【メスティンvsアルポット】徹底比較!ご飯を炊くのはどっちが簡単?美味しいのはどっち?
前回は、炊飯アイテムとして人気の「メスティン」と「アルポット」の、バリ取りやシーズニングなどの事前準備について解説しました。
後編の今回は、いよいよ実際に2大クッカーでご飯を炊いてみた比較をしてみたいと思います。
炊飯はどちらが簡単なのか、そして炊けたご飯はどちらが美味しいのか、この2点に絞って比較していきます。
目次
メスティンとアルポットで実際にご飯を炊いてみた
今回の実験では、「あきたこまち」を1.5合ずつ炊きました。事前にお米を研いで(無洗米ではない普通のお米)、1時間ほど吸水させたものです。
熱源は、同じ燃料用アルコールを使う事とし、アルコールバーナー(ノーネーム)と、アルポットに付属のアルコールバーナーを使いました。
メスティンでの炊飯
事前に研いで吸水させた米に、メスティンの基本の水量(1合当たり200ml:1.5合なので300ml)を加えます。
屋内での実験なので、特に風防等は用意せずにアルコールバーナー付属のスタンドに乗せて、バーナーに着火、事前のテストで15分間はノータッチで問題ないことを確認済みですので、タイマーをかけて炊飯開始です。
15分後、ご飯が炊けました。
炊いている最中は、若干の吹きこぼれが見られましたが、小量だったので特に大きな問題にはならないと思います。
炊きあがりは、見たところ、1粒1粒の粒だちも良くツヤもあって美味しそうです。
しかし、底の部分を見てみるとまだ少し水分が残っていました。もう少し加熱すべきだったようです。
実際に食べてみても、上の方はしっかり弾力もあって甘味もでていましたが、底の方のご飯は緩くて旨みのないただ柔らかいだけ…と言う感じでしたので、あと1分~2分ほど加熱して、気持ちご飯に色が付くかな…程度まで炊いた方が良いようです。
これまでに何度かメスティンでの炊飯をしていますが、ほとんど焦げ付く事はありませんでした。
前回紹介した「シーズニング」に関しては、正直、筆者的にはメスティンには施さなくても大きな違いはでないように感じます。
ちなみに、我が家ではメスティンにしてもアルポットにしても、ご飯用の「しゃもじ」は使いません。先が平らな硬めの樹脂製のヘラを使うと、底や端の部分まできれいに取れますので、それを愛用しています。
1つ前の写真で、底の部分まできれいにご飯を取れていますが、このヘラの効果です。
もう変色してきていて全然「映えない」のですが、使い勝手が良く手放せません。同じようなものも見つからないのでそのまま使い続けています。
メスティンでの炊飯で使用した燃料アルコールは、30g注いで着火したものが、炊飯後には8gになっていましたので22gでした。
今回使用した燃料用アルコールは、メタノール80%・エタノール20%の製品ですが、メタノールの比重は0.792、エタノールの比重は0.789なので、全体としては0.7914になるかと思います。
22g×0.7914=17.4108≒17.4mlの燃料を消費した事になります。
アルポットでの炊飯
続いて、アルポットでの炊飯です。
メスティン同様に、事前に研いで1時間吸水させた米と、アルポットのアルミカップに刻印された目盛りまで水を入れます。
こちらも15分タイマーをかけて、アルコールバーナーに着火しましたが、アルポットの場合は時間ではなく、沸騰状態や水分量などを目視で確認しながら進めるので、15分はあくまで目安です。
アルポットは、放っておくとすぐに焦げてしまうため「自動炊飯」はできず、手間のかかる炊飯と言えます。
今回その場面を撮影しておらず、下の写真は今回のものではないのですが、途中、まだ水分が充分に残っている段階から、ヘラで底部をかき混ぜて上部の水分を落としてやる必要があります。
これまで何度もアルポットでご飯を炊いてきた中で得られた経験では、おそらくアルポットは縦長の容器で炊飯するため、米が対流せず、放置しておくと底部だけ米が水分を吸収してしまい、上部にはまだ水が残っているにも関わらず、底の部分は焦げてしまうのだと思います。
