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バンライフ仕様車 組み立てキット バンタウン ditto ハイエース

本格的なバンライフ仕様車を組み立てキットで簡単に作れる!dittoを徹底解剖





安心安全で合理的な選択


先述の通り、dittoは住友商事とRVランドが手を組んで取り組んだプロジェクトだ。

ご存じの方も多いと思うが、RVランドは国内の一流キャンピングカーメーカーだ。

そのRVランドが作る部材や什器類なのだから、品質面の信頼性は高く安心安全、折り紙つきと言える。

車中泊仕様車 組み立てキット バンタウン ditto

しかし、何故あの住友商事がキャンピングカーのキットなどといったニッチな分野に進出するのかといった疑問が生じたことは否めない。

正直に言ってしまうと当初は全くピンとこなかった。

だが、今後の可能性が高く興味深い分野であると一流企業に判断されたと受け止めることもでき、そう考えると、何か大変面白いことが始まっているような大きな期待感も湧いてくる。

ところで、dittoはキットというよりプロジェクトと表現した方が合っていると書いたが、もう少し具体的にその概要を伝えておこう。

車中泊仕様車 組み立てキット バンタウン ditto

普通の内装のままの車で車中泊をしたり、完成したキャンピングカーを購入したりするだけはなく、バンライフ仕様の車を自作し、車中泊をすることだけでなく、作る作業から楽しみたいと思っている人は多いと思う。

しかし、それには様々な難関も待ち構えていて、決して誰にでもできる容易いこととは言えない。

普通の乗用車(ミニバンなども含め)にしか乗ったことがない人がベースとなる中古の商用車を選ぶとなると、どういった基準で選んだら良いのかわからず、不安に感じる人もいると思う。

dittoのベース車両は200系ハイエースだが、ハイエースは中古でも高額な車種だ。

ベース車両選びは知識や経験不足で失敗してしまうことも少なくないと思うのだが、dittoは専門家がそこから相談に乗り、提案してくれるから安心だ。

そして、作業場所の問題がある人も多い。

大きな木材を切り出す場所も必要だが、例えばマンションの立体駐車場のような場所では、車両への組み付け作業をすることさえままならないこともあると思う。

車中泊仕様車 組み立てキット バンタウン ditto

キットではなく一から始めるとなると時間もかかるが、まとまった時間がなかなか取れないと、中途半端な状態のまま車を使い続けなければならなくなってしまう。これも案外厄介だ。

DIYの経験のない人や浅い人は、技術的にわからないことや不安を感じることも多いと思うが、安全性にも関わる問題だから決して蔑ろにすることなどできない。

材料選びも悩みの種になる。

しかし、一泊二日のワークショップに参加して作り上げるdittoなら、こういった諸々の問題を解決することができ、自作の楽しみも経験できるということだ。

車中泊仕様車 バンライフ仕様車 組み立てキット バンタウン ditto

そして、キットと聞くと画一的なイメージを抱くかもしれないが、床材、キャビネットやテーブルの天板、ドアパネル、ベッドやシートに使用する生地などの素材は、種類が豊富に用意されていて、むしろ完成品のキャンピングカーより選択肢が広いくらいだ。

バンライフ仕様車キットの組み立て作業は実際どうなのか


午前11時に見たハイエースの姿は、正真正銘この状態だった。

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この車両は、一般の建物でいうところの野縁(天井板を固定するための骨)となる木材が車体の梁にビスで固定され、床には根太のような(本来の根太とは意味合いが異なるが、床の下地板を固定する部分という意味での根太)木材が前後方向に真ん中に一本と後端横方向に既に固定されてはいたが、それ以外は全く素の状態、まさに伽藍堂状態だった。

そして、これから行う作業は、既に正確にカットされた部材、或いは組み上げられた什器類を車体に組み込んで行くだけだ。

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必要な工具も、基本的にドライバー(できればインパクトドライバーがあると便利だが、普通の電動ドライバーや手締めドライバーだけでも大丈夫)とレンチだけで、ノコギリなどの刃物系の工具は必要ない。

そして、作業は11時半頃からスタートしたのだが、かなりゆっくり進めながらも、15時前にはすっかり完成してしまった。

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作業の速度がどの程度ゆっくりだったのかといえば、途中作業の手を止めて見学に来られたお客さんと会話をしたり説明をしたりする時間もあれば、お客さんにビス打ちなどを体験してもらうこともあった。

