キャンピングカー
軽トラはすごい!シェル付きハイゼットジャンボの使い心地 -2年間使用してみてわかったこと-

軽トラを長く使ってみてこそわかることがある
軽トラの荷台用シェル Boo3(株式会社自遊空間)のアンバサダーに就任して早2年が経過した。
この2年間、DRIMOの記事の中でも度々Boo3と、それを載せているハイゼットジャンボ本体について書いてきたが、ちょっと使ってみるのと2年というそこそこ長い期間使用してみるのとでは感想が異なり、長く使うことによって改めて感じるようなことも少なくない。
2年乗ってみてハイゼットジャンボの自動車としての魅力も大いに感じているが、今回は2年間車中泊にも仕事にも徹底的に使ってみた、軽トラの荷台とシェルに関する感想などをまとめてみた。
軽トラを車中泊用に検討中の方の参考になれば幸いだ。
軽トラはタイヤハウスがなく、3方が全開になる荷台の利点
ピックアップトラックと軽トラのデザインの違い

北米や日本のピックアップトラックの荷台は、後ろ(リアゲート)は開くが、両サイドの立ち上がり部分は開かないスタイルが一般的だ。
このスタイルはキャブと荷台が一体感のあるスタイリッシュなデザイン(実際にはキャブと荷台は別体のタイプの方が多い)にすることができる。
それに対し、現在の軽トラはキャブと荷台の一体感のない無骨なデザイン(昔はそうではない軽トラもあった)だ。
個人的にはこの無骨さも魅力に感じるが、スタイリッシュでないことは確かだ。
タイヤハウスと荷台のフラットさ

しかし、一般的にピックアップトラックの荷台は、内側にタイヤハウスを設けることによって、荷台の床面地上高を低くし、荷物の積み下ろしをしやすくしている。
なので、タイヤハウスの出っ張り部分は荷台の横幅が狭くなってしまうが、軽トラの荷台は床面全体がホイールより上にあるため、床面全体がフラットで、ほぼ全面に渡って同じ幅となっている。
3方開閉できる軽トラの荷台
そして、ピックアップトラックの荷台がリアゲートしか開かないのに対し、軽トラの荷台はキャブの背面以外は全て開けることができることも大きな特徴だ。
こういった違いは、使ったことのない人はあまりピンとこないかもしれないが、この荷台のスタイルの違いによる使い勝手や効率の違いは非常に大きいので、まずはその辺りについて解説しよう。
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軽トラは荷物の積み下ろしがしやすく、無駄がない
荷台の積み下ろしやすさの違い
リアゲートしか開かない荷台の場合は、重い荷物や大きな荷物は基本的には全て後方から積み下ろしすることになる。
荷台の奥の方(キャブ側)に荷物を載せるには、リアゲートから積んだ荷物を前方へ移動させなければならないが、その際自分自身も荷台に上がらなければならなくなってしまうことも多い。

そして、アウトドアスポーツをすることが目的で車中泊やキャンプをする人も多いが、折り畳み自転車、フォールディングカヤック、インフレータブルSUPなどは、畳めるとはいえ、サイズはそれなりに大きく、重量もそこそこ(10kg~30kg程度)ある。
それらをいちいち荷台に乗って奥まで押し込んだり、積み上げたり(下ろす際はその逆)する作業は結構な手間でもある。
サイドのアオリも開けることのできる軽トラの荷台なら、横からも荷物の積み下ろしができるので、そういった手間や労力を省くことができる。
収納効率の違い
また、例えばキャンプの荷物をコンテナボックスなどに収納する人は多いが、床面積が同じであっても、タイヤハウスがあると、箱状のような形の決まった物は上手く収まらなくなってしまう。
全面が平らな荷台とタイヤハウスのある荷台とでは収納効率にも大きな差がついてしまうことが多い。
床面の高さの違い
タイヤハウスを設けることで荷台の床面地上高を低くしているとは言え、現行のハイラックスの荷台床面地上高は845mmある。
それに対し、軽トラはホイールが径は小さいため、荷台の床面がホイールより上にあるといっても、床面地上高が60cm(腿くらいの位置)程度しかなく、ハイラックスより約25cmも低いことになるのだが、荷台の床面の低さも体にとっては正義でしかない。
実際の利便性と体験談
こういったことは経験しなければ、ささいな違いと思われそうでもあるが、長くピックアップトラックの使用経験(初代の4WDトヨタハイラックス、マツダプロシード、日産サニートラックなど)もある者からすると、実際の利便性には非常に大きな違いがあることを感じる。

