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【潜入リポート】実は国内にもあった!企画・デザイン・製造まで手がけるトレーラービルダー!クロコアートファクトリー




優れた技術の上に成り立つ美しいデザイン


クロコアートファクトリーの社長

クロコアートファクトリーの徳田社長



優れた工業デザインは性能的に優れていて美しいものだと思うのだが、デザインと技術的な部分のどちらかの拘りが強すぎると、時として対峙してしまうようなことも起こり得る。

徳田社長の話は、意外にもデザイン的な内容もさることながら技術的な話や理論的な話が多かったことが興味深かった。

デッサン

壁に無造作に貼られた徳田社長の描いたデッサン



カーデザインの経験者であるからデザイン面に関しての拘りが強いのは当然としても、その技術的なことに関する拘りがまた凄く、1人の人物がどちらにも精通しているからバランスが保たれて素晴らしい製品が生み出されているのであろうと感じた。

工房で作業中

工房では細かいパーツを手作業で制作していた



説明を聞いていると、アクスルやブレーキといったKNOTT製のパーツ以外はほとんど自分達で作っているような印象を受けたのだが、素人が考えたら既製品でも良さそうな細かなパーツ類なども自分達で作っている物が多いとのことだった。

自作のパーツ

「例えばこれなんか」と言ってパーツの棚から取り出されたヒンジもその一つ。

大抵の場合、ヒンジなどはサイズや形状の合いそうな出来合いのものを仕入れてきて、細かな部分はそれに合わせて調整してしまいそうなものだ。

トレーラーに合わせて作成してあるパーツ

ロゴプレート・ドアノブ・ヒンジなど、細部のパーツまで拘り抜かれている。



しかし、それではイメージした全体的なデザインが損なわれ、無理に合わせようとしても思ったように稼働しないなど不都合も生じてしまう。

結局自分達で作ってしまった方が合理的なのだそうだ。

こうしたことからも本当のプロは考え方が違うと感心してしまった。

何故トレーラーなのか


ともかくデザイン的にも技術的にも徹底的に拘ったモノ作りをする姿勢とモノ作りに対する情熱が感じられたのだが、では何故トレーラーを作ることになったのだろうという本質的な疑問が湧いてきた。

そのままその質問をぶつけてみたところ、返ってきた答えを要約すると、「本当はトレーラーというものに特別な感心があったわけではなく、自動車を創りたかった。しかし、自動車を製品化するには衝突試験やら何やらクリアしなければならない要件が非常に多く、とてつもなく莫大な資金も必要となる。

しかし、トレーラーなら自走する車両ほどのことはない。ならばまずは美しくて実用的なトレーラーを創ろう」という経緯だったそうだ。

roometto全体

同社が製造・販売を手がけるトレーラー「Roomette(ルーメット)」



これで、ガルバリウム鋼板などで覆われた平面で構成されたキャンピングトレーラーではなく、かといってなんとなく丸みを帯びただけの強化プラスチック製でもなく、陰影にまで拘ってデザインされた微妙な曲線で構成される同社のRoomette(ルーメット)のようなトレーラーが誕生した理由も納得できた気がした。

クロコアートファクトリーのトレーラー・Roometteについて


roomettoショート

ではそのRoomette(ルーメット)について少しご紹介しておこう。

Roometteは、誰もがひと目見たら印象に残るデザインのトレーラーだ。

作成中のroometto

ショートタイプのRoomette



卵の殻をヒントにデザインされた美しいボディーはRTM工法による強化プラスチックでできていて、造形美だけではなく軽さと強度を兼ね備え、腐食しないボディーを実現している。

また、キャンピングカーの大敵「雨漏り」のリスクも非常に低い工法・構造だ。

そして、無論FRPでボディーのみ作って汎用のトレーラーに載せただけではない。信頼性の高いKNOTT社のパーツを用いて専用のシャシから作られている

そのため全体のバランスを良好に作ることができ、これも強度が高くて軽量に仕上げられる大きな理由になっているのではないかと思う。

roomettoロング

ロングタイプのRoomette



サイズは全長が4,570mmのショートと5,595mmのロングがあるが、全幅はどちらも2,220mm、全高も2,340mmで共通だ。

全高2,340mmなら高さ制限2.5mの駐車場にも入れることになるが、中に入らせてもらったら天井高が1.85mくらいあるようで、ジャンプでもしなければ全く普通に立っていることのできる高さだった。

参考までにハイエースのハイルーフの全高は2,285mmだからRoometteと55mmしか違わない。

しかし、ハイエースはDXのハイルーフでも室内高は1,635mmだから、Roometteより20cm以上天井が低いことになる。

これはトレーラーならではの大きなアドバンテージの一つだ。

キャラバンの比較

室内長はショートで3,490mm、ロングは4,560mmある。

ショートでも10ftの巨大なロングボードが全く余裕で収まり、ロングならなんと14ftのSUPのレースボードでさえ余裕で飲み込む長さだ。

例えが少々ニッチで申し訳ないが、これは凄い。

そして室内幅は2.1mある。八村塁でも横向きに寝られる長さだ。

キッチントレーラーに3人

過去に制作されたキッチンカー仕様のルーメット。3人が車内で調理していても余裕の広さがある。



このようにかなりの広さで、実際に中に入ってみるとショートでも十分快適に住めそうな気がするのだが、全高があまり高くないせいなのか、はたまた絶妙なデザインがなせる技なのか、外から見るとそんなに巨大な物体といった感じがしないから不思議だ。

そして特筆すべきは、この大きさでありながらけん引免許の要らない750kg以内に収まるように設計されていることだ。(※ 総重量1,500kgまでの仕様のRoomette 1,500もあり、こちらはけん引免許が必要)

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