軽トラの走行性能は高速走行や長旅にも向くのかをご紹介

軽トラの走行性能は高速走行や長旅にも向くものなのか?



軽トラのエンジンはパワー不足?


前回「軽トラのキャビンは長旅に耐えられるものなのか?」の記事では、狭くて居心地が良くなさそうな印象を抱かれてしまうことがある軽トラのキャビンが、長旅で通用するものなのか、少し古い軽トラと比較もしながら現在の軽トラのキャビンの実態をお伝えした。

前回の記事はこちら

長距離走行では運転席の居住性も大変重要だが、長時間の走行でクルマがバテてしまったり、エンジンの力不足で運転手がストレスを感じてしまったりするようでは長旅に使うのは厳しい。

そういった走行性能のような点ではどうなのか?

今回の記事では、実体験を元に軽トラの走行性能が高速走行や長距離走行に向くものかといったことについてお伝えしたいと思う。

軽トラを旅クルマとして使うことを検討中の方の参考になれば幸いだ。

最近の軽トラのエンジンについて


エンジン

走行性能について語る上で、当然エンジンは要の一つとなる。

まずは現行の軽トラのエンジンについてざっと説明しておこう。

事あるごとに何度か書いているが、現在軽トラを製造しているメーカーは寂しいことにダイハツとスズキの二社のみとなってしまった。

他のメーカー名でも軽トラは販売されているが、それらは皆ダイハツハイゼットトラックかスズキキャリイのOEMだ。

スズキキャリィ

そして、スバルが自社でサンバーを製造していた当時(現在のサンバーはハイゼットのOEM)は4気筒スーパーチャージャー付エンジン搭載モデルなどというのも存在したが、現行2車種のエンジンはどちらも3気筒660ccのNAのみで、ターボチャージャーなどの過給機付エンジンを搭載したモデルはない。

ハイゼットジャンボやスーパーキャリイにはターボ付きがあっても良さそうと言うか、あれば人気が出そうな気もするのだが、残念ながらない。

しかし、軽乗用車の車評などでは、「高速道路を走行する機会が多いならターボ付きモデルを選びたい。」といったようなことが書かれていることが多い。

ターボ有りと無の両方あればそうとでも言いたくなるかもしれないが、ターボがなければ高速走行には向かないのか?

景色

その真偽については後述するとして、その前に現行2車種のエンジンの概要を見てみよう。

諸元表を見ると、現行のハイゼットに搭載されているエンジンの最大出力は34kW[46ps]/5,700rpm、キャリイが37kW[50ps]/6,200rpm

最大トルクはハイゼットが60N・m[6.1kg・m]/4,000rpmでキャリイが59N・m[6.0kg・m]/3,500rpmとなっている。

グレードやトランスミッションの形式が違っても、どちらもエンジンはこれら一種類のみだ。

数字を見た限りではどちらも正直なところ力強そうには見えない。

最大出力はキャリイの方が少し大きいことになっている。

しかし、ハイゼットの方が500rpm低い回転数で最高出力が出ることになっているので、実際のところ実用域の回転数でどちらの方がパワーがあるように感じるか微妙だ。

逆に最大トルクはハイゼットの方が僅かに大きい。

しかし、これも出力と同様で、最大トルクの小さいキャリイのエンジンの方が低い回転数で最大トルクを発揮するので、これも実際にはどちら方が力強く感じられるかわからない。

双方を乗り比べたこともないし、ギアのセッティングなどでも全然感じ方は変わってしまうので何とも言えないが、はっきり言ってエンジンの性能に大差はなさそうだ。

軽トラ

少なくとも4気筒だったサンバーのエンジンとの違い程の差異はないのではと思う。

そして実際にハイゼットを使っていての感想だが、パワフルとか吹け上がりが良いと感じるようなものではないが、数字から受ける印象より十分力が感じられ、過不足はない。

次にエンジンの搭載位置だが、「軽トラのキャビンは長旅に耐えられるものなのか?」の記事でも書いた通り、ハイゼットもキャリイもエンジンは前輪より少し後に搭載されていて、ハイゼットの運転席下辺りにはラジエターなどがある。

ラジエーター

この「前輪より少し後」の利点については「軽トラのキャビンは長旅に耐えられるものなのか?」に書いたので、そちらでご確認いただきたい。

因みにスバルが製造していたサンバーは後軸の後ろ、ホンダのアクティは後軸の前と、エンジンがキャビンから離れたところに搭載されていた。

そのため、前者は農道のポルシェ、後者は農道のフェラーリなどと呼ばれたりしていたが、多くの一般ユーザーにとっては、重量バランスや運動性能やトラクション云々より、エンジンの熱や音がキャビン内に伝わりにくいことの方が、より実感のある利点となっていたと思う。

しかし、メカニズム的に特徴的だったこれら2車種が消えてしまったことは残念な限りだ。

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