災害時の車中泊での食事と水

災害時に役立つ車中泊仕様車・キャンピングカーの備えと心構え【非常食と水の選び方ガイド】



災害時に役に立つ!車中泊仕様車・キャンピングカーの利点


年々豪雨などにより災害が多くなっているように思うが、大雨など災害の起こりやすい時期にこれから突入する。

自動車は安全な場所に避難する際にも大いに役に立つが、プライバシーを確保する空間ともなる。

特に、プライバシーが保ちにくいことでストレスが溜まってしまうこともある避難所暮らしより、動く部屋や家とも言える車中泊仕様車やキャンピングカーは、快適に過ごせるといった大きな利点がある。

普段から車中泊をしている人であれば、災害時にもこの利点を最大限に活用したいものだ。

そこで、この記事では「災害時にも移動できる快適な寝室になる」からもう一歩進み、災害時の備えの中でも特に重要な食料や水などに関する話をまとめてみた。

楽しみの車中泊とは少し違った観点から考えているので、案外思いつきにくそうなアイディアや注意点が含まれている。

災害になど遭わないことを願いたいが、もしもの時の備えの参考になればと思う。

保存食や非常食の選び方


肉を食べると元気になるという人もいれば、野菜を多く食べた方が快調といったような人もいる。

科学的に正しいか否かだけではなく、食事は気持ちの問題も大切だ。

もちろん長期的なことを考えると栄養バランスを考えるのはとても大切なことだ。

しかし、当たり前だが、非常時には立派な体や美しい体を作ったり維持したりすることや、栄養バランスのことなどを考えるより、体や脳がしっかり働くことを優先した方が良いと思う。

近頃、糖質や炭水化物(=糖質+食物繊維)を無闇に嫌い、タンパク質の摂取を最優先するような人も多いが、実際にすぐにエネルギー源となるのはタンパク質より炭水化物だ。

私は「コメ命」のようなタイプではなく、普段の食事は肉や魚の方が主体だ。

しかし、山を縦走する際や長距離をパドリングする際に役に立つのはニンニクたっぷりのスタミナ肉野菜炒めや鰻より、「おにぎり」であることを体感的に知っている。

シャリバテ(飯が不足してバテること)という言葉があるが、これは実に言い得て妙な言葉だ。

素早くエネルギー源となり、食後の満足感も高い炭水化物を多く含む食品や、カロリーの高い食品は運動するときだけでなく、災害時用の備蓄品としても合理的だと思う。

また、栄養ドリンクのようなものを飲むと目が覚めて活気が湧くのを体感している人も多いと思う。

しかし、効果もあるとは思うが、どちらかと言えば一時的なもので、実際にはカフェインなどで元気が出たと錯覚させるような作用もあるそう(実際に栄養素も含まれていてそればかりとは言わないが)なので、あまりこういったものに頼り過ぎるのは危ないのではと思う。

やはり、手取り早くエネルギー源となるのは米や麺類などの炭水化物だ。

米食の非常食


日本人にとって最も馴染みのある炭水化物を多く含む食材といえば米だ。

災害時の備え 非常食 レトルト食品 車中泊

ホームセンターの災害用品コーナーのようなところには、お湯や水で戻せば食べられる〇〇飯やアルファ化した白飯などの乾燥食品が非常食として並んでいる。

これらは軽くて常温保存ができ、保存可能な期間も長く、調理も簡単で大変便利なため、クルマ移動が基本のキャンプをするためのキャンプではない、本当の夜営食としても昔から定番だ。

私も昔から大変お世話になってきたが、いくつか車内に常備もしている。

このタイプは年々種類も増え、味に関しても進歩しているように思うが、ちょっと注意しておいた方が良いことを挙げておくと、備蓄品として採用する前に予め試しておくことだ。

味が良くなってきているとはいえ、人によって口に合わないものもある。

美味しいかそうでないかは、活力にも大きく影響すると思うので、必ず平時に試しておき、好みに合ったものを選んでおくことをおすすめする

こういったタイプの他に、米系インスタント食品としては電子レンジがあれば2分で食べられるパック入りのご飯も便利で、一般的にはこっちの方が馴染み深いのではないかと思う。

電子レンジが使える状況であれば、水が不要なこともこれの大きな利点だ。

しかし、停電時はもとより、本格的な電源設備を備えたキャンピングカーか、電子レンジを動かすだけのパワーを備えたポータブル電源(特殊なものを除き、概ね定格AC出力が最低でも1000W以上は必要)などがなければ電子レンジは使えない。

