知識
「あおられてる…のかな?」車間が近い後続車…あなたは道を譲る?譲らない?

厳罰化された「あおり運転」…妨害運転罪は免停ではなく“免取”、前科もつく

©️Haru Works/stock.adobe.com
2020年6月30日より「妨害運転罪」が創設され、車間距離を詰めて前走車を威圧するなどのいわゆる「あおり運転」は厳罰化されました。
これにより、「あおり運転」で摘発されたドライバーは、妨害運転罪として免許取消2年の行政処分のほか、懲役または罰金の刑事罰も課されます。
「あおり運転」が厳罰化されたことはテレビなどでもたびたび報じられ、またドライブレコーダーの普及に伴い証拠も残りやすくなった昨今、「あおり運転」に対する世間の目は相当に厳しくなったと言えるでしょう。
しかし、「あおり運転」に対してSNSでは、“あおられる側にも問題がある”という意見も見られるようになりました。
「あおり運転」は論外だが…「あおられ運転」もたびたび話題に

©beeboys/stock.adobe.com
必要以上に車間距離を詰め、不要なパッシングや蛇行運転など、前を走る車を威圧するような運転をする「あおり運転」は、その周囲の車にも危害を及ぼすおそれがあるため、許される行為ではありません。
「あおり運転」は、「あおり運転」をするドライバーに責任があります。
しかし、SNS等にアップロードされた、「あおり運転」の被害を受けたとされる動画などでは、“なぜあおられたのか?”と「あおり運転」に発展することとなったきっかけにも目を向ける人が増えているようです。
一例を挙げると、高速道路の追い越し車線を走っているときに撮影されたものである場合、“また追い越し車線か”といったコメントが寄せられます。
これには、あおられたドライバーが適切に追い越し車線を利用していれば「あおり運転」の被害には遭わなかったと主張する人も少なく有りません。
「あおり運転」をするドライバーを正当化する理由がないのは明らかであるいっぽう、そうしたドライバーを刺激し「あおり運転」の被害を受けやすい運転が「あおられ運転」と呼ばれ問題視されているのも事実です。
次のページ▷▷▷【無自覚のうちにあおり運転をやっている場合もある?あおり運転の回避方法は?】
あなたもやってない?無自覚の「あおり運転」「あおられ運転」に注意

©Monet/stock.adobe.com
追い越し車線を追い越しに使わず、追い越しに適切な速度も出さず、走行車線と同じようにだらだらと走行を続けるといった行為が「あおられ運転」の一例としてよく挙がり、ほかにも、後方確認が不十分なままの車線変更や、不要なブレーキ操作、ウインカー操作など、周囲のドライバーを不安にさせる、または事故につながるおそれがあるなどさまざまありますが、「あおられ運転」をしているドライバーの多くは“問題がある運転をしている”という意識がありません。
交通のルールに対する認識が十分でない点や、自車も含めた周囲の状況の確認が甘いという点など、問題は十分にあるのですが、それに気づいておらず改善されないため、「あおられ運転」をするドライバーは一般的なドライバーよりも「あおり運転」の被害を受けやすいと言えます。
いっぽうで、“普段から車間距離を極端に詰める走り方をしている”、“ハイビームとロービームの切り替えを適切に行えていない”など、周囲から見ると「あおり運転」以外の何物でもないにもかかわらず、そのドライバー自身は「あおり運転」をしている自覚がない、無自覚の「あおり運転」をしている場合もあります。
「あおられ運転」はもちろんですが、無自覚の「あおり運転」も、“通行を妨害する目的”の運転ではないため、妨害運転罪には該当しません。
しかし、交通のルールに対する認識が十分でない点や、自車も含めた周囲の状況の確認が甘いという点で問題があるため、まずは自身がそのような運転を行なっていることに気づく、または周囲の人がそれに気づかせる必要があるでしょう。
周囲をこまめに確認!「おや?」と思ったらとりあえず車線を移っておこう

©tomomomokko/stock.adobe.com
安心・安全にドライブを楽しみたい場合、「あおり運転」の被害に遭うことは避けたいものです。
極端に車間距離を詰められていたりパッシングされていたり、明らかにこちらを威圧する意図が感じられた場合は、早い段階で道を譲りましょう。
あおり運転をするドライバーは急いでいるからあおり運転をするのではなく、暴力や威力によって他人をコントロールしたいがためにあおり運転をするため、あおられている時間が長引けば長引くほど、思い通りにいかない相手への憎しみが大きくなっていきます。
そのため、もっともベストなのは、接近する前に道を空けておき、ヘイトが向かないうちにやり過ごしておくこと。
走行中は前だけでなく後ろも含めた周囲の状況をこまめに確認し、後ろから速い車が接近している、または車間を詰めてきている車がいることを早めに察知し、その車からなるべく横方向の距離を取りましょう。
これでやり過ごした車のドライバーの中には、「あおり運転」をしようとしたドライバーだけでなく、前述の無自覚に「あおり運転」をしているドライバーがいたかもしれません。
しかし、どちらも危険な、トラブルのリスクが高いドライバーであることには変わらないので、先に行かせて距離をとっておくのが無難です。
ライター:MOBY編集部 高山 志郎
オリジナルサイトで読む