【オービス徹底解説・2022年最新版】どんな種類がある?主な設置場所は?罰金は?
目次
オービスにはどんな種類がある?
スピード違反する車を自動で取り締まるオービス(自動速度違反取締装置)。
センサーで車の速度を測定し、一定以上のスピードが出ている場合に証拠写真を撮影します。
オービスが日本の道路に登場したのは1970年代後半のこと。以後40年以上に渡り、オービスは普及と進化を続けてきました。
現在までに開発されたオービスは7タイプあり、細かく分けると10種類以上の機種が存在しています。各種オービスの特徴を詳しく見ていきましょう。
レーダー式オービス
「レーダー式」は最も古いタイプのオービスです。
速度計測に電波のドップラー効果を利用するタイプで、走行車両に反射させたマイクロ波の周波数から走行速度を割り出す仕組みになっています。
初期のレーダー式オービスはボックス型で路肩に設置されていました。
比較的新しい機種はセンサーとカメラが別体になっており、センサー部はF型支柱やトラス(門型支柱)などの上部に、カメラは路肩に設置されています。
長年使われているレーダー式オービスですが、カメラがフィルム式で不便なため、老朽化したものは撤去されつつあります。
ただ、機能しなくなったレーザー式オービスの中には、威嚇用のダミーとして残されるものも多いようです。
生活道路に配備される新型レーダー式
従来であれば、レーダー式オービスの設置場所は、高速道路や幹線道路などの速度が出やすい道路に限られていました。
しかしながら、近年は新型機種が生活道路に配備されるようになっています。
生活道路に配備されているのは「SWSS」という機種で、ポールの上に設置できるコンパクトなボディに、高性能なレーダーセンサーとカメラを内蔵しています。
センサーの周波数に従来の「Xバンド(10.525GHz帯)」ではなく、「Kバンド(24.150GHz帯)」を使っていることもSWSSの特徴です。
なお、SWSSの配備数は埼玉県と岐阜県に各1台ずつのみで、ほかの地域への配置は確認されていません。
ループコイル式オービス
「ループコイル式」はレーダー式と並んで古くからあるタイプのオービスです。
「ループコイル」とは磁気で金属体を検出するセンサーのことで、ループコイル式オービスでは3つのセンサーを6.9m間隔で地面に埋め込みます。
各センサー間の通過に要した時間から車速を測定する、というのがループコイル式の仕組みであり、写真撮影は路肩のフィルムカメラで行います。
速度計測は1〜2個目と2〜3個目のセンサー間で各1回ずつ行われ、計2回の測定値に大きなズレがある場合は誤測定として撮影が行われません。
Hシステム
「Hシステム」はレーダー式オービスの進化版です。
レーダーセンサーで車速を測定し、デジタルカメラで撮影する方式になっており、撮影画像は通信回線で警察に送信されます。
本体の形状はセンサーとカメラが別体のセパレートタイプで、どちらも大型支柱の上部に設置されます。
Hシステムは1992年に導入され、一時は全国のオービスの半数程度を占めていました。
現在は後発のLHシステムがオービスの主流になっていますが、積雪が多くループコイル式を使いにくい北海道では、今でもレーダー式が重用されています。
なお、Hシステム(ハイスピードシステム)という名前はチューニングカー雑誌が名付けた通称であり、正式名称は「高速走行抑止システム」といいます。
LHシステム
「LHシステム」はループコイル式とHシステムをかけ合わせたオービスです。
地中のループコイルで速度を測定し、大型支柱に設置したデジタルカメラで写真撮影する仕組みになっています。
LHシステムは1994年に初配備されました。現在は固定式オービスの中で最も設置数が多いタイプとなっており、首都高速環状線ではトンネル内にも配備されています。
なお、LH(ループコイル・ハイスピード)システムという名前は通称であり、正式名称は「ループコイル式高速走行抑止システム」といいます。
小型版「LS型」が登場している
LHシステムは進化しており、近年はLS型と呼ばれる新型が登場しています。
LS型は撮影ユニットを路肩に設置するコンパクトタイプで、本体に2つのカメラが備わっており、2車線を同時に撮影できます。
