バンライフ
【実録怪談】ヨーロッパ19カ国・車中泊旅で遭遇した奇妙な出来事

夏になると、なぜか聞きたくなるのが「ちょっと怖い話」。
キャンピングカーで暮らしながらヨーロッパを旅している私たち夫婦は、これまで2年半にわたって各国を巡ってきました。
もちろん楽しいこともたくさんありましたが、背筋がぞっとするような出来事に遭遇することも。
オカルト系の話、不気味な人との遭遇、言葉では説明できないような不思議体験など…。
旅をしているからこそ出会ってしまった、忘れられない体験ばかりです。
夏の夜に、涼しくなりたいあなたへ。
思わずゾクっとするような旅のヒヤッと体験、聞いてみませんか?
実際に旅したからわかる!自由な旅の裏にひそむ、静かな恐怖と非日常体験

私たち夫婦はキャンピングカーに暮らしながらヨーロッパ各地を旅しています。
2023年にイタリアで旅をスタートし、これまでに訪れた国は19カ国。
自由気ままに「まるで暮らすように」旅をし、絶景の風景や人々、そして文化に触れてきました。
車中泊の醍醐味は、やっぱり「好きな時に移動し、好きな場所で眠れる」こと。
朝目覚めたらそこが湖の静けさに包まれ、夜は焚き火を囲んで星を眺め、海辺で絶景の朝日を眺めたりと、毎日が特別で、心が解放されていくようなアウトドア体験です。
しかし、楽しさもある反面、自由な旅にも「静かな恐怖」は潜んでいるのです。
夜の森の不気味な静けさ、見知らぬ土地の人影、文化の違いによる戸惑い…。
車中泊という自然との距離が近い暮らしだからこそ、時には「ゾクっとするような瞬間」に出くわすこともあります。
なかには説明がつかない、不思議で非日常的な出来事も…。
今回は、そんな旅の中で出会った”ちょっと怖い”エピソードを4つお届けします。
3人目の謎のキャンピングカー同乗者

これは、ポルトガルの山あいのRVパークでの体験です。
シャワーやトイレなど整備されていて、無料で利用できるという、キャンピングカー旅をする者にとってはまさに“理想の場所”。
私たちはその快適な空気に惹かれ、5日間ここに滞在することにしました。
キャンピングカー用スペースは8台分。
すでに数台のキャンピングカーが停まっており、すぐ隣にいたのは、50代くらいの落ち着いた雰囲気のご夫婦。
感じのよい方々で、軽く挨拶も交わしました。
ところが、私たちが到着してすぐ、なんとなく奇妙な空気を感じたのです。
その日、私は車の外でしゃがみ込み、アウトドア用品を整理していたんですが、ふと、妙な視線を感じ、隣のキャンピングカーに目を向けました。
すると、二段ベッドの小さな窓の奥で、「ササッ」と何かが動いたのが見えました。
ベージュっぽい影が、まるで枕の影に隠れるように滑り込んだのです。
「誰かいるのかな?」
最初はそう思いましたが、ご夫婦は外のベンチに並んで座り、のんびりとコーヒーを飲んでいます。
「車内に3人目がいるのかな?」と思いましたが、何か様子がおかしい…。
再び作業を続けていると、不思議な視線を何度も感じ、今度は顔を向けず、視界の端で窓の方を見てみると——
そこには、はっきりと“顔のようなもの”がこちらをジーっと覗いていたんです。
その瞬間、背中にゾワっと鳥肌が立ちました。
その後の5日間、ご夫婦の姿は日中によく見かけましたが、あの“3人目”の姿をはっきりと見ることは、一度もありませんでした。
しかし、ご夫婦が外出しているときに限って、車内から「ガタン」という物音が聞こえたり、窓の向こうに人影のようなものが動くのが見えたり…確かに“何か”は、いたんです。
でもその正体は、わからないまま。
RVパークを離れるとき、なんとも言えない背中の寒気だけが、しばらく消えませんでした。
あの時見た「顔」は、誰だったのか。
本当に “3人目”が乗っていたのか、それとも…。
音がする…スウェーデンの誰もいないはずの森でのワイルドキャンプ

