知識
旅する車中泊仕様車!!スタッドレスタイヤ?それとも滑り止め?
どんな高性能なエンジンが積まれていようと、室内空間がどんなに快適であろうと、タイヤがなければ自動車としての機能を果たすことはできない。
そして、昔「タイヤは命を乗せている」というタイヤメーカーのCMキャッチコピーがあったが、まさにその通りで、タイヤのトラブルは重大事故に繋がる危険性が高い。
ましてや、キャンピングカーや車中泊仕様車は重量が重くなりがちで長距離を走行することの多いだけに、その分タイヤにかかる負担も大きくなる。
そのため、一層の注意を払う必要がある。
そして、冬は雪や路面凍結の問題があるため、タイヤや滑り止めについてあれこれ悩む時期でもある。
そこで、今回の記事では、体験談も交え、改めてタイヤと滑り止めについて考えを整理してみた結果をお伝えしたいと思う。
夏に一度、語るのも恥ずかしいタイヤに関わる大失敗を経験したことがあるが、それも書いてしまうと長くなるので、季節柄今回は冬の話を中心に進めたい。
タイヤが関わる冬のトラブルと言えば、言うまでもなく雪や凍結によるスリップだ。
私も雪道でのちょっとしたトラブルは何度か経験しているが、幸いにも大きなトラブルに見舞われたことはない。
ジムニーで凍結路面を下っていて、横道から出てきた車を避けようとしてクルリと半周したときは、回っている最中に横転しないかとヒヤリとしたが、雪の壁に当たって停車しウィンカーのレンズが割れただけで済んだ。
出てきた車との衝突を避けるため、やってはいけないと知りながら少し急にハンドルを切ってしまったのがスピンの原因だ。
東北地方のかなり気温の低い山中で、後から来る友人とはぐれないように停車して待っていたら、私の車にぶつかることで友人の車が停車したこともあった。
他に全く車もいなかったので、あまり斜度はきつくない坂道の分岐の手前で停車していたのだが、停車していたところは見通しの良い緩いカーブになっていたので、下ってくる友人の車が斜め横から見える状態だった。
しかし、近づいてくる友人の車の様子が少しおかしいので、何だか嫌な予感がしながら見ていると、車の中で友人がこっちへ向かって既に謝っている様子が見てとれた。
友人の車はコントロールを失っていたのだ。
双方どうすることもできず、ゆっくりではあったが、友人の車は私の車のドアにぶつかることで停車した。
その友人の車はしっかりとしたクロカン四輪駆動車だったが、タイヤはスタッドレスではなく、マッドアンドスノーのようなオールテレインだった。
チェーンは持っていたのだが、それまでの道中そのタイヤで問題なかったため、チェーンを装着していなかった。
しかし、それまではある程度雪の深さがあったのだが、現場はうっすらと被った雪の下は圧雪されて氷になった状態。
うっすらと雪が被っていて、ぱっと見ではタイヤがグリップしていた時との状態の違いが分かりにくかったのだが、滑らないわけがないがないような状態だった。
中途半端に行けてしまうと、逆に油断を招いてしまうという見本のような体験だった。
スキーシーズンの始め頃、研修会か何かで長野県の標高の高いスキー場に行ったときに、こんなこともあった。
私は自分の車ではなく、知人の車(確かランクル60だったと思う)の助手席に座っていたのだが、カーブの手前で別の知人の車(確かランクル70かパジェロのショート)が反対方向から走ってくるのが見えたのだが、そのとき相手は笑顔ではなくびっくりした顔をしていた。
びっくり顔の理由はコントロールを失っていたせいだったのだが時すでに遅し。
車体が少し凹む程度で済んだが、この時も結果は友達同士での接触。
そして、なんとそのコントールを失った知人はその山の地元民。
まさに猿も木から落ちたような話だ。
これらはどれも軽いとは言え事故と言えば事故だが、雪道で起こりがちな事故ではないトラブルの話をもう一つ。
