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夏の車旅は“熱中症”に注意!看護師が教える『車中泊の暑さ対策』



梅雨が明ければ夏の暑さも本格化してきますが、我が家には2人の乳幼児と3匹の犬がいるので、全員の体調を考慮させた「夏の車中泊」は特に苦労します。

しかし「キャンピングカーの設備やグッズ」「場所選び」、そして看護師ならではの「医療知識」を持ち合わせていれば、夏場の車中泊を乗り切ることは不可能ではありません。

そこで今回は我が家が行っている「夏場の車中泊での暑さ対策」についてご紹介していきます。

夏の車中泊で怖いのが「熱中症」!


熱中症は梅雨の時期から発症しやすい


夏の炎天下キャンプ

熱中症が起こりやすいのは、真夏だけだと感じている方もいるかもしれませんが、実は梅雨の時期から注意が必要です。

その理由としては、「熱中症対策」に取りかかっていない人が多く、まだ暑さにも身体が慣れていないからです。

夏の太陽

そのため以下の様な日には、キャンプなどのアウトドアや車を利用する際は特に注意しましょう。

・気温が高い日
・日差しが強い日
・風が弱い日
・暑くなり始め
・湿度が高い日
・熱帯夜の翌日



熱中症は男性がなる率が高い!


夏日のキャンプ場

皆さんは全熱中症患者の約65%以上を男性が占めていることをご存知でしょうか?

国立環境研究所によると、男性が全年齢合計において女性の2倍以上の患者数を占めており、19~64歳においては男性が女性に比べると4〜5倍の人数の方が熱中症で救急搬送されています。

そのため、特に男性の方は「自分は大丈夫!」とは思わずにしっかり予防することが大切ですよ。

熱中症の影響を受けやすい人はこんな人


上記で女性よりも男性の方が熱中症になりやすいことがわかりましたが、特に熱中症の影響を受けやすい人は以下のようになります。

該当する方はこれからご紹介する予防方法について参考にしてみて下さいね。

・65歳以上の人
・基礎疾患や肥満傾向の方
・5歳未満の乳幼児
・野外での活動が多い人
・車に乗る人
・妊娠中・授乳中の女性



熱中症の症状


暑い日の太陽

熱中症の重症度は三段階に分かれており、予防対策だけでなく症状の早期発見も大切になります。

熱中症リスクの高い人ほど必ずチェックしておいて下さいね。

重症度I度(安静加療レベル)
手足がしびれる、めまい、立ちくらみ、筋肉のこむら返り、気分が悪い、ぼーっとする、軽い頭痛
重症度II度(病院受診レベル)
激しい頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、意識が何となくおかしい
重症度Ⅲ度(救急要請・入院レベル)
意識がない、痙攣、呼びかけに対する返事がおかしい、真っ直ぐ歩けない、走れない、熱がある



「熱中症かな?」と思ったときは


熱中症が疑われた際は、まず涼しい場所へ移動し足を少し上げて横になり休息をとります。

意識があり嘔吐がなければ塩分や水分を補給しましょう。

そして「体を冷やして体温を下げる」ことも大切ですので、以下の内容を参考にして下さい。

首元を冷やす

1.日焼け対策などで、重ね着をしている場合は最低限の衣服だけにする
2.ベルトなどしている場合は外し衣服を緩める
3.濡らしたタオルや保冷剤などを巻いた冷たいタオルで身体を冷やす。
特に熱中症を疑った際に額や首の裏を冷やす方がいますが、効果はかなり低いので、必ず大きな血管が通っている箇所(脇の下、両側の首筋、足の付け根など)を重点的に当てて冷やしてください。
4.身体全体をうちわなどであおぎ、熱を逃す

