ジャパンキャンピングカーショー2020から見えた、トレンドと方向性

ジャパンキャンピングカーショー2020 イベント

小型キャンピングカーと大型キャンピングトレーラーに注目

1月31日から2月2日までの3日間、幕張メッセで開催された「ジャパンキャンピングカーショー2020」へ行き感じたことを、数回に分けてお届けしているこのシリーズ。

第3回目となる今回は、以前よりも注目度が高まっている小型キャンピングカーと大型トレーラーの話をしたいと思う。

ジャパンキャンピングカーショー2020 デュカトベース

ジャパンキャンピングカーショー2020の感想と注目の車種 Vol.1

2020年2月13日
ジャパンキャンピングカーショー2020

ジャパンキャンピングカーショー2020の感想と注目の車種 Vol.2

2020年2月18日

小型キャンピングカーの人気に関して思うこと

ジャパンキャンピングカーショーに行った際に個人的に一番印象に残っているのは右ハンドルのデュカトが多かったこと(それは以前にも書いたが)だが、軽自動車やミニバンサイズなど、小型のキャンピングカーや車中泊仕様車への注目度が高まっていることを強く感じた。

そして、その気運がキャンピングカービルダーだけでなく、自動車メーカーをも動かしている気配を感じる。

トヨタ ヴォクシー

出典:TOYOTA VOXY(ヴォクシー)

例えば、一時消えていたラゲージルームを広くとった2列シートのヴォクシーが復活している。この車には2列目シートを倒して繋げると平らなベッドを作るベースとなるマルチユースボードという純正オプションがあり、車中泊をしたい人をターゲットとしていることが明白だ。

ニッサンは、オーテックがそれと似た仕組みを取り入れ、さらにしっかり車中泊仕様車に仕上げたセレナとバネットを売り出した。

今の世の中、トヨタやニッサンのような大きな会社が賭けをするとは思えないし、メーカー側が面白い使い方を提案して先導しようなんて動きもあまり感じられない。綿密に市場調査をして、確たる需要が見込めるデータが揃わなければ、製品として世に送り出すことなどないと思う。

だから、私なんぞがなんとなく感じている以上に、こうした小型の車中泊仕様車への関心が高まっていると言うより、人気が広がっていることは確かな事実のようだ。

みんな大好きジムニー

しかし、最近海に集まった仲間と話していて、自分や自分の周囲の人と普段あまり接点がないタイプの人に軽いカルチャーショックを受けるようなことがあった。

メンバーの一人が最近ジムニーを予約した(その人は現在先代のジムニーとスバルを奥さんと共有している)と言う。自分が買う買わないは別として、そこにいた皆がジムニーには非常に興味があるので、そりゃ楽しみだというところから話は始まった。

「荷物が多い時はジムニーで軽ナンバーの小型トレーラーを牽くのも良いかも。」なんて案が出たり、改造やら活用方法の話題や昔話にも花が咲き(ポロロンポンポンの2ストジムニーの経験者が私を含め数人)、暫くジムニーネタで大いに盛り上がった。

ジムニー

因みに上の画像はカートラジャパンの会場で見かけて良いなあと思ったジムニーで、本文とは直接関係ない。しかしご覧の通り、上にボードなども載せられるルーフテントを備えていて、私達の用途要望に適っている車だ。

感覚の隔たりに愕然とする

注文した当人もジムニー話題で楽しげではあるのだが、なんとなく100%の明るさではなかった。荷物の積載の話に絡んで白状し始めたのだが、実はジムニーの注文を入れる前に、ハイエースもかなり真剣に検討していて(その話はまだ誰も聞いていなかった)、ディーラーに見積もりまで出してもらっていたというのだ。

誰もが「なんでハイエースやめたの?」となる。ジムニーも良いし、皆興味があって乗ってみたくもあるし、私も含め他にハイエース・キャラバンはいるけど、ハイエース・キャラバンはあれば何かと便利だから、仲間内に何台あっても良い。内装をいじってくれれば記事のネタにもなるから、私なんて身近にハイエース・キャラバンオーナーが増えることは大歓迎だ。

しかし、ハイエースをやめた理由と言うより、断念せざるを得なかった理由は、「家族の猛反対にあったから」だった。

猛反対どころか、奥さんと大学生の娘さんからは「あり得ない!」と断言されてしまったそうだ。ここでまた、そこにいたメンバーは「??!」となる。

当人は「昨今のブームに乗ってアウトドアにハマった」ような人ではなく、昔から山でも海でも本格的に遊ぶ人で、当然ご家族もお父さんがどんなタイプの人かは知っている。

スバルはアウトドア派に絶大な人気を誇る(カヤックやSUPのお客さんの車を見ていると、スバルが日本で一番多い車なのではとさえ思えてしまう程)車だけど、形がどんなタイプの人からも受け入れやすそうなことは理解できる。