それは、スウェーデンを旅していたときのことでした。
北欧には「アレマンスレッテン」という自然享受権という文化があります。
これは「誰もが自由に自然を散策して楽しむ権利がある」という文化。
いくつかのルールを守れば、山や森、湖など、好きな場所で車中泊や野営ができるのです。
この日はそのアレマンスレッテンを活かして、私たちは人里離れた森の奥の湖の前で、ワイルドキャンプをすることにしました。

日中は何組かの家族連れがやってきて、湖畔でピクニックを楽しんでいる穏やかな雰囲気の場所でした。
しかし、夜になると空気は一変!
あたりは灯りが一切なく、一歩前も見えないような暗闇。
他に車や車中泊者もいなく、完全に私たちだけ。
けれど、こうした観光にも慣れていた私たちは、特に不安を感じることもなく、夕食を終えて車内でのんびり過ごしていました。
ベッドに横になり、スマホをいじりながらのんびりしていると、夫がぽつりとつぶやいたのです。
「…ねえ、なんか音、しない?」
耳をすませてみると、外から「ザザー、…ザザー…」という音が聞こえてきました。
それは、まるで何か重いものを引きずっているような、土や落ち葉の上を、何かがゆっくりと這うように動いている音。
「え…なに?人?それとも動物…?」
私は恐る恐る窓を少しだけ開けてみました。
けれど、外は真っ暗で何も見えません。
でも、しっかり音は外で響いています。
動物なら足音や鳴き声がしてもいいはず。
でもこの音は、ゆっくりと、そしてどこか「意図」を感じさせるような不気味さがありました。
ここは森の奥。
民家も一切なく、車でしか辿り着けないような場所で、他の車中泊者もいません。
私たちは声も出せず、電気もつけられず、ただ息を殺して音が遠ざかるのをじっと待つしかありませんでした。
やがて音はゆっくりと遠ざかっていき、森は元の静けさに戻しました。
翌朝、外に出てあたりを調べましたが、足跡も、引きずった痕跡も、何ひとつ残っていませんでした。
あの夜、私たちの車のそばを通り過ぎていった“それ”は一体なんだったのか。
森に生きる動物?
それとも…自然に潜む目に見えない“何か”だったのか。
今でもときどき、あの「ザザー、ザザー…」という音を思い出すたびに、背筋がひんやりと冷たくなります。
隣の廃ホテルから異音が…

フランスのピレネー山脈付近を旅していた時のことです。
翌朝に山登りを予定していた私たちは、クネクネの続く山道を登った先にぽつんと建つ、大きな建物に辿り着きました。
それはかつてホテルだったと思われる、廃ホテル。
外観は廃墟というにはきれいすぎて、「最近まで営業していたのでは?」と思わせるほど整っていました。
ホテルの前には広い駐車場があり、登山客用に使われていた痕跡もあります。
けれど、季節はオフシーズン。
駐車場には、私たち以外の車の姿はなく、周囲にも民家などは一切なし。
迷惑をかける相手もいない場所だったので、今夜はここで車中泊をして、翌朝に登山へ向かうことに決めました。
日が落ちかけた夕方5時ごろ、車内で次の日の登山準備をしていたときのこと。
突然、ホテルの方から「ゴーン…ゴーン…」という、鈍く重い音が響き始めたのです。
まるで何かが木を叩いているような響く音。
その音は明らかに、すぐ隣にある廃ホテルのほうから聞こえてきました。
外はまだうっすら明るく、私は恐る恐る窓の外を覗いてみたのですが……誰の姿もありません。
それでも音はしばらく鳴り続き、いったん止んだかと思えば、また鳴り出す……を繰り返していました。
「まさか、誰かいる?動物じゃこんな音出せないよね…」
結局、音の正体はわからないまま。
しばらくして音はふと止まり、まるで何もなかったように、山の静けさが戻ってきました。
「これ、夜中にまた鳴ったらマジで怖いよね…」と笑いながら話したものの、怖さより好奇心が勝ってしまうのが、旅に慣れた私たちの悪いクセ。
最終的には「ま、いっか」とそのまま車中泊を決行することに。
幸いなことに、その夜は一切音もせず、静かな森に包まれてぐっすり熟睡。
翌朝は、元気よく山登りに向かうことができました。
けれど、あのとき聞いた音の正体は、今でもわからないまま。
誰もいないはずの廃ホテルで、本当は何が起きていたのか。
あの謎の「ゴーン」という音がなんだったのか、今でも不思議です。
隣のキャンピングカーから謎の唸り声?

