【車内DIYアイデア】スライドレールを使ってスライドアウト式の棚やテーブルを作る!
ホームセンターなどで売っているパーツ「スライドレール」を使って、車内の棚をスライドアウト式にバージョンアップした。
棚をスライドアウト式にすることで、箱やコンテナの中の物を上から取り出すことができるようになり、ちょっとしたテーブルとしても活用可能。
かなり実用的なDIYアイデアだ。
スライドレールの特徴とともに活用方法を紹介したいと思う。
スライドレール
家具用のパーツにスライドレールというのがある。IKEAとかのタンスの引き出しなどによく使われているやつだ。
引き出しにスライドレールが付いていると出し入れがスルーっとスムースになって気持ち良い。これがあるのとないのとでは大違いで、高級な家具でなくてもこのスルーっと感があれば使い心地は数ランクもアップした感じになる。
しかし、これを引き出しに取り付けるメリットはスルーっと感だけではない。
レールの付いていない普通の引き出しはあまり多く引き出すと引き出しが落ちてしまう。しかし、伸びたところで止まるスライドレールが付いていれば引き出しが落ちてしまうことがない。
そして、レールが3段引きになっていれば引き出しを完全に引き出すことができるのだ。
「引き出し」と「引き出す」が何度も重複して下を噛みそうな説明になってしまったが、状況はご理解いただけだろうか?
上の画像は3段引きのレールをAは伸ばし切った状態、Bが縮めた状態だ。伸ばし切ると縮めたときの倍の長さになっていることがわかる。
猫の手を借りるつもりはなかったのだが、自分が大きさの指標にでもなったつもりで参加しているのだろうか?
レールを引き出すと、2段目のレールが1段目(アウターレール)の半分まで伸びたところで止まるようになっている。太い側のレールに細い側のレールが半分まで入っていればかなり十分な強度が得られるが、これだけでは引き出しは半分しか出ないことになる。
しかし、3段目(インナーレール)がまた2段目の半分まで伸びたところで止まるようになっている。2段目と3段目で半分ずつ伸びて、結果倍の長さになる仕組みだ。
単純なようだが非常に良くできた仕組みで、十分な強度が保たれたままインナーレールはアウターレールから完全に飛び出た状態となる。
アウターレールをタンス本体側に取り付け、インナレールを引き出しの両側面に取り付ければ、スムースに開閉し、引き出しが落ちることなく引き出しを奥まで完全に引き出せるタンスを作ることができるのだ。
そしてレールとレールの間にはベアリングが入っているため滑らかにスムースに伸縮する。また、軽くロックもかかるようになっているため、多少の揺れ程度なら引き出しが勝手に出たり引っ込んだりするようなこともない。
上の画像はスチール製事務用家具の引き出しだが、木製の家具でも通常このようにスライドレールユニットは引き出しの側面に取り付けられている。
しかし、自作の家具にこのスライドレールを取り入れようとするとちょっと問題が生じてしまう。
本体と引き出しの側面の隙間をスライドレールユニットの厚みに合わせて相当に正確に作らなければ上手く作動しないばかりか、あまりに不正確だと取り付けることも不可能となってしまうのだ。
IKEAのように工場で材料が正確にカットされたキットの家具ならこのパーツを取り入れるのも簡単だが、完全に自作の家具でこの仕組みを取り入れようとすると結構精度の高い工作技術が要求されることになり、使用するには少し敷居が高い。
大変便利で良いパーツなのだが、ちょっとマニアックな人が選択するようなパーツでもあるのだ。
そのためか、どこのホームセンターでも見つかるわけではなく、案外置いていない店も多い。
しかし、先日ホームセンター(ジョイフル本田)で何か面白いものはないかと物色していたらこれが売られているのを見かけ、その場で素晴らしいアイディアが閃いてしまったのだ。
簡単で合理的な利用法
この画像は店内で撮ったものではないが、ホームセンターの売り場では、こんな感じで透明のアクリル板の底面にスライドレールを取り付けてディスプレイされていたのだ。
底面に付けるといった発想はなかった。その場で目から鱗がポロリと剥がれ落ちてしまった。
底面に取り付けるなら、2本のレールが平行に取り付けられていさえすれば動きに支障を来すようなことはない。本体と引き出しとの隙間をきっちり正確に作る必要がないどころか、そもそも側面のある引き出し以外にも使うことができることになる。