しかし、ジムニーは結構マニアックな車だ。そして現在所有のジムニーも車高は少し上げてあり、マフラーも変えてあるなど、結構いじってあったりもする。以前はランクル70に乗っていた時期もあったそうだ(私はその車を見ていないが)。

そして、奥さんとはたまに一緒に山に登ることもあるようだし、先日娘さんとはスノーボードに行き、娘さんにスノーボードを買ってあげたせいで懐が寂しくなってしまったとも言っていた。要するに二人ともアウトドアな雰囲気を微塵も受け入れることのできないガチガチのインドア派などではなく、所謂ごく普通の偏りのない平均的な感覚の持ち主ということだ。

しかし、その結構いじってあるジムニーやランクル70は良くてもハイエースがあり得ない理由は、「仕事の車っぽいから?」と思ったら左にあらず。「イメージが怖い!」そうなのだ。

またしても「え?」と思ったら、娘さんからは「誘拐とかに使われそうだから。」とまで言われてしまったそうだ。そこで私と黒のハイエースオーナーは、自分達は世間の大多数からはそういうイメージで見られていたのかと愕然とする。

そう言えば、以前私は、私のキャラバンを間近で見た娘の友達のお母さんから「バスみたい。」と言われたことがあったのを思い出した。その時は、このお母さんの感覚がちょっとズレていると思っていたのだが、今になって案外あれが普通の感覚だったことが判明したような気もする。

問題は大きさだけにあらず

人の行動範囲はそう広いわけでもない。趣味の違う服屋に足を踏み入れる機会はないし、訪れる街や店は案外限られている。そして全然趣味趣向の違う人達と接する機会はそう多くはないけど、趣味趣向の違う人達であっても、限られた行動範囲内で見かける人のタイプはある程度限定されることになる。

前から思っていたのだが、普段まるで見かけることもないようなタイプの人を間近で見る機会が最も多い身近な場所は高速のサービスエリアだと思う。高速のサービスエリアには色々な地方から色々なタイプの人が、否応なしに一箇所に集められる場所だからだ。

時折、この人達は普段は何処に棲息しているのだろうかと思ったりしながら見ていることもあるのだが、逆にこっちも「今日〇〇SAでドラゴンボールに出てきた地球人のプロレスラーみたいなのを見た(現在は髪の毛が短いからそうは見られないと思うが)。」とか言われていたりするのかなあと思ったりもする。そして、それが黒い小さめのバスみたいなのに乗って去って行ったと…。

また、昔は工事関係っぽくない見た目のワンボックスを海岸の駐車場に停めたりすると「ホットドッグください。」と言われてしまうようなことがあったと聞いたこともある。

自分のスタンダードが、広い世間から見たら全くスタンダードではなかったなんてことは多々あるが、ハイエースやキャラバンには、依然そうした「普通の車ではないイメージ」がつきまとっているようなのだ。

ライトエース/タウンエースやバネットは明らかにハイエース・キャラバンより小さい。しかし、現在のボクシーやセレナの外枠の大きさは、小さそうに見えても実は4ナンバーのハイエース・キャラバンと変わらない。

話が少し逸れたが、ボクシー・セレナ・ステップワゴンなどの車中泊仕様車の人気が高まっている理由は、車の大きさや乗り心地の問題以上にイメージの問題が大きいのではないかということを言いたいのだ。

ワンボックスからの派生ではなく、最初から乗用車として作られたFFのミニバンは、平均的な感覚の人達から受け入れられやすいのだ。

昔は質素な4ナンバー1ナンバーが基本だったランクルも、日本ではゴージャス仕様しか販売されなくなってしまっている現実がある。理由は4駆マニア系の人より、資金力のある乗用車からの乗り換え組の方が多くなってしまったからだ。

自分達にとっての「寝られる車」は、VANやトラックなど商用車が前提となっているが、どうやら現在多くの人にとって「寝られる車」への入り口は自分達の(VANやトラックが前提)とは違うようだ。

多くの人にとっては、「寝られる車」であっても車は乗用車であることが大前提となっているようなのだ。この気運の高まりは、ボクシー・セレナ・ステップワゴンなどが乗用車であるからなのではないかと、この「ハイエースはあり得ない騒動」で判ってきたような気がする。

4駆マニアは自分達のモノを取り上げられてしまったよう形になってしまい、さぞかし寂しい思いをしているのではと思うが、同じように正直少し寂しい気もする。

しかし、一般人にとって車といえばセダンしかあり得ず、ワンボックスに乗ったらホットドッグ屋さんと間違われてしまった時代より大きく変わったと思えば、それで善しとすべきなのだろうか…。

