旅する車中泊仕様車!!スタッドレスタイヤ?それとも滑り止め?
どんな高性能なエンジンが積まれていようと、室内空間がどんなに快適であろうと、タイヤがなければ自動車としての機能を果たすことはできない。
そして、昔「タイヤは命を乗せている」というタイヤメーカーのCMキャッチコピーがあったが、まさにその通りで、タイヤのトラブルは重大事故に繋がる危険性が高い。
ましてや、キャンピングカーや車中泊仕様車は重量が重くなりがちで長距離を走行することの多いだけに、その分タイヤにかかる負担も大きくなる。
そのため、一層の注意を払う必要がある。
そして、冬は雪や路面凍結の問題があるため、タイヤや滑り止めについてあれこれ悩む時期でもある。
そこで、今回の記事では、体験談も交え、改めてタイヤと滑り止めについて考えを整理してみた結果をお伝えしたいと思う。
タイヤが関わる雪道でのトラブル
夏に一度、語るのも恥ずかしいタイヤに関わる大失敗を経験したことがあるが、それも書いてしまうと長くなるので、季節柄今回は冬の話を中心に進めたい。
タイヤが関わる冬のトラブルと言えば、言うまでもなく雪や凍結によるスリップだ。
私も雪道でのちょっとしたトラブルは何度か経験しているが、幸いにも大きなトラブルに見舞われたことはない。
ジムニーで凍結路面を下っていて、横道から出てきた車を避けようとしてクルリと半周したときは、回っている最中に横転しないかとヒヤリとしたが、雪の壁に当たって停車しウィンカーのレンズが割れただけで済んだ。
出てきた車との衝突を避けるため、やってはいけないと知りながら少し急にハンドルを切ってしまったのがスピンの原因だ。
東北地方のかなり気温の低い山中で、後から来る友人とはぐれないように停車して待っていたら、私の車にぶつかることで友人の車が停車したこともあった。
他に全く車もいなかったので、あまり斜度はきつくない坂道の分岐の手前で停車していたのだが、停車していたところは見通しの良い緩いカーブになっていたので、下ってくる友人の車が斜め横から見える状態だった。
しかし、近づいてくる友人の車の様子が少しおかしいので、何だか嫌な予感がしながら見ていると、車の中で友人がこっちへ向かって既に謝っている様子が見てとれた。
友人の車はコントロールを失っていたのだ。
双方どうすることもできず、ゆっくりではあったが、友人の車は私の車のドアにぶつかることで停車した。
その友人の車はしっかりとしたクロカン四輪駆動車だったが、タイヤはスタッドレスではなく、マッドアンドスノーのようなオールテレインだった。
チェーンは持っていたのだが、それまでの道中そのタイヤで問題なかったため、チェーンを装着していなかった。
しかし、それまではある程度雪の深さがあったのだが、現場はうっすらと被った雪の下は圧雪されて氷になった状態。
うっすらと雪が被っていて、ぱっと見ではタイヤがグリップしていた時との状態の違いが分かりにくかったのだが、滑らないわけがないがないような状態だった。
中途半端に行けてしまうと、逆に油断を招いてしまうという見本のような体験だった。
スキーシーズンの始め頃、研修会か何かで長野県の標高の高いスキー場に行ったときに、こんなこともあった。
私は自分の車ではなく、知人の車(確かランクル60だったと思う)の助手席に座っていたのだが、カーブの手前で別の知人の車(確かランクル70かパジェロのショート)が反対方向から走ってくるのが見えたのだが、そのとき相手は笑顔ではなくびっくりした顔をしていた。
びっくり顔の理由はコントロールを失っていたせいだったのだが時すでに遅し。
車体が少し凹む程度で済んだが、この時も結果は友達同士での接触。
そして、なんとそのコントールを失った知人はその山の地元民。
まさに猿も木から落ちたような話だ。
これらはどれも軽いとは言え事故と言えば事故だが、雪道で起こりがちな事故ではないトラブルの話をもう一つ。
以前私は新潟県の中でも特に豪雪地帯として有名なスキー場をベースに、冬の間インストラクターやガイドをしていたことがあるのだが、そのスキー場はあまりカーブしていないダラダラと数kmも続く坂道を登った先にあり、私は少し離れた下の街の方から車で通っていた。
条件が悪いときは、そんな上り坂で一旦停車してしまうとスタッドレスタイヤを履いていてもチェーンなしではスリップして再発進できなくなってしまうことがある。
それを知っている人は途中で止まったりせずに一気に登るのだが、遊びに来る人の中には何を思ってなのか、上り坂の途中で何故か停車してしまう人がたまにいる。
速度が安定しないような怪しそうな車が前にいるときは少し間隔を開けておいて、安全なタイミングを見計らって抜いたりしていたが、前の車に習って停まってしまう連鎖が続けば抜くこともままならなくなってしまう。
そうして再発進できなくなった車の列ができると、否が応でも慣れている自分達もその列に加わらなければならなくなってしまうことがあり、最悪だった。
ある週末の寒い朝、そうやって酷い渋滞の原因を作った奴がいた。
後で知ったのだが、その原因を作った奴は東京から遊びに来た知人だった。
それもアウトドア用品を輸入販売する会社の男という笑えない話だった。
急のつく動作をしないことが雪道運転の鉄則だが、上り坂でやたらに停車をすると命取りになることもある。