以前私は新潟県の中でも特に豪雪地帯として有名なスキー場をベースに、冬の間インストラクターやガイドをしていたことがあるのだが、そのスキー場はあまりカーブしていないダラダラと数kmも続く坂道を登った先にあり、私は少し離れた下の街の方から車で通っていた。
条件が悪いときは、そんな上り坂で一旦停車してしまうとスタッドレスタイヤを履いていてもチェーンなしではスリップして再発進できなくなってしまうことがある。
それを知っている人は途中で止まったりせずに一気に登るのだが、遊びに来る人の中には何を思ってなのか、上り坂の途中で何故か停車してしまう人がたまにいる。
速度が安定しないような怪しそうな車が前にいるときは少し間隔を開けておいて、安全なタイミングを見計らって抜いたりしていたが、前の車に習って停まってしまう連鎖が続けば抜くこともままならなくなってしまう。
そうして再発進できなくなった車の列ができると、否が応でも慣れている自分達もその列に加わらなければならなくなってしまうことがあり、最悪だった。
ある週末の寒い朝、そうやって酷い渋滞の原因を作った奴がいた。
後で知ったのだが、その原因を作った奴は東京から遊びに来た知人だった。
それもアウトドア用品を輸入販売する会社の男という笑えない話だった。
急のつく動作をしないことが雪道運転の鉄則だが、上り坂でやたらに停車をすると命取りになることもある。
次のページ⇨ スタッドレス?チェーンの種類は?
雪国や比較的降雪率の高い地域、路面凍結の多い地域に住む人にとっては、冬季はスタッドレスタイヤが当たり前だ。
そうした地域に住んでいなくても、高速道路などでは「冬は冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)を」と推奨するポスターなどを多く見かける。
しかし、スタッドレスタイヤは夏タイヤより通常高価なのに耐用年数は短い。
夏タイヤの寿命の目安は概ね5年と言われるが、スタッドレスタイヤは減りや傷み具合に関わらず、4年程度を目安とした方が良いと言われている。
スタッドレスタイヤは夏タイヤとはトレッドパターンも違うが、ゴムの質も違う。
夏タイヤより柔らかいゴムを使っているから減りも早いのだが、使用の頻度に関わらず経年で硬くなってしまい、柔らかさが持続する期間も長くない。
そして、雪や氷に向いたトレッドパターンもその柔らかさがあってこそ性能を発揮できるようで、本来の柔らかさを失うと雪や氷を捉えなくなってしまう。
劣化も早いからバーストや剥離のリスクも夏タイヤより早く訪れてしまうようだ。
また、スタッドレスタイヤは雪や氷には強いが、ウェット路面では夏タイヤより性能が劣るとも言われる。
減ったり傷んでいないからと、古くなったスタッドレスタイヤを長く使い続けることはむしろ危険でさえある。
ほぼ雪が降らないか降っても年に数回程度、或いは全く雪にも凍結路面にも遭遇しない年のある地域は多々あるが、そういった地域に住む人にとっては、「冬はスタッドレスを」と言われても、色々な意味で躊躇われてしまう。
現在の私もその1人だ。
以前は当然のようにスタッドレスを履いていた私も、雪山に行くことがなくなってしまった今となっては、メリットよりデメリットの方が多いとさえ感じてしまうことがある。
冬にタイヤに履き替えるか否かは悩みどころだ。
滑り止めに関して「冬はスタッドレスを履いてれば鬼に金棒」なわけでもない。
普通のチェーン規制ならスタッドレスを履いていればでOKだが、「全車チェーン規制」の場合はスタッドレスでもチェーンなどの滑り止めを装着しなければならない。
そして、スタッドレスだけではスリップしてしまい、チェーンなどがなければ走行できないような状況も実際に少なくない。
先程の坂道の渋滞などがその例だが、雪質によってはスタッドレスだけではスリップして坂を登れないケースは多々ある。
