車中泊におすすめなのはどっち?「電気コンロ」と「IHクッキングヒーター」それぞれのメリット・デメリット
ここ数年のアウトドア・車中泊ブームにより人気が高まり、車中泊旅にかかせないアイテムのひとつとなっている「ポータブル電源」。
そのポータブル電源の性能がアップしたことにより、いままでは車内で使うことが難しいと思われていたパワーを必要とする多くの調理家電(調理器具)も使用することができるようになりました。
そんな調理家電(調理器具)の中でも、定格出力600W以上のポータブル電源を持っている方に特におすすめなのが、安全性が高くさまざまな調理に対応できる「IHクッキングヒーター」と「電気コンロ」です。
今回は車中泊の際、車内調理を想定されている方におすすめの「IHクッキングヒーター」と「電気コンロ」、それぞれの特徴や向いている調理、メリット・デメリットなどをご紹介していきます。
車中泊での調理家電選びに迷っている方は、ぜひ記事をチェックしてみてください。
目次
車中飯を電気で安全に調理する
ほんの1〜2年前まで、ポータブル電源はパワーの弱いものしか選択肢が無く、車内での調理にはカセットコンロ一やアウトドア用のシングルバーナーなど、缶にガスが入った「ガスボンベ」を使用するタイプのものを使用する方が多かったようです。
筆者のように車内でガスボンベや直火を使用することに抵抗がある場合は、数年前までなら低出力のポータブル電源やシガーソケットからの電源で稼働できるタイプの調理器具を使うしか選択肢がなく、作ることのできる料理に制限があったり、調理にかなり時間がかかっていました。
しかしここ1〜2年ほどのポータブル電源の進化により、家庭で使用するタイプの調理家電も車内で問題なく使用できるようになり、数年前では考えられなかったほど多くの調理家電のなかから、車中泊やキャンプの調理に適した商品を選ぶことができるようになりました。
そんな調理家電の中でも調理の自由さや持ち運びやすさ、火力の強さなどの面からおすすめなのが「IHクッキングヒーター」と「電気コンロ」。
どちらも調理できる料理や使える調理器具の自由度・選択肢が増し、車内でも家と変わらないおいしい料理を作ることができる、とても便利な調理家電なんです。
さっそく、それぞれの特徴と合わせて、作ることのできる料理やメリット・デメリットなどを以下でチェックしていきたいと思います。
火力が強いIHクッキングヒーター、できること&そのメリットとは
「IHクッキングヒーター」はご自宅での調理で日常的に使っているという方も多く、その特徴もよく知られている調理家電なのではないでしょうか。
電気を用いて磁力で加熱する構造のため、上にのせた鍋やフライパンを集中して直接加熱することができ、鍋の中に入れた食材に短時間で熱を通すことができます。
また表面がフラットになっているため掃除がしやすく、軽くて突起がない分持ち歩きしやすいのが特徴です。
「弱火で時間をかけてじっくり調理する」といった調理方法が可能なだけでなく、火力が強いため炒めものなどにも最適。
電気コンロと比べると、かなりの短時間で調理が可能となっています。
試しにステンレスのシェラカップに100mlの水を入れて加熱したところ、グツグツと沸騰するまで火力2(弱と中の間:430W程度)で3分強でした。
600Wのポータブル電源で使用できるギリギリの火力(5段階中3、中火力:550〜560W程度の出力)では、2分半程度で沸騰。
上にのせた調理器具を直接熱するため、調理時間も短く加熱に時間がかかりません。
IHクッキングヒーターにもデメリットが
火力が強く短時間での調理に適しているIHクッキングヒーターですが、もちろんデメリットも存在します。
まずIH対応の鍋やフライパンを選ぶ必要があること。アルミ製や銅製の鍋を使うことはできません。
また鍋をIHから外したり、調理の際にフライパンを振ってIHからフライパン・鍋の底が離れてしまうと、エラー音がなり加熱がストップしてしまいます。