また、途中経過の状態を見せるために敢えて何度か暫く作業を中断したりといったペースだった。

それでも4時間かかっていないことになるわけだが、推測するところ、DIYなどに多少慣れている人であれば2時間もかからずに完成してしまうのではないかと思う。

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技術的にはどの程度のレベルの技術が必要かといえば、ワークショップに参加して組み立てるのなら、DIYが全く未経験でも問題ないレベルと感じた。

そして、少し難易度の高いIKEAの家具をすんなり組み立てられるレベルの人であれば、多分ワークショップなしでも問題なく組み立てられるのではないかとさえ思う程度だった。

dittoの組み立てやすく、簡単に組み立てられるポイント


簡単で正確に組み立てられるのには、もちろんそれなりの理由がある。

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非常に感心してしまう部分は多々あり、申し訳ないけど完全自作の人も応用させてもらったら良いと思うようなポイントも多々あった(どこがとは敢えて特定しないでおくが)。

この項目ではそんな内容や場面を紹介しよう。

正確にカットされ下板で裏打ちされた壁板と天井板


無垢の羽目板で覆われた壁面や天井は雰囲気もあり、バンライフ風な空気を醸し出す上で最も効果的であり、ほぼ必須アイテムのようでさえある。

なんとなくのイメージではあるが、キャンピングカーとバンライフ仕様車との違い(キャンピングカー登録か否かの意味ではなく)は、この辺りにあるのではないかといった感じさえする。

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ドアパネルなどを除き、dittoの車内の大半もこの無垢の羽目板で覆われている

しかし、板張りは見た目が良いだけでなく、断熱性も防音性もアップし、厚みがあるのでビスやフックを打つこともできるなど、実は案外実用性も高い。

木の香りの漂う無塗装も良いが、自分で好みの色に着色することも可能(着色する場合は塗料の匂い対策は必要)だ。

キットではあるが、自分好みにカスタマイズして仕上げるために色々な意味で重要な部分でもあるのだ。

とは言え、車内を板張りにする作業はそう簡単なことではなく、難易度は高い。

まずは、型取りと寸法の割り出しがかなり難しく、次に材料を切り出す作業場所が必要になる。

そして、一枚一枚羽目板のさねを合わせて貼り付けていく作業は手間がかかり、時間もかかる。

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キャラバン羽目板途中



単純な平面ではないので、作業を進めるうちに計算通りには行かなくなる可能性もある。

常に揺れる車の中のことだから、せっかく板を張っても作りがしっかり作られていないと崩壊してしまう可能性もある。

これらの理由で、やってみたいけど手を出せずに諦めている人も多いと思う。

しかし、こういった諸々の問題をほぼ解決してくれるのがこのキットの壁板と天井板だ。

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羽目板は既にさねが組まれた状態で、裏側が薄いベニヤ板の下板で裏打ちされていて、一体化された一つのユニットとなっている。

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後部両サイドの壁面は、自分でさねを組み合わせて行く必要などなく、左右各々この一体化された壁板を取り付けるだけで済んでしまう。

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面積の大きな天井板は、中央と左右の3ピースに分かれているので、各々のピースを中央部分から順に野縁にビス留めしていくだけだ。

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この作業は頑張れば一人でもできなくないと思うが、二人でやれば楽でスムースだ。

但し、こういった共同作業はどちらかがイラつきだすと険悪になるので、その点には注意が必要(この写真の中の人達は作業に手慣れているのでそんなことはなさそうだったが)だ。

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そして、デモンストレーション用の車両のため、側面も天井も上の画像ではどれも断熱材などは入れていないが、当然貼り付け前に断熱材を入れておくこともできる。

或いは、スピーカーやダウンライトなどを取り付けたい場合は、取り付け前に予め板にそれ用の穴を空けておくこともできるだろう。

このように壁板や天井板がユニットになっていれば、羽目板を一枚一枚貼って行くより、そういった作業も断然やりやすく、作業効率が良いと思う。

壁板と天井板のことを先に書いてしまったが、作業の順序としては床の下地板張りの固定とフロアマット敷きが先で、次に天井、側壁、キャビネットなどの取付けといった順になる。