車両移動式オービス
ワンボックスカーの車内に設置するオービスを「車両移動式オービス」と呼びます。
正式名称は「車載式速度監視記録装置」といい、レーダー式と光電式の2種類があります。
レーダー式の基本的な仕組みは、固定式のものと変わりません。
光電式のセンサーには、光を電流に変える光電現象が利用されています。
小型反射器と送受光器のセット2組を一定間隔で地面に置き、各セット間に放つ光線がさえぎられるタイミングから車速を割り出す、というのが光電式の仕組みです。
レーダー式と光電式のどちらも、写真撮影を車内のカメラで行う点は変わりません。
神出鬼没な元祖移動オービスとして活躍した車両移動式オービスですが、新型移動オービスの登場にともない、2018年ごろには廃止されています。
移動式オービス
近年は新しいタイプの移動式オービスが普及しています。
新型の移動式オービスには可搬式、半可搬式、半固定式の3種類があり、それぞれに活用方法が異なっています。
可搬式オービス
1〜2名で運搬できるコンパクトな移動式オービスを「可搬式オービス」と呼びます。
可搬式オービスは縦横1m程度のスペースに設置できるため、配備場所がほぼ限定されません。高速道路や幹線道路はもとより、生活道路やトンネル内などにも配備できます。
可搬式オービスには「LSM-300」「LSM-310」「MSSS」の3機種があり、それぞれに特徴が異なります。
LSM-300とLSM-310はレーザー式センサーを採用するモデルです。レーザースキャンにより車速を計測する仕組みになっており、使用に無線免許を要しません。
MSSSはレーダーセンサーを搭載しており、前述したKバンドのレーダー波を採用しています。
なお、LSM-300のカメラがモノクロである一方、LSM-310とMSSSのカメラはカラーとなっています。
半可搬式オービス
「半可搬式オービス」とは、バッテリー内蔵の台座に設置する移動式オービスです。
現行機種の名称は「LSM-300HK」で、基本性能は前述のLSM-300と共通しています。
半可搬式オービスは台座の重量が500Kgほどあるため、トラックがなければ移動できません。
このため機動性は低いものの、大容量バッテリーにより数日間の連続稼働ができ、無人運用も可能となっています。
半固定式オービス
「半固定式オービス」とは、路上の複数箇所にケースを備え付けて、各所に日替わりで可搬式ユニットを配備する方式のオービスです。
使用機種はLSM-310で、ストロボユニットとセンサー・カメラユニットを分離させて、横並びでケースに収めた状態で稼働させます。
半固定式オービスのケースに実機が入っているかどうかは、設置場所に近づくまでわかりません。
このため、ケースが空の状態でも一定の速度抑制効果を発揮します。
光電管式移動オービス
光電管式移動式オービスは、2020年に存在が確認されているタイプです。
前述の光電式センサーを利用するもので、違反車両の撮影は目立たない場所にカメラを置いて行われます。
上記の特徴から、光電管式移動式オービスは、車両移動式からワンボックスカーを省いたものといえます。
ただ、2020年に目撃されたものはテスト機である可能性が高く、本格導入されるかどうかは今のところ不明です。
固定型レーザー式オービス
近年は固定型オービスにもレーザー式が採用されています。
複数のタイプが確認されており、老朽化したオービスを流用するものも目撃されています。
Lp型
「Lp型」は路肩の支柱に設置するスリムなボックスタイプで、「自立型」とも呼ばれています。白い筐体にレーザーセンサーとカメラを内蔵しており、監視カメラ付きのフェンスに囲まれています。
Ls型
「Ls型」はF型支柱やトラスに設置されるタイプです。形状がLHシステムに似ていますが、レーザー式のためループコイルは使用されません。
Li型
「Li型」はループコイル式のカメラ用筐体を流用するタイプです。
古くなった筐体にレーザー式ユニットを入れたもので、ループコイル式の老朽化にともない配備数が増えていくと予想されます。
LiH型
「LiH型」はLHシステムのカメラを流用するタイプです。
路肩に設置したレーザーセンサーで計測を行い、LHシステムのカメラで撮影する方式となっています。