滑り止めにも色々な種類があるが、金属製、樹脂製、布製などあり、形状や取り付け方法も色々あり、さまざまなタイプが存在する。
鎖でできていなくてもタイヤに装着する滑り止めのことを〇〇チェーンと呼ぶくらいだから、金属チェーンは最もプリミティブなタイプだ。
樹脂製のチェーンは正式に何と呼ぶのか知らないが、ゴムチェーンなどとも呼ばれる。
この両者の違いや利点欠点は、ネットで調べれば山ほど記述があるのでここでは省略する。
どのタイプを選択するかは自身の使い方や頻度などに照らし合わせて判断するとして、しかし、一見似て見えるからと言って信頼性の不明な安価なものを通販で購入したりすることはお勧めできない。
肝心要な時にまともに機能しないようでは、さらに酷いトラブルに見舞われかねないからだ。
おそらく最も新しいタイプ滑り止めが布でできたタイプ。
これも総称をなんと呼ぶのかわからないが、俗に布チェーン。
しかし、チェーンと言うよりはバスキャップのような見た目をしている。
それを頭ではなくタイヤに被せるだけの、もっとも装着が簡単と思われる滑り止めだ。
商品名としては〇〇ソックのような名称で販売されている。
私も昨年か一昨年、キャラバン用にこのタイプのおそらく元祖(確証などないが)のオートソック(商品名)を購入して備えていた。
耐久性は高くなそうだが、南米の密林で価格調査をすると、信頼性の高そうな樹脂製チェーンはこれの2倍から3倍程度となっている。
そして、購入以来まだ一度も使っていなかったのだが、先日天気予報が予測できなかった雪の日にとうとうこれを使う機会が訪れた。
脱着はとにかく簡単。
効きはかなり良く、もしかしたらスタッドレスより良いのではないかと思うほどだった。
乗り心地も今まで使ったどのタイプの滑り止めより良く、至って快適。
しかし、快適が故にオーバースピード(同じような製品を含め、最高スピードは40~50km/h程度に設定されている)になってしまわないように注意が必要だ。
雪国でないところで雪が降ると、積雪面と凍結路面と舗装が露出した路面が繰り返し現れることが多く、どうしても舗装が露出した路面もそのまま走らなければならなくなってしまうことが結構ある。
舗装が露出した路面を走行する際の精神的ストレスは、金属チェーンの数倍も低い感じだ。
しかし、メーカーも極力避けてほしいと言っているが、布を傷めてしまうことは否めない。
この辺りでは30~50km程度の距離はちょっとそこまでの感覚で、この日もオートソックを着けて50km程走行した。
最終的には家の前の最後の急な上り坂でスリップして片輪が空転したことが原因になっていると思うが、一回の使用で穴が開いてしまった。
しかし、道端や公園の駐車場などに置き去りにされた車も多い中、安全快適に家路に着くことができた功績は大きい。
そして、昨シーズンはとうとう出番がなかったほどなので、買い替えるとしても多くて1年に1個か2個程度で済みそうだ。
もちろんちゃんとした樹脂製チェーンなら、そっちの方が寿命が長いことは明白だろうが、当然樹脂製チェーンにも寿命がある。
多分私のような使い方なら、オートソックの方がお得な気がする。
また、このタイプの利点は上に挙げたことだけに留まらない。
大変軽くてコンパクトになることも大きな利点だ。
小さな車にも無理なく常備しておくことができる。
もう一台の車のバモスには以前軽トラで使っていた金属のチェーンもあるのが、なんだか今年はまた雪が降りそうな予感もあったので、その後にバモス用にもこのタイプを取り寄せた(使わなくても腐るわけでもないし)。
バモス用はサイズと在庫の兼ね合いからオートソックではなく、バイスソックという製品にしてみた。
価格は同じくらいだが、生地はオートソックより厚いような感じで、まだ使用していないけど、もしかしたらこちらの方が丈夫かもしれない。
次のページ⇨ タイヤとチェーンのベストな組み合わせについて
