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【東北旅】ゲーム感覚で未知のスポットに出会える「ジャパンキャンピングカーラリー」参加レポート!
所定のスポットでスタンプを集めながら日本各地を巡り、ドライブ旅行を楽しむ「ジャパンキャンピングカーラリー」。
2025年は東北地方(一部関東・北陸)を舞台に、10月1日(水)から11月1日(土)まで1か月のラリー期間が設定されました。
例年、最終日にはゴールイベントも行われ、参加者同士が交流を深められることから、楽しみにしている人も多いそう。
今回DRIMOとしてご招待いただき、初めてラリーに参加してみました。
こんなイベントがあるとは知らなかった、気になっていたけど参加したことがない、そんな人に向けて実際のラリーの様子や率直な感想をレポートします。
「ジャパンキャンピングカーラリー」とは

ラリーを主催する「くるま旅クラブ」は、キャンピングカーユーザーのための会費制オーナーズクラブです。
日本RV協会加盟店の車を所有する人を主な対象としますが、一般車向けの会員区分もあります。
その「くるま旅クラブ」が手づくりで開催しているのが、ユーザー参加型ラリーイベント「ジャパンキャンピングカーラリー」です。
所定の参加費を支払ってメンバー登録を行い、決められた期間にラリースポットを巡ります。
ラリースポットは温泉、史跡名勝、美術館、RVパーク、道の駅など多岐にわたり、どんな人も「行きたい」と思えるスポットがあるはず。
訪問先ではスマートフォンを使ったデジタルスタンプ、または紙スタンプで訪問ポイントを集めるほか、所定の条件をクリアすることでボーナスポイントが得られる協力施設もあります。

スマートフォンからアクセスする「JCCRシステム」は、スタンプ獲得・スポット検索・マップ表示・ランキング確認・事務局への問い合せなどを一元管理できる便利なシステムです。
特別な事情がない限りはスマートフォンでのデジタル参加がおすすめです。
ランキングは随時更新されますが、上位を目指すもよし、成績にこだわらず旅イベントとして楽しむもよし。
期間内であれば、スポットを訪問する順番や日程はすべて自由です。
山形県酒田市でラリースタート

ラリースポットは各県にまんべんなく配置され、ドライブルートを組みやすい印象。
私は山形県酒田市でラリーをスタートすることとしました。
協力施設で特典を得るには、参加の証であるゼッケンまたはエントリーパスが必要なので、こちらもしっかり用意しました。
映画のロケ地「小幡楼」でモーニング

いざ出発……といきたいところですが、まずは戦の前の腹ごしらえ。
ラリースポットに登録されているのは観光名所が多いため、あいまに挟む飲食店は各自が工夫を凝らして探すことになるでしょう。
同じ街を訪ねても、おそらくチョイスがまったく異なり、旅の個性が発揮されそうな部分です。
私は酒田市を見下ろす日和山「小幡楼(旧割烹小幡)」にやってきました。

坂道に立つ鉄筋コンクリートの洋館、リペイントされてだいぶ新しい印象になっていますが、邦画ファンなら見覚えがあるかもしれません。
“納棺師”という職業に一躍脚光をあてることとなった、アカデミー賞 外国語映画賞 受賞作『おくりびと』に登場する建物なのです。
元割烹だという和洋折衷建築には、どこか無国籍で幻想的だった映画のおもかげがありますね。
リニューアルを経て現在は「ヒヨリベーカリー&カフェ」「カフェレストラン日和亭」として営業中。

かつては政治家や文人をもてなした歴史的建造物で、朝9時から食べられるモーニングは格別です。
駐車場は店舗向かいに数台あるほか、キャブコンなどの大型車は日和山公園駐車場も使えます。
詳細はこちら▷小幡楼
「山居倉庫」で初めてのスタンプゲット

続いてやってきたのは、酒田を代表する観光スポット「山居(さんきょ)倉庫」。
車社会である東北地方では飲食店も観光施設も広い駐車場を備え、繁華街を除けば料金無料も多いので駐車しやすいです。
駐車場に車を停めてJCCRシステムを起動すると、スマートフォンが自動的に現在地を把握し、スタンプ獲得ボタンが表示されました。

タップで初スタンプをゲット、訪問が認められて1ポイントが付与されました。
これは全300カ所近く設定された「デジタルスタンプスポット」で、訪問するだけでポイントが加算されます。
GPSを使ったシステムなので施設スタッフに対応してもらう必要はなく、理論上は休館日などでも近い場所にいればスタンプを獲得できます。(システム上のスタンプ獲得可能時間は別途設定されています。)
ですが、ラリーを通じた地方の観光促進や、旅の幅の広がりがイベントの本懐。
ひとつひとつの場所で、先を急がずしっかり観光するのがよいですね。
このほか37カ所の「協力施設」があり、食事・買い物・見学など所定の条件をクリアするとQRコードが提示されます。
コード読み込みにより、10ポイントのQRコードポイントを獲得。
割引やプレゼントなど特典が用意されている施設もあり、積極的に利用していきたいです。