電子レンジがなくてもお湯で加熱して食することもできるが、お湯で加熱すためには結構な量のお湯(水)が必要で、加熱時間も15分くらいかかってしまう。

その点、乾燥食品の〇〇飯やアルファ化米などは必要な水の量は少なく(調理に必要な水は全て米と一緒に腹の中に入ることになるので無駄がない)、お湯を使うより時間はかかるが常温の水でも調理可能なものも多く、水と燃料を節約できる点ではパックのご飯より優れている。

そういった意味で、やはりパックのご飯より水で戻すタイプのご飯の方が災害時の備えには向いていると思う。

しかし、米への拘りが強く、どうしてもアルファ化米やパック入りのご飯などではダメだという人もいそうだ。

そんな人は、必要な水の量や燃料の面ではどうしたってかなり不利にはなってしまうが、普通の精米よりは水を無駄にしないで済む無洗米を選ぶのが良いと思う。

パスタ・麺類の非常食


災害時の備え 非常食 車中泊 パスタ

パスタ類も粉末状のソースとパスタが一緒に一袋に収まっていて、茹でるだけで完成するタイプがあるが、これも大変便利だ。

なかなか美味しいものも多いが、これもご飯同様必ず予め試しておくことをお薦めする。

災害時の備え 非常食 車中泊 パスタ

また、ソースつきではないパスタのみを備蓄品にするなら、時短という意味より燃料や電気の消費量が少なくて済むという意味で、早茹でタイプがお薦めだ。

定番のカップ麺や袋麺のインスタントラーメンなどの類も長期保存ができるので、災害時の備え用として向いている。

普段は嫌われる要因ともなるカロリーの高さも、非常時には逆に良い方に作用する。

しかし、ここまでに挙げたご飯やパスタやカップ麺などはどれも基本的に全て水が必要なものばかりだ。

災害時の備え 非常食 車中泊 レトルト食品

水も熱源も必要とせずに食べられる缶詰やレトルトパウチ入りの食品、クラッカーやクッキー、スナック菓子などの類も必ず用意しておいた方が良い。

そんな中、元祖インスタントラーメンである日清チキンラーメンは奇特とも言える存在だ。

ご存知の通りお湯を注いで3分待つのが普通の食べ方だが、チキンラーメンやその類似品などは、砕いて生のままでも全く問題なく食べることができる二刀流食品なのだ。

基本的にはスープもある温かい食品でありながら、水がない時やお湯を沸かすことができない状況であっても食べられるというのは素晴らしいことだ。

また、インスタントラーメンには油あげ製法とノンフライ製法があるが、スープと麺が別体式のインスタントラーメンでも、油あげ製法の麺であれば、最悪の場合は袋の中で麺を砕きながら粉スープが麺に混ざり合うように袋の中で撹拌すれば、食べられないこともない(メーカーはおそらく推奨はしないと思うが)。

ノンフライ麺の方が新しい製法で生麺に近い食感が魅力だが、ノンフライ麺ではこれができないので、チキンラーメン以外を災害時用の備えにもするなら、昔ながらの油あげ製法の袋入りインスタントラーメン(例えばサッポロ一番やチャルメラなど)にしておいた方が無難だ。

パンの非常食


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パンにも長期保存が可能な缶詰や、常温で賞味期限が60日以上もつものがある。

こういった賞味期限の長いパンの存在や大手メーカーのパンがカビにくい理由は、保存料や添加物などを多く含むからなのではと懸念する人もいる。

しかし、実際には製造時に雑菌の混入を極限まで減らす、味や食感を落とさずに水分量を減らす、或いはパッキング方法を工夫するなど、技術の進歩と努力による賜物なので、大抵は心配無用だ。

都市伝説や陰謀論のような噂などに流されずに、科学的な判断と評価をしたいものだ。

水の確保と保存方法


食料も大変重要だが、それ以上に大切なのは水だ。

食べなくても自身の筋肉や脂肪を消費するなど、体の中の蓄えでしばらくは保つが、水分の補給なしで人は5日も保たないと言われている。

そして、大きな災害時に断水はつきもので供給が途絶えてしまうこともあるが、食品だけでなく水も腐る。

腐った水を飲んで下痢をして、逆に脱水してしまっては元も子もない。

災害時の備えとしては、ポリタンクやキャンピングカーの上水タンクに溜めた水だけでなく、必ず未開封のペットボトルなどに入った水を常備しておくことが必須だ。

必要量は当然ながら人数によって大きく異なるが、最低でも1人あたり2Lのボトルを1本か2本は用意しておいた方が良いと思う。

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