知識
「ETCの再セットアップ、ちゃんとしてる?」必要となるタイミングとは

車載器の値下げにより、一気に普及したETC

ETCとは、高速道路の料金所で、チケットの受け取りや支払いのために停まることなく通過できるノンストップ自動料金収受システムです。
2001年にETCの一般利用が開始されて今年で22年目。国土交通省の調査(平成24年)によると、ETCの利用率は約88%、一日約700万台にもなります。
さらに、平成13年にはアンテナ一体型ETC車載器の平均価格が約3万5,000円前後だったのに対し、平成23年には1万円弱にまで下がってきており、急速に普及しています。
ETCの普及によって、料金所付近での渋滞が解消したり、料金所で停車しないことでのCO2の排出量を削減できたり、ETCには多くのメリットがあります。
また、一部、首都高などの自動車専用道路では、ETC専用の出入口が増えてきています。
いまやETCがないと高速道路に乗り入れできないケースもあるのです。
ETCの利用前にはセットアップが必須だが……

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新たに車を購入し、ETCを使用するためには、セットアップが必要となります。具体的には、車両に取り付けられたETC車載器と、車の車両番号などの情報を紐づける作業です。
セットアップが完了すれば、料金所を通過する車両の特定が可能となり、適切な料金の収受ができるようになるのです。
例えば、新車を購入した際、一度セットアップを完了させてしまえば、それ以降はETCを継続的に利用できます。
ただしETCは、一般財団法人ITSサービス高度化機構に管理されているため、ドライバーが個人的に設定することはできません。
車載器の取り付けはドライバー自身で行えますが、ETCのセットアップ作業は、必ず指定された自動車販売店やETC車載器の取り扱い店舗などで行う必要があります。
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ETCの再セットアップが必要になることはある?

ETCは、一度セットアップすれば継続的に利用できますが、ETCの再セットアップが必要になることがあるといいます。
では、どのような場合か、自動車販売店の整備担当者に話を聞きました。
「車を乗り換える場合には、ETCの再セットアップが必要となります。この場合、車を納車する前に、販売店などがセットアップを行ってくれます。
ただし、車を乗り換えなかったとしても、引っ越しなどで住所が変わり、ナンバープレートを変更することになった場合も、同じように再セットアップが必要です。
また、車を販売店などを通さずに個人間で譲渡したり、売買したりした場合や、ETC2.0対応のETC車載器でETC2.0を利用できるセットアップが行われていない場合も、再セットアップが必要になります。」
ちなみにETC2.0とは、道路に設置された高速・大容量の通信システム「ITSスポット」を活用し、通行料金決済機能だけでなく、道路の渋滞や規制情報、災害情報などの多様な運転支援情報も利用できるサービスです。
従来のETCは、高速料金の徴収のみを行うシステムでした。それに対してETC2.0は、さまざまな交通支援サービスを受けられます。
例えば、道の駅などを利用するために高速道路から一般道へ降りても、1時間以内に同一料金所へ戻れば、高速道路を降りずに利用した場合と同じ料金(追加料金なし)になります。
また、利用料金を音声で案内してくれたり、渋滞情報をカーナビに表示してくれたりするサービスを受けることが可能です。
再セットアップの費用や時間はいくらかかる?

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具体的にETCの再セットアップ時にはどのような準備をしておけばいいのか、前述の担当者は次のように話します。
「ETCの再セットアップには、ETC車載器、運転免許証(身分証明書)、車検証の3点が必要です。
これらを準備して、セットアップが可能な自動車販売店などに依頼してください。
ETC車載器が車に内蔵されている場合は、車を持ち込む必要がありますが、後付けで別途取り付ける場合は、車を持ち込まなくても再セットアップ可能です。
再セットアップは、3,000円から5,000円前後の必要がかかります。」
ちなみに筆者が以前、車を購入した際のETCセットアップ費用は2,700円でした。
ETCのセットアップには、オンラインとオフラインの2種類の手続き方法があります。
オンラインの場合、インターネット経由でセットアップ情報を送信するため、おおむね1~2時間程度で手続きが完了し、即日利用を開始できます。
一方オフラインの場合、FAXや郵送での書類のやり取りが必要となるため、1週間から10日前後かかることが多いようです。
時間的な余裕がない場合は、オンラインで手続きしてくれる店舗を選択しましょう。オンライン手続きが可能かどうか、事前に店舗などに確認しておくことをおすすめします。
なお、ETCの再セットアップを行わなかった場合、料金所の通過ゲートが開かず立ち往生したり、正確な料金が徴収されなかったりすることがあります。
そうした事態を防ぐためにも、車を乗り換えたり、ナンバープレートを変更したりしたら、ETCの再セットアップを忘れずに行っておくようにしてください。
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ライター:室井大和