車内への荷物の積載と荷物の整理の仕方のアイディアとコツ



前回前々回と、主に車の屋根に荷物を載せることをテーマにして書いてきた。


続いて車内へ荷物を積載する際のアイディアとコツなどについて触れていきたいと思う。

荷物は車内に積む人の方が圧倒的に多いと思うのだが、荷物の積み方は安全にも関わることなので、参考にしていただければと思う。

車選びの際の意外な盲点

先ずは荷物の積みやすさや合理性について、それ以前に「そもそも」となってしまうのだが、車選びの注意点について少し考えてみたい。

アストロタイガー

もう10年かそれ以上前の話になるが、「アストロタイガー」という車を購入しようかと真剣に検討したことがあった。

名前の通り、シボレーのアストロがベースのキャブコンのキャンピングカーだ。

幅は2m超えだったと思うが、長さはぎりぎり5mを切る、日本では何かと都合の良い手頃なサイズ。

それでもシャワー・トイレがあり、バンクベッドも、結構立派なキッチンも完備されていた。

エンジンは4L超えのV6で、パワーがあって長距離走行も楽そうだけど、案外燃費もそんなに悪くないという評判だった。

ずんぐりしているようにも見えるけど、日本車と違って幅があるから安定感のあるデザインで、見た目も好みだった。

90年代の車だから、内装は木目を多用した、典型的な少し昔の北米製キャンピングカーの雰囲気で、これも自分の好みには合っていた。

戸棚や引き出しなども多々あり、一人だったら十分住めそうな感じで、この車があったら本当に普段も自分の部屋にしていたかもしれない。

ここまでは良いことだらけで、かなり心は動かされていた。

しかし、新車で販売されていた90年代半ば頃からずっと気になっていたけど、とうとうこの車を購入するには至らなかった。

私にとっては重大な弱点があったのだ。

それは、室内長的には足りているのに、ドアの位置や開口部の大きさの関係で、9ftのサーフボード(SUPボード)を室内に入れることができないこと。

そして、戸棚や引き出しは沢山あるから生活用品の収納には困らないのだが、大きな荷物を収納するスペースがないことだ。

現実的に考えると、外で使うイスやテーブル、インフレータブルSUPやフォールディングカヤックのような大物はどこに置くのか、必ず必要となるウェットスーツやその他の濡れ物の置き場はどうするのか(これはシャワールームという手はあるが)などが大きな問題となってしまう。

多少大きな物でも体積的には置けないわけではないのだが、普通の車の中に無造作に荷物が積まれているより、家のような雰囲気の室内にだらだらと荷物が溢れかっていると、だらしなくみすぼらしく見えてしまうことが多い。

これではきっと残念な気分になってしまうことだろうと考えた。

仮に、多少不便でもイスやテーブルなどの大きな物は外に収納するスペースを作ったとしても、部屋しかなくて、戸棚に入らない大きさのバッグなどを置く荷室部分がないのは案外不便だ。

それなら、普通にバックドアの開くVANなら、ボードも難なく中に入れられて便利だ。

それに、少し大きめのVANの中を、部屋のような、倉庫のような曖昧な雰囲気に自分で作り上げてしまうのが一番快適なのではと思い、現在のメインは旧型のキャラバンスーパーロングに落ち着いているという次第だ。

アストロタイガーはある意味理想形でもあり、今でも気になる車ではあるのだが、キャンピングカーを選ぶ場合は、こういったことにも注意が必要だと思う。

雰囲気に惑わされず、頭の中で極力具体的で現実に即したシミュレーションをしてみることが大事なのではないだろうか。

また、近年流行りの「軽スーパーハイトワゴン」なども私は要注意だと思っている。

室内高が高ければ室内の体積を大きくとれることにつながり、気分的にも広く感じると思う。

しかし、実は自転車のように高さのある荷物を積むのでもなければ、高さを活かした荷物の積み方をすることは意外と難しい。

一般人がレジャーで使う場合には、高さで稼いだ体積が荷物の積載で有利に働くことはそれ程多くないと思うのだ。

特殊な用途や業務用途でなければ、体積を大きくするより面積を大きくした方が荷物を積みやすく感じることの方が多い。

そして、同じ幅なら高さが低い方が安定性が高く、風の抵抗も受けにくくなるので、走行性能的には有利(それだけで決まるわけではないから、高さが低い車の方が走行性が高いと一概には言えないが)だ。

スーパーハイトワゴンが悪いとか不要だなどとは思わないが、「荷物も沢山積めそう」とイメージだけで選んでしまわず、車を選ぶ時点でこんなことも考えてみた方が良いと思う。

そんな風に考えると、昔あったクラウンやセドリック・グロリアのバン・ワゴンは、十分に寝られる長さがありながら、屋根が広くて低いおかげで屋根への荷物の積み下ろしがしやすく、5ナンバー(商用のバンタイプは4ナンバー)で経済的で、車中泊車としても大変使いやすい車だったのではと思う。

