軽バンとミドルクラスサイズのバン比較

【徹底解説!】車中泊仕様車のベースに人気の『軽バン』や『ミドルクラスサイズのバン』の魅力とは!?




ハイゼット・エブリィ・N-VANはどうか


エブリ

ハイゼット・エブリィに限らず、ごく一部の例外を除く殆どの軽自動車の大きさは、高さは別として長さと幅は軽自動車の規格いっぱいに作られている。

構造的にはハイゼットもエブリィも効率の良いキャブオーバーだが、前輪がフロントシートより前にあるところはハイエース・キャラバンとは違う。

因みに前輪がフロントシートより前にあるのがセミキャブオーバーと感違いされることもあるが、パワートレーン(エンジン・トランスミッション)が前にあってキャビン内に迫り出しているのがセミキャブオーバーだから、パワートレーンがほぼフロントシート下にあるハイゼット・エブリィはセミキャブオーバーではなくキャブオーバーとなる。

この前輪がパワートレーンや座席より前にあるレイアウトは全長の短い軽自動車のホイールベースを長くすることができ、前面からの衝突安全性に関しても若干有利に働く(と言っても前輪がフロントシート下にあるキャリィやハイゼットトラックなどの軽トラも衝突安全性をクリアしているが)。

また、重量バランス的にも良好になるメリットがあり、生産終了してしまったアクティ/バモスのリアミッドシップレイアウトには敵わないかもしれないが、運動性にも貢献するはずだ。

しかし、前輪のホイールハウスのせいでどうしても足元が狭くなってしまい、アクセルペダルが中央寄りのオフセット気味になってしまうのは唯一デメリットとも言える。

エブリィ 後ろ

フロントシートから後ろのサイズ(荷室のサイズ)は、グレードや貨物/乗用などによって違ったりもするのだろうが、カタログ上の数値では、後部座席をたたんだ時のエブリィの荷室最大フロア長が1,955mm、荷室最大高:1,240mm、 荷室最大幅:1,380mmとなっていて、ハイゼットが1,950mm・ 1,235mm・1,375mmとなっている。

まるでキャラバンとハイエースとの違いのようで、ほぼ同じと言って良いだろう。

しかし、荷室最大フロア長が1,950mmや1,955mmという数字は凄い。

全長4,400mmで小型貨物登録のNV200バネットはフロントシート後ろのパーテンションパイプからバックドアまでの長さが1,900mm、たたんだ後部座席から後ろでは1,830mm、全長が4,045mのタウンエースも荷室長は2,045mmとなっているが、たたんだ後部座席から後ろのフロア長は1,760mmだ。

幅では敵わないものの、ハイゼット・エブリィの荷室の床の長さは1クラス上のサイズの小型車のバンより勝るほどなのだ。

また、FFのためフロントシートから後ろの長さでは不利となってしまうホンダのN-VANは、運転席以外は後部座席も助手席も床下にたたんで床を全てフラットにしてしまうことで、最大2,635mmのフロア長を確保し、またFFであることの利点を活かし、室内高に至っては1,365mmと、ハイエース・キャラバンより高い凄い車なのだ。

こういった軽バンの頑張りには本当に感服する。

ホンダ バモス

走行性能に関しては、軽自動車の性能が向上し、必ずそうとも言えなくなってきたが、一般論として大きな車より長距離や長時間の走行において軽バンは不利ではある。しかし逆に小さいからこそ有利と感じる場面も多々ある。

間違って知らない狭い道に入ってしまった時の余裕が違う。

ナビもとんでもなく狭い道を案内することがあるから信用ならないことがあるし、400番代の国道などは国道だから大丈夫であろうなどと思って走っていると、途中から林道や農村の集落内の道に迷い込んでしまったのかと思うようなことがある。

漁村も集落の成り立ち自体が海を使った移動が主体になっていることが多く、集落内の道は大抵狭い(北海道は少し事情が異なるが)。海岸に近づこうと思ってやたらに海沿いの集落内の道に入ると、とんでもない目に遭うことがある。

こうした場合にやはり軽自動車の小ささはありがたい。車の通れる道なら最低軽トラが通れるようにはなっているからだ。

そして、車として駐車スペースも最小でありながら、中で快適に寝られるスペースがある。車中泊をする際には、特に田舎では目立たない方が有利に働くこともある。

こう考えると軽バンは知らないところを旅するのに最適な車とも言えるのだ。

維持費や高速料金、燃費も上のクラスのバンより大抵良いところも大変大きなメリットだが、こういったところこそ軽バンの一番のメリットだと思う。

それで結局どっちが良いのか


バモスとキャラバン

NV200バネットやタウンエースは、イメージだけハイエース・キャラバンより小さい乗用車ナンバーのミニバンとは違い、実際にハイエース・キャラバンより小さく小回りが効く。

軽自動車より長距離や長時間の走行、高速走行も楽そうで良いのだが、各々の規格内での合理性をとことん追求した4ナンバーのハイエース・キャラバンや軽バンと比べると中途半端な感じがすることは否めない。

また、軽バンも快適に寝られるスペースがあるとは言え、ハイエース・キャラバンの余裕と快適さにはやはりどうやっても敵わない。

実際、自分の愛車のキャラバンとならどこまでもいつまでも快適な旅が続けられる気がする。積める荷物の量も段違いだから、仕事の旅など荷物が多くなる場合も軽バンでは敵わない。

しかしミニマムな雰囲気に何故か惹かれる気持ちもあったり、前の項目でも述べた通りで、特に日本においては軽バンだからこそできるような旅もあるのではないかと思うと、やはり軽バンも捨てがたく、甲乙などつけられない。

マクロよりミクロに目を向けた旅なら軽バン、快適で実用性が高く、とにかく合理的な一台を選ぶならハイエースかキャラバンといったところだろうか?

2台あったらあったで、どこかに出かけようと思うたびにキャラバンで行くかバモノス君(バモス)で行くか迷ってしまう。