レールのユニットの厚みも15mm程度しかなく、大した無駄にもならない。
スライドアウト式のテーブルのような物を簡単に作ることができる方法なのだ。
スライドアウト式棚板を作成
ホームセンターの売り場ディスプレイの透明のアクリル板を出し入れしながら閃いた素晴らしいアイディアとは、キャラバンの車内に設置されている奥行き30cmの棚の棚板をスライドアウト式にしてしまうことだ。
この棚は、このように木の箱や布製のコンテナに物を入れて使っていたのだが、この棚がスライドアウト式になっていたら、重い物の入った木の箱や布のコンテナの出し入れがスムースになる。
そして、箱やコンテナを一旦どこかに下さなくても中の物を取り出すことができるようになる。
これだけでも大変使い勝手がアップするが、箱やコンテナをどければここがちょっとしたテーブルにもなるのだ。
レールユニットのサイズはいくつかあったが、縮めた時の長さが30cmで3段引きの要望にピッタリのものがあった。価格は858円(2本ペア)。
以前他で見かけた時はもう少し高かったような気もするが、しっかりとした作りでベアリングも入った精巧な作りのなかなかに立派なパーツなのにこの値段は安いと思う。早速まずはこれを一組購入して帰った。
家に帰って天板となる手頃な材料を探したら、軽くて丈夫な幅30cmのちょうど良い板が見つかった。先にこの板の側にビスでインナーレールを固定する。
上の画像左のレールが板に取り付け済みの状態で、右はレールの裏面(棚板に取り付ける側)を上にした状態だ。
車内に設置されている棚の棚板は薄い鉄板(普通のアングルが支柱の棚の棚板)なのだが、アウターレールの棚板への固定方法はScotch(3M)の強力な両面テープで固定し、様子を見てそれだけでは弱いようだったら棚板に穴を開けてビス・ナットで固定することにした。
しかしさすが3Mの強力な両面テープは値段も少々張るが、粘着力はバッチリ。今のところ穴開けとビス・ナットの必要はなさそうだ。
工作自体は至って簡単なので、作業工程の画像は以上。
板の前面には引き手となり、レールが表から隠れる長さの板を取り付けた。
そして、棚板の奥行きもレールの上に取り付けた板の奥行きも30cmだが、先にも書いた通り、3段引きのレールだから引き出せば上の画像のように完全に天板全体を引き出すことができ、引っ込めてしまうと下の画像のように全く棚から出っ張ることがない。
箱やコンテナを棚から下ろさなくても、引き出せば普通の引き出しのように上から中の物を容易に取り出すことができる。
また、テーブルとして使う場合は、棚の奥に箱やコンテナを戻して置いておくことができるので、箱やコンテナが邪魔になったり置き場に困ることもない。
実際の使い心地
ここからは実際の使い心地を紹介したい。
この1年半、例のウィスルスのせいで車中泊しながら遠出する機会がめっきり減ってしまったのだが、近隣の海岸に1日中いることは多く、昼食を外でとることも多い。
そして、先程の木の箱の中には電気クッキングケトルや電気ホットサンドメーカーなどの調理器具類がしまってあるのだが、道具の出し入れが面倒だと使うこと自体が億劫になってしまったり、片付けが雑になり、道具を元の場所に戻さず適当に積んで帰ってしまうようなこともある。
そうやって元の計画通りに行かない失敗も数々繰り返してきた。これは車の中のことだけでなく、動かない家でも同じだ。
しかし、棚がスライドアウトになったおかげで道具の出し入れがしやすくなり、片付けが面倒でなくなった。棚がただスライドアウトするようになっただけで、部屋の中(車の中)を整理整頓しようという気になる。
「道具の出し入れが簡単」は、車内の整理整頓にとって非常に重要なことであると思う。
そんな折、先日カヤックの納品があって中禅寺湖まで行く機会があり、久しぶりに2泊の車中泊旅をしてきた。
二晩目に停泊させてもらった駐車場には私以外に同じE25キャラバンスーパーロングのハイルーフ1台と2台のキャンピングカーがいた。
これだけ空いていれば、開けたテールゲートの下であまり大袈裟にならないようにガスでお湯を沸かすくらいなら問題ないような気もするが、皆様マナーが良いのか誰も外で調理したりイスやテーブルを広げたりなどしていなかった。