雪山に行かなくなって以降、キャラバンのスタッドレスタイヤの新品を買っても必要性と照らし合わせると全く金額的に見合わないので、キャラバン用にはホイール付きの中古のスタッドレスをヤフオクで買ったことがある。
無論中古だから新品より使用できる期間は短かったが、それでもホイール代や工賃なども含めて1年あたりの出費を計算すると、新品を買うよりは安くついた。
しかし、結局スタッドレスの恩恵にあやかることなどほぼないまま、そのタイヤは年数的に寿命を迎えた。
また、バモスを譲り受けた際にスタッドレスタイヤも付いてきたので、雪が降ったらバモスに乗れば良い(軽トラで使っていたチェーンもあるし)と思い、その中古タイヤが寿命を迎えて以降、キャラバンにはスタッドレスタイヤを履かせていない。
そして、バモスのスタッドレスも年数的に寿命を超えてしまった(製造から5年以上経過してしまったので、溝はまだ残っているけどもう履きたくない)ので、今年の冬は2台ともスタッドレスを履いていない。
しかし、車が2台ありながら、どちらもスタッドレスを履いていないのもなんとなく心許ない感じがする。
冬でも遠出をする機会が多いのはキャラバンなので、スタッドレスを新調するとしたらキャラバンとも思うのだが、キャラバンのタイヤはバモス用よりかなり値が張る。
かなりの価格差だ。
ここで付け加えておくと、こんな時にも軽自動車は税金などが安いだけでなく、タイヤも含めた消耗品が安いという凄く大きなメリットがあることに気付かされる。
今年はキャラバンのタイヤを交換する時期でもあるで、色々な組み合わせのパターンを考えてみたのだが、房総半島南部に住んでいて雪山に行く機会もない私が「夏タイヤ+スタッドレスタイヤ+何かしらの滑り止め」ではやはりどう考えても割に合わない。
そこで思いついたのが、キャラバンにはオールシーズンタイヤを履かせてしまうことだ。
オールシーズンタイヤは、もちろん雪道での性能はスタッドレスより劣り、凍結路面ではスタッドレスよりかなり劣り、乾燥路面での性能は普通の夏タイヤより若干劣る部分もあるようだ。
性能的に中途半端なようではあるが、もちろん夏タイヤより冬の道路にはずっと強いし、高速道路の冬用タイヤ規制があってもスタッドレスと同じく通行可能だ。
そして、現在の私が積雪や凍結路面に遭遇するのは年間の全走行のうちのせいぜい1~2%だ。
ならば、オールシーズンタイヤで不安な状況では滑り止めを装着すれば良いだけだ。
そして、スタッドレスがウェット路面に弱いのに対して、全てがそうかは知らないが、調べたところ少なくともDUNLOPの商用車用のオールシーズンタイヤは普通の夏タイヤよりウェット性能が高く、耐久性も普通の夏タイヤより高いとある。
他で若干劣る部分があったとしても、このどちらも私にとっては非常に大変ありがたく感じることだ。
https://tyre.dunlop.co.jp/tyre/lineup/allseason/va1/
そして価格を調べたら普通の夏タイヤよりは高いが、スタッドレスタイヤより安いようだ。
それなら、
• バモス:このまま夏タイヤのみ +金属チェーンとバイスソック(どちらも既に持っている)
• キャラバン:DUNLOPの商用車用のオールシーズンタイヤ +金属チェーンとオートソックかバイスソック(どちらも新調)
これが私にとっては最も合理的な組み合わせなのではないかという結論に達した。
これが誰にでもベストな選択肢でこれを他人に薦めようとも思わないが、今年はこれでやってみようかと思っている。
雪の滅多に降らない地域で雪が降ると、スリップ事故や立ち往生が多発する。
スタッドレスタイヤよりまずは滑り止めの携行は必須だ。
毎年雪が降って東京が大パニックになっている様子の映像などを見ると、懲りないよなあと思いながら、いっそチェーンなどの滑り止めの携行は義務化してしまえば良いのではないかと思ってしまう。
点検や必要な装備の携行は怠らず、安全運転を心がけましょう。
