LIVINGSTONE5

【LIVINGSTONE5】フィアット デュカトの走行性能は?現オーナーが赤裸々紹介!



我が家のキャンピングカーも、トヨタNOA(DIYで車中泊仕様に改造)に始まり、トヨタハイエースを経てLIVINGSTONE5(フィアット デュカトがベース)で3代目となります。

輸入キャンピングカーは初めての経験であり、所有に至った経緯から、維持費、燃費、乗り心地など、所有して3年目を迎えるからこそ言える本音について、紹介したいと思います。

購入したいちばんの決め手


LIVINGSTONE5

まずは、このデザインに惚れたのです。やはり、ヨーロッパのデザインは、商用車でも流石と言える風格を持っています。

ワイナリーのチャペルの横に駐車しても映えるデザイン!最高です。(自画自賛ですみません)

旅先でも、漁港では、競りを終えたおっちゃんに、これエエな〜!と言われ、高速のSAでは、若いカップルに、FIATのキャンピングカーですか?初めて見ました!とか、スーパーマーケット の駐車場では、ハイエースを車中泊仕様にカスタムしたお兄さんから、興味があって見ていました怪しいものではありません!などなど、お声掛けされることが多々ありました。

毎回、そこからの話がすごく楽しい時間でした。良い意味で、目に付く車だからこそ得られる多くの出会いを体験し、本当に買ってよかったと思っています。

もちろん、外観だけで購入に至ったわけではありませんので、この後、“本音”をご紹介します。

デザイン以外で惹かれた点


LIVINGSTONE5  内装

幕張で開催されたキャンピングカーショーで、その出会いが来ました。まずは、外観に一目惚れです。とはいえ、大枚をはたいて買ったキャンピングカーであり、デザインだけで決めたわけではありません。

歴代のキャンカーと異なり、「立って歩ける室内」、駐車するたびに行うプライバシーの確保は「蛇腹式シェードで簡単にプライベート空間になる」、食事の時に「対面対座でくつろぐ事ができる」など、これは!と思える良い点が複数あったことも魅力でした。

3年所有すると、メリット以外の面も見えてはきましたが、現時点では、次も輸入キャンピングカーが良いと実感しております。

購入後に気づいた高い走行性能


ヨーロッパ車の走行性能は、いろいろなキャンピングカー雑誌などで取り上げられていました。

しかし、誌面で読む限りでは、商用車ベースのLIVINGSTONE5の性能がどれだけ優れているのか?正直、実感できませんでした。

私たちの車旅は、高速道路を多用します。そこで痛感したのは、新東名道での安定感です。

特に新東名の高架橋の区間は、強風が吹き荒れるところを走行するため、ハイエース(スーパーロング)の車体では、強風でハンドルが取られることが多々ありました。

コイルスプリング

しかし、フィアットのデュカトベースの足回りは、主に高速道路を走ることを想定したチューニングが施されていて、ハイスピードレンジでの安定性に優れていると感じます。

個人的にはこの点が、国産の車体とは異なるメリットであると思ってます。

雪道での走行


私たちが住んでいる地域は、一晩で40cm位の雪が積もり、路面が凍結することもあります。山間部に住んでいる人たちは、4WDが必要となるくらいで、冬季間はスタックを防ぐために走行する道路を選ぶ必要があります。

その中で、スタックしている商用のハイエース(もちろんFRの車体)を見かけることもしばしば。

そこで役に立つのが、LIVINGSTONE5に装備されている、「トランクションコントロールプラス」です。

トランクションコントロールプラス

センターコンソールの右端にある”T”のスイッチが「トランクションコントロールプラス」のスイッチ



15km以下の速度で作動する、電子ブレーキLSDで、最新のジムニーやSUVに標準装備されている技術です。

簡単な動作としては、滑っているタイヤにABSを作動させ、駆動力が得られるタイヤを回転させます。そして、駆動力が得られたタイヤがスリップしたら、ABSを作動させます。これを交互に電子制御で繰り返し行い、スタックしにくい脱出制御を行うものです。

この装備のおかげで、FFの車体ですが雪道や凍結路でも、今までスタックしたことがありません。(積雪の状態によっては、スタックする可能性がありますのでご注意ください)