アルポットで上手に炊飯するコツは、上部に残った水分をいかに下に落としてやるかであり、かくはんして上下の水分量を均一にしてやることだと思います。
さて、アルポットのお米も炊き上がりました。
こちらも少し火を止めるのが早すぎました。すこし「べちゃ」とした感覚で、もう少し火を入れて水分を飛ばすと、もっと粒立ちの良いご飯が炊けるはずです。
アルポットでの炊飯に使った燃料は、本体容器含め169g→153gなので、16gと言う事になります。
前述の使用した燃料の比重から、16g×0.7914=12.6624≒12.7mlとなり、メスティンよりも27.3%ほど燃費が良いことになります。
ちなみに、「上下を混ぜる」他に、アルポットで美味しいご飯を炊くコツの1つに、「上蓋で消火すること」があります。
本体をバーナーから一旦外して、バーナーの蓋を締めて消火すると、その間にせっかく本体内にため込んだ熱が逃げてしまいます。そのため、本体はバーナーに付けたまま、本体の上蓋を閉じて消火し「蒸らし」を行うのがおすすめです。
本体を一旦外した場合と、上蓋で消火した場合は、かなりご飯の出来が違ってきます。
その際、バーナー内に残ったアルコールは蒸発してしまいますが、15ml程度しか入らないアルポットのアルコールバーナーは、1回の炊飯でほぼ使い切りとなるので、蒸発する分はあまり多くないと思われます。
メスティンvsアルポット炊飯対決!勝ったのはどっち?
メスティン、アルポット、それぞれで実際に炊飯してみましたが、「どちらが簡単にご飯を炊けるのか」「炊いたご飯はどちらが美味しいのか」「後片付けはどちらが簡単なのか」の3点を比較してみたいと思います
どっちが簡単にご飯を炊ける?
これはもうメスティンの圧勝で、異論の余地がありません。メスティンでの炊飯は本当に楽です。
今回使用したアルコールバーナーでは、過去の経験から約15分として炊いてみましたが、若干、加熱時間が足りなかったようですので、16~17分あたりを何度か作ってみて見極める事で、「自動炊飯」と呼べるようなイージーな炊飯が可能になるでしょう。
アルコールバーナーは時間を計って消火する必要がありますが、固形燃料であれば消化も自動で行われますので、目と手を離していてもご飯を炊く事が可能です。
一方、アルポットは、考え方が全く逆と言えます。
手間がかかり、ちょっとしたコツを知らないと上手にご飯が炊けない道具で、メスティンの「自動炊飯」を好む方には受け入れて貰えない面倒くさい道具かもしれません。
ただ、キャンプやアウトドアって、手間や不便さを楽しむような部分もありますよね。また、他の人にはできない事が自分だけが上手くできたり、コツを知っている…というのも、いい気分にさせてくれる要素だと思うので、そうした観点で見れば、アルポットは玄人好みのクッカーと言えるのかもしれません。
炊けたご飯はどっちが美味しいのか
これは、アルポットの圧勝です。
実は、家内や知人などに目隠しテストをしているのですが、暖かい炊きたてを食べた家内も、おにぎりにして冷めたご飯を食べた知人も、即答で「こっち(アルポット)」と答えていますし、私自身もアルポットの方がダントツで旨いと感じます。
なぜこんなに美味しさに違いが出たのかを自分なりに考えてみたのですが、おそらく火力の集中と保温性の問題ではないかと思います。と言うより、他にあまり違いが見当たらないので、たぶんそこだろう…と。
火力の集中と保温に優れるアルポット
今回、火力に差が出ないようにするため、メスティンもアルコールバーナーを使いました。
口径の大きなバーナーを使ったメスティンの方が有利では?と思っていたのですが、アルポットは、バーナーの燃焼部を本体内に格納しているため、火力を逃がさず無駄なく加熱に使う事ができる構造が利いているのではないかと思います。
実は、アルポットは、加熱中に本体上部に手をかざしても、あまり熱くないのです。
実際に見ると分かりますが、沸騰した(ゴボゴボと沸く)状態を見ると、火力が弱いからではない事がわかりますので、火力をほとんど加熱に利用し切っているからではないか…と思っています。
