自然の中に停まったキャンピングカー

食わず嫌いはもったいない!トレーラーは意外とハードルが低い?!



ヨーロッパでもアメリカでも、キャンピングカーの登録台数は「トレーラー」が圧倒的に多い。が、どういうわけか日本での人気はいま一つ。最近でこそ少しずつ上向いているが、まだまだ少数派といえるだろう。

メリットはたくさんあるのにもったいないなあ、と思うが、敬遠されがちな一番の理由は正しく理解されていないからだろう。

多くの人が「単なる誤解」から避けているキャンピングトレーラー。食わず嫌いはもったいないのである!

よくある誤解がこれ!


誤解その1:免許について




まず一番多いのが「けん引免許持ってないんで……」である。

トレーラーを牽くにはけん引免許が必須だと思い込んでいる人は実に多い。

実際はトレーラーの重量が750kg以下であれば、けん引免許はなくてもOK。あなたの普通自動車免許で引っ張っていいことになっている。

「750kg以下と言われても……」と、ピンと来ない人も多いだろう。



エンジンや駆動装置を持たないトレーラーは意外と軽量だ。就寝定員4名、キッチン、トイレがそろったファミリーユースのトレーラーでも750kg以下のモデルはある。

なおネット上には「ヘッド車とトレーラー合わせて全長が12mを超えるとけん引免許が必要」などという情報があったりするが、これは明確に誤り。

けん引免許の要・不要を決めるのは「トレーラーの重量が750kgを超えるかどうか」、それだけだ。

免許制度や法律、あるいは命に係わるようなテーマ(エンジンやブレーキ、タイヤに関する情報)は、ネットの情報をうのみにしないこと。必ず『公式』なソースに当たるようにしたい。

誤解その2:ヘッド車について




トレーラーを牽く車を「ヘッド車」という。SUVやゴツイ4WDでないと引けないと思い込んでいる人も多いが、必ずしもそうではない。

トレーラーのサイズにもよるが、けん引免許不要サイズ(重量750kg以下)のトレーラーなら、2000ccクラスの乗用車やミニバンでも問題はない。ごく少数だが、軽自動車でも牽けるトレーラーもある。

アメリカンキャンピングトレーラー

ただし、アメリカ製トレーラーについては少々事情が異なるので注意したい。

そもそも750kg以下のアメリカ製トレーラーはほとんどない上に、設計思想の違いからアメリカ製トレーラーはヘッド車の負担が大きい。

その場合は、しっかりしたフレームのある車を選ぶ必要がある。例えば国産ならトヨタ・ランドクルーザーあたり。アメリカ製SUVならまず問題ないだろう。

ヘッド車問題を一発で解決するには、トレーラーの販売店やビルダーに質問するのが一番だ。

各社とも、自社商品を引っ張るのにどれぐらいのパワーが必要か、きちんと理解している。今持っている車で牽けそうかどうか、車種を伝えるだけで答えは出るはずだ。

誤解その3:運転が難しい?


走行中のキャンピングトレーラー

トレーラー、と聞くと海運コンテナや自動車運搬用の大型トレーラーを思い浮かべる人もいる。信号待ちの交差点で、なにやらありえない動きでカーブを曲がってくる姿を見たことのある人もいるだろう。それで「とてもあんな運転できません」ということになる。

右左折の際、ホイールベースが長い車ほど大変なのはご存じだと思う。内輪差が大きいからだ。

トレーラーの場合、連結ポイントからトレーラーのタイヤまで(2軸トレーラーなら前輪まで)が普通の車のホイールベースに相当する。

大型トレーラーはこの距離が10m前後あるわけだから、確かに特別な運転テクニックが必要だ。

だがキャンピングトレーラーの場合、よほどの大型トレーラーでない限り、3m程度。いつもより多少大回りを心がける程度でOKだ。

トレーラーのメリット・デメリットを整理!


トレーラーのメリット・デメリットについて考えてみよう。

メリット


自然の中に停められたキャンピングトレーラー

◎イニシャルコストが安い

エンジンも駆動装置もないから、構造はシンプル。そして価格が安い。運転装置がないから、室内は正味、居住空間に使える。乱暴な比較すると、トレーラーと同じ広さの居住空間と設備を自走式で得るためには2〜3倍の価格差になる。

◎ランニングコストも安い

税金や自賠責保険などもエンジンを持たない分安い。構造がシンプルなので車検にかかる費用なども格安だ。750kg以下トレーラーなら、車検を全てプロにお任せしたとしても年間7万円もあれば十分だろう。

しかも、走行中の破損は特別に特約などに加入しなくてもヘッド車の任意保険でカバーされるから、この点も有利である。

◎自由度が高い!

キャンプ場やRVパークにチェックインしたら、ヘッド車だけ切り離して出かけることができる。観光に出かけたり、スキー場へ行ったり、買い出し、温泉……などなど。自由に小回りが利くメリットは大きい。

デメリット


停められたキャンピングトレーラー

▼高速料金はワンランクアップする

高速道路料金がヘッド車のワンランクアップになってしまう。ヘッド車が3・5・4ナンバーなど普通車なら、中型車料金に。1ナンバー(中型)で牽けば大型料金になってしまう。

ただ、毎日使う訳ではないし、イニシャルコストもランニングコストも安いことを勘案すれば、大した差ではないともいえる。

ちなみにETCについては、車載機を「けん引あり」でセットアップしておけばトレーラーの有無をセンサーで検知して自動で計算してくれる。

▼駐車スペースが必要

ヘッド車と合わせると少なくとも全長10m近くになるので、街中のコンビニやスーパーにふらっと寄ったりするのは少々難しくなる。

こうなると街道筋の「大型車Pあり」という看板がとても頼もしく見えてくるものだ。もちろん、普段置いておく駐車スペースも必要。ヘッド車用とトレーラー用、2台分を確保する必要がある。

▼運転はバックするときが難しい

トレーラーの運転はさほど難しくない、と言ったばかりだが、それはあくまで前に進んでいるときの話。バックするとなると、いきなり難易度が上がる。

けん引していなければ、前進でも後退でもハンドルを右に切れば車は右に進む。が、トレーラーを牽いていると、右に曲がりたければハンドルは左に……と、逆の動きをする必要がある。

なかなか文字では伝わらないかもしれないが、体で覚えている運転の逆をしろというのは、当惑するものだ。これに対応するには「習うより慣れよ」。実際に乗ってみれば、あっという間にコツがつかめるだろう。

車庫入れなどで、どうしてもダメな場合は連結を外して手で押す、という荒業も。逆を言えば手で押せるほど軽いのである。

また、大きなトレーラーには『ムーバー』というリモコンで操作できる装置もある。これは後付けもできるので、どうしても不安な人は導入するといいだろう。

キャンピングトレーラーを選択肢の一つとして


キャンピングトレーラーの車内

食わず嫌いは損、というのがお分かりいただけただろうか。販売会社では試乗させてくれるところもある。

キャンピングカーの購入を考えるなら、食わず嫌いをぐっとこらえて、トレーラーも検討してみることをお勧めする。