山道での走行


ヨーロッパには、山岳路が多い国もあります。デュカトは、商用車としては珍しく、ブレーキが標準で4輪ディスクとなっています。

またわが家のデュカトは6速ATですが、原理的にはMT車に近く、エンジンブレーキが良く効きます。

「ロボタイズドMT」という名前で、ヨーロッパ車には多いシステムですが、クラッチ操作や変速を車側で行ってくれ、クラッチペダルもありません。そのため、免許がAT限定でも乗れます。

ハイエースの時は、重量級のキャンピングカーに対する運転の未熟さから、長野の峠道を降り終えた際に、ブレーキをフェードさせ危険な思いをした経験があります。

昨年、走行距離=6万キロを迎え今まで様々な峠道を酷使しましたが、よく効くエンジンブレーキ、4輪ディスクのおかげで、いちども危ない思いをしたことがありません。

6AT:ロボタイズAT

6AT:ロボタイズドMT



山道での走行ノウハウですが、ATモードは、シーケンシャルシフトとなっているため、AT時のシフトダウンのシーケンスは、6→5→4→3→2→1→と1段毎となります。坂道などでアクセルを強く踏み込んでも1速しかキックダウンしてくれません。

より強い加速を得たい時は、ATモードのままでシフトノブをマイナス(-)表示側に2回チョンチョンと押すと、2段シフトダウンされ、強い加速が得られます。これは、高速道路でも使えます。

ロボタイズドMTのクルマに乗っていて、加速に不満がある方は、是非、試して見てください。加速に差がでます。

また、シフトダウン後は通常のATモードに自動復帰するので、特別な操作は必要ありません。

登板専用シフトプログラムのスイッチ

登板専用シフトプログラムのスイッチ



これが面倒であれば、「登板専用シフトプログラムのスイッチ」を押す事で、いちばんトルクが発生する回転数を維持した状態でシフトアップしてくれます。

しかし、シフトアップする回転数が高くなるので、エンジン音が高くなり、多少耳障りになりますので、適材適所で使用しております。

※日本に輸入される2019年までのデュカトベースのキャンピングカーのほとんどは、このATとなりますので、多少のノウハウが必要(2020年から9ATに変更にて、キックダウンは2〜3段一気にしてくます)

燃費とパワー


車のメーター

LIVINGSTONE5は、パワーが130HPのディーゼルエンジンの搭載車となっております。

パワーは決して高くはないのですが、トルクがあるため、今まで坂を登れない、スピードが出ない!といったことでは困ったことがありません。

キャンカー泣かせで有名な中央道の談合坂も、法定速度を維持した状態で登板が可能です。(決して早い車ではありませんので、あくまでも法定速度内では困らない!という意味です)

燃料タンクは、120Lタイプをオプションで装備しました。燃料計が半分の位置で、約60Lの燃料が入っている状態です。

一年を通じ、燃費は10km/Lを切ることがないです。(FFヒーターが軽油なので終日暖房を使用すると冬季間は8km/L位まで燃費が落ちてしまいます)

一度満タンにすると、1,000km以上は余裕で走行可能です。福島県の自宅から、九州の関門海峡を越えて、九州まで無給油で完走した経験もあります。

この燃費と燃料タンクの容量は、車旅で本当に役立ちます。

気に入らないところ(不具合など)


あえてデメリットではなく、”気に入らない”としました。

当初、私たちは輸入キャンピングカーに対し、かなりの不安を持っていました。自動車保険も、手厚い車両保険に入るなど、その不安はただならないものがありました。

しかし実際は、これから紹介するレベルのことしか不具合はありませんでした。(車体の当たり外れもあると思います)

・設計思想自体が国産車とは異なる

以前にも紹介しましたが、高速道のSAでサイドブレーキが効かなくなったことがあります。ワイヤー自体が切れた訳ではないので、欠陥ではないと思います。

しかし、ワイヤーのテンションによって、固定リンクが外れ易い構造でした。自分で簡易的に修理が可能なレベルで事なきを得ました。でも、こんな不具合は国産車では聞かないですね。

※ロボタイズドMTなので、1速に入れて、エンジンを停止するとミッションがロックされます。この操作は、毎回、必ず行った方が安全です。(知らない方が多いと聞きましたので、ノウハウとして紹介します)

・日本人の体格にマッチしない

LIVINGSTONE5 座椅子

後部座席の座面が異様に高いです。イタリア人の平均身長は、約177cmと言われています。私の身長が172cmですが、後部座席に座ると、床から足が浮いてしまいます。身長自体は5cmほどの差ですが……。