メスティンは、同じように手をかざすと熱いです。覆うものがない状態で、メスティンの脇から炎の熱が上がってくるのですから熱くて当然ですが、その分、火力を全て加熱に使えていない事がわかります。
同じアルコール燃料を使っていても、アルポットの方が火力を集中できるという事が大きいのだと思います。
また、炊飯後の「蒸らし」でも両者の差が出ます。
メスティンは、保温容器などを用意しない限り、熱伝導の良いアルミ本体からどんどん熱は逃げますが、アルポットは、本体内部に断熱版を置いていて、本体内の熱を逃がさない工夫がされており、15~20分の蒸らしの後でもアツアツのご飯が食べられるぐらい保温性が良いのです。
その高温状態を維持した「蒸らし」が可能な事も、アルポットで炊いたご飯が美味しい理由ではないかと思います。
「火力を集中して一気に炊き上げる」こと、 「高温を維持した蒸らし」、この2つがアルポットのご飯が美味しい理由ではないかと考えます。
本WEBでは過去に、アルコールバーナーとアルポットの「湯沸かし対決」記事を掲載しています。
その際には、ガスバーナーや電気ケトルなどと共に200mlの水を沸かす早さを計測していますが、その際にも、同じアルコールを燃料を使っていながら、アルポットの方が40秒ほど早く沸騰させられていました。
やはり、その辺の熱の伝わり方などがご飯の味に影響しているのではないかと思います。
メスティン リベンジ
この「簡単で手間いらずなのはメスティンの方だが、美味しさではアルポット」という結果を受けて、それならば…と思い、メスティン炊飯にオプションを付けてリベンジしてみました。
最初の時との相違点は以下の通りです。
1.アルコールバーナーを変更
アルポットとの違いは、火力の集中の問題だと考え、Amazonで買ったノーネームの格安品から、本家、トランギアのアルコールバーナーにチェンジ
2.炎から鍋底までの距離を空ける
一人用のBBQコンロを持ち出し、バーナーの下に板を入れる等して、炎とメスティンの鍋底の距離を調整。 炎の温度の高い部分で加熱できるようにした。
3.ご飯を美味しくする食材を入れる
酒や蜂蜜など、ご飯を美味しく炊くための「プラスα」が色々ある中で、みりんと蜂蜜を小量加えました。もちろん炊く米は1時間ほど吸水させています。
4.加熱時、圧力をかけるため「重し」を乗せる
5.消火後、天地をひっくり返した状態で保温容器に入れ、15分間蒸らす
アルコールバーナーに25gのアルコールを入れ着火、少しして、ノーネームのアルコールバーナーでは全く見られなかった2次燃焼が始まり、メスティの中でブクブクと泡立っている音が聞こえ始めました。
このような状態も、沸騰するとメスティンのあちらこちらから水があふれ、湯気が噴出する状態も、ノーネームではなかった事です。
タイマー15分を前にバーナーの炎が弱ってきました。燃料を使い果たしたようです。
この時点でまだ湯気が出ていたので、アルコールを追加するか、そのまま加熱を終了するか迷いましたが、今回はそのまま保温袋に入れて蒸らす事にしました(15分)。
蒸らす際に、逆さまにしたため米が少し潰れていますが、前回とは違って明らかに水分を飛ばし切った感じがします。
しかし、ご飯をどけてみると、まだ気持ち水分が残っていました。
迷った時に、アルコールを追加するなり、ノーネームに残っていたアルコールでもう少し炊いてやるべきだったかもしれません。
しかし、実際に食べてみると、前回とは全く違った食感と甘味で、粒立ちもはっきり分かる「炊いた米」になっていました。これならリベンジ成功と言えそうです。
アルポットのご飯と比べると、まだ少しアルポットの方が美味しい気がしますが、手間の事を考えると、この出来で手間なしで炊けるので、場合によってはメスティンを採用しても良いように思いました。
それにしても、同じような外見でもアルコールバーナーの火力の違いには驚かされました。
後片付けや収納性に優れているのはどっち?