慣れてしまうと、横の開かない荷台に戻ることなど難しく感じるほどの違いだ。
また、全てのアオリ開ければ、テーブルや作業台代わりに使うこともできるといった利点もある。
軽トラは寝床として利用する際にも断然有利
床面のサイズ
荷台の床全面がフラットなことは、荷物の積載に関して有利なだけではない。
荷台で寝ようと考えた場合にも非常に大きく影響する。
現行の軽トラの荷台は内寸幅が1,410mmあり、ほぼ全面に渡ってこの幅が確保され、スタンダードキャブの荷台の床面の最大長は2,030mmある。
現在軽トラを製造しているメーカーはダイハツとスズキの2社のみとなってしまったが、この寸法は全く同じだ。
そして、私も使用しているダイハツのハイゼットジャンボや、スズキのスーパーキャリイのようなストレッチキャブの場合は、キャブの背面から後ろのアオリまでの長さはスタンダードキャブより短くなってしまうが、荷台がキャブの下に潜り込んでいるため、床面の長さは1,900mm以上確保されている。
荷台にテントを張ることも可能!

十分寝られるサイズというより、これはちょうどダブルベッドのマットのサイズに等しい。
荷台にシェルを載せるか幌をかければ、荷台が即ダブルベッドサイズの寝室になってしまうということになるが、1人~2人用のテントを張ることもできる(ハイゼットジャンボやスーパーキャリイの場合は工夫が必要)広さなので、普段は荷台をそのまま使用し、寝る時だけ荷台でテント泊をするなどといった使い方もできる。
ハイラックスの場合
それに対し、全幅が1,910mmもあり、軽トラより外寸の幅が40cm以上大きく(軽トラの全幅は1,475mm)、全長に至っては軽トラより実に1.4mも長い。
現行のダブルキャブのトヨタハイラックス(日本ではダブルキャブのみ正規販売)の荷台は、リアゲートの開口部の幅が1,380mmで、タイヤハウス間の荷台の狭くなった部分の幅は1,105mmしかない。
1,105mmでは大人が2人並んで寝るのには少々狭いが、前後方向の長さは1,565mmしかないため、成人男性の多くが足を伸ばして真っ直ぐに向いて寝ることができないことになる。
ハイラックスを槍玉に上げたような形になってしまったが、本当に軽トラの荷台は合理的だということだ。
軽トラに積める荷物量はピックアップトラックに匹敵
また、バック・トゥ・ザ・フューチャーの時代のピックアップトラックはシングルキャブが主流で、主人公のマーティーが乗っていたのはシングルキャブのトヨタSR5(日本名ハイラックス)だったが、現在は北米でもダブルキャブが主流になっているため、シングルキャブより短めの荷台が多くなっている。
そのため、全長が軽く5mを超え、幅が2mを超えるフルサイズのピックアップトラックに積める荷物の量が、軽トラと大差ないようなことも起こり得る。
日本の軽トラ凄すぎる。
ちなみに、最初に「北米や日本のピックアップトラックは…」と書いた理由は、オーストラリアなどではランドクルーザーのピックアップなどの荷台も、結構昔から軽トラのようなスタイルの荷台の方がポピュラー(10年ほど前に日本で限定販売された70ピックアップの荷台はタイヤハウスのあるタイプだった)だからだ。
オマケに、キャブの幅より広いような荷台も多い。
軽トラ用の荷台シェル
次に軽トラ用のシェルについてと、Boo3付ハイゼットジャンボを2年間使ってみて知り得たことや感じたことなどをお伝えしよう。
軽トラのシェルには、下の写真のような床面までつながった箱状のタイプと、床のないアオリから上の部分だけのタイプがある。