大型トレーラーやモーターホーム

そして、対照的とも言える流れがあることも今回のジャパンキャンピングカーショーで感じた。手軽とは正反対の大型のキャンピングトレーラーやモーターホームの出展も多かったのだ。

escape

上の写真は会場に入ってすぐのところにあったボナンザのEscape。牽引するピックアップトラックの荷台の上に被さるようにオーバーハングした寝室の部分がカッコいい。これを見ていたら、映画『リーサル・ウェポン』でメル・ギブソン扮するLA市警のリッグス刑事がこの手の形のトレーラーに住んでいたのを思い出した。

そう言えば、アメリカ映画の中ではトレーラーハウスに住んでいる登場人物が少なくないが、懐かしの映画やドラマの警官や探偵でトレーラーハウスに住んでいる人物が他にもいた。

『CHiPs白バイ野郎ジョン&パンチ』の白バイ警官のフランク・パンチョレロも私立探偵のジム・ロックフォードもLAでトレーラーハウスに住んでいた。カリフォルニアではなくてマイアミの潜入捜査官だけど、クロケット刑事はヨットに住んでいた。

変わり種トレーラー

littlelog

上の写真はキャンピングカーショーではなく、カートラジャパンで見た神戸のLITTLELOG(現在千葉市に移転し社名がPAPPAS GARDENに変更)のトレーハウス。なんとログのトレーラーハウスで、北欧風な息吹を感じるけど日本製!

トレーラーだからもちろん移動が可能(ナンバーも付いていた)だが、ログであるため重さ解決が難題だったと聞いた。しかしその甲斐あって中に入ってみるとやはり自然素材の心地良さを感じる。住み心地が良さそうだ。神戸の会社なので、阪神大震災の体験もこのトレーラー開発のきっかけになっているそうだ。マイナスをプラスに変えた良い話だ。

flagstaff

こちらも同じくカートラジャパンで見たFLAGSTAFFのE-Proシリーズのトイホーラー。立派なキッチンやバスルームなどが整っていながら、「お部屋」なだけでなく、大きな動く倉庫的に使えるところが大きなポイントだ。

flagstaff

実際にアウトドアで活動するような人にとっては非常に実用性が高く、泊まることが目的の車ではなく、目的があって泊まるための車だ。アメリカではこのタイプも大変ポピュラーなようだが、日本でもこういったタイプのトレーラーを普通に使う人が増えてくれば、もっと色々面白くなりそうな気がする。

大型トレーラーが牽引される光景に未来あり?

トレーラーハウスに住んでいる話は、北米では映画やドラマの中でもごく普通の光景として描かれているが、大型のキャンピングトレーラーが牽引されていたり、大型の自走式のモーターホームが走っているのも、北米の路上では当たり前に見かける光景だ。

しかし、北米では普通に牽引されているキャンピングトレーラーであっても、少し大型になると日本ではその多くが定置で使用されている。

キャンプ場や別荘地みたいなところで据え置きにされたキャンピングトレーラーを見かける機会は多々あるが、実際に牽引されている大型のキャンピングトレーラーを日本で見かける機会は少ない。

理由は「道路事情や使用場所などのインフラが整っていないから」と説明されることが多いが、逆の方向から考えれば、「必要性がないからインフラが整わない」ともなる。

古い道路の拡張はなかなか進まないとしても、車が大きくなったことで新しい道路は昔よりずっと広くなり、駐車場の広さの基準も昔より大きくなってきている。

大きなカップがあるから大量に飲み物を飲むわけではなくて、カップを作る側は需要に合わせた大きさのカップを需要に応じた量を作るだけだ。

同様に使う人が増えなければRVパークなどの施設が増えることはない。そして、大型のキャンピングカーが増えなければそうした施設が広くなることもない。大型のキャンピングトレーラーやモーターホームが増えることで、道路行政に影響を与えるほどまでには至らないとしても、RVパークなどの施設に影響を及ぼすことは確実だ。

RVパークなどの数が増えて広くなり、使いやすくなれば小型のキャンパーもその恩恵にあやかることになる。そしてキャンピングカーを使う人が増えれば、感化されてさらにキャンピングカーを欲しくなる人も増える。大きなキャンピングカーが増えれば大きな相乗効果も生まれると思うのだ。

自分が購入するか(できるか)否かに関わらず、大型のキャンピングカーが増えることは良いことだらけだ。キャンピングカーショーで大きなキャンピングカーが並んでいる様子を見ながら、「買える人はどんどん買っていただきたい!」などと思ってしまった。