【潜入リポート】実は国内にもあった!企画・デザイン・製造まで手がけるトレーラービルダー!クロコアートファクトリー
ヨーロッパでは普通車でけん引するトレーラーが大変ポピュラーで、乗用車にヒッチメンバーが付いているのは珍しい光景ではない。
一方、日本ではまだまだトレーラーは一般には馴染みが薄く、浸透しているとは言い難い。
また、トレーラーが浸透しているが故にヨーロッパにはトレーラーを製造するメーカー・ビルダーもパーツメーカーも多く存在するが、当然ながら日本ではメーカー・ビルダーも珍しい。
しかし、日本にもフレームからトレーラーを製造している会社がある。
神奈川県相模原市の津久井湖に程近いところにある株式会社クロコアートファクトリーだ。
そのクロコアートファクトリーの本社・工場に訪問し、徳田社長から熱い話を伺ってきたので、今回はその報告をしたいと思う。
クロコアートファクトリーとはどんな会社か
同社は国内外のさまざまな自動車デザイン、設計、ショーカーや特装車などの制作に携わってきた会社なのだが、ドイツのトレーラーパーツメーカー「KNOTT社」の日本正規販売店でもあり、KNOTTのパーツを用いてキャンピングトレーラーをはじめ様々なタイプのトレーラーを製造している。
しかし、流れとしてはKNOTT社のパーツ輸入が先に立っているのではなく、トレーラーを作ろうと思い立った際に、信頼のおける基幹パーツ(アクスルやブレーキなど)が必要ということでKNOTT社からパーツを取り寄せたことがきっかけとなり、そこから正規販売店としての契約を交わすことになったそうだ。
製造しているトレーラーは、カーゴトレーラー・キャンパー・モバイルオフィスや移動販売車・車載トレーラー・20ftコンテナを普通車でけん引できるトレーラーなど多岐に渡るが、これらは一例に過ぎない。
後で少し例を紹介するが、とにかくけん引して運べる様々なものを作っている。
ここで、一つ面白いことがある。
クロコアートファクトリーではキャンピングトレーラーに限らず使用目的がまるで違う色々な種類のトレーラーを作っているため、全く共通点のないような顧客を相手にすることが常となる。
例えば、中がネイルサロンになっている部屋が載っていても、無蓋でレーシングカーが上に載っていても、どちらもトレーラーだ。
キャンピングトレーラーやキッチンカーをオーダーする人もモバイルオフィスを必要とするビジネスマンもいる。
こういった使用目的も毛色も全く違う人達を相手にし、その要望に合ったトレーラーを製作することになるわけだ。
そうなると柔軟な発想と対応が必要で、色々と大変そうでもあるけど、面白そうでもある。
用途が多岐に渡れば、常に同系統のものばかり作っているより面白いフィードバックもありそうだ。
工場内にはトレーラーがずらり
そして、DRIMO読者の皆さんがキャンピングカーやモバイルハウスなどをクロコアートファクトリーへオーダーしようと思ったら、この本社・工場へ行って相談することになると思う。
なので、まずはどんなところだったか説明しておこう。
敷地内に入ると以前展示会で見たことのあるRoomette(ルーメット)というトレーラーがずらっと並んでいる光景がまずは目についた。
その特徴的なフォルムは一台でも凄い存在感を放つのに、何台も並んでいると圧巻だ。
生憎の空模様だったのが残念だが、晴れていたらもっと光り輝いてSFっぽい光景に映ったのではないかと思う。
そして広い敷地内を見渡すと、ずらっと並んだ完成したRoomette以外にも製作途中のRoometteや、説明を聞かないと用途のかわからないようなトレーラー、大きなパーツ類、積み上げられた鉄骨(トレーラーのフレーム)などが、あまり規則性が感じられないような位置関係(そうではないのかもしれないが少なくとも他人の目にはそう映る)でぽつりぽつりと置かれていたりする。
パーツ置き場となっている屋根だけの倉庫もあった。
その他の建屋も整然と並んでいるわけではない。
取材当日まで長く続いた雨の影響か地面はぬかるんだ所もあり、不躾ながら言わせていただくと決して綺麗なところではない。
同社のおしゃれな製品・作品から受ける印象とはギャップを感じる人もいそうな光景とも言えるのだが、私としてはこんな雰囲気の方が馴染みやすく、小綺麗で何もかもがきちっと整然と並べられているような所より、何か面白いものが潜んでいそうでワクワクする。
実際その予想は的中。後で説明を受けている最中にヴィンテージの薪ストーブやら興味のそそられるクルマなどが次々と現れて、本当に面白かった。
工場というより、スタジオかアトリエ?
事務所と鉄の工房に案内されると、これまた決して綺麗なところではない(失礼)のだが、何やら普通の工場や作業場の類とは違う空気感が漂っていることが感じ取れた。
スタジオやアトリエといった類の空気感が漂っているのだ。
それもそのはず、社名からも分かるように、社長の徳田氏を始めスタッフの皆さんは芸術畑の人が多いらしい。
ここはアート+ファクトリーあるいはアートのファクトリーなのではないかと思った。
そして、徳田社長には大手自動車メーカーでカーデザインに携わってきたバックボーンがある。話を聞いていても、デッサンやスケッチなどを見せてもらっても只者ではないことがうかがい知れた。