【徹底検証】DIYで車の屋根に設置!車中泊に最適なJackery初の固定式ソーラーパネル

ソーラーパネル導入のハードルを下げる「Jackery SolarSaga 100 Prime」
ポータブル電源トップブランドのJackeryから、DIYで車の屋根に取り付けられるソーラーパネル「Jackery SolarSaga 100 Prime」が登場した。
車へのソーラー発電システム導入は色々な意味でハードルが高く、誰でも簡単にとはいかないことなのだが、Jackery SolarSaga 100 Primeはそのハードルを大幅に下げるという意味で、非常に画期的な製品なのだ。
5月30日(木)11時からクラウドファンディングが開始されるにあたり、数日間にわたって曇天、曇り、快晴などさまざまな天候で使用してみた。
Jackery SolarSaga 100 Primeとはどんなソーラーパネルなのか、その性能や使い勝手など、徹底的に検証した結果をお伝えする。
▼クラウドファンディング プロジェクト情報
【プロジェクト名】
太陽光の力で移動中でも発電できる D.I.Y ソーラーパネル 「Jackery SolarSaga 100 Prime」
【実施期間】
2024年5月30日(木)〜2024年7月31日(水)
【プロジェクトURL】
https://greenfunding.jp/lab/projects/812
車の屋根に設置可能なポータブル電源用のソーラーパネル
ポータブル式ソーラーパネルのデメリット
ポータブル電源のメーカーが提供するソーラーパネルは、しっかり固定して使用するタイプよりも、ポータブル電源同様にポータブルなタイプが多い。

これらは持ち運びがしやすく便利だが、車の屋根上などに設置して走行しながら使用することは想定されていない。
そのため、車旅で使う場合、日中駐車している間に充電することになる。
私も他のメーカーのポータブルソーラーパネルを使用した経験があるが、天気が良くても走行中は太陽光を利用できないことが勿体ないと常々思っていた。
また、ソーラーパネルとポータブル電源を車の側に置いたまま離れるのも不用心なので、結局、日中、目の届く車の近くにいる時しか充電できない。これでは活動が制約されてしまう。
Jackery SolaSaga 100 Primeの特徴

今回登場したJackery SolarSaga 100 Prime(以下、100 Prime)は、十分持ち運びも可能なサイズでありながら、車の屋根の上にしっかり固定して使えるソーラーパネルだ。
車の屋根上に固定したソーラーパネルから、ケーブルを車内に引き込んでポータブル電源へ充電できる。
走行中でも太陽光を利用して充電が可能となり、車の側から離れている時でも充電ができるので、大変合理的だ。
次のページ▷▷▷【Jackery SolarSaga 100 Primeはどんなメリットがあるのか、どれくらいの性能なのか検証結果は・・・】
車へのソーラー発電システム導入のハードル
ここまで読んで、「キャンピングカーなどの屋根にソーラーパネルを設置している人はたくさんいたじゃないか」と思った人も多いだろう。
しかし、これが色々な意味で結構ハードルが高いのだ。
100 Primeの利点や画期的であることを説明する前に、車にソーラー発電システムを導入する際の問題点を説明しておいたほうが、100 Primeの良さがわかりやすくなるだろう。
導入の難しさ:必要な機器と知識

車にソーラー発電のシステムを導入する場合、バッテリーはポータブル電源を利用するより単体のディープサイクルバッテリーやリチウムイオンバッテリーを使用するケースの方が多いと思う。
その場合はソーラーパネルとバッテリー以外にもケーブルやコネクター類、MPPTチャージコントローラーなどの充電コントローラーが必須で、交流を使うのであればインバーターも必要となる。
自分でシステムを構築するには、これらの知識も必要だ。

ケーブルやコネクター類も適当なもので良いわけではなく、見合った性能のしっかりとした規格品を正しく使用しなければ、感電や発火など甚大な事故を起こしてしまうリスクがある。
ポータブル電源の利用で問題解決か?
しかし、単体のバッテリーではなくポータブル電源を利用するのであれば、充電コントローラーやインバーターは不要となり、用意する物と必要な知識が少し減り、その分ハードルが下がる。
また、機器類が少なくなり、配線もシンプルになるため、小さな車に導入する際にも有利だ。
この2点は100 Primeの利点というより、車用のソーラー発電システムにポータブル電源を利用する上での大きな利点だ。
しかし、コネクター類はいくつかの規格が混在しているので、自分のポータブル電源のDC入力ポートに合った規格のコネクターや変換アダプターなどを用意する必要があり、そういったことに関する最低限の知識は依然必要になる。
車の屋根に設置するための技術
また、ソーラーパネルを安全確実に車の屋根に設置するには、工夫と工事の技術力も必要だ。

