

暖かいお湯をポリタンクに入れておく方法の他に、熱いお湯を混ぜてちょうど良い暖かいお湯を作る方法も考えられる。

そうすると、異なる温度の水を混ぜると何度になるのかといった疑問が湧いてくる。

ここでその計算方法を記載してもあまり意味がないので省いてしまう(興味があったら調べていただきたい)が、例えば、10℃の冷水5Lと90℃のお湯を3Lを混ぜたら、40˚Cのお湯を8L作れる計算になる。

また、例えばポリタンクの中に30˚Cのぬるま湯7Lが入っていれば、90˚Cのお湯を1.5L用意するだけで40˚C以上のお湯を8.5L作ることができる計算になる。

ペットボトルと魔法瓶

サイズの目安として、左が2Lのペットボトルで右が1.5L弱の魔法瓶。先程自分と道具洗いに10Lでも余ると述べた通り、8Lは無駄な使い方をしなければシャワーのお湯として十分な量だ。

「熱いという程でもないぬるま湯を入れたポリタンクを何かしらの保温容器に入れて保温しておき、魔法瓶に入れた高温のお湯で湯加減調整をする」

この方法が最も効率的ではないかと考えている。

そして実験してみたが、取り敢えず現在の気温程度なら上手く行っている。

これで冷たくないシャワーは浴びられるので、日帰りの場合は暖かいお湯を浴びたらとっとと着替えて車内をヒーターで温かくして帰れば問題ない。

しかし、問題はその後車中泊をするような場合だ。

「温風より電気あんか」と先程書いたが、お湯も温風のようにかけ流してしまうような使い方をするより、温めたい部位をお湯に浸けてしまう方がずっと効率が良い。

ホットバス1

足をお湯で温める道具としてこんなものがある。

これは電気を使うホットバス。

要するに「ポータブル足湯」のようなものだ。

電気で保温するので、使っているうちに冷めてしまうこともない。

この製品の定格消費電力は330Wなので、20分くらい使用してもポータブル電源の消費は110Wh程度だ。

但し、冷たい水を最初からこれで温めると沸かすのに時間がかかって使用時間が長くなり、効率が悪い。

先に述べたような方法でお湯を予め用意しておいたり、ガスなどでお湯を沸かしてしまった方が効率的だ。

そして、お湯は先に洗顔などに使ってから(もちろん別の容器で)これに使用すれば、さらに節水とエネルギーのセーブにもなる。

ホットバス2

側面はシリコンの蛇腹になっていって、このように案外コンパクトになってしまう。

なんだか自分がこんなものを使うなんて、いよいよ焼きが回ってきた感じもするが、背に腹は変えられない。

日帰りではさすがにわざわざこれを使うこともないとは思うが、車中泊で銭湯や温泉を利用できない場合は、これを持ち出して足を温めるのも悪くないのではと思っている。

保温が大切


その他にも空間を温めるのではない暖をとる方法として、使い捨てカイロなどがポピュラーだ。

カイロ

足の血流に問題が生じる前は使い捨てカイロなど滅多に使ったことがなかったのだが、あまり自力で熱を発してくれない足を温めるには外から温める必要があるため、私も前の冬から靴下に貼るタイプの使い捨てカイロを悪い方の足にだけ使用するようになった。

これも良い仕事をしてくれている。

最近、モバイルバッテリーで温められる電熱ヒーター入りベストなんてものをホームセンターやネット上で見かける。

直に胴体を温めるので、少ない消費電力で効率良く体を温められそうだ。

喉が渇いたりするので個人的には好きでないので使っていないが、電気毛布も比較的エネルギーの消費量の少ない暖房器具の一種だ。

おしくら饅頭なんて言葉は今時聞かなくなったが、少し変わったところで、スクワットなどの運動をするというのも効果的だ。

筋肉を使うことで体は熱を発する。

寒くなると体が震えるのも強制的に筋肉を動かして発熱させるためだそうだ。

それから、暖かい食べ物や飲み物で体を中から温めることも効果的だ。

などなど、体を温める方法は色々ある。

しかし、大切なのはその後にその熱を逃さないこと

温まった体が冷えてしまう前に保温性の高い服や靴・靴下などを身に着けることが重要だ。

実は、私は以前某アウトドアウェアメーカーで働いていたことがあるため、服の機能については一家言あり、これについて語り出したら長くなり過ぎてしまうので、今回は「体の周りに多くのデッドエア(動かない空気)の層を確保しておくことがポイント。」だけに留めておくことにする。