メスティンは単体の製品ですので、炊飯をするには他の製品との組み合わせが不可欠で、どんな製品を使うかによって収納性や後片付けの手早さは変わってきます。
炭火で炊けばかなりの手間がかかりますし、固形燃料なら燃えカスを捨てれば済みます。携帯性を優先させようと思えば、固形燃料と風防を本体内に収納しておけるメスティンを使用すれば、非常にコンパクトに携帯できます。
私の場合は、メスティンと、アルコールバーナー、燃料用アルコールを、炊飯後の蒸らし兼用で保冷バッグにまとめて収納しています(見えるようにアルコール容器を出していますが、通常はメスティン内に軍手と共に収納)。
また、後片付けにおいても、メスティンを炊飯後に水に浸しておけば、汚れを簡単に洗い落とす事ができます。
アルポットは部品点数が多いのですが、バーナーとクッカーが一体式のため、大きさはあるものの、まとまりは悪くありません。
ポット内に、米やアルコールなどを収納しておけるので、思ったより場所を取りませんよ。
後片付けに関しては、縦に細長いカップの形状は正直洗いにくいですし、焦げ付かせたりしたらそう簡単には落ちません(酢やレモンに一晩漬けておくのが有効)。
そういう意味では、「シーズニング」は、アルポットにこそ必要ではないかと思います。
今回の炊飯対決の結果は・・・
ここまで、メスティンとアルポットで、同じ燃料を使って炊飯をしてみましたが、ご飯を炊く際にも、ご飯の後の片づけでも、手間がかからない、簡単なのは圧倒的にメスティンでした。
アウトドアでは、手間がかかるのが嫌で堪らない瞬間ってあるものですが、そういう場合には、簡単手間なしの「自動炊飯」が可能なメスティンはこれ以上ないクッカーだと言えるでしょう。
一方、アルポットは手間がかかりますし、後片付けも手間は多めになります。しかし、アウトドアは一方では、その手間や面倒くささを楽しむという側面もあり、そういう面ではアルポットは美味しいご飯を炊く事を楽しむ事ができるクッカーであると言えるかもしれません。
かく言う筆者も、手間をかけコツを駆使して美味しいご飯が炊けた時の嬉しさを味わいたくて、アルポットを使い続けている一人です。
また、炊きあがったご飯の美味しさは「圧倒的にアルポットだ」と複数が軍配を上げており、少なくとも筆者や筆者の周囲の人間は、「アルポットで炊いたご飯の方を食べたい」という意見でした。
ある試食をした者の意見で、「メスティンは煮たご飯、アルポットは炊いたご飯って感じ」という言葉が、言い得ているように思いました。
しかし、アルコールバーナーを変更し、炎との距離を調整して炊いた「メスティンのリベンジご飯」は充分美味しく炊く事ができました。
絶対的な美味しさではまだアルポット優勢と思いますが、手間を考えれば、あれだけのご飯を手間なしで炊けるのであれば、メスティンの勝利という審査員がいてもおかしくないと思います。
炊飯の簡単さ、手間の少なさ、さらに収納性や携帯性等を考えるとメスティンが圧倒的に有利である事は確かです。
一方、手間がかかり携帯性も良いとは言えないアルポットですが、炊けたご飯の旨さという点ではかなり高レベルにありました。
が、メスティンの方もリベンジご飯の方は、アルポットに対して十分対抗できるだけの美味しさ。
手間を楽しみながら美味しいご飯を食べたいのであればアルポット。手間がかからないという点で大きなアドバンテージを持ちつつ、アルポットに迫る旨さのご飯が炊きたいのならメスティン・・・と感じました。
以下に、今対決の筆者の評価をまとめました。
メスティン | アルポット | |
☆☆☆☆ | 携帯性・収納性 | ☆☆☆ |
☆☆☆☆ | 手間いらずで簡単 | ☆ |
☆☆ | 炊飯に必要な道具の数 | ☆☆☆☆ |
☆ | ご飯の美味しさ(初回) | ☆☆☆☆☆ |
☆☆☆☆ | ご飯の美味しさ(リベンジ) | ☆☆☆☆☆ |
・炊飯対決(メスティン初回)
メスティン11ポイント vs アルポット13ポイント・・・アルポットの勝利
・炊飯対決(メスティンリベンジ)
メスティン14ポイント vs アルポット13ポイント・・・ メスティンの勝利
今回の実験で一点反省するとすれば、最初から、バーナーや炎の距離などをちゃんと勘案すべきでした。
また、今回の対決の結果はあくまで筆者個人が重視する点や、好みによって導き出されたものである事をお断りしておきます。