それはスペイン海沿い近くの駐車場での体験です。
観光と車中泊を楽しむため、私たちは街中にある広めの公共駐車場にキャンピングカーを停めました。
車中泊も可能な場所で、数台のキャンピングカーが並んでいた中、私たちは1台の隣に駐車。
その隣の車には、40代くらいのフレンドリーな男性がひとり。
自作改造らしきかっこいい車で、旅をしているようで、見かけるたびに「ハロー!」と明るく挨拶をしてくれました。
けれど——その陽気さの裏に、少し不気味な一面もあったのです。
到着後、私たちは車内でPC作業をしていました。
すると突然、隣のキャンピングカーから低く唸るような声が聞こえてきたのです。
「ヴゥ〜…ヴゥ〜…」
苦しげなような、うめいているような…でも、よく耳を澄ますと、どこか一定のリズムがある。
鼻歌とは違い、言葉になっていないその声は、まるでお経?呪文?そんな風にも聞こえました。
「さっきの陽気な人からこの声…?ほんとに?」と、私たちは顔を見合わせ、思わず小声でひそひそ。
「ちょっと怖くない?隣の人ヤバい人なのかな?」「場所変えた方がよくない?」
不安と困惑が入り混じるなか——その時、突然ドアが開きました。
中から出てきたのは、やっぱりあの陽気な男性。
何事もなかったように自転車を取り出し、準備を始めたのです。
そして私たちに気づくと、「やぁ〜!ちょっと海辺までサイクリングに行ってくるよ!」と、ニコニコしながら手を振るその姿は、さっきまで不気味な唸り声を発していた人と、まるで別人のよう。
けれど彼が外に出たその瞬間、唸り声はピタリと止んだのです。
そして、小一時間ほどで彼がサイクリングから戻り、再び車内に入ったその数分後…
またあの「ヴゥ〜…ヴゥ〜…」という唸り声が始まりました。
次第になんだか、不気味な声が、何かの歌っぽくも聞こえてくる…。
「…もしかして、ただの鼻歌?音痴すぎるだけ…?」 そう思いはじめると、怖さがだんだん笑いに変わっていきました。
その夜、彼の唸り声は夜10時ごろまで続き、いつの間にか静かになり、私たちもそのまま眠りに着きました。
翌朝、彼は再びにこやかに「バイバ〜イ!」と出発していきました。
結局、あの唸り声の正体はわからずじまい。
あれが彼の癖なのか、何かの儀式だったのか、冗談なのか、本気なのか…。
私たちは「きっとただの音痴だったんだよ」と笑って旅を続けました。
でももしあの時、もう少し不安が勝っていたら、これはきっと、「ただの笑い話」では終わらなかったかもしれません。
まとめ
今回ご紹介した、キャンピングカー旅での”ちょっと怖い体験談”いかがだったでしょうか?
毎日のように移動をしながらヨーロッパ各地を巡っている分、ときには不思議な体験をすることもあります。
実はちょうど1年前にも、私たちが体験した「本当にあった怖い話」を掲載しましたが、その頃はヨーロッパを旅して1年半。
さらに約1年経ち怖い体験も増えてきました…。
不思議なことに、旅をしていると、こうした出来事に「引き寄せられる」ような瞬間があるのです。
この夏、ほんの少し “ひんやり”したいあなたへ。
ぜひ過去の体験談も覗いてみてください。
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