そして、昔「タイヤは命を乗せている」というタイヤメーカーのCMキャッチコピーがあったが、まさにその通りで、タイヤのトラブルは重大事故に繋がる危険性が高い。
ましてや、キャンピングカーや車中泊仕様車は重量が重くなりがちで長距離を走行することの多いだけに、その分タイヤにかかる負担も大きくなる。
そのため、一層の注意を払う必要がある。
そして、冬は雪や路面凍結の問題があるため、タイヤや滑り止めについてあれこれ悩む時期でもある。
そこで、今回の記事では、体験談も交え、改めてタイヤと滑り止めについて考えを整理してみた結果をお伝えしたいと思う。
タイヤが関わる雪道でのトラブル
夏に一度、語るのも恥ずかしいタイヤに関わる大失敗を経験したことがあるが、それも書いてしまうと長くなるので、季節柄今回は冬の話を中心に進めたい。
タイヤが関わる冬のトラブルと言えば、言うまでもなく雪や凍結によるスリップだ。
私も雪道でのちょっとしたトラブルは何度か経験しているが、幸いにも大きなトラブルに見舞われたことはない。
ジムニーで凍結路面を下っていて、横道から出てきた車を避けようとしてクルリと半周したときは、回っている最中に横転しないかとヒヤリとしたが、雪の壁に当たって停車しウィンカーのレンズが割れただけで済んだ。
出てきた車との衝突を避けるため、やってはいけないと知りながら少し急にハンドルを切ってしまったのがスピンの原因だ。
東北地方のかなり気温の低い山中で、後から来る友人とはぐれないように停車して待っていたら、私の車にぶつかることで友人の車が停車したこともあった。
他に全く車もいなかったので、あまり斜度はきつくない坂道の分岐の手前で停車していたのだが、停車していたところは見通しの良い緩いカーブになっていたので、下ってくる友人の車が斜め横から見える状態だった。
しかし、近づいてくる友人の車の様子が少しおかしいので、何だか嫌な予感がしながら見ていると、車の中で友人がこっちへ向かって既に謝っている様子が見てとれた。
友人の車はコントロールを失っていたのだ。
双方どうすることもできず、ゆっくりではあったが、友人の車は私の車のドアにぶつかることで停車した。
その友人の車はしっかりとしたクロカン四輪駆動車だったが、タイヤはスタッドレスではなく、マッドアンドスノーのようなオールテレインだった。
チェーンは持っていたのだが、それまでの道中そのタイヤで問題なかったため、チェーンを装着していなかった。
しかし、それまではある程度雪の深さがあったのだが、現場はうっすらと被った雪の下は圧雪されて氷になった状態。
うっすらと雪が被っていて、ぱっと見ではタイヤがグリップしていた時との状態の違いが分かりにくかったのだが、滑らないわけがないがないような状態だった。
中途半端に行けてしまうと、逆に油断を招いてしまうという見本のような体験だった。
スキーシーズンの始め頃、研修会か何かで長野県の標高の高いスキー場に行ったときに、こんなこともあった。
私は自分の車ではなく、知人の車(確かランクル60だったと思う)の助手席に座っていたのだが、カーブの手前で別の知人の車(確かランクル70かパジェロのショート)が反対方向から走ってくるのが見えたのだが、そのとき相手は笑顔ではなくびっくりした顔をしていた。
びっくり顔の理由はコントロールを失っていたせいだったのだが時すでに遅し。
車体が少し凹む程度で済んだが、この時も結果は友達同士での接触。
そして、なんとそのコントールを失った知人はその山の地元民。
まさに猿も木から落ちたような話だ。
これらはどれも軽いとは言え事故と言えば事故だが、雪道で起こりがちな事故ではないトラブルの話をもう一つ。
以前私は新潟県の中でも特に豪雪地帯として有名なスキー場をベースに、冬の間インストラクターやガイドをしていたことがあるのだが、そのスキー場はあまりカーブしていないダラダラと数kmも続く坂道を登った先にあり、私は少し離れた下の街の方から車で通っていた。