LIVINGSTONE5 座椅子2

イタリア人は足長なのでしょう!この辺は、私が胴長なのだと自覚し、対策として足元に台座を置いています。

・ヘッドライトが暗い

LIVINGSTONE5 ヘッドライト

ヨーロッパ車は、ヘッドライトが基本的にハロゲンライトです。最近は、高級車を中心にLED化が進んでいますが、キャンカーのベース車体はまだまだの様です。

標準のハロゲンは黄色く、すごく暗く感じます。対策として、色温度が高い(白く見える)ハロゲンランプに交換しましたが、最終的にLEDに変更しました。

※デュカトの球切れ警告は、検出範囲が緩いのでLEDバルブも取り付け可能でした(自己責任にて実施)

・内装の作りが甘い

LIVINGSTONE5 ダッシュボード

これは余談ですが、ダッシュボードなど取り付けの精度が低いです。この辺は、あまり気にしないと言うことでしょうか?

日本人だと、閉めた後の隙間が少し気になってしまいます。

・オートエアコン

LIVINGSTONE5 オートヒーター

<外気温5度での風量> ※半分位からメモリが上がらないので、”+ボタン”を押して、いつも最大にしています



国産車を乗り継いできたため、どうしてもエアコンはオートと決め付けていました。そこで、オプションにてオートエアコンを選択した訳ですが、あまり意味がありませんでした。

オートなので、暑い時はフルで冷房が効く、寒いときもフルで暖房が効くものと思っていたのですが違いました。寒くても、風量が半分の位置から上がることはほとんどありません。風量ボタンを手で押して最大の風量にする必要があります。

また、夏場も暑く感じても最大の風量にはならないので、手でボタンを押して風量を上げております。

冷却性能自体は能力が高く、室外が猛暑の35度でも最大の風量にするとすぐに涼しい風が出て、室内は快適になります。

※昨年、ビルダーさんを巡った時に、「現在はマニュアル仕様を選ぶ方がほとんどです」との説明を受けました(購入する際には、コスト的にもマニュアルエアコンの選択をお勧めします

車体のサイズ


デュカトの車体サイズ(車長)は、大きく分けて4種類あります (4.9m, 5.4m, 6.0m, 6.4m *この他にルーフ高の違いもあります)。

所有するLIVINGSTONE5は、6.0mの車体サイズです。購入時は、ハイエースからの買い替えということもあり、もっと大きいサイズが欲しいという思いがあり、+60cmほど長い車体を選びました。

しかし、3年を経過した現在では、私たちのライフスタイルでは、6.0mの車体サイズでは大きいことに気づきました。

車旅に出かけるには、駐車場や道路の広さを事前に調べてから行くのですが、現地に行ってみると細い道路があり、すれ違いが困難となることがあります。

さらに、駐車場に入るのに切り返しが必要になったり、駐車場から出庫する際は、対向車線まではみ出してしまうため、対向車に迷惑をかけることも……。

車高

また、車長が長く、ステップの地上高が14cmしかないため、ちょっとした段差で、ステップを擦ってしまいます。

ステップは何度もぶつけてしまい、カバーが破損してしまいました。

購入する際は、行動範囲を考慮し、サイズと地上高も合わせて検討することをお勧めします。

維持費など


下記が実際に発生した維持費となります。

・タイヤ(夏用):ミシュランAgilisキャンパー×4本=約8万円(コストコ)※約50,000km走行毎
・オイル交換(フィルター含む):2万円 ※6,000km走行もしくは、6ヶ月毎
・車検費用:104,230円(2年目の初回)

どうでしょうか?意外と国産車と遜色がないと思いませんか?

確かに、欠品のパーツなどは納期がかかってしまうことがあります。しかし、消耗品などは、ビルダーさんが在庫しているので心配がないと思います。

維持費を心配しているのであれば、こちらを参考にしてみてくださいね!

▼車検費用の詳細についてはこちらの記事で紹介しています。

まとめ


今回は、輸入キャンピングカーであるLIVINGSTONE5を実際に3年間所有して感じたことをご紹介しました。

私も当初は、どんな車旅生活になるのか、少し不安な時もありました。しかし、実際に所有してみると、走行不能になる事態などを経験することもなく、安心して車旅を続けられています。

国産車とはまた違う魅力がたくさん詰まった輸入車。今後キャンピングカーを購入する予定がある方は、ぜひ、輸入キャンピングカーも選択肢の一つとして考えてみてくださいね。