また電気調理よりも調理方法が限られ、パンを焼いたり食材を炙ったりといった調理はできないため、この点に注意が必要です。
IH対応の調理器具を使い、お湯を沸かす・スープを作る・焼く・炒める・煮るといった調理法であれば、特に問題なく調理に使うことが可能です。
火力は弱いがこんがり調理が得意な「電気コンロ」
「電気コンロ」とは、コイル状になった電熱線に電流を通して熱を発生させることにより加熱するタイプの調理家電。
消費電力も商品によって300W〜1200Wまで幅広くあり、自分の持っているポータブル電源のパワーに合わせてチョイスすることが可能です。
IHクッキングヒーターでは使えない土鍋や銅・アルミ製の鍋やフライパンも使うことができ、焼き網を使えばパンやおもち・焼きおにぎりも車内でこんがりと香ばしく焼き上げることができちゃいます。
また一定の温度で加熱し続けるため、あぶり焼きや燻製料理なども気軽に楽しめます。
「電気コンロ」のデメリットとは
電気コンロのデメリットはIHよりも加熱に時間がかかること。
さきほどのIHクッキングヒーターと同じようにステンレスのシェラカップに100mlの水を入れて加熱してみましたが、400Wの出力(中心のコイルのみ加熱)で水がしっかりと沸騰すまで6分以上かかりました。
IHと同じ出力では倍くらいの時間がかかる計算です。
筆者の使用している電気コンロは800W(コイル全体を使用)で加熱することもできるため、ハイパワータイプのポータブル電源があればもう少し火力は強くなりますが、それでもIHクッキングヒーターと比べると調理に時間がかかるのは間違いありません。
電気コンロはIHクッキングヒーターと違い、まずコイル(電熱線)を温め、その温めたコイルで鍋やシェラカップを加熱するため、鍋だけを集中して加熱することができず、熱が放出されてしまうこともあり調理に時間がかかるようです。
調理に時間がかかるということは電力も多く必要となるということ。
使用する予定のポータブル電源が大容量タイプではない場合、他の電気製品を使うための容量が残らない可能性がありますので、その点も注意が必要です。
メリット・デメリットを考慮し最適な調理器具をチョイスしよう
ご紹介してきたとおり、「IHクッキングヒーター」は火力が強めで調理がしやすいですが調理方法が限られ、ある程度のパワーのあるポータブル電源とIH対応の調理器具が必要となります。
「電気コンロ」は火力が弱い・容量を多く必要とするという点に注意が必要ですが、IHでは使用できない素材の鍋やフライパンを使用することができたり、IHでは作ることのできない料理が作れます。
どちらもメリット・デメリットがあり特徴も異なるため、ご自分の車中泊スタイルや調理したいと思う料理によってどちらを選ぶかを決めるのが良いと考えられます。
ちなみに筆者の場合は、車中泊において長い期間かなり弱い火力で調理をしてきたこともあり、調理に若干時間がかかることに抵抗があまりありません。
そのため最近では調理器具や作る料理の自由度の高い電気コンロを選び、よく使っています。
ただ車内スペースに余裕があるため、IHクッキングヒーターも車に積んで持ち運んでいます。
その分荷物は多くなりますが、バッテリー残量や調理したい料理に合わせてどちらも使えるようにしておくとかなり便利です。
自炊すれば節約にも!長期の車中泊旅におすすめ
今回は車中飯の調理におすすめな「IHクッキングヒーター」と「電気コンロ」、それぞれの特徴やメリット・デメリットなどをご紹介しました。
お弁当をテイクアウトしてきたり外食をすることもよいですが、地域でとれた食材を使っての車内調理も、車中泊旅でなら気軽に楽しむことが可能です。
自炊なら旅の費用をすこし節約することもできるため、夏休みなど長期の車中泊旅に特におすすめ。
ぜひご自分の車中泊スタイルにあう調理器具を準備して、車中での調理や車中飯を楽しんでみてください。