条件が悪いときは、そんな上り坂で一旦停車してしまうとスタッドレスタイヤを履いていてもチェーンなしではスリップして再発進できなくなってしまうことがある。
それを知っている人は途中で止まったりせずに一気に登るのだが、遊びに来る人の中には何を思ってなのか、上り坂の途中で何故か停車してしまう人がたまにいる。
速度が安定しないような怪しそうな車が前にいるときは少し間隔を開けておいて、安全なタイミングを見計らって抜いたりしていたが、前の車に習って停まってしまう連鎖が続けば抜くこともままならなくなってしまう。
そうして再発進できなくなった車の列ができると、否が応でも慣れている自分達もその列に加わらなければならなくなってしまうことがあり、最悪だった。
ある週末の寒い朝、そうやって酷い渋滞の原因を作った奴がいた。
後で知ったのだが、その原因を作った奴は東京から遊びに来た知人だった。
それもアウトドア用品を輸入販売する会社の男という笑えない話だった。
急のつく動作をしないことが雪道運転の鉄則だが、上り坂でやたらに停車をすると命取りになることもある。
次のページ⇨ スタッドレス?チェーンの種類は?
スタッドレスタイヤを履くか否か
雪国や比較的降雪率の高い地域、路面凍結の多い地域に住む人にとっては、冬季はスタッドレスタイヤが当たり前だ。
そうした地域に住んでいなくても、高速道路などでは「冬は冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)を」と推奨するポスターなどを多く見かける。
しかし、スタッドレスタイヤは夏タイヤより通常高価なのに耐用年数は短い。
夏タイヤの寿命の目安は概ね5年と言われるが、スタッドレスタイヤは減りや傷み具合に関わらず、4年程度を目安とした方が良いと言われている。
スタッドレスタイヤは夏タイヤとはトレッドパターンも違うが、ゴムの質も違う。
夏タイヤより柔らかいゴムを使っているから減りも早いのだが、使用の頻度に関わらず経年で硬くなってしまい、柔らかさが持続する期間も長くない。
そして、雪や氷に向いたトレッドパターンもその柔らかさがあってこそ性能を発揮できるようで、本来の柔らかさを失うと雪や氷を捉えなくなってしまう。
劣化も早いからバーストや剥離のリスクも夏タイヤより早く訪れてしまうようだ。
また、スタッドレスタイヤは雪や氷には強いが、ウェット路面では夏タイヤより性能が劣るとも言われる。
減ったり傷んでいないからと、古くなったスタッドレスタイヤを長く使い続けることはむしろ危険でさえある。
ほぼ雪が降らないか降っても年に数回程度、或いは全く雪にも凍結路面にも遭遇しない年のある地域は多々あるが、そういった地域に住む人にとっては、「冬はスタッドレスを」と言われても、色々な意味で躊躇われてしまう。
現在の私もその1人だ。
以前は当然のようにスタッドレスを履いていた私も、雪山に行くことがなくなってしまった今となっては、メリットよりデメリットの方が多いとさえ感じてしまうことがある。
冬にタイヤに履き替えるか否かは悩みどころだ。
滑り止めに関して「冬はスタッドレスを履いてれば鬼に金棒」なわけでもない。
普通のチェーン規制ならスタッドレスを履いていればでOKだが、「全車チェーン規制」の場合はスタッドレスでもチェーンなどの滑り止めを装着しなければならない。
そして、スタッドレスだけではスリップしてしまい、チェーンなどがなければ走行できないような状況も実際に少なくない。
先程の坂道の渋滞などがその例だが、雪質によってはスタッドレスだけではスリップして坂を登れないケースは多々ある。
滑り止めにも色々な種類があるが、金属製、樹脂製、布製などあり、形状や取り付け方法も色々あり、さまざまなタイプが存在する。