さて、米の保管庫だった山居倉庫はNHK連続テレビ小説『おしん』にも登場した歴史的景観。
同じくラリースポットになっている「スタジオセディック 庄内オープンセット」も大規模な屋外撮影地で、山形は古くから映画やドラマと縁が深いようです。

こんな街中に倉庫群が……と不思議に思いますが、すぐ裏手の川が海までつながり、水運の要所だったのですね。
入場無料でおもに外観の見学となりますので、所要時間はさほど長くありません。
詳細はこちら▷酒田市HP
思いがけない感動のあった「本間美術館」

次なるラリースポットとして、同じ酒田市内の「本間美術館」へ。
「本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に(=本間家にはとても及ばないが、せめて殿様くらいにはなりたい)」とうたわれた豪商が酒田の本間家です。
美術品の審美眼はさっぱりな私、普段は美術館とは縁遠いのですが、ラリースポットとなっているので予備知識もないまま来てみました。
一般1,100円の入館料を支払って館内へ入ると、本間家が所有する現代美術品が展示されています。
しかし、私には美術観賞はやはり高尚すぎて……と思っていたら、思わぬ続きがありました。

入館料には庭園「鶴舞園(かくぶえん)」の散策と、別荘「清遠閣(せいえんかく)」の見学が含まれています。
この日本庭園と別邸が素晴らしかったのです。
もっとも美しく庭を眺められるよう造られた別邸は、どこにいても目の前に緑が広がり、まるで絵画のよう。

屋敷の意匠も大変に凝ったもので、階段の欄間(らんま)には「彫刻にはどこにも鳥の姿がないのに、壁に影を映すとウグイスの姿が現れる」という演出が!(意図したものか偶然によるものかは不明だそう。)

また二階では、入室時には無地に見えるのに、振り返ると金色の雲が浮かび上がる壁の細工が見事でした。

あまりに素敵な空間だったので、予定外に喫茶室でお抹茶を。
先ほど朝食をとったばかりなことも忘れ、腰を落ち着けてしまいました。
雨が降ったりやんだりの不安定な天気だったのですが、しっとりと濡れた庭園はことのほか美しく、江戸や京都の名園にも劣りません。
詳細はこちら▷本間美術館
平安時代へ思いを馳せる「城輪柵跡」

酒田市街地を離れ、少し郊外にあったラリースポットが「城輪柵跡(きのわさくあと)」。
地中から建物跡が発掘され、調査によるとどうも平安時代の国府の跡らしいということ。
現在は一部の建物が復元され、広大な歴史公園として保存されています。
往時の雰囲気そのままの地面は未舗装で、私の訪問時には池のようにぬかるんでいました。
前述のとおりJCCRシステムのGPS検知には幅があるので、必ずしも中心地に行かなくともスタンプを獲得できます。
しかし来たからには近くで見たい。

誰も見ていないのを幸いに、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら復元門まで近づきました。
資料展示などはなく、想像力を駆使して平安期のにぎわいを思い浮かべます。
詳細はこちら▷酒田市HP
パワースポット「十六羅漢岩供養石仏群」

酒田市を離れ、最後に訪ねたのが遊佐町の「十六羅漢岩供養石仏群」です。
駐車場は海沿いではなく、少し山を登ったレストハウス「サンセット十六羅漢」前に用意されていました。

歩道橋が整備され、天気がよければ徒歩で海まで降りていくことができます。
各地にある「ゴジラ岩」「亀岩」のような、自然のいたずらで偶然その形に見える岩かと思って探してしまいますが、そうではありません。

ありました、海辺まで降りるとはっきりと見分けられます。
ひとりの僧侶が死者供養と海上安全を発願し、地元の石工たちの協力も得ながら5年をかけて掘ったものだそう。
どこまでが岩で、どこからが仏像か、境界が溶け合うような不思議な光景。
誰もいない海岸は、波の音もほとんど聞こえない静かで神秘的な雰囲気に包まれていました。
詳細はこちら▷遊佐鳥海観光協会
ジャパンキャンピングカーラリーの最大の魅力
歴史が好きな人、自然や植物が好きな人、作品の聖地巡りが趣味の人、愛犬を中心に考える人……旅には好みがあります。
それ自体はまったく悪いことではないのですが、自分でプランを立てた旅はどこか似たようなルートになりがちです。
とくに自宅の近県ともなると、未知のところはたくさんあるはずなのに「もうここも、あそこも行ったしな……」と新鮮味なく感じられることが私にもありました。
けれどJCCRでは、ラリースポットのリストが未知の場所を訪れるきっかけになります。
今回も計画時点ではさほど期待していなかったのに行ってみたら素晴らしかった、という嬉しい出会いがありました。
普段の自分のプランニングなら、きっとルートに入れなかっただろう場所です。
こんな巡り合わせがあるのがスタンプラリーのおもしろさ。

また、ミッションをひとつひとつクリアするように、自分の行動でポイントがたまっていくのはゲーム感覚でワクワクするものでした。
広大な東北地方ですから、ほかの参加者に出会うことはほとんどないと思われますが、ランキングの更新により仲間の存在が身近に感じられます。
ただし、ポイントを集めることが目的になってしまうと本末転倒、それぞれの地でゆっくり過ごすことがラリーを楽しむコツかなと思いました。