車中泊
【経験談】自宅を引き払って車中泊生活する58歳。秋に車中泊するときに注意していること
車中泊はいまがベストシーズン。
夏のあいだは海水浴場の開設に合わせて駐車場が有料化されたり、夜間閉鎖になったりしましたが、秋になると多くの駐車場が24時間開放・無料に戻り、車中泊できる場所が増えます。
気温も落ち着き山間部だけでなく平野部でも過ごしやすくなります。
でも、そんなベストシーズンならではの注意点もあります。
この記事では、アパートを引き払って約2年半、車中泊生活を続けている寅造が、これまでの経験をもとに秋の車中泊で気をつけているポイントを紹介します。
夏を乗り切った僕の車中泊ライフ

暑かったですね、今年の夏。
筆者(以後、寅造)が拠点としている三浦半島は海風のおかげで都心よりは過ごしやすかったものの、それでも過酷なシーズンでした。
寅造は週に3回ほど東京・横浜で介護の夜勤をしつつ、夜勤のない日は車中泊で西へ東へと気ままに車中泊暮らしをしています。
秋に入って、ぐっと暮らしやすくなってきました。
気をつけたいポイント①車内調理・アウトドアクッキングのNGとコツ

夏のあいだは車内調理やアウトドアクッキングを控えていましたが、気温も下がり食材も傷みにくくなってきたので再開しました。
外食費が抑えられるし、何より作るのは楽しいです。
そんな車中調理で寅造が気をつけていることを紹介します。
スーパー買い出しの段取り

肉・魚は買い物の最後の最後にカゴへ入れ、会計後はすぐクーラーボックスへ。
ロックアイスを必ず一緒に入れ、パックはビニール袋で二重にして汁漏れを防ぎます。
車内での長期保存は難しいので、基本は使う分だけ購入します。
直射日光と置き場所

日中の車内は想像以上に高温になります。
クーラーバッグを窓際に置くのは絶対NG。
日陰に置いてタオルや毛布で包み、保冷効率を上げるのがコツです。
クーラーバッグの運用
ポータブル冷蔵庫がなくても頼れる相棒はクーラーバッグ。
詰め込みすぎず7割程度にとどめ、冷気の通り道を確保します。
肉や魚は一番下に置き、他の食材とは物理的に分けます。

ロックアイスが溶けて水になると漏れることもあり、底に水がたまったら、すぐ排水して水浸しを防ぎます。
手と道具の衛生管理
可能なら手洗いを、難しければウェットティッシュとアルコールで手指を消毒します。
生ものや卵に触れたら都度リセット。
まな板は使い捨て(紙パック再利用でOK)を用意し、使用前にアルコールで拭いて、使い終わったらすぐ処分します。
解凍と加熱の基本
解凍はクーラーバッグの中でゆっくり行います。
常温放置は菌が増えるだけ。

解凍したらすぐ調理し、仕上げは“加熱”です。
中心部がおよそ75℃で1分以上を目安にし、とくに鶏肉は火通りを確認しています。
不安なときは少し切り開いて確認を!
食べ方と持ち越し
食事はダラダラ続けず、目安として30分以内に食べ切ります。(20〜50℃は菌が喜ぶ温度帯)
残り物は基本持ち越さず、毎回使い切ります。
匂いや粘りを少しでも感じたら迷わず廃棄。
車中泊で体調を崩すと、移動も休養も難しくなるためです。
出発前チェックリスト
□ 手指用アルコールは常備していますか?
□ 生もの用の使い捨てまな板(or紙パック)はある?
□ 保冷剤・ロックアイスは十分?
□ 迷ったら食べない・捨てる覚悟はある?
気をつけたいポイント②焚き火をする際の注意点