バンライフ仕様車 組み立てキット バンタウン ditto ハイエース

床の下地板もタイヤハウスの形状や微妙なカーブなどにピッタリ合わせてカットされている。

自作を経験すればわかるが、壁や天井と同様、床板の正確な型取りと寸法の割り出しは大変手間のかかる作業だ。

それが完了しているのだから、手間も時間も大幅に削減されて本当に有難い。

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また、細かいところでは、サイドドアの乗降口の縁取りに合わせて、その部分は板が綺麗に斜めに削られているなど、細かな配慮も行き届いている

既存のネジ穴などを最大限に利用している


先述の通り下地板を取り付けるための根太のような役割の木材は予め取付けられていたが、これは車両側には接着剤で固定されているだけで、ボディーの床にビス穴などは空けられていない。

そして下地板はここにビス留めし、両サイドのキャビネットと箱と共にボルト留めするだけなのだが、精度が高いことが大きなポイントとなっていて、正確にカットされているためズレてしまう心配もなく作業は至って簡単だ。

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そしてその上に敷く木目調のフロアマットも、一般的にホームセンターなどで簡単に入手できるようなものとは違い、質感が大変しっかりしていて耐久性が高そうな高品質なもので、見た目も木目調のマットというより本当のフローリングのようだ。

ところで、バンの荷台は鉄板が平面ではなく、強度を出すために畑の畝のように凸凹になっている。

そしてベイシックグレードの場合は、そのウネウネした鉄板剥き出しのままか、ゴムやPVCなどのマット(オプション設定?)が敷かれただけなのでやはりウネウネは残る。

ハイグレードなモデルはマットが砂や埃を溜め込んでしまうカーペットに代わっていて、実用面では本末転倒になっているようなこともある。

しかし、こういった平らで耐久性と防水性の高い床は、本当の意味で実用性が高い。これだけでも十分に価値があるような代物だ。

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下地板へのフロアマットの固定方法はどうかというと、後端は縁取りで固定され、両サイドは右側のタイヤハウスを覆うキャビネットと左側のベッドの一部となる箱(上蓋式の収納庫にもなっている)とサイドドアの縁取りで固定され、前端はカップホルダーとちょっとしたカウンターになる箱のようなもので覆われるので、下地板に接着する必要などはない。

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なので、マットを剥がすことも下地板を外すことも可能なので、もし傷んでしまった場合の交換も容易だ。

では、天井と壁板の固定はどうか。

天井は、先述の通り梁に取り付けられた野縁にビスを打って留める仕組みだ。

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右後部の窓を覆う壁板(その下はキャビネット)は、元々窓を保護するバーが取り付けられていたネジ穴を利用する仕組みで、全く車体にビス穴を空けることなどなく、しかもしっかりとボルト留めできるようになっている。

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左側面は窓を覆わないようになっている(運転中に振り向いた際の左後方視界が確保されている)が、窓下に取り付ける羽目板ユニットはビス留めだ。

しかし、車体に空けるビス穴は最小限に抑えられている。

そして、右側面のキャビネットと左側面のベッドの一部となり収納庫となる箱の固定は、これも元々床に空いているネジの切られた穴にボルト締めして固定するだけだが、大変しっかり固定され、安心感も高い固定方法だ。

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室内の前端(フロントシートの後ろ)に取り付けるカップホルダーの付いたカウンターのようなものは、エンジンルーム内部からボルトを出し(この穴も元々空いているもの)、そこに手締めのナットで固定しているだけだ。

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これだけだが大変しっかり固定されていて、手締めのナットなので付け外しも簡単だ。

ドアパネルは、元々の剥き出しのハードボードから木目の合板に変更されている。

この部分は羽目板ではないが、色もキャビネットやテーブルの天板、或いは床の色に似合ったものを選べるので、全体の雰囲気を壊してしまうようなことはない

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固定はトリムクリップなどと呼ばれているプラスチックのクリップ(車内の内装に多用されているパーツ)で取り付けるだけ。

このように、元々あるネジ穴などを最大限に活用し、ボディー本体に空ける穴は最低限で済む仕組みとなっている。

これは組み立てを容易にするだけでなく、ボディーに穴を空けることに不安を感じる人にとっても安心感が高い。

そして、当然ながら合法的な材料が使用され(木材は意外にも規定の厚みがあれば難燃素材と認められるが、意外に厄介なのは生地類で、素人が車検にパスする生地を入手することは意外と容易ではない)、重量的にも問題がなく、簡単に取り外しのできるパーツばかりで構成されているため、基本的には組み付けたままで車検も問題はない。

