車内の荷物の積み方や注意点 〜最終回〜
荷物の積載についての話を始めて4回目に突入してしまった。
自分でも当初はこんなに長く書くつもりはなく、読者の皆様がいい加減飽きてきてしまっているのではないかと反省もしているのだが、書き始めてしまうと案外伝えたいことは多く、脱線することも度々でこうなってしまった次第だ。
このテーマは今回で完結するので、もう少しお付き合いいただけたらと思う。
荷崩れの危険性
屋根など車の外に積んだ荷物の荷崩れや、積載物の落下が大変危険なのは当然だが、車内での荷崩れも、大切な荷物を傷めてしまうだけでなく、事故に繋がる可能性もあることなので、十分注意したい。
具体的にどんなことが起こり得るかと言えば、例えば最近はサーフボードを車内に積む人が多いが、急ブレーキをかけた際に、ボードがフロントガラスを突き破ってしまったという事例は案外少なくないのだ。
そんな大袈裟なと思う人もいるかも知れないが、実際私の身近にも、SUPのボードを満載したハイエースを仕事で運転していて、ボードでフロントガラスを割ってしまった業者がいる。
サーフボードなんか積まないから自分には関係ないと思ってはいけない。
読者の中にもDIY好きの人は多いと思うが、これは例えば材木や家具などを積んでいる際にも十分起こり得ることだ。
長い物を車内に積む際は、フロントガラスにぶつかってしまう可能性のあるような無理な積み方は絶対にしないことが大切だ。
もう一つは、荷崩れによって運転に支障をきたすような事態だ。
崩れてきた荷物がペダルやシフトレバーなどの運転装置に干渉しないように注意しなければならないが、荷物がサイドウィンドウなどの視界を妨げないように注意することも必要だ。
「友達の友達が、山道を運転している最中に床に転がっていた空缶がブレーキペダルの下に挟まってしまい、下りのワインディングロードを強制的に猛スピードで駆け下りた。」なんて話を聞いたことはないだろうか?
友達の友達って、要するに都市伝説ってことかもしれないが、十分に起こりうる話だ。本当にあったら冗談では済まされない。空き缶に限らず、転がりやすい物を放置して置いたら危険だ。
また、これは直接本人から聞いた話だから都市伝説ではないのだが、荷物ではないけど、運転中に愛犬が飛びついてきて自爆した友人がいた。
幸い本人も犬も大した怪我をしなくて済んだ(車は大怪我を負った)のだが、高速道路を走行中だったので、運が悪ければ大事故を起こすところだった。
しかし、自爆しているだけなら自業自得で済むが、こうしたことによって他人に甚大な迷惑をかけてしまう可能性は低くない。
荷崩れで運転に支障を来すように注意する事は元より、「ウチの子は絶対に大丈夫」などと過信せず、ペットはケージに入れるなどして、絶対に運転手に絡まないようにすべきである。
ついでに車とは全く関係ない話だが、ケージをゲージと言う人が結構いるのが気になる。スペルはCageだから、ケに濁点は付かない。
平置きする際の基本
昔、花屋さんで働いた時に、花束を荷台に置く際には持ち手部分を前に向けて、花を後ろに向けて積むようにと教わった。
繊細な積み荷を載せているのだからそもそも急加速などしないが、急加速をしたところで荷物が後ろへ引っ張られるような力など大したことはない。
しかし、急ブレーキを踏んだら荷物は前方向へ滑って行く。横向きに積んでもカーブで横Gがかかると荷物は横向きに滑ってしまいやすい。
荷物の大事な部分、弱い部分は後ろに向けておくのが一番リスクが低いということだ。
花だけではなく、これは応用が利く。例えば釣竿を固定せずに車内に転がしておくなら、念のため竿先を後ろに向けておいた方が安全だ。
箱やバッグ類も転がったり倒れやすそうな場合は隅に寄せておくとか、場合によってはタイダウンベルトで固定する必要がある。
案外便利なのがシートベルトだ。座席に置いた荷物はシートベルトで押さえたり、バッグ類だったら、バッグのストラップにシートベルトを通して固定すると安全だ。