パネルの設置方法によっては車両の構造変更を届け出なければならなくなるケースもある。
車外に設置したパネルから車内へどうやってケーブルを引き込んだら良いのかといった問題もある。
業者にシステムの構築を依頼した場合は材料費以外に工賃が必要になるが、このように高度な知識と技術を要することなので、それが結構高額になってしまうことは避けられない。
自分で全てやるには難しいことが山積していて、かといって業者に依頼したらすごくお金がかかってしまうからと、ソーラーパネルの導入を諦めてしまっている人は多いと思う。
Jackery SolarSaga 100 Primeの性能とサイズ
高効率なソーラーパネル
Jackery SolarSaga 100 Primeは、変換効率が25%と大変高効率で、最大出力が100Wの高性能なソーラーパネルだ。

サイズ(外枠を含めた外寸)は986mm x 552mm x 29mm、重量は6kg。
面積的には畳1/3程度といったところで、持ち運びや車への積み込みも無理なくできる大きさと重量である。
屋根があまり大きくなくても、このサイズなら付けられる車種は多そうだ。
また、IP68の高い耐水・防塵性能があり、頑丈なフレーム(外枠)でガードされているので、車の屋根上にも安心して設置できる堅牢性が備わっている。
以前の固定式ソーラーパネルとの比較
下の写真の左は、以前私がキャラバンのルーフキャリアに設置して使用していたソーラーパネルで、右が今回の主役の100 Primeである。

ソーラーパネルの性能を表す数値には開放電圧、短絡電流、動作電圧、動作電流などあるが、最もわかりやすく比較しやすいのは最大出力だ。
この写真の古いソーラーパネル(左)は全体的に100 Primeよりサイズが大きく、重量も8.5kg(公表値)と重いが、最大出力は84Wなので、100 Primeの方がパワフルだ。
これは15年くらい前のかなり古い製品だが、日本の大手電気メーカー製で、当時の最先端の性能だったのではないかと思う。
技術の大きな進歩と100 Primeの性能の高さを感じる。
コストパフォーマンス
Jackery SolarSaga 100 Primeの価格は、クラウドファンディングで限定30台まで1枚 24,980 円(税込)。定価は34,800円(税込)だ。
ネット通販では据え置き型の100Wクラスのソーラーパネルがこの1/3程度の価格で見つかるため、100 Primeは少々高価に感じるかもしれない。
しかし、特に安全に大きく関わるような物を購入する際は、安全性や耐久性、性能や利便性を考慮し、他と価格を比較するよりも絶対的価値で判断した方が良いと思う。
しっかりしていて使いやすい形状のフレーム
フレームの設計

据え置き型のソーラーパネルのフレームは、アルミの角材を組んだだけのような無骨なものが一般的だが、100 Primeのフレームは大変しっかりしていて、角のない丸みを帯びた形状となっている。

この形状のおかげで、持ち運びや車内での積み込みが容易であり、使い方の幅が広がる。また見栄えも良い。
専用ブラケットが付属

さらに、100 Primeには、固定する際に必要な専用のブラケットも4個付属している。
こういった専用パーツが用意されていない場合は、適合するものを探すところから始めなければならない。
しかし、専用パーツであれば使いやすく、安全性や安心感も高いため、車の屋根上に設置する際のハードルを低くすることに大きく貢献する。
些細なことのようだが、かなり重要な部分だ。
ソーラーパネルとポータブル電源が同一メーカーであることの利点
ポータブル電源のDC入力ポートの規格はメーカーによって異なるが、同一メーカーのソーラーパネルであれば適合するコネクターが付けられているため、悩む必要もなくなり、配線もスッキリまとまる。
これも些細なことのようでありながら大きな利点だ。
また、ネット通販などで販売されている安価なソーラーパネルは、本体の耐久性が不明なだけでなく、ケーブルも風雨や紫外線に晒されるため、その耐久性についても不安がある。
しかし、同一メーカーの製品であれば、ソーラーパネルの発電能力とポータブル電源の性能に見合ったケーブルが選ばれているため、その点でも安心だ。
電気は感電や火災の危険があるため、信頼できるメーカーの製品を選ぶことで安心できる。その意味でも、ポータブル電源の一流メーカーのソーラーパネルということで安心感が高い。
接続の利便性と安全性
アンダーソンコネクターの採用

100 Primeのケーブルにはアンダーソンコネクターが採用されている。
アンダーソンコネクターは、誤接続を防ぐ仕組みがあり、防水性能も高い信頼性の高いコネクターだ。
今回使用しているJackeryポータブル電源 1000 ProのDC入力ポートはDC8020なので、アンダーソン→DC8020へのアダプターももちろん付属している。
アンダーソンコネクターの利点は信頼性の高さだけではない。
+と-が1つにまとまっており(サイズも小さめ)、ケーブルが2本に分かれていないため、配線がスッキリする。
このスッキリした配線は、特に車の屋根上に設置する際に大変有利である。
当然ながら、外に露出している部分のケーブルは、2本に分かれているよりも1本にまとまっている方が何かと都合が良い。