しかし、理由を説明すると長くなるので、その理不尽とも言える理由の説明は割愛するが、車メーカーの名を冠した正規ディーラーは、合法的であっても少しでも手を加えた車両の車検を受けつけない場合があり、陸運支局の検査官も人によって対応や解釈が異なる場合がある。

しかし、運悪くそんな最悪のような場面に遭ったとしても、いざとなったら殆ど全ての装備を年に一度取り外してしまうことがそう難しいことでもないことも、このキットの大きな利点の一つとなっていると思う。

その他の装備や使い心地などについて


実際に使用したわけではないが、経験上現実的に使いやすい装備とレイアウトであろうと感じた。

4ナンバー登録のままなので、キャンピングカーとして8ナンバー登録する際に必要な上下水道の設備と調理器具を設置する必要がない。

これらがあるといかにもキャンピングカーらしくなり、付いたものに憧れを抱く人も多いようだ。

しかし、広いキャブコンなどではそういった装備の使用頻度が高い人も多いのかもしれないが、バンコンの場合は、実際にはあってもあまり使わない人も多い。

或いは、憧れていたのに実際には使わなくなってしまったような人も多いと聞く。

車内で調理をするとしても、テーブルの上などの方がむしろ利便性が高い場合も多い。

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そういった余計といえば余計な装備のないシンプルなキャビネットは使いやすそうで、中も水タンクなどでスペースを食ってしまっていないため、収納庫として存分に活用できるようになっている

後部座席とベッド


dittoのベース車両はベイシックグレード(DXやGLパッケージ)のハイエースだが、ベイシックグレードの後部座席はサイズが小振りで、はっきり言ってしまうとお粗末な感じのするものだ。

バンライフ仕様車 組み立てキット バンタウン ditto ハイエース

しかし、これが逆に都合が良い。

シートバックを前に倒した際の高さも低めで、裏面に腰掛けるのにちょうど良い高さになる。

そして、この適度な小振りさ加減は、サイドドアからシートの横をすり抜けてシートの後部へ入る際にも都合の良い大きさなのだ。

バンライフ仕様車 組み立てキット バンタウン ditto ハイエース

ベッドもこの高さに合わせてあるので、ベッドと段差なく一体になるだけでなく、どちらもベンチとしてテーブルを囲んだ際に高さが合う点でも都合が良い。

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しかし、もちろん後部座席はノーマル状態のままではない。

ベッドと同じ素材のカバーが被せられているが、それだけでもない。

シートバックの裏面はクッション性などもちろんなく、そのまま座ったら結構沈んでしまうが、カバーの中には板とクッション材も仕込まれているため、ちゃんと座り心地の良いベンチに仕上がっている

また、ベッドは上に無理なく座れる高さに抑えられているが、ベッド下は30cm以上の高さがあり、荷物の収納に十分なスペースも確保されている。

バンライフ仕様車 組み立てキット バンタウン ditto ハイエース

左側のベッドの一部ともなるボックスも上蓋式で、ここも収納庫として結構な容量がある。

そして、ベッドの幅は通常のダブルベッド程度のサイズで、二人での使用に余裕の広さがある。

例えオッサン二人でも寝袋に入って頭と足の向きを逆にして寝れば(狭いテントの中ではそうして寝る)問題のないサイズだ。

全体が本当に現実的で使いやすい仕様であると感じたが、自分好みにカスタマイズできる余地が多いところも、キットとしての使いやすさに繋がっていると思う。

ditto HPはこちら

dittoという選択は良いんじゃないかと思う


なんだか褒めすぎているようなきらいもあり、結構長い記事になってしまったが、お世辞などではなく(これはタイアップ記事ではないし、お世辞を言ったところで私の懐が豊かになるわけではない)、本当に素晴らしいキットだと感じた。

バンライフ仕様車 組み立てキット バンタウン ditto ハイエース

最後に価格についても触れておくと、先述の通りハイエースは中古車でも値が張るが、dittoの価格は、部材はもちろん、ワークショップの参加費と良質な中古のハイエース本体も含めて、消費税込みで350万円程度からとなっている。

バンライフ仕様車 組み立てキット バンタウン ditto ハイエース

この内容とクォリティーでこの価格は決して高くないと私は感じたのだが、いかがだろうか?