看護師ママの車中泊時の暑さ対策


少しずつ「暑さ」に慣れる身体づくり


暑さに慣れていないと熱中症になる危険性が高まります。

そのため熱中症にならない身体作りのために、暑くなる数日〜2週間程度前から適度な運動やストレッチ、入浴など無理のない範囲で定期的に汗をかいておくことが大切です。

車内を涼しくする


車内エアコンの写真

断熱性の高いキャンピングカーでも、何も対策しなければ真夏の車内は40度近くなることがあります。

そこでキャンピングカーに備わっている室内エアコンやマックスファンやポータブル扇風機や冷風機などの電化製品を利用して、車内を涼しくさせましょう。

この際に注意して欲しいのが、車内の冷やし過ぎです。

車内が冷えすぎると外気温との差によって、余計体調を崩す可能性があるので温湿計で確認すると調整しやすいですよ。

サンシェード

また、車内の窓から太陽光を遮断させるために停車中のサンシェードはかかせません。

サンシェードのオススメは光を反射しやすい白か銀色のタイプで、断熱シートを用いているものであればより効果的ですよ。

身体を冷やす


冷たいグッズ

車内をある程度涼しくしても、身体に熱がこもった状態だと「暑苦しさ」を感じるとともに熱中症の原因となってしまいます。

そのため、濡らしたら冷える「ウォータークールタオル」や、ハンカチやタオルなどで包んだ保冷剤、冷却シートなどを、首筋や足の付け根、脇の下などを、脈が触れるような大きな血管がある場所を冷やすと即効性もあり効果的です。

また顔や手、足などを濡れたタオルで拭いた後にポータブル扇風機やうちわで仰ぐと、身体についた水分が熱と共に蒸発して熱が下がり涼しく感じられます。

衣服の工夫


夏場に車中泊をする際は衣服選びも大切になってきます。

特にパジャマは麻や綿、シルクなど通気性や吸水性や速乾性にすぐれた素材を選び、締め付けがなくゆったりしたものがベスト。

また色も熱を吸収しやすい黒は避けるのが無難です。

寝具の工夫


寝具の夏の対策

夏場の車中泊の際は寝具の工夫も必要です。

夏場は特にシートの上で直接寝てしまうと汗染みや嫌な臭いの原因となります。

また冷却マットなどは寝始めこそいいですが、寝ている時に汗をかくと湿っぽくなり逆に寝苦しくなる場合があります。

そのため、車内シートの上に布団やマットレスを敷き、その上にシリカゲルの入った除湿・消臭・防カビ・通気性のある敷きパッドがオススメです。

車中泊場所に注意する


標高の高いキャンプ

夏場の車中泊で大切になってくる1つとして「車中泊場所」があげられます。

まず夏場は海よりも山場を選びましょう。

標高が100m上がるごとに気温は0.6℃下がるといわれているので、標高が高いところで過ごすのがオススメです。

しかし標高が高すぎるところで夜間寝ると「寒い」とすら感じることもあるので、場所に合わせた衣服や寝具を選んで下さいね。

また室内エアコンなどを使う際は外部電源が使える電源サイトを利用すると快適に過ごせます。

水分補給+栄養補給


夏野菜

熱中症の予防と聞くと真っ先に思いつくのが「水や塩分を摂る」だと思います。

水分は大人で 1日2〜3Lの水分や経口補水液をこまめに摂りましょう。(基礎疾患がある方は医師に適量を確認してください)

ちなみに、水分とミネラルの補給は血液内に吸収されたときにしか効果がなく貯蓄はできないので、少しずつ継続的に飲むことが大切です。

また、熱中症予防で大事な栄養素を参考に、夏のキャンプ飯や車中泊飯などで取り入れるのも効果的です。

特に夏に旬の野菜や果物は身体を冷やす効果もあるので暑さ対策には適していますよ。

(タンパク質は熱中症予防に役立ちますが、体温上昇や体内の水分量を低下させる効果があるので、熱中症になった際は逆効果となるので注意して下さい)

〜熱中症予防の栄養素と食材例〜
①タンパク質…枝豆、ヒレ肉、鶏ムネ肉、魚など
②カリウム…焼き芋、山芋、バナナ、夏みかんなど
③ナトリウム…食塩、味噌など
④カルシウム…エビ、小松菜、チーズなど
⑤マグネシウム…枝豆、ほうれん草、海苔など
⑥ビタミンC…ピーマン、イチゴ、キウイフルーツなど
⑦ビタミンB1…アボガド、豚肉、うなぎなど