それだけでなく、例えば車内に配線を引き込む際に既存の配線ブーツを通す場合、このブーツを一旦一部切り裂いてケーブルを通すことになるが、ケーブルが2本に分かれていると、収まりにくくなる可能性が高い。
また、コネクターが大きい場合も同様である。そういった意味でも、アンダーソンコネクター付きの100 Primeのケーブルは、使いやすいと言える。
拡張性
また、100 Primeには複数のパネルを繋ぐ場合に必要な、並列接続用と直列接続用のY分岐コネクターや延長ケーブルなどのオプションも揃っている。(Jackery 公式サイトより購入可能)

こういったオプション類が同じメーカーで用意されていると、システムを拡張する際にも配線がごちゃごちゃしない。
わかりやすくスッキリまとまるだけでなく、安全面でも安心だ。
さらに、ポータブル電源のメーカーの中には、自社製以外のソーラーパネルの使用を推奨していない場合もある。
その場合、他社製品と組み合わせて事故が起きた際には、原因を問わず全ての責任を回避される可能性が高い。
そういった意味でも同一メーカーで揃うと安心だ。
次のページ▷▷▷【曇り、曇り時々晴れ、快晴、それぞれの天気でソーラーパネルを検証をしてみた!】
検証の準備と条件
使用した機器
では、最も肝心な実際の検証結果をお伝えしよう。

今回、電気の受け入れ側として使用したのは、Jackeryポータブル電源 1000 Pro、容量1002Wh、ACの定格出力が1000Wのポータブル電源だ。
2枚のSolarSaga 100 Primeをメーカーから借りて、1枚のみの場合と2枚使用した場合の両方を試した。
また、複数のパネルを繋ぐ場合に必要な並列接続用と直列接続用のY分岐コネクターのオプションが用意されていると書いたが、Jackeryポータブル電源 1000 ProにはDC入力ポートが2口あるため、今回はY分岐コネクターは使用しなかった。
ソーラーパネルの発電状況の確認

大抵のポータブル電源は入力電力の値が液晶ディスプレイに表示されるため、繋いだソーラーパネルがどれだけ発電しているのかリアルタイムで知ることができる。
充電される側のポータブル電源の能力にも左右されることなので、厳密にはこれだけでソーラーパネルの能力を判断することはできないかもしれないが、専門家ではないので、ソーラーパネルの性能を押し測る上ではこれで十分だと思う。
また、太陽光発電は日光の強さ、日光に対してのソーラーパネルの向きや角度に大きく左右されるが、このように表示が出ることで効率の良い向きや角度を探るのにも役立ち、非常に便利だ。
他にも大抵のポータブル電源はバッテリーの残量や満充電までに要する時間なども表示されるが、当然Jackeryポータブル電源 1000 Proもそれら全て備えている。
検証結果:天候別の発電量
幸いなことにここ数日の間に厚い雲に覆われた曇天から雲一つない快晴まで様々な気象条件に恵まれたので、日光の具合によってどんな違いが出るかも比べられたのは良かった。
では、悪い条件から順にどんな結果が出たかを報告しよう。
厚い雲に覆われた曇天
太陽がどの辺りにあるのか全くわからないような、今にも雨が降り出しそうな厚い雲に覆われた曇天では、ソーラーパネルを真上に向けても、太陽のありそうな方向に向けても大差なく、100Wのパネル1枚が発電する電力は一桁W台になってしまった。
一応発電はしているが、1000Whの容量のポータブル電源にとっては雀の涙に過ぎない。
このような天候では、残念ながらソーラー発電はほとんど期待できないという結果に終わった。
薄曇り

たまに太陽の輪郭が見える程度で「お日様が顔を出した」レベルまでには達することのない薄曇りの場合は、1枚で10Wから時に40W以上発電することもあった。
10Wから40W以上と発電量に幅があるのは、こういった天候ではソーラーパネルのちょっとした向きや角度の違いが結構大きく影響することと、雲のちょっとした状態の変化でも大きく左右されるからだ。
日中の太陽が高い時間帯なら十分役に立つレベルだが、日の出から日没まで平均して10Wから40W発電できるわけではない。
したがって、車の屋根上に平置きで設置した場合は、ないよりはマシ程度に考えたほうが良いかもしれないという結果だった。
晴れたり曇ったり
薄曇りより発電能力は断然上がるが、発電量の振り幅もさらに大きくなる。
1枚で良い時には55Wから80W発電することがあったが、少し雲が厚くなるともっと一気に下がることもあった。
この差は、ソーラーパネルの角度と方向による違いが大きい(55Wは真上に向けて平置きした状態)。
晴れたり曇ったりの状況は曖昧で、日が出ている時間と陰っている時間の割合によって大きく異なる。
しかし、1枚を車の屋根上に平置きで設置しただけでは、1日分の電力を賄えるほどの発電量にはならないと感じた。
快晴