鎖でできていなくてもタイヤに装着する滑り止めのことを〇〇チェーンと呼ぶくらいだから、金属チェーンは最もプリミティブなタイプだ。
樹脂製のチェーンは正式に何と呼ぶのか知らないが、ゴムチェーンなどとも呼ばれる。
この両者の違いや利点欠点は、ネットで調べれば山ほど記述があるのでここでは省略する。
どのタイプを選択するかは自身の使い方や頻度などに照らし合わせて判断するとして、しかし、一見似て見えるからと言って信頼性の不明な安価なものを通販で購入したりすることはお勧めできない。
肝心要な時にまともに機能しないようでは、さらに酷いトラブルに見舞われかねないからだ。
布チェーン
おそらく最も新しいタイプ滑り止めが布でできたタイプ。
これも総称をなんと呼ぶのかわからないが、俗に布チェーン。
しかし、チェーンと言うよりはバスキャップのような見た目をしている。
それを頭ではなくタイヤに被せるだけの、もっとも装着が簡単と思われる滑り止めだ。
商品名としては〇〇ソックのような名称で販売されている。
私も昨年か一昨年、キャラバン用にこのタイプのおそらく元祖(確証などないが)のオートソック(商品名)を購入して備えていた。
耐久性は高くなそうだが、南米の密林で価格調査をすると、信頼性の高そうな樹脂製チェーンはこれの2倍から3倍程度となっている。
そして、購入以来まだ一度も使っていなかったのだが、先日天気予報が予測できなかった雪の日にとうとうこれを使う機会が訪れた。
脱着はとにかく簡単。
効きはかなり良く、もしかしたらスタッドレスより良いのではないかと思うほどだった。
乗り心地も今まで使ったどのタイプの滑り止めより良く、至って快適。
しかし、快適が故にオーバースピード(同じような製品を含め、最高スピードは40~50km/h程度に設定されている)になってしまわないように注意が必要だ。
雪国でないところで雪が降ると、積雪面と凍結路面と舗装が露出した路面が繰り返し現れることが多く、どうしても舗装が露出した路面もそのまま走らなければならなくなってしまうことが結構ある。
舗装が露出した路面を走行する際の精神的ストレスは、金属チェーンの数倍も低い感じだ。
しかし、メーカーも極力避けてほしいと言っているが、布を傷めてしまうことは否めない。
この辺りでは30~50km程度の距離はちょっとそこまでの感覚で、この日もオートソックを着けて50km程走行した。
最終的には家の前の最後の急な上り坂でスリップして片輪が空転したことが原因になっていると思うが、一回の使用で穴が開いてしまった。
しかし、道端や公園の駐車場などに置き去りにされた車も多い中、安全快適に家路に着くことができた功績は大きい。
そして、昨シーズンはとうとう出番がなかったほどなので、買い替えるとしても多くて1年に1個か2個程度で済みそうだ。
もちろんちゃんとした樹脂製チェーンなら、そっちの方が寿命が長いことは明白だろうが、当然樹脂製チェーンにも寿命がある。
多分私のような使い方なら、オートソックの方がお得な気がする。
また、このタイプの利点は上に挙げたことだけに留まらない。
大変軽くてコンパクトになることも大きな利点だ。
小さな車にも無理なく常備しておくことができる。
もう一台の車のバモスには以前軽トラで使っていた金属のチェーンもあるのが、なんだか今年はまた雪が降りそうな予感もあったので、その後にバモス用にもこのタイプを取り寄せた(使わなくても腐るわけでもないし)。
バモス用はサイズと在庫の兼ね合いからオートソックではなく、バイスソックという製品にしてみた。
価格は同じくらいだが、生地はオートソックより厚いような感じで、まだ使用していないけど、もしかしたらこちらの方が丈夫かもしれない。
次のページ⇨ タイヤとチェーンのベストな組み合わせについて
自分にとってベストな組み合わせをシミュレーションしてみた
