道路で見かける「ナマズの看板」は何を意味している?
運転していると必ず目にする看板や標識は、速度制限や道路名など、非常に多くの種類があります。
なかでも、シカやタヌキ、熊など動物のイラストが描かれている標識は、運転者に対して動物の飛び出しに注意を呼びかけるものであることが多いです。
大抵の場合、色や形などからひと目で意味が伝わるようになっていることが多いですが、幹線道路などで時折見かけるナマズの看板は”例外”といえます。
ナマズの看板は何を意味しているのでしょう?なぜナマズが描かれているのでしょうか?
「地震災害発生時の緊急交通路」を表している
この看板の出し主は各都道府県とその地域の警察。
意味は「この道路は地震災害時に緊急交通路に指定される」ということです。
緊急交通路とは、災害対策基本法第76条第1項に基づき、一般車両の通行が禁止・規制される道路のこと。
大規模災害発生時に速やかに救援や物資運搬などを行うため、緊急通行車両などの災害応急対策を行う車両以外の通行が禁止されます。
災害発生時に渋滞などによって対応が遅れることは避けなければなりません。
緊急交通路を指定することによって、緊急車両の通行を確保するのです。
緊急交通路に指定された場合、通行できるのは救急・消防や警察などの緊急車両、災害応急対策を実施する車両(標章・証明書が交付された車両)。
東日本大震災では、食料や燃料を輸送するため、民間のトラックやタンクローリーにも標章が交付されました。
平成23年3月24日までの12日間で16万枚以上の標章が交付されたそうです。
なぜ「ナマズ」が描かれる?
非常に重要な緊急交通路ですが、なぜ”ナマズ”なのか、警察関係者に聞いてみると、「地震といえばナマズというイメージがあるからではないでしょうか。また、緊急交通路であるため、目立たせるという意味もあるのかもしれません。」とのこと。
『ナマズが暴れると地震が起こる』という言い伝えがあることをご存知の方もいるでしょう。
昔からナマズは地震を予知するとも言われており、江戸時代にもナマズと地震の関係について言及されています。
科学的な実験なども行われており、「地震の前にはナマズが騒ぐ」ということに関して、明確に示されているわけではないものの、ある程度の因果関係は認められています。
少し話が逸れてしまいましたが、地震とナマズの間には一定の関係性があり、言い伝えも多く存在することから、看板にナマズが採用されているようです。
災害が起きてからでは、どの場所が緊急交通路になっているのかを把握するのは難しいでしょう。
普段から注意を促し、意識を高めるためにも、一度目にすれば強く印象に残る「ナマズの看板」は最適といえるかもしれません。
緊急交通路は、災害発生時に迅速な救助や物資輸送を行うために重要な道路となります。
街中でナマズの看板を見かけた際は、『この道路は地震災害時に緊急交通路に指定され、通行できなくなるんだな』と覚えておきましょう。
ライター:成田 佑真
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