キャンピングカーでテレワーク、快適にできるのか。課題続々!
ここ2年くらいの新型コロナウイルスの流行もあり、テレワーク、ワーケーション、モバイルオフィスといった、会社のオフィスから離れた場所で密を避けて働くスタイルが注目されました。
北海道在住の筆者の仕事は、フォトグラファー兼ライター。
ファンルーチェというキャンピングカービルダーのヨセミテスポーツというキャンピングカーを所有しています。
ヨセミテスポーツは、トラックベースで居住スペースを大幅に架装しているキャブコン(キャブコンバージョン)タイプの大型のキャンピングカー。
この車内を仕事場として頻繁に活用しています。
本記事では、なぜキャンピングカーの車内で仕事をしているのか。
必要な設備は。
電力やネット環境はどうしている?
問題点や課題は。
実際に体験している者としての素直な意見や感想を紹介したいと思います。
目次
いつかは日本中、世界中を車旅しながら仕事がしたい!
現実問題! 筆者が夜中にガサゴソうるさくて迷惑
「I Have a Dream」(私には夢がある)。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師ではありませんが、キャンピングカーを購入したときから、筆者には夢があります。
それは「日本全国、できれば世界中をキャンピングカーで自由に旅をしながら、仕事をして、旅の中で生きて行くこと」。
インターネットとテレワーク化の進行で本当に実現できそうです。
そのために筆者は、自分の仕事であるレビュー記事の執筆や商品の撮影を、キャンピングカーの中だけでできるように試行錯誤して設備を整えています。
かなり充実した設備になってきたので、そろそろテレワークしながらの車旅へ、と行きたいところですが……。
息子の保育園の送り迎えや妻の仕事の都合といったものもあります。
家庭と息子は妻に任せて、私だけあちこちへ出かけるというわけにもいきません。
だからというわけではないですが、まず目下の問題を解決するためにキャンピングカーを活用しています。
目下の問題とは、
筆者が真夜中に原稿を書きたがること。
世の中が寝静まったような時間帯にもっとも仕事に集中できるというよくないクセがあるのです。
そのため、丑三つ時にガサゴソとキッチンでコーヒーを淹れたり、ドアを開け閉めして動き回ったりすると、気を付けていても妻や子どもを起こしてしまいます。
そこで、自宅の横に「離れ」のように止めてあるキャンピングカーを「仕事部屋」として活用。
実際、いま読んでいただいている、この原稿もキャンピングカーの中で書いたものです。
そんな筆者が「いつか実現できるであろう夢の移動オフィス」のために、工夫している点をお伝えします。
「ネット」「電気」「パソコン環境」が3大問題
キャンピングカーを原稿を執筆するオフィスとして考えるとき。
おそらくブログやSNSを更新しながら、旅をするにしても、生活関連を除くと仕事関連の大きな問題は3つだと思います。
ひとつは「ネット」。
インターネット環境がないとせっかく書いた原稿も公開することができませんし、もっと具体的には納品(原稿の送信)もできません。
次に「電気」。
インターネットやパソコンを使うためにも必要ですし、暖房設備のFFヒーターを動かすのにも必要です。
最後に「パソコン環境」。
自宅のようにハイスペックなデスクトップパソコンに4Kの大画面モニターをつないで、といった環境はスペース的にも、消費電力的にも不可能です。
これらをどうしているのか? 筆者の現状を紹介します。
インターネット回線の使い分けが重要なポイント
現在、筆者のキャンピングカー生活におけるメイン回線は、ポケットWi-Fi(写真:上)です。
3日間で10GB以上使用すると速度制限がかかりますが、止まることはないタイプ。
キャンピングカーを仕事部屋として使っているときに筆者が動画を見ることはまずないので、速度制限がかかることはほぼありません。
普段は特に不満はないのですが、ちょっと郊外の道の駅やRVパーク、オートキャンプ場は圏外のことが多いのが弱点。
携帯電話回線を使うタイプのサービスに乗り換えるべきか検討しています。
家族で出掛けたり動画をみたりするときは、可能な限り道の駅やRVパークのフリーWi-Fiを使うようにしています。
これらはキャンピングカーの車内からはうまく使えないことがあるので、駐車位置などに注意が必要です。
ポケットWi-Fiも、フリーWi-Fiも使えない環境では、携帯電話のデザリングを使うこともありますが、こちらは容量や料金の問題もあり、あまり使っていません。
筆者は非常用と考えていますが、どうしても旅先でも動画がみたいという方は、ネット回線を利用しないワンセグのテレビ「3インチポータブル ワンセグTV / AM・FMラジオ KR-006AWFT」やiPhoneやiPadでワンセグテレビがみられる「モバイルワンセグチューナー KR-012AP」など(写真:下)などを用意しておくのもよいでしょう。
筆者の住む北海道は特になのかもしれませんが、RVパークやオートキャンプ場、郊外の道の駅などは、通信環境が整っていないことも多いので、複数の通信方法を準備しておくのがおすすめです。
どこでどうやって充電するか? が最大の課題