私はと言えば、以前からキャラバンにはソーラーパネルとサブバッテリーを装備していたのだが、ポータブル電源のEcoflow River Proを導入して以来、日常的な近くの海岸での昼食時も電気でお湯を沸かしたり電気のホットサンドメーカーでサンドイッチ以外にも色々と焼いてみたりと、ガスなどの火を全く使わなくなってしまい、とにかく最近は調理に電気ばかり使っている。
残量やソーラーパネルからの充電量が数字でわかることが面白いせいからなのかわからないが、とにかく車では電気を使うことがすっかり私のスタンダードになってしまっているので、外で調理をする必然性が全くない。
そして、気温が暖かければ外にいたい気持ちにもなるが、日中いろは坂より下でカヤックの組み立て説明(本来の仕事)などをしていたときは汗ばむ程の気温だったのに、夕方人気のない温泉街を少し散策し、足湯を使わせてもらった後は一人で外にいたい気分になるような気温ではなくなった。
この晩の山の上は-1℃まで冷え込む程で、暗くなったら早々に車中に引きこもることになった。
すると車内でこんなことになるのだが、今回作ったスライドアウト棚が見ての通りテーブルとなって大活躍。
時折山に響き渡る鹿の声なども聞きながら(と言って房総の家にいても鹿の声が聞こえるのは日常的で、自分にとっては何も珍しいことでもないのだが)、見逃したドラマなどをTVerで観つつ一人で酒を飲んでいると、外気温は寒い夜だったけど、至極快適。
こうしていたら、この板は以前ステップワゴンの車内でテーブルとして使っていたものだったことを思い出し、同じ板がテーブルとして蘇るのとともに、懐かしい思い出も蘇ってきた。無駄なものを捨てる断捨離も悪くないと思うが、捨てずにとっておくとこんなこともあってそれも悪くない。
このテーブルのおかげで部屋の中が無駄に散らからず、テーブルもその上に置いた物も出したままで寝ても全く邪魔にならなかったのだが、物があちこちに散乱しなくなったせいか翌朝の片付けも格段に楽になり、いつになく部屋の中を整理整頓した状態で出発の準備を整えることができた。
そして、最初の方で「軽くロックもかかる」と書いたが、これも車の内装に使う上で大きなポイントだ。
棚板には滑り止めシートを敷き、さらに飛び出し防止のベルトも設置しているが、この軽くロックがかかる仕組みがあるのとないのとでも大違いだと思う。
私は無茶なスピードを出したり車線をはみ出したりは絶対にしない(他人が無意味に車線をはみ出しているのを見るのも気分が悪くなるタイプ)のだが、無駄のないライン取りをしてコーナーを速く抜けることは好きだ。およそスポーティーとは言えない車に乗っていても車線内で無駄のないライン取りをすることが好きだ。
そんな感じで、いろは坂を登ったり金精峠を抜けるなどしっかり勾配のあるようなワインディングロードも普通に走ったが、全く問題はなかった。
ベルトや滑り止めの設置も必須と思うが、ロックの仕組みも確実に役立っているようだった。
5月中旬でも山の上はまだ桜が咲いていた。
そして、栃木県側から見ても山の上の方には雪が残っているのが見えたが、金精峠を抜けて群馬県側に入るとこんなところもある状態だった。
まとめ
高原の朝は気温も上がり爽やかで気持ち良く、サイドドアを開け放ち、このスライドアウトテーブルより前に作ったバックシート前のフリップアップ式テーブルを使ってお湯を沸かし、コーヒーを淹れて朝食とした。
リア充自慢風に見えなくもないが、もちろんそういうわけではない。
自分で作ったテーブル二つの活用例とそれが大活躍だったことの報告、そして数々の失敗も繰り返してきたDIYの中の成功例の紹介と、ちょっと成功自慢をしているだけだ。
それはともかく、このスライドレールはこの他にも色々活用方法があると思う。
差し当たり、この後は棚の下段を半分だけスライドアウト式にして、オーブントースター&コーヒーメーカーをスライドアウトできるようにしようと計画中だ。
その他、例えばテールゲートを開けたところにスライドアウト式のテーブルやシンクなどを設置するのなんてのも良いのではないかと思う。
ここにいると何か良いアイディアが湧いてくるような気がして、夜家にいても時折わざわざここへ来てあれやこれやと考えてしまうことがある。
引き出しの側板に取り付けるにはそれなりの難易度の高さも覚悟する必要があるが、今回のような使い方なら敷居は非常に低い。
そして、それに気付かせてくれたホームセンター(ジョイフル本田)のディスプレイに大いに感謝する。
上手く活用すれば大変満足度の高いものが作れるこのスライドレール。車内のDIYに大変オススメのパーツだ。