これはホームセンターのセールワゴンで見つけた、荷物の滑り止め。ブックエンドのような至ってシンプルな構造になっている。
私はこれをラグの上に置いて使っているのだが、ラグの上にそのまま荷物を置いただけでは簡単に荷物は滑り落ちてしまう。
しかしこれの底の部分に付いたギザギザがしっかりとラグを咬むようで、箱でもバッグでもこの上に置くと案外動かなくなり、地味だけど大変重宝している。
セールワゴンで見つけて安く買えたのはラッキーだったが、実力が理解されずにセールワゴンに入れられてしまったようで不憫に思う。
少し遠いところのホームセンターなので行く機会が多くないが、今度行った時にまだあったら、せめてもう一つセールワゴンから救い出してあげたいと思う一品だ。
天井付近の空間の有効活用
頭上の空間が広い車が多い昨今だが、天井付近は釣竿など長尺ものの収納に都合が良い。
アシストグリップに簡単に取り付けられるバーはポピュラーで、前後四箇所にアシストグリップがあれば、2本のバーを設置して、長尺ものをベルトなどで簡単に固定することができる。
アシストグリップが左右一箇所ずつしかない車用には、オプションでこんな前後方向につけるバーがあって、これで2本のバーを取り付けられるようになっている。
私のバモスには後部座席にしかアシストグリップがないため、こうしてパドルや釣竿を積んでいる。パドルや釣竿にとっても安全で、決して広くない車には大変ありがたい装備だ。
キャラバンもアシストグリップは後部座席横にしかないのだが、ここに角材を固定し、サーフボードラックの前側としている。
サーフボードを積むと室内灯が隠れてしまうため、この角材に100均のLEDライトを付けたのだが、これが元の室内灯よりむしろ使いやすい位置で、消し忘れても電池がなくなるだけで、怪我の功名的に役立っている。
ボードは角材から吊り下げたベルトと角材との間に後ろから突っ込むような形で入れる仕組みだ。
このベルトは長さを調節できるようにしてあるため、積むボードの幅や本数に応じて(1本だけでなく2本積むことができる)長さを調節する。
そして、ベルトには筒状のウレタンのパッドが巻いてあるのでフニャッとしたままではなく、サンダルの鼻緒のような状態になっている。
サーフボードは真ん中に向けて徐々に太くなる形をしているから、広過ぎない程度にベルトの長さを調節しておけば、後ろから突っ掛け(草履)に足を入れるように突っ込むだけでも前にボードが飛び出してしまうことはない。
柔らかいベルトのみでは安定せず、パッドを巻いて鼻緒のような状態になっていなければこうは行かない。
これが結構大きなポイントで、似たような仕組みでボードを吊り下げている人は少なくないが、毎回ベルトを縛って固定するのは結構面倒くさい。しかし、これならその必要もない。
ボードラックの後ろ側は棚の後端の上に固定した2×4材の上に載せる仕組みだ。
ボードを2本載せる場合は、一応この部分もベルトで固定するが、1本の場合は前側を鼻緒のような部分に突っ込んで後ろはこの上に置くだけで全く問題ない。手間なく安全にボードを積むことのできる自画自賛のシステムだ。
棚の活用
前回コンテナボックスが便利と書いたが、視界に入る物がプラスチックのコンテナボックスばかりでは何か殺風景な感じがすると言うか、見た目が楽しくない。
機能一点張りでなく、自分が楽しい気分でいられる室内作りも自作キャンパーは心がけるべきことの一つと私は思っている。
そこで、私は棚にはダイソーで買った長方形の布バスケット2個・蓋付の古いブリキの缶・木箱を置いている。
各々の布バスケットは服入れと、コーヒーなどお茶セットや食器入れで、ブリキ缶は食糧(保存食的なもの)入れ、木箱は電気ポットや扇風機など主に電気製品入れとなっている。
これらの入れ物が棚にピッタリなサイズで良い(棚も自分で作ったのだから当たり前か)のだが、整理整頓ができて、縦方向の空間を効率的に使うことができて、中の物を取り出しやすく、荷崩れも起こさず、見た目も良い(少なくとも自己満足しているのだからそれで良い)など、結構良いこと尽くめだ。