床付の箱ごと荷台に載せるシェル
床付の箱ごと荷台に載せるタイプの利点は、箱ごと荷台から下ろすことができるため、内部を本格的なキャンピング仕様に作り込んでも、車検時は箱ごと下ろせば全くノーマルな状態に戻せるため、構造変更届を出さずに済み、内部をいじった車両を車検に出す際の諸々の煩わしさから解放されることだ。
また、普段は普通の無蓋の軽トラとして使用し、旅に出る時だけ家(床付のシェル)を積んで行くといったような使い分けができるのも大きな魅力だ。
しかし、アオリから上の部分だけのタイプより重量が相応に嵩んでしまい、走行性能への影響が大きくなってしまうことは否めないと思う。
アオリから上の部分だけの床のないシェル
アオリから上の部分だけの床のないシェルは、大きく分けると2タイプある。
シェルをアオリの上に載せて固定するタイプ(ピックアップトラック用のFRPシェルなどもこのタイプ)と、荷台の床からフレームを立ち上げ、そのフレームに天井とパネルを固定するタイプだ。
床付の箱ごと荷台に載せるタイプやアオリの上に固定するタイプは、荷台の床からフレームを立ち上げるタイプより自作はしやすいと思う。

しかし、どちらも側面は、窓のような部分を設けて部分的に開けられるように作ることはできても、軽トラ本体の側面のアオリを開けることはできなくなってしまう。
私がアンバサダーを務めてきたBoo3は荷台からフレームが立ち上がっているタイプだ。

このタイプは、3面全てのパネルを開けることができるだけでなく、3面のアオリも全て開けることができるように作ることができ、重量も比較的軽く作ることができる。
しかし、頑丈に作るために金属製のしっかりしたフレームを組む必要があり、溶接なども必要になるため、自作は難しいと思う。
3方が全開になるシェルの魅力
各々のタイプのシェルに利点があるが、荷台からフレームが立ち上がっていて、3面全てのパネルとアオリを開けられるタイプの1番目に挙げられる利点は、先ほど書いたような、軽トラの荷台の特徴をほぼ全て活かすことができることだ。
しかし、他にも色々と魅力があり、一台で多用途に使えることが大きな魅力だ。

軒下を作ることができる
Boo3はパネルを開くだけで、雨や日射を防ぐ「軒下」を簡単に作ることができる。

VANのテールゲートも同じ役割を果たすが、Boo3は3面開けられるため、クルマの向きを変えることなく、太陽の方向や風向きに応じて都合の良い方向に軒下を作れてしまうのが大変便利だ。
そして、Boo3は車高がノーマルのままなら全高が2mを切るサイズに作られている(キャリアをつけると2.2m近くになる)ので、大抵の地下駐車場や自走式の立体駐車場は問題なく利用できる。
しかし、長く使用してみて感心しているのは、実はそれよりパネルを開けた時にできる軒下の高さだ。
軒下の高さはちょうどいい
軒下の高さは1.9m程なので、大谷翔平選手は縁におでこをぶつけてしまいそうだが、一般的な身長の人ならそれもなく、傘をさした時のような高さなので風が吹いていても雨の吹き込みが少なく、日陰も作りやすい絶妙な高さなのだ。
また、カーサイドタープよりサイズは小さいが、大袈裟でなく目立たないことが逆に都合良く、設置の手間なども全くない。

カーサイドタープを出すのがはばかれるような場所でも、問題なく軒下を作れるのは大変ありがたい。
リアゲートのナンバープレート凹みの雨水問題が解消
この「軒下機能」についてもう一つ付け加えておくことがある。
キャラバンやハイエースなどのリアゲートはナンバープレートの周囲が凹んでいて、雨天にリアゲートを暫く開いたままにしておくと、この凹みに結構な量の雨水が溜まってしまう。

経験している人も多いと思うが、うかつにリアゲートを閉めると頭から思い切り水浴びをすることになってしまうのだ。
平らなパネルの場合はこんな目に遭わないことも、地味ながら大きな魅力だ。
屋根の断熱性
夏を2回経験してみて、Boo3の非常に大きな利点を実感していることがある。
それは屋根の断熱性の高さだ。