しかし、もうそんな車は存在しない。

プロボックスのもう少し長い(小型車枠ギリギリの長さ)のがあればかなり良い線だと思うのだが、残念ながら現在の自動車メーカーは多分そんなことなど考えないと思う。

コンテナボックスの活用

コンテナボックス

コンテナボックスは、車の荷物整理に使われる道具の代表格だ。

様々なサイズや形があり、今更言われなくても便利なことを知っていて使っている人も多いだろう。

そんなコンテナボックスだが、今一度利点をざっと整理してみると以下のような感じになる。

荷物をまとめて収納する事ができる

→車内が散らかりにくくなり、荷物の紛失防止にも貢献する。荷崩れの防止にもなる。

荷物の整理がしやすい

→用途別で箱を分けたり、箱の中に仕切りを作るなどの工夫をすることで、使いたい物を見つけやすく、取り出しやすくなる。

荷物の保護になる

→壊れやすい物は、衣服・タオル・ブランケットなどの緩衝剤となるよう物で包んで箱の中に収めておけば、車が激しく揺れても壊れるリスクを格段に低くすることができる。

荷物をまとめて運搬できる

→荷物を整理・収納してから車内に持ち込む事ができる。また逆に、キャンプ地などではそのまま車外へ持ち出して外で使うこともできる。

積み重ねられる

→全てのコンテナボックスがそうではないが、きっちり積み重ねられるようになっている物も多い。

荷崩れしにくいように縦に荷物を積み重ねるのは意外に容易ではないが、ボックスを積み重ねることで、縦方向のスペースを比較的簡単に有効に使う事ができる。

様々なサイズがある

→用途や車の大きさに応じて選ぶことができる。

作りのしっかりした物であれば、イスやテーブル、踏み台として使える物もある

→マルチパーパスな道具は荷物減らしにつながる。

防水性が高い(※ 全てがそうではないが)

→濡れ物はボックスの中に入れておけば、車内を濡らさずに済む。

家でも収納庫になる

→中に入れる物によっては、毎回箱の中身を入れ替えるのではなく、家でもそのまま収納庫として使う事ができる。

準備にも手間がかからず、効果は一石二鳥以上。

それでは、こうしたことを踏まえた上で、実例を挙げながら、より具体的なコンテナボックスの活用方法を幾つか紹介しよう。

ベッドの一部にしてしまう

Bighorn内部

これは、以前使っていたいすゞの「ビッグホーン」の内部。

後部座席をたたむと、175cm位の身長なら全く無理なく寝られる長さがあるのだが、畳んだ後部座席と荷室部分との間にマットを敷いた程度では解消できない段差ができてしまうため、そのままでは寝られない。

また、荷室が広いと言えば広いが、キャラバンやハイエースと比べてしまうと比較にならない程狭いため、大きな荷物や大量の荷物を積む際に備え、棚やベッドなどを外しにくい状態に作り込んでしまいたくはない。

そこで私は、長さ85cm、幅45cm位のアイリスオーヤマの頑丈なコンテナボックスを、寝台の一部(半分近く)として活用していた。

タイヤハウスの上の空間は、荷物を積む際にも結局無駄になってしまうことが多いため、その部分を覆うように、このコンテナボックスと高さが合う箱を作って固定したのだ。

そうすると、このコンテナボックスと箱だけで、一人寝るには十分な幅の寝台の半分近くが構成されてしまう。

畳んだ後部座席で高くなった部分には、やはりコンテナボックスと高さの合う箱を作って置いただけだ。

その上にキャンピングマットを敷けば快適に寝られるベッドの出来上がり。

もちろん寝台の一部となっているコンテナボックスは荷物の整理に役立つし、この方法なら「寝るための専用車」のようなことにはなってしまわず、用途に応じて臨機応変に対応できて便利だった。

「Laird」と書いてある大きなバッグはインフレータブルSUPボード(高さは90cm位あって結構大きい)で、この写真では後部座席の半分は座席にしたままとなっているが、それでもこのように相当な量の荷物を積む事ができた。

似たような条件(段差ができてしまうなど)の他の車にも応用の効く方法だ。

車がVANだったら、同じ高さでしっかりした高さのコンテナボックスを幾つか組み合わせて、寝台や寝台のベースにするのも良いと思う。

同じ形を重ねる

キャラバン黒箱

三段に積んだボックスの一番下、深さのある箱にはサブバッテリーが収まっている。

上の2つは深さが浅いタイプだけど、下のサブバッテリーの箱と幅や長さが同じで、このようにきっちり積み重ねられるようになっている。

キャラバン黒箱上2つ

上段の2つの中身はこんな感じ。

片方には鍋釜皿など、もう片方にはアルミフォイル・ラップ・ペーパータオル・ジップロック®などと調理関係の道具が分けて収めてある。

そして、この箱の蓋の窪みは箱同士を重ねるときにもしっかり重ねられるようになっているのだが、イワタニのマーベラス(カセットコンロ)を置いてみたら、足がちょうど良く引っかかるサイズだったので、一番上にはベルトでマーベラスを固定している。