雲一つない快晴の日に、まずは100 Primeを1枚車の屋根に平置きしてみた。
午前9時頃からスタートしたが、その時間帯の太陽の角度でも75W前後の発電量があった(5月中旬の関東地方)。

次にもう1枚を太陽の方角と日光の当たる角度になるべく合わせて置いてみたところ、なんと1枚で90Wを記録した。
発電量が最高になる時間帯より前にもかかわらず、この数値は素晴らしいとしか言いようがない。
また、太陽がどこにあるかわからないほどの曇天の時はパネルの向きや角度があまり関係なかったが、快晴の時も曇天より向きや角度による差が少ないという結果が出た。
この2枚を並列接続(ポータブル電源の2つのDC入力ポートに各々接続)したところ、すぐに166Wを発電した。
日がさらに高くなると発電量は増え、最高で180W程度に達した。

ちなみに、ポータブル電源(Jackery 1000 Pro)のバッテリー残量は午前9時頃に69%の状態からスタートしたのだが、昼食時にメーターを見たらバッテリー残量は99%になっていた。
その後、昼食用にお湯を沸かし、約10%消費したが、夕方には再び満杯になっていた。
検証後の車中泊

検証後の晩は車中泊し、2名で普段よりわざと多めに電気を使ってみることにした。
使用した調理器具と消費電力

上の写真は私が普段使用している調理器具だが、消費電力は以下の通り。
・ポット兼用の電気鍋(定格消費電力600W)
・水色のホットサンドメーカー(定格消費電力600W)
・黒いホットサンドメーカー(定格消費電力420W)
黒い方は内部の高さが高く、お惣菜の温めなどに向いている(食材が潰れない)ので、今回はこれを使用した。
鍋に10分間電気を入れても大したことはできないが、ホットサンドメーカーを5分2回転、あるいは3分3回転すれば、かなりたくさんの温かい食材をテーブルに並べることができる。

おまけに消費電力が180Wも違うと、30分間の使用で電力消費量に90Wも差が出るのだ。
話がソーラーパネルから少し外れてしまったが、湯を沸かしたり煮炊きする料理よりも、ホットサンドメーカーを使った調理や温めは非常に効率が良いのでおすすめだ。
ソーラーパネルの効果とポータブル電源のパフォーマンス

電気ホットサンドメーカーを使い、主に揚げ物や調理済みのお惣菜類を片っ端から温めまくり、半分に切ったピザをさらに半分にたたんでカルツォーネ風にして食べたり(これお薦め)、ポータブル冷蔵庫の電源も入れ、かなり電気を使った。
普段よりわざと多くの電気を消費して試してみたにもかかわらず、寝る前に確認すると1000Whのポータブル電源の残量はまだ60%近く残っていた。
普段の私の平均的な使い方であれば、快晴の日なら屋根に1枚載せた100 Primeだけで、1日分の電気は十分に賄えそうだという結果になった。
ソーラーパネル使用実験から見えた設置方法のアイデア

今回は差し当たり100 Primeを駐車中の車のルーフラックに載せただけで行った実験だったので、まだ屋根上に固定して走行中の発電を試したわけではない。
安全かつ確実な設置方法でありながら、普通に完全に固定するよりも使い方の幅が広がるような設置方法をあれやこれやと考えている。
かなり考えが固まってきたので、それが完成したらまたレポートしたいと思う。
また、今回の検証実験を通じて、ソーラーパネルを2枚使用する際の合理的な使い方や、合理的なソーラーパネルとポータブル電源の組み合わせなど、いくつかのアイデアも浮かんだ。
これらの内容も含め、またの機会に報告したいと思う。
Jackery SolarSaga 100 Primeクラウドファンディングの詳細
■プロジェクト詳細
プロジェクト名:太陽光の力で移動中でも発電できる D.I.Y ソーラーパネル 「Jackery SolarSaga 100 Prime」
実施期間:2024年5月30日(木)〜2024年7月31日(水)
目標金額:100 万円
製品情報:Jackery SolarSaga 100 Prime
【100 Prime*1枚】
定価:34,800円
・Super Early Bird:24,980円(限定30台まで)
・Early Bird:27,280円(限定100台まで)
・Value Plus:28,580円(限定100台まで)
【100 Prime*2枚】
定価:69,600円
・Super Early Bird:48,680円(限定30台まで)
・Early Bird:52,220円(限定100台まで)
【600 Plus 100 Primeセット】
定価:119,800円
・Super Early Bird:83,860円(限定30台まで)
・Early Bird:87,454円(限定100台まで)
※5年間保証期間