涼しくなると、つい河川敷や海岸で焚き火をしたくなります。いえ、します。
ただしルールとマナーは必須。
安全に楽しむための要点をまとめます。
まず「ここで焚き火ができるか」を確認
焚き火のできる場所は限られています。
河川や海岸は公共の場所ですが、管理管轄している自治体(都道府県、市町村)や国土交通省が安全・自然保護のため利用を制限しているケースが多く、「焚き火禁止」の場所も少なくありません。
必ず公式サイトで最新情報を確認し、不明なら担当窓口へ電話で確認しましょう。
(例:愛川町 河川敷利用のマナーを守ろう!/国土交通省 川の利用案内
「直火」・「焚き逃げ」は厳禁
焚き火OKの河川敷や海岸で、よく見かけるのが「直火あと」と「焚き逃げ」。
焚き火OKの場所でも、多くは「直火禁止」です。
また、禁止されていなくても安全面や自然へのダメージを残さないために、焚き火台を使用しましょう。
そして、絶対にやってはいけないのが、焚き火をやりっぱなしにする「焚き逃げ」。
必ず完全消火し、燃え残りは持ち帰りましょう。
詳しくはこちら▷焚き逃げをしてはいけない理由について(日本単独野営協会)
後始末の基本
残った炭・灰
焚き火台に残った炭や灰はしっかり消火してから持ち帰り、可燃ごみとして処分します。
薪は燃やし切れる量だけ
大量にくべると燃え尽きるまで時間がかかり、後始末も大変。
火勢を見ながら必要量だけ追加し、灰になるまで燃やし切るのが後始末をラクにするコツです。
焚き火のあとは
いきなり水をかけるのはNGです。
高温の燃えカスや焚き火台に水をかけると、水蒸気でやけどの危険や焚き火台の変形につながります。
できるだけ燃やし切ったうえで、残ったカスは火バサミで砕いて火勢を落とし、十分に温度が下がってから処理します。
濡らした新聞紙で包み、さらに水で完全消火すると安全。
「火消し壺」があるとより確実です。(火を扱う際は耐熱グローブ必須)
気をつけたいポイント③寒さ対策は秋から必要
日中は暖かくても、山間部の夜は冷え込みます。
軽装のまま出ると危険です。
実際に僕も群馬県・赤城山で低体温症寸前まで冷えたことがあり、焦った経験があります。
赤城山でヒヤリ…低体温症寸前の実体験
数年前の秋、無料駐車場で車中泊。
冬用の寝袋を積んでおらず、毛布だけで就寝しました。
夜半に気温が急降下。
寒さで目が覚め、身体の震えが止まらなくなり「これは駄目なやつだ」と判断。
すぐに起き上がり、車外で体を動かして目を覚ましてから、エンジンをかけヒーターで加温し、平野部の道の駅まで下山しました。
装備が足りないと感じたら無理をしないで場所を替えましょう。
気をつけたいポイント④クマへの備え

今年もクマにまつわる事故があります。
幸い僕はまだ遭遇経験はありませんが「クマ出没注意」の看板を見ると「ドキリ」としますね。
たとえば神奈川県の公表情報では、令和7年(2025年)4月6日から10月14日のあいだに、ツキノワグマ(らしき動物を含む)の通報が54件、確認頭数は49頭。
相模原市緑区、松田町、清川村、厚木市、伊勢原市、秦野市、山北町、愛川町などで報告され、場所は「山中」だけでなく住宅地に近い「人里」での目撃も多数報告されています 。
参考:神奈川県HPツキノワグマ情報について

山間部での車中泊をする際は、まず自治体の最新出没情報を確認しましょう。
出没している地域には近づかない――これがいちばんの安全策。
君子、危うきに近寄らずです。
熊と出会わない、呼び込まないための注意点は先の県ホームページをよく読んでください。
まとめ
車中泊とマナーについては少し検索すれば情報はたくさん見つかります。
最近とくに意識したいのは「体感治安」です。
実際の事件・事故だけでなく、「住民が不安に感じている」ことに対して、行政や治安対策をするようになってきています。
ゴミの放置やルール無視、救急・消防の出動要請が増えたりすると、近隣の「不安」が高まり、車中泊の禁止や夜間閉鎖といった規制につながる可能性も。
警察からの職務質問が増えるのもその延長線上にあります。
だからこそ、地域の方が不安にならないマナー遵守がとても大切です。
寅造は車中泊先で地域の方とすれ違ったら「おはようございます(こんにちは・こんばんは)」と笑顔であいさつをし、きっかけがあれば軽い世間話もします。