キャンピングカーのエンジンはガソリンとディーゼルどちらがいい?コストや走行面など選ぶ基準を紹介します!
キャンピングカーを購入する際は、キャブコン、バンコン 、トレーラーなど車両タイプの違いから、トイレが付いているか、リアベッドは2段ベッドかどうかといった内装の違いなど、いろんな選択肢の中から自分に合ったキャンピングカーを選んでいくと思います。
中でも国内ビルダーが展開しているキャンピングカーにベース車として使用されることの多い、ハイエース、カムロードや日産キャラバンなどはガソリン車かディーゼル車か選ぶことができますが、どちらが自分のキャンピングカーライフに合っているか判断するのって難しいですよね。
今回はガソリン車とディーゼル車の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて紹介したいと思います。ぜひキャンピングカーを購入される際の参考にしてください。
目次
燃料とエンジン構造の違い
少し専門的な話になってしまいますが、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの根本的な違いは使用燃料が異なることによるエンジン構造の違いにあります。
ガソリンエンジンは燃料にガソリンを使用し、圧縮した混合気に点火プラグで火花を引き起こすことにより着火するのに対し、ディーゼルエンジンは軽油を使用し、圧縮して高温状態になった空気に霧状の燃料を噴射することによって自然発火させます。
このエンジン構造の違いにより、一般的に圧縮比が高く熱効率の良いディーゼルエンジンはトルク(タイヤを回転させる力)が大きく、ガソリンエンジンはタイヤを高回転させるのが得意なので加速力に優れていると言われています。
ディーゼルエンジンのイメージ
ところでみなさんはディーゼルエンジンにどんなイメージをお持ちでしょうか?
かつてのディーゼルエンジンと言えば、「うるさい」「汚い」「重い」などネガティブな印象が強く、車が自然環境に与える影響力が重要視されるようになった2000年代以降の日本では、二酸化炭素の排出量などの点から特にディーゼル車は敬遠されてきたように思います。
しかし、近年ディーゼルエンジンは急速な技術革新が進み、「クリーンディーゼル」と呼ばれる新しいエンジンが開発され、ガソリン車よりも二酸化炭素の排出量を2割程度抑えることのできる環境に優しい車としての地位を確立してきました。
また、クリーンディーゼルでは、振動の原因となるピストン系のディーゼルノック音を軽減するシステムを搭載するなど、従来のディーゼルエンジンに比べ、振動や騒音なども軽減されたことにより乗り心地や使い勝手についても良くなっています。
ヨーロッパでは政策などの関係もあり、電気自動車開発に力を入れている大手メーカーも多いですが、環境に優しく、走行性能にも優れるディーゼルエンジンの躍進はまだまだ続きそうです。
キャンピングカーにおけるガソリン車とディーゼル車の違い
それではこの記事の本題であるキャンピングカーにおけるガソリンエンジンとディーゼルエンジンそれぞれのメリット・デメリットの話に戻ります。
車両価格
まず、両者を比較して目に付くのが車両価格の差です。例として国内ビルダー3社のハイエース、カムロードをベース車としたバンコン、キャブコンの価格を比較したのが下記の表です。
◆ハイエース比較
車種 | ガソリン | ディーゼル | 差額 |
トイファクトリー バーデン | ¥5,820,000 | ¥6,200,000 | ¥380,000 |
ナッツRV ラディッシュ | ¥4,516,500 | ¥4,938,440 | ¥421,940 |
東和モータース ツェルト | ¥4,690,000 | ¥5,120,000 | ¥430,000 |
◆カムロード比較
車種 | ガソリン | ディーゼル | 差額 |
バンテック ジル | ¥8,052,000 | ¥8,602,000 | ¥550,000 |
ナッツRV クレア5.3W | ¥7,445,100 | ¥7,996,400 | ¥551,300 |
東和モータース ヴォーン ノイン | ¥6,380,000 | ¥6,940,000 | ¥560,000 |