荷崩れも起こさずと書いたが、長方形の布バスケットが置かれた棚の上段にはバックル付きのベルトが取り付けてあるから、横Gがかかっても棚から布バスケットが落ちることはない。棚の前後は塞がっているから前後ももちろん大丈夫。
タイヤハウスを囲んだ下段はスペースも小さいので滅多に使うことのない物を置き、外側に細長いテーブルを蓋代わりに棚に固定して塞いでいる。
そしてブリキ缶と木箱の置かれた中段は、そのテーブルが棚板を少し超えて出ているため、箱が手前に滑り落ちることがないようになっている。
床下
荷室全体を部屋として使う場合のVANの意外な弱点は、セダンやステーションワゴンのように荷室と居室の境が曖昧になってしまうことだ。
そこでコンテナボックスや棚の活用について述べてきたわけだが、床下或いはベッドの下を活用する手もある。
またタイヤハウスがあると、荷室が広いのに案外荷物を積みにくくしていることがあり、タイヤハウスの高さまで床上げしてしまって平らな荷台を作り、その下を収納庫にするのは合理的でもある。
しかしデメリットとなるのが、意外と物の出し入れがしやすくないこともあることだ。
床が高ければ物を沢山収納できて良さそうな気がする。そして上が全面ベッドのようになっていれば居住空間も広々していて快適そうだ。
しかし、上蓋式になっていたら、上に置いてある物をどけないと蓋が開けられない。
前後から出し入れする場合は、ベッドの半分程度の奥行きならまだしも、ベッドの長さ全体がガランとした収納庫になっているような構造の場合は、そのままでは細かい荷物を広い空間からは取り出しにくくなってしまい、大きな箱などにまとめて重くなり過ぎても出し入れが億劫になってしまう。
いずれにしても案外厄介だ。
これは以前使用していたステップワゴンの荷室だ。荷室を広くするためにあまり使う機会のない3列目シートは外していたのだが、車検を機会に合法的に5人乗りの4ナンバー(商用車)登録に変更して使っていた。
そして、後部座席(元2列目シート)から後ろはアングルを組んでタイヤハウスの高さまで床上げしていた。
床下の高さは低く奥行きもあまりないから、あまり大きな物は入れられないが、床下が低くて不便なのではなく、これが結構合理的だった。
低いと言ってもアイリスオーヤマの高さの低いコンテナボックスや、折りたたみチェアなどが収まるスペースはある。
そして、床上には十分なスペースがあり、ご覧の通り横幅をいっぱいに使って大きな荷物を積むことが可能となっていた。
こんなに荷物がない場合は、この部分と倒した後部座席を使って寝室にすることもできたが、この車はポップアップルーフの二階があったので、この状態のままでも寝られる車だった。
そろそろ車旅に出なければ
と、荷物の積載にまつわる話を4回に渡って長々と書いてしまったが、県を跨ぐ行動を自粛して、旅もしないでウンチクばかり並べ立てているのももう限界だ。
大好きな車とともに遠出をしたい。旅をしたい。
誰かを批判をするつもりはないが、常識的な行動(その常識が人によって違うからまた厄介なのだが、私は元々十分なソーシャルディスタンスが必要で咳や唾がとんでいることも気になるタイプであるため、レジ前の列に線が引かれているとか、人前で咳をしたり唾をとばすことが非常識とされる現在の状況はむしろ快適で、世間の基準がこっちに近づいてきたと歓迎している部分もあるにはある)をとっていれば、車の中に泊まって旅することはウィルス感染を広げるリスクが低く、自他ともに安全な旅の方法だと私は思う。
そして、私の住む房総半島南部なんていうのは島のようなところであって、同じ千葉県内と言っても東京の通勤圏内に入る地域とはまるで別の世界(東京の離島や山間部、埼玉県北部なども同様と思う)だ。
なのに、一都三県などと雑に括られてまた行動を制限されるようなことになっても困る。
そんなことにならないうちに旅に出なければと少々焦りも出始めている今日この頃だ。