自宅の横の駐車場で「離れ」の「仕事場」として使っている分には、家庭用電源をつなげばよいだけなので、「電気」の問題はほぼ発生しません。
また、筆者のキャンピングカーの場合、クーラーや電子レンジといった大容量の電気を必要とする装備もないので、さほど電気は食わないのです。
しかし、それでも旅先でキャンピングカーをオフィスにして仕事をすると考えると「電気」は重大な問題です。
有料でまったく問題ないので充電をさせてほしいと思っても、電源が使用可能なRVパークやオートキャンプ場といった施設は、季節にもよりますが思ったほど多くありません。
特に冬の北海道などは冬季休業の場所も多く、本当に困ります。
この対策として、筆者はキャンピングカーにガソリン式の発電機(写真:上)を積んでいますが、実際に旅先で発電機を使って充電のできる場所を確保するのは、かなり難しい。
運よく、そんな場所をみつけたときは、しっかり充電するようにしています。
太陽光発電などもあるのでしょうが、冬の北海道ではあまり期待できないでしょうし、現在筆者が期待しているのは、EVステーションで充電可能なポータブル電源。
すでにいくつか出ているのですが、超大容量でお値段が数十万円とちょっと筆者の使用目的と合致しないという印象です。
さほど大容量でなくていいので、比較的リーズナブルなEVステーションで利用可能なポータブル電源が発売されることに期待しています。
現状、旅先で長期に渡って、電気を簡単に確保する方法は、筆者も確立できていません。
これは夢の生活を実現するための大きな壁ともいえるでしょう。
電気の入手が困難なら、使う量を節約するしかありません。
そこで筆者が行っているのが、できるだけDC(直流)からAC(交流)への変換を行わないこと。
実はポータブル電源内部でもDCで蓄えられた電気をACにするだけで10〜25%程度の損失があるといわれています。
そのため、筆者はノートパソコン(MacBook)を動かすときも、キャンピングカーのバッテリーを使うときは、付属のACアダプターではなく、PD対応(USB Type-Cコネクタに対応)のシガーソケット(写真:下)から電源を取っています。
筆者のキャンピングカー生活の場合、パソコン関連がもっとも電気を食うアイテムなので、これだけでもかなり違いを感じるのです。
車内でも大画面モニターを使いたいが……
実は筆者は自宅では60インチクラスの4Kテレビモニターにデスクトップパソコン、大容量の外付けハードディスクと、パソコンを置いている部屋とそれ以外で室温が確実に異なるほど、大量の電気を使い熱を発生するパソコン環境で作業をしていました。
そのためキャンピングカーでも、パソコン本体はノートパソコンで我慢しても、サブモニターは30インチクラスなので大型モニターを使いたいと、何度か持ち込んだのですが、家庭用交流電源で使用することを前提としたモニターは、消費電力が大きすぎて使い物になりませんでした。
そこで、消費電力が数Wで済むモバイルモニターを導入しました。
さすがにモバイルバッテリーなどでも駆動することを前提としているモバイルモニターは消費電力も少なく、電力的な問題はありません。
しかし、キャンピングカーのキャビンにあるテーブルに配置してみると、ノートパソコンと並べて置くには場所を取り過ぎるのです(写真:上)。
この問題を解決するために、次に筆者が導入したのが、現在使用中の「Kenko モバイルモニター KZ-13MT」(写真:下)。
ノートパソコンに取り付けて一体化することで、配置スペースを少なくしてくれるタイプの製品。実勢価格は13インチのモバイルモニターで4万円前後とかなりよいお値段です。
ですが、キャンピングカーの中という限られたスペースで快適にディアルモニター環境を実現してくれるので、非常におすすめといえます。
永遠に改良可能だからキャンピングカー生活は楽しい
キャンピングカーのキャビンのテーブルの上にパソコンを広げては原稿を書き、背景紙などを広げては写真を撮影している筆者。
いろいろ調べ、試す度にもっと快適にできる可能性を感じるわけです。
まあ、それがキャンピングカーの楽しさともいえるのではないでしょうか。上に掲載した写真は、写真を撮影するときにパソコンなどを移動するためのテーブル。
100円均一ショップ・ダイソーの製品で「折り畳みテーブル」は税込でわずか550円です。
これがあるかないかでキャンピングカーの中での作業効率が劇的に変わります。
まだまだ車内でのテレワークに便利な製品やサービスはあるし、今後も新しく出てくるでしょう。
例えば「ネット」はカバー範囲の広い携帯電話キャリア系の回線が使えて、デザリングでのデータ使用が無制限といった条件で価格的に問題のないサービス。
「電気」については、EVステーションのように全国津々浦々にあるスポットで充電が可能な手段やそれに代わる方法。
「パソコン環境」は、実はすでに気になっている一体型タイプのトリプルタイプマルチモニターや外付けハードディスクから外付けSSDへの変更など。
これらをひとつずつ試しながら、より理想的な環境に近づけていくしかないようです。
その様子は、また別の記事として、みなさんにご紹介できればと思っています。
夢の旅に出るためには、まだまだ試すべきアイテムも多く、時間も掛かりそうですが、もしかすると、こうして試行錯誤している時間がいちばん楽しいのかもしれません。