サブバッテリーの収まる箱の上が、この車のメインの台所用品置き場ということだ。

2段式コンテナボックス

このタイプのコンテナボックスには、上の画像のような2段式になっているタイプもあり、これも同じように積み重ねて使うことができる。

薄っすら透けて見える通り、中には工具が入っている。

上段には可動式の仕切りが付いているので、細かい物を仕分けたりするのに便利で、キッチン用品や釣り道具などの収納にも使える。

サンダーバード2号式

残念ながら写真を用意できなかったのだが、知人で大きめのコンテナボックスに数字のステッカーを貼っている人がいる。

その数字が何かと思ったら、番号で用途や山用・海用などに分けられていて、行先や目的に応じて箱を組み合わせて持って行くようにしているとのことだった。

もちろん、家でもそのまま荷物の整理収納に役立っていて、中身はそのままで箱ごと入れ替えて積んで行く様は、まるでサンダーバード2号のようだった。

サンダーバード2号式ではないし、所謂コンテナボックスともちょっと違うタイプの収納箱だが、こんな使い方もある。

W氏スバル

番号ではなく、この人の場合は「食べ物」とか箱に書いてある。

そして、この箱は横から中の物を取り出せる蓋の付いたタイプだから、上に重ねた物を下ろしたり箱を積み替えたりする必要もなく、迷うことなく(?)目的の物をさっと取り出す事ができて便利そうだ。

こうやって具体的に書いてあれば、中の物を取り出す時にも積むときにも間違えたり迷うこともない。

私だったら何番がなんだっけ?のようなことになってしまいそうだから、これは見習った方が良さそうだ。

濡れ物入れ

ハイエースリア

なんだか散らかったハイエースの内部だが、蓋のないしっかりした箱に水の入った柔らかい容器を入れている。

こうしておけば容器が倒れたり転がったりすることもないし、万一容器に穴が空いたり蓋が外れてしまったとしても、車内が水浸しになってしまうようなことも防げる。

また、水の入った容器の入れ物として使うだけではなく、この中に水を入れてウェットスーツなどを洗ったりすることもできる。

底がしっかりしている物であれば、濡れた衣服やウェットスーツを脱ぐ際にこの中に入って脱げば、服やウェットスーツに砂が付くことなく、脱いでそのままこの中に入れて持ち帰れるので便利だ。

バケツ

私はこうした脱衣所兼濡れ物持ち帰り容器としては、直径40cm位のPVCでできた巨大布バケツを使っている(自分のとこで販売している人気商品の一つでもある)。

だが、蓋が壊れてしまった大きなサイズのコンテナボックスを活用しても良いと思う。

野菜洗い桶

また、逆の発想で、野菜を洗ったりするのに使う洗い桶も、蓋のない(必要のない場合の)丈夫なコンテナボックス代わりとして荷物の収納運搬にも使えて便利だ。

しかし、以前海岸の駐車場で、「脱衣所兼濡れ物持ち帰り容器なんて甘っちょろい」と思わせるような、なかなかの強者を目撃したことがある。

女性のサーファーなのだが、ウェットスーツを脱いだ後に、インカかマチュピチュのミイラか脱出マジシャンを思い起こさせるような、かなり窮屈な体勢でコンテナボックスの中にしゃがみ込み、手桶で水をかけてシャンプーも使って全身しっかり洗い出した(水着は着ていた)のだ。

あまりジロジロ見るわけにもいかないけど、何とはなしに視界に入ってしまった光景がかなり衝撃的だったのだから仕方がない。

公共の駐車場のせいぜい畳1/6程度の面積を使って、しっかり自宅の風呂の洗い場を再現してしまった(体勢はミイラのようだったけど)のだ。

私なんてシャンプーなど言うに及ばず、水も被らずにそのまま帰ってしまうこともあるで、この執念のようなものには脱帽した。

と、ここまで書いたところで、荷崩れ防止策や長尺ものの積載についてなど、まだ伝えたいことは多々あるのだが、既に長くなり過ぎていること気付いてしまった。

私事になってしまい恐縮だが、なんだか最近書き出してみると、一つのテーマに対して自分で思っていた以上に長くなってしまうことが多々あるように感じる。ちょっとした脱線も多い。

コロナ自粛で、インドアにいる時間が長過ぎて内に向かい過ぎてしまったからなのではと、これもコロナの弊害の一種かと思っているのだが、自覚があるうちはまだ良い。自覚がなくなったら病気だ。

最近海にも出られるようになって回復傾向にはあるのだが、この続きを書くにしても、もっと外に出る必要性と、旅もする必要性もあると感じている。