雪山に行かなくなって以降、キャラバンのスタッドレスタイヤの新品を買っても必要性と照らし合わせると全く金額的に見合わないので、キャラバン用にはホイール付きの中古のスタッドレスをヤフオクで買ったことがある。
無論中古だから新品より使用できる期間は短かったが、それでもホイール代や工賃なども含めて1年あたりの出費を計算すると、新品を買うよりは安くついた。
しかし、結局スタッドレスの恩恵にあやかることなどほぼないまま、そのタイヤは年数的に寿命を迎えた。
また、バモスを譲り受けた際にスタッドレスタイヤも付いてきたので、雪が降ったらバモスに乗れば良い(軽トラで使っていたチェーンもあるし)と思い、その中古タイヤが寿命を迎えて以降、キャラバンにはスタッドレスタイヤを履かせていない。
そして、バモスのスタッドレスも年数的に寿命を超えてしまった(製造から5年以上経過してしまったので、溝はまだ残っているけどもう履きたくない)ので、今年の冬は2台ともスタッドレスを履いていない。
しかし、車が2台ありながら、どちらもスタッドレスを履いていないのもなんとなく心許ない感じがする。
冬でも遠出をする機会が多いのはキャラバンなので、スタッドレスを新調するとしたらキャラバンとも思うのだが、キャラバンのタイヤはバモス用よりかなり値が張る。
かなりの価格差だ。
ここで付け加えておくと、こんな時にも軽自動車は税金などが安いだけでなく、タイヤも含めた消耗品が安いという凄く大きなメリットがあることに気付かされる。
今年はキャラバンのタイヤを交換する時期でもあるで、色々な組み合わせのパターンを考えてみたのだが、房総半島南部に住んでいて雪山に行く機会もない私が「夏タイヤ+スタッドレスタイヤ+何かしらの滑り止め」ではやはりどう考えても割に合わない。
そこで思いついたのが、キャラバンにはオールシーズンタイヤを履かせてしまうことだ。
オールシーズンタイヤは、もちろん雪道での性能はスタッドレスより劣り、凍結路面ではスタッドレスよりかなり劣り、乾燥路面での性能は普通の夏タイヤより若干劣る部分もあるようだ。
性能的に中途半端なようではあるが、もちろん夏タイヤより冬の道路にはずっと強いし、高速道路の冬用タイヤ規制があってもスタッドレスと同じく通行可能だ。
そして、現在の私が積雪や凍結路面に遭遇するのは年間の全走行のうちのせいぜい1~2%だ。
ならば、オールシーズンタイヤで不安な状況では滑り止めを装着すれば良いだけだ。
そして、スタッドレスがウェット路面に弱いのに対して、全てがそうかは知らないが、調べたところ少なくともDUNLOPの商用車用のオールシーズンタイヤは普通の夏タイヤよりウェット性能が高く、耐久性も普通の夏タイヤより高いとある。
他で若干劣る部分があったとしても、このどちらも私にとっては非常に大変ありがたく感じることだ。
https://tyre.dunlop.co.jp/tyre/lineup/allseason/va1/
そして価格を調べたら普通の夏タイヤよりは高いが、スタッドレスタイヤより安いようだ。
それなら、
• バモス:このまま夏タイヤのみ +金属チェーンとバイスソック(どちらも既に持っている)
• キャラバン:DUNLOPの商用車用のオールシーズンタイヤ +金属チェーンとオートソックかバイスソック(どちらも新調)
これが私にとっては最も合理的な組み合わせなのではないかという結論に達した。
これが誰にでもベストな選択肢でこれを他人に薦めようとも思わないが、今年はこれでやってみようかと思っている。
転ばぬ先の杖ならぬ、滑らぬ先のチェーン
雪の滅多に降らない地域で雪が降ると、スリップ事故や立ち往生が多発する。
スタッドレスタイヤよりまずは滑り止めの携行は必須だ。
毎年雪が降って東京が大パニックになっている様子の映像などを見ると、懲りないよなあと思いながら、いっそチェーンなどの滑り止めの携行は義務化してしまえば良いのではないかと思ってしまう。
点検や必要な装備の携行は怠らず、安全運転を心がけましょう。