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雪の中のキャンピングカー

冬の必需品“FFヒーター”について【初心者のためのキャンピングカー装備講座vol.1】



個人的には、冬こそキャンピングカー旅のだいご味が存分に味わえる季節だと思っている。

外気温が氷点下でも、車内を暖かく適温に保ってるくれるのが「FFヒーター」だ。

今回は冬の快適空間に欠かせない、FFヒーターについて勉強してみよう。

そもそもFFヒーターって何だ?

キャンピングカー FFヒーター

通常、自動車はエンジンの発生する熱を利用して暖房を行っている。当然、エンジンを停止している間は暖房できない。かといって、暖房のためだけにアイドリングするわけにもいかない。そこで重宝するのがFFヒーターである。

ではそもそも、FFヒーターとは何だろうか。

日本のJIS規格には、建築物(住宅など)用のヒーターに「FFヒーター」という規格がある。

何らかの燃料を燃焼させて発熱するにあたり、室内の空気を使用すれば酸欠になる。FFヒーターは外部の空気を利用して燃焼、熱だけを室内に取り込み、排気ガスは外部に出する仕組みだ。

キャンピングカーのFFヒーター

キャンピングカー用のヒーターも原理は同じ。厳密には住宅用と同じものではないので「FFヒーター」には該当しないのだが、世の中全般、FFヒーターで通っている。

名称のうんちくはどうであれ、車外の空気を使って燃料を燃やし、熱だけを車内に、排気ガスは車外に排出する、ありがたい装備だ。

冬の寒い時期、換気を気にせず寝ている間も安心して使えるのはこの仕組みあってのことなのである。

FFヒーターの種類と特徴

FFヒーターは、「燃料供給源」によって、あるいは「使用する燃料」によっていくつかに分類することができる。

燃料供給源は、「走行用燃料から」または、「専用タンクから」。

使用する燃料は、「軽油(灯油)」または、「ガソリン」または、「LPガス」。

これらの組み合わせである。

供給源が走行用燃料の場合

給油

車の燃料を流用するタイプ。この場合は自ずと燃料の種類も決まってくる。

ガソリン車ならガソリン、ディーゼル車なら軽油ということになる。

☆メリット☆

最大のメリットは、タンクの管理が簡単であること。

FFヒーター用の燃料を気にしなくても、普通に車に給油するだけでいいので、燃料管理も楽だ。

★デメリット★

シーズン中はもちろん、オフシーズンにも、定期的にメンテナンス運転をする必要があること。さらに数年に一度は、専門店でオーバーホールも必要だ。

ガソリン、軽油、または灯油を使用するヒーターは、オフシーズンに長期間放置すると配管中の燃料が劣化してしまう。いざ使おうとしても点火しなかったり、異常燃焼が起きるなどのトラブルにつながりかねない。

具体的には月に1回、15分程度でいいので、ヒーターを運転させる(メンテナンス運転)。これで配管中の燃料が入れ替わり、次シーズンも快適に使えるはずだ。

また、この時「白煙を吹く」「エラーランプが点灯する」などの異常が見られたら、自己流で分解したりするのは非常に危険!必ず専門店でメンテナンスを受けよう。

供給源が専用タンクの場合

キャンピングトレーラーのLPガス

走行用燃料とは別に専用タンクを持つ場合、燃料はLPガスが多い。トレーラーの一部には灯油を使用するものもある。

☆メリット☆

LPガスのヒーターは定期的なメンテナンス運転は不要だ。数年ごとのオーバーホールもほとんど必要ないので、管理が手軽。

★デメリット★

専用燃料なので、燃料が減ったら自分で補充せねばならない。ガス会社のステーションにボンベを持込み充填作業してもらうのだが、ボンベ持ち込みで充填してもらえる拠点は限られている。

また、一部のフェリー会社では「ガスを積んだ車両は乗船できない」というルールがある。

国産キャンピングカーは走行用燃料式が多く、欧米車は専用タンク式(=LPガス)がほとんどだ。しかし、残念なことに「どの方式のヒーターを装備するか」をユーザーが選ぶことはできない。車を選んだ時点で、ほぼ決まってしまうのである。

FFヒーターを賢く使うコツ

どの方式のFFヒーターでも、燃料と(サブバッテリーからの)電気が必要であることに変わりはない。その点を踏まえて工夫すれば、エネルギー消費を抑え、運転時間を少しでも長く持続させることにもつながる。

生活用の電気のために屋根にソーラーパネルをのせている人も多いが、冬は日照時間が短く、雪など降れば太陽光発電のパワーは激減。やはり基本的な省エネのコツは覚えておくに越したことはない。

使い方のコツ① 断熱をしっかり!

車 シェード

今時の暖房器具は、希望の室温を設定すると自動で運転を調節してくれる。つまり、室内が冷えてくると、一生懸命温めようとすることになる。
それを防ぐためには、そもそも室温が下がらないようにすればよいのだ。

外気温が低いと、室内温度は奪われがちだ。そこで手を施すべきは「断熱」というわけだ。

ガラス窓(運転席と助手席、フロントガラスなど)に断熱シェードや銀マットをカットしてセットする

キャブコンはバンクから厚手のカーテンや毛布を垂らし、冷えがちな運転席・助手席空間と後ろの居住空間を分けて断熱する

エントランスにも厚手のカーテンを!

ドアの開け閉めだけでもかなりの熱が奪われる。エントランスに厚手のカーテンをセットするだけで保温効果がある上に、目隠し防止にもなって一石二鳥だ。

断熱の工夫だけで全体に10%以上もの省エネになった、というケースもあるので、ぜひ試してみて欲しい。

使い方のコツ② 安全管理を確実に!

一酸化炭素報知器

FFヒーターのある車なら、是非備えておいてほしいのが『一酸化炭素報知器』である。

車外の空気を利用→排ガスは車外に廃棄、が基本なので、正常に運転している間は室内に有毒な排ガスが入り込んだり、一酸化炭素中毒を心配する必要はないはず。だが、まれに次のようなケースもある。

1.仮眠中、すぐ隣に停めた車が一晩中アイドリングしていたので、隣からの排ガスが車内に流入した。

2.スキー場の駐車場に停泊。寝ている間にかなりの積雪があり、FFヒーターの排気口が雪に埋もれてしまった。出口を失った排ガスが室内に逆流してしまったケース。

寒いので、つい換気を怠りがちになる冬季は特に安全面には配慮したい。何しろ一酸化炭素は無色無臭で、何かおかしいと気付いた時には体が動かない!という恐ろしい話もある。

一酸化炭素は空気より軽く、バンクベッドや天井など、高いところにたまりやすいこともおぼえておこう。

報知器は通販サイトなどで数千円で手に入るので、バンクベッド付近、天井付近などに設置しよう。

FFヒーターで冬もキャンピングカー旅を!

雪の中のキャンピングカー

「冬だから」「寒いから」とキャンピングカーの出動回数が減ってしまうのはナンセンス!食べ物がおいしくて、温泉がしみじみありがたい季節こそ、キャンピングカーの出番である。

FFヒーターひとつあれば解決するのに、数か月もオフシーズンを作ってしまうのが、いかにもったいないことか。

快適に安全に冬旅を楽しむためにも、きちんと理解して活用したいものだ。