FFヒーターを導入しない(できない)のであれば、車内で軽いけど分厚いモコモコのダウンをまとっていれば済むことだ。

テントシューズ

足を温めると体全体も温かくなるが逆も然り。

これはダウンの入ったテントシューズ。

分厚い靴下も良いが靴下だけでは底から冷えてしまう。

これは厚みのあるウレタンソールも入っていて、底から冷えるのを防いでくれる。

そして柔らかくて靴を履いているより断然リラックスできる。

冬の車中泊で大変ありがたいアイテムだ。



次のページ⇨ アイテムに出費を惜しまないポイントを紹介!

肝心なところでケチらないこともポイント


寝袋A

私は平地だったら大抵この封筒型の寝袋で大丈夫だ。

先日気温10˚Cくらいだけど、北風が強くて外に出ると体感温度はもっとずっと低かったような晩もこれで十分温かく、快眠することができた。

そして、これでは少し寒いような場合はこの上に毛布をかける。

寝袋B

さらに寒いような場所で車中泊する場合は、雪山のテント泊で使っていたマミー型のダウンの寝袋を使用する。

雪山のテント内では、表面が結露で濡れるのを防ぐため、GORETEX®の寝袋カバーに入れて使っていた。これで向かう所敵なしだ。

これはいくらだったか忘れたけど7~8万くらいはしたと思う。

高額ではあったが、なんともうかれこれ30年は使っているけど今でもフワフワで暖かいので、全然高い買い物だったとも思わない。

こういう寝袋を使ってみたら「冬の車中泊は電気毛布なしでは寝られない。」なんて発言は出ないと思う。

マット

そして、コットだけでも寝心地的には問題ないのだが、下から冷えるのを防ぐため、冬はしっかりと厚みがあって断熱性の高い、これまたちょっとばかり高級なThermarest®のマットを敷いている。

私の場合は以上で車の中ならどこでも快眠できる。

ジムニーA

これは快晴だけど北風が強くて気温が低かった日にカヤックツーリングをした後に車中泊をしたときのKさんのジムニーの車内。

程々にアルコールも入っていい加減な写真になってしまったので、朝起きてからもう一度撮りなおさせてもらった。

ジムニーB

朝撮り直した写真がこちら。

この人も雪山に行く人なので、良い寝袋なのはもちろん。

マットは私のと同じくマット界最高峰のThermarest®の製品だが、こちらは厚みが10cm以上あるThermarest®の中でも最強のモデルだ。

試しに寝転がせてもらったが、家庭用のやたらなマットレスや布団よりずっと寝心地が良い。

車内も家もこれだけあれば十分なやつだ。

スバル

私のお客さんと言うかカヤックやサーフィンの仲間には、何故かやたらスバル愛用者が多い。

自分の周囲だけ見回したらスバルが日本で一番多い車と思えてしまう程だ。

そんな中でもこのYさんのスバルはマニュアルミッションのスパルタンな車だ。

Kさん同様寝袋は山で使う高性能なマミー型だが、毛皮や毛布を併用しているあたりが渋い。

隣で寝ている黒い大きな物体は折り畳んだカヤックだ。

全て高額なブランドもののアウトドア用品で固めるのもどうかと思うし、百均やホームセンターで売っているものを上手く取り入れることも楽しいと思うのだが、変なところでケチるのは良くない

寝袋や寝床でケチらないのは「出すところには惜しまずに出費しておけば間違いない。」の好例だと思う。


結論


KAYAK2

とにかく車があればアウトドアを楽しむことができる幅が格段に広がるのは事実だ。

そして、その幅を広げるのは道具を揃えることではない。

柔軟な発想と工夫の積み重ねだと思う。

笠原 サタン

スポーツカーやピックアップトラックも好きだけど、車を見ると快適に寝られるかどうかを先ずは考えてしまう。 VANと旅と波乗りとネコをこよなく愛するPaddler。