このようにベース車両の価格の違いから、ハイエースベースのバンコンタイプのキャンピングカーでは約40万円、カムロードベースのキャブコンタイプでは約55万円、ディーゼル車の方が高く設定されています。初期費用だけで考えるとコスト面ではガソリン車の方がお得なようです。
燃料費
前述したようにガソリンエンジン車の燃料はガソリン、ディーゼルエンジン車は軽油を燃料とします。石油の値段は変動するので、常に固定ではありませんが税金の関係上、軽油の方がガソリンよりも1Lあたり約20円安いです。
燃費
カムロードの諸元表を確認するとディーゼルターボ2WDでは11.2km/L、ガソリン2WDでは8.4km/Lと表記してありますので、理論上ディーゼルエンジンの方が2割ほどガソリンエンジンに比べて燃費効率が良いことになります。
2020年1月の価格を参考にガソリン価格は142円、軽油は120円とするとガソリン車は1kmあたり16.9円、ディーゼル車は10.7円かかることになるので、その差は約6.2円。
つまりカムロードのガソリンエンジンとディーゼルエンジンの差額55万円は約88,000km走れば、計算上は元が取れることになります。
キャンピングカーを購入される方は長距離の車旅を行う方も多いとは思いますが、この88,000kmという距離を多いと見るか少ないと見るかは個人差が出そうですね。
馬力とトルク
キャンピングカーは普通の乗用車と比べて家具や荷物が多くなる分、車重も重くなります。重たい車を動かすためには当然より強いパワーが必要になるわけですが、車のパワーを測るのに重要な指標となるのが馬力とトルクです。
例としてカムロードの諸元表から馬力とトルクの数値を抜粋すると、ガソリン車の馬力とトルクは133ps/5600rpm、18.6kgm/4000rpmとなり、一方のディーゼル車は144ps/3400rpm、30.6kgm/1200〜3200rpmと表記されています。
見慣れない単語や単位が多いと思いますので簡単に解説を付け加えると、トルクというのは物体を回転させる力のことを表しており、一般的に「ねじりの力」と呼ばれます。そして馬力は「トルク×回転数」で表すことができ、「ある重さの物体を、どれだけの時間で、どれだけの距離を動かしたか」という仕事率を表す単位となります。
ガソリンエンジンタイプのカムロードの馬力を確認すると、133ps/5600rpmと表記されています。rpmはエンジンの回転数を表しているので、5600の回転数の時に最高出力133psを出せるという意味であり、ディーゼルエンジンのカムロードの馬力は144ps/3400rpmなので3400の回転数の時に最高出力144ps出せるということになります。
つまり、ディーゼルエンジンの方が少ない回転数でより強い力を発揮する能力を持っているということになるので、車重が重くスピードを出す必要のないキャンピングカーの走行面を考えるとディーゼルエンジンタイプの方が向いていると言えそうです。
静粛性と乗り心地
パワフルな走りができるディーゼルエンジンですがその分、エンジンの振動や音は大きくなってしまいます。
クリーンディーゼルなど技術革新によって生み出されたディーゼルエンジンは以前に比べると静粛性も乗り心地も改善はされていますが、ガソリン車と比較するとまだまだその違いははっきりと分かるレベルです。
特に回転数が上昇しやすい高速道路では、ガソリンエンジンの方が加速力に優れ、スムーズな走りを実感できます。
まとめ
今回の記事ではキャンピングカーにおけるガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いについてご紹介してきました。簡単にまとめると
【ガソリン車】
・初期費用が安い
・静粛性と乗り心地が良い
・馬力、トルクはディーゼル車に比べ劣る
【ディーゼル車】
・初期費用が高い
・燃費は良く、燃料も安い
・車のパワーが強い
・静粛性や乗り心地はガソリン車に比べ劣る
となります。静粛性や乗り心地についてはどこまでが許容範囲なのか個人差が出てくるところだと思いますので、必ずどちらにも試乗することをオススメします。
コスト面に関しては乗り方やどれぐらいの期間その車に乗り続けるかによっても変わってきますので、ご自身のキャンピングカーライフに合わせた車をぜひ選んでください。