酒やコーヒーなどのカフェインは水分にはならない


生ビール

また、お酒が好きな方にとって暑いところで飲む冷えたビールなどのアルコールは格別美味しく感じますよね。

しかしカフェインを含んだアルコールやコーヒー等には「利尿作用」があります。

そのため、暑い日や炎天下での大量の飲酒は「脱水」を助長させる要因となるので、飲酒は適量に抑え、通常より水分を多めに補給するようにして下さいね。

乳幼児の暑さ対策


小さい子供

自分の体調を訴えるのが難しい「乳幼児」は体温調節機能が未熟なため十分な暑さ対策が必要です。

チャイルドシートを冷やしておく


チャイルドシートを冷やしているところ

夏場はチャイルドシートも暑くなりがち。特に金具の部分で火傷してしまう恐れもあるので、事前に保冷剤や冷却シートなどで冷やしておくことをオススメします。

クーラーや扇風機の送風を直接当てない


赤ちゃんがチャイルドシートで座っている

赤ちゃんが過ごす快適な室温は 26 〜28 度と言われていますが、冷やしすぎないためにクーラーや扇風機の送風が直接身体に当たらないよう配慮する必要があります。

水分補給はこまめに


子供用水分補給

乳幼児の場合、体内の水分量の割合が大人に比べると多いのが特徴です。

しかし乳幼児の場合、1度に沢山の量を摂取することが難しいため、水やお茶を飲ませるよりも電解質が含まれたイオン水を適量飲ませてあげましょう。

イオン飲料水の中にはりんご風味やマスカット風味等あるので、ジュース感覚で子供も飲みやすくなっておりオススメですよ。

また乳児の場合は、おしっこの量や色、機嫌、表体温など確認しながらミルクやイオン飲料水、授乳を適宜摂取させてあげましょう。

適宜身体を拭き着替えを行う


夏場は赤ちゃんの背中やお腹、手足などをできるだけ頻回に触り「汗をかいていないか」「温かくなりすぎていないか」をチェックします。

もし体が温かく汗をかいていたら、熱を冷ますために濡れタオルで全身を拭き、通気性や吸水性や速乾性にすぐれた素材の服に着替えさせましょう。

また、体温調節において重要な役割を果たしている汗腺の数は、生後2〜3年の生育環境で決まると言われています。

そのため、暑さや寒さへの抵抗力をつけさせるためにも、小さい頃から無理のない程度に体温調節しやすい身体作りをしてあげることが大切ですよ。

ペットの暑さ対策


猫や犬は、人間より体温調整能力が低く、熱中症になりやすいのが特徴です。

そこでここでは、ペットを連れた車中泊での暑さ対策をご紹介していきたいと思います

熱中症になりやすい品種って?


愛犬の水分補給

以下のような品種の場合は特に熱中症になりやすいと言われているので、自分が飼っているペットに合わせて日常的に熱中症対策をしてあげる必要もあります。

・鼻が低い品種
・被毛の厚い長毛品種
・被毛の黒い品種
・肥満や心臓・呼吸器に疾患のある品種
・子犬、子猫
・老犬や老猫



ペットにとって快適な室温は?


犬や猫に適した環境は品種にもよりますが、平均で室内温度は25〜28℃、湿度は45〜65%と言われています。

そのため、キャンピングカーのエアコンやポータブル扇風機、マックスファンなどを利用してペットのスペースが高温多湿にならないよう注意しましょう。

頻回の水分補給と質の良い食事、トイレ休憩


ペットの場合は人間以上に頻回の水分補給とトイレ休憩が必要となります。

そして動物もその都度必要分しか栄養素を吸収することができないので、食事は量より質を意識してあげてください。

酵素や乳酸菌など、消化を助ける栄養が含まれ、良質なタンパク質、脂肪が含まれた食事内容で、ドライフードよりはウェットフードの方が水分を多く含むためオススメです。

また尿意を我慢させてしまうと熱中症になりやすいので、夏場は普段以上にトイレ休憩をはさんであげて下さいね。

体を冷やしてあげる


ペット用ひんやりシート

アルミマットやクールマット、クールベスト、クールピローなど夏場はペット用保冷用品を使用するのもオススメです。

また太い血管がある脇の下や後ろ足の付け根、首回りを冷やしてあげるのも効果的ですが、被毛が厚く長い犬種の場合は表面しか当たらず効果が半減するケースがあります。

ペットのパンティング(舌を出した浅く速い呼吸)が激しく、熱がこもっている場合は、体を軽く濡らした後にポータブル扇風機やうちわなどで扇いであげると、体の熱が放散し体温が下がりやすくなりますよ。

まとめ


いかがでしたでしょうか?

冒頭でもお伝えしましたが、人間にとっても動物にとっても「夏の車中泊での暑さ対策」で大事なことは「設備やグッズ」「場所」「医療知識」です。

現在は熱中症を乗り切る様々なアイテムも販売されていますので、それを上手く活用して、安全・安心・快適な車中泊を過ごして下さいね!