外観からではわからないことだが、Boo3の天井にはぶ厚い断熱材が入っている。
そのため、Boo3の荷室内は、酷暑の中でも普通の車内のようには暑くならない。
色がシルバーであることも有利に働いているのではないかと思うが、とにかく軽トラの狭いキャビン(しかも黒)と比較したら、内部の温度に雲泥の差が生じることを実感している。
熱に弱いアイテムの保管場所として活用
それを知ってから、リチウムイオン電池の内蔵されているライトや、虫除けのスプレー缶などの小物類も、夏はキャビン内に置かないようにし、日差しの強い日に少し長い時間駐車する際には、他の荷物も極力荷台に置くようにしている。
しかし、最も安心感が高いのはポータブル電源に対してだ。

ポータブル電源は高温になるところに放置してはいけないことになっているが、駐車中に車内の温度が上昇してしまうことは避けられないことなので、ワンボックスと呼ばれるVANは、車内全体が一部屋なので避難させる場もなく、気にしていたら、夏の車中泊旅にポータブル電源は持ち出せないことになってしまい、現実的ではない。
天井の断熱は重要
日中少し長い時間VANから離れる際はやはり少々心配になっていたが、Boo3ならあまり気にかける必要がなくなったことも大変大きなアドバンテージの一つとなっていると感じている。
また、このことから学び、自分のキャラバンの天井の断熱も再度見直そうと思っているが、自作のシェルを作る際にも天井の断熱を念入りにすることを強くおすすめする。
風通しが良い

例えば、上の写真はパネルを閉めてロックしておく部分をアオリの外側に出してパネルを下ろしているだけだが、隙間ができて、このようにしておくだけでも空気の通りは良くなる。
また、下の写真のようにパネルは閉めた状態にしてアオリだけ開けておくことも可能なので、この方がより空気は抜けやすくなる。

どちらの場合も嵐のような状態でもなければ雨を凌げるので、暑い季節の車中泊には大変便利だ。
就寝中に外から開けることができてしまうため不用心になってしまうという欠点はあるが、それは内側からロープをかけるなど工夫次第で解決できることなので大きな問題ではない。
燃費も問題ない
高さがあると、風の抵抗を受けて燃費に悪影響しそうだが、ネット上で見かけるシェルなしのハイゼットジャンボのインプレッションなどと比較しても、劣っていないので、幸い燃費に大きな影響はないようだ。
シェルなしの荷台は逆に空気の流れが乱れて燃費に影響するといった説もあるので、それで相殺されているのかもしれない。
シェル内の高さ
また、先ほど絶妙な全高と書いたが、室内の高さはオプションの4cm厚のしっかりとしたウレタンマット(クッション性だけでなく、このマットのおかげで夏は地面から照り返しの熱、冬は底冷えを防ぐことができることも大いに実感している)の分を差し引いても128cmある。
この高さは、肩を屈めパンツを履き替えることができる高さなので、そういった意味でも絶妙だ。

また、畳まない自転車も楽に積み込める高さでもある。
そして、壁(パネル)が垂直に立ち上がっているため、同じくらいの室内高のあるVANよりさらに広いように感じる視覚効果もある。

私は借り物なのでシェルに直接手を加えずに使用しているが、内面に板を貼るなどの、手も加えやすそうな構造だ。
軽トラが向かない人
軽自動車の安全基準はどんどん厳しくなっているが、現在の厳しい安全基準をクリアしていても、キャブオーバースタイルが前面からの衝突に対して、ボンネットの下にエンジンが収まっているスタイルより不利であることは否めない。

だが、キャブオーバーを否定してしまうと、ハイゼットカーゴ/アトレーやエブリイ(どちらも座席より前に前輪があるが、中は空洞なので強度に関しては座席下に前輪があるのと大差ない)、ハイエースやキャラバンやタウンエース、カムロードまでも選択外となってしまう(NV200バネットやN-VANはFFなので一応この問題はクリアしている)ので、車中泊向きの車両の選択肢は大幅に狭まってしまうことになる。
軽トラ+シェルは日本の車中泊旅には本当に便利で使いやすい。
極論を言えば、軽トラを選ばない(選べない)理由があるとしたら、キャブオーバーであることだけではないだろうか。