キャンピングカーのタイヤ

タイヤを交換して能力アップ?!正しいタイヤを選んで安全に車旅をしよう!!



「キャンピングカーのタイヤはバーストしやすい」

あちこちから聞こえてくる話だが、きちんとした統計がないため、これが事実かどうか、「本当にキャンピングカーに限ってバーストしやすいのか」はわからない。

ただ、車両のおかれている状況を考えると
・トラックで言えば常にフル積載状態
・稼働日数まちまち(トラックやバスなら毎日動く)
・高速(道路)走行が多い

など、タイヤにとってシビアな条件にあることは間違いないだろう。

タイヤについては、様々な誤解・誤知識がまん延しているのが現状である。

ここでは、国産キャブコンの代表格であるカムロード(シングルタイヤ)を例にとって、タイヤの選び方について考えてみたい。

命を載せて走るタイヤである。

ぜひ、正しい知識を身につけて、根拠のある選び方をしたいものである。

バランスの取れた「標準サイズ」


タイヤ

カムロードの標準装着タイヤは195/70R15 106/104L LTである。

まずはこの数値が示す意味を読み解いていこう。

195:タイヤの断面幅
70:扁平率。断面幅に対する断面高さの比
R:ラジアルタイヤ構造
15:ホイール径
106:シングルタイヤ時の最大負荷能力 950kg
104:ダブルタイヤ時の最大負荷能力 900kg
L:速度記号 120km/h
LT:Light Truck 貨物車用


 このタイヤをカムロードの指定空気圧である600kPaで運用すれば、1本あたり950kgの負荷能力を発揮する訳だから、前後軸いずれも1900kgの負荷能力があることになる。

カムロード自体の許容軸限度荷重(※)が前軸1800kg/後軸1850kgなので、本来であれば標準タイヤで十分なのだ。
※シャシーの負荷能力のこと。

架装・積載した状態で、この重量を超えないようにする

標準には標準たる根拠がある。

それが上記の数字だ。

1.標準サイズのタイヤを装着する
2.過積載をしない
3.きちんと空気圧管理をする
4.3〜4年で交換する


という基本的な対応ができていれば、問題はないはずである。

標準タイヤは貨物車用のタイヤで流通量も多く、比較的安価でもある。

自動車メーカーが選んでいるのだから当たり前と言えば当たり前の話である。

能力アップを考える


足回り

標準タイヤが決まっているのに、SNSを見ると

「どんなタイヤがいいでしょうか?」

「これを検討したいんですが、どう思いますか?」

などと、他のタイヤを検討したい、という意見をよく見かける。

それだけ、よりよい走りを求めたいと考えるからだろう。

安全性・燃費、あらゆることに関係するのがタイヤ選びである。

さて、数値的にはOKだとはいえ、少しでも余裕を持たせたいというユーザーのために、能力アップできる方法を探ってみよう。

まず注意したいのが「タイヤを太くすれば能力が上がる訳ではない」と言うことだ。

例えば205/70R15というタイヤがある。

先に紹介した標準タイヤの断面幅が195だから、10mm幅広だということだ。

しかし、このサイズだと負荷能力は104/102。

標準が106/104だから、むしろ落ちていることになる

もう一つの注意点が「リム幅」だ。

簡単に言えばホイールの幅のこと。

カムロード純正のホイールのリム幅は5Jというサイズだが、このリム幅に適合するタイヤは標準以外、残念ながら非常に少ない。

じゃあどうしたらいいの?といえば、ホイールもセットで交換するしかない、ということになる。

ホイールに関しても、乗用車用では耐荷重等の点で能力不足なので、ビルダー等が「キャンピングカー専用」として販売しているホイールを選ぶのが賢明だ。

ちなみにキャンピングカー専用といわれるホイールはリム幅6Jがほとんどだ。

6Jのホイールを装着する前提で選ぶとどうなるか。

候補は2つある。

・205/65R15 110/108L LT
・215/70R15 107/105L LT
である。

205/65は空気圧600kPaで負荷能力は1060kg。

標準タイヤと比べて100kgほど付加能力が向上する。

215/70のほうは450kPaで975kgと負荷能力はあまり変わらないが、空気圧が150kPaほど低い。

空気圧が低いほうが(もちろん程度によるが)乗り心地は良くなる

負荷能力を求めるなら205/65

少しでも乗り心地を良くしたいなら215/70

これが選択する際のポイントになる。

ちなみに215/70を選んだ場合、このタイヤの上限空気圧は450kPa。

それ以上にしても負荷能力は向上しないので覚えておこう。

また、空気圧についてはもうひとつ注意点がある。

ガソリンスタンドなどで空気圧調整を頼むと、車に貼られたラベルだけ見て600kPaにされてしまうことがある。

タイヤを変えたなら、その点にも注意しよう。

専用タイヤってどうなの?


カムロードのベースはトラックなので、設定されているのも貨物車用タイヤなのだが、キャンピングカーの特性に合わせて開発された専用タイヤというのも存在する。

ここからはキャンピングカー専用タイヤについて解説してみよう。

デュラビス・キャンパー




ブリヂストン製のキャンピングカー専用タイヤ

規格としてはLT=貨物車用だが、キャンピングカーの特性に合わせて設計されている。

強化されている関係か、やや乗り心地は固くなる傾向だが、標準タイヤサイズとしては、第一の選択肢だろう。

CP規格タイヤ




ヨーロッパではキャンピングカー用タイヤの規格=CPが設けられている。

代表的なものがミシュランのアジリス・キャンピングだ。

最近では同社からオールシーズンタイプのクロスクライメイト・キャンピングも登場している。

他にもコンチネンタル社の物などが輸入販売されている。

さすが専用だけあって、走行安定性、乗り心地、いずれも高い次元である。

輸入品なので入手性と価格に難ありだが、現時点ではCP規格のタイヤはベストチョイスだと私は考える。

特にミシュランは正規輸入されているので、手に入りやすいだろう。