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【潜入リポート】実は国内にもあった!企画・デザイン・製造まで手がけるトレーラービルダー!クロコアートファクトリー




用途に合わせて0からオーダー可能


Roometteは車内レイアウトの基本プランが決まっているのではなく、内装は断熱材の有無から始まって、0から作ることができるから用途も無限大だ。

作業中のroometto

断熱材にはグラスウールより断熱性が高くカビないポリウレタン繊維の綿を使用。外被やフレームの材質、諸々のパーツは勿論、こういった細部の材料の質にも拘りが感じられる。



オプション類もエアコン(室外機は外のフレーム上に設置することも収納ボックス内に収めることもできる)・オーニング・換気扇・外部電源入力などなど豊富に揃うが、窓やドアの位置の変更、窓の有無なども選択することができる。

勿論窓を店舗のカウンターにすることなども可能だ。

後ろが開くroometto

そしてボディーは普通のドアが一枚ある標準仕様の他に、後がガバッと大きく開くテールゲート仕様にすることもできる

北米ではバイクやATBを運んで、なおかつ基地となるトイホーラーが人気(Roometteのように凝ったデザインのトイホーラーなど見たことがないが)のようだが、そういった使い方や、何かもっと独創的な使い方ができそうで想像力が刺激される。

制作事例自宅のようなroometto

Roomette制作事例より。エアコンも搭載可能で、まるで自宅の一室を切り取ったかのよう。



内装が0からスタートなら、使用目的に応じて不要な内装を取り払うといった無駄をせずに済むので合理的だが、エアコンだけ装着して伽藍堂の部屋にしておいて、普通の家具や什器を置いて使うなんてこともできる。

制作事例

Roomette制作事例より。



例えばオフィスとして使う場合、移動も少なくそこで就寝するわけでもないのに、オフィスとして使うには使い心地が今ひとつなベッド兼用のダイニングで仕事をしなければならないなんてことはない(キャンピングカーを流用するとそんな感じになることが多い)。

また、出来上がったものは大抵の場合何か妥協をしなければならないのが常で、例えばキャンピングカーの見取り図を見ていて、「ここがこうなっていればもっと良いのに」とか「ここが残念だ」「自分だったらこうするのだけど」などと妄想にふけるなんてことはないだろうか。

購入予定があるわけでも買えるわけでもないのに、私はそんな妄想にふけることがよくある。

あるいは間取りは良いとしても内装のデザインセンスがどうにも受け入れ難いなんてこともあるが、内装を0から作れるならその心配も無用だ。

roometto作成中

重量バランスなど安全性もしっかり配慮をしつつ、依頼者の理想の形に仕上げている。



また逆に、素人が理想と好みだけでデザインや設計をしたら、重量バランスが悪いなど車両としてまともに使えない状態のものができて上がってしまうなんてことも十分に起こり得るが、自分の意見や好みを最大限に取り入れつつ、プロに車両としてバランス良く安全なように設計施工してもらえるのだから、最も理想的なクルマを作れることになる。

ジャグジーバスroometto

Roometteをベースにした「移動式ジャグジー」。川の水や泥水を利用しても使えるよう設計されており、床下には濾過装置や煮沸消毒するシステムが備えられている。



実際見せていただいた車両には、下手な固定の店舗の厨房より立派なのではないかと思えるようなキッチンカーや、移動式ジャグジーという型破り的なものもあった。

移動ジャグジーにはビックリだったが、バスルームトレーラーもイベント会場や工事現場などで見かけるトイレトレーラーとはまるで違うものだった。

外側に個室のドアが並んでいるわけではなく、外観からは何のためのトレーラーなのかわからない。

トイレroometto

ドアを開けただけでもそこにトイレやシャワーがあるなどとは想像がつかないお洒落な佇まいで、内部に入ってみてようやく洗面所とトイレがあることに気づく。

洗面所前はしっかりとスペースが確保され、振り返ると全身鏡まで備えてある。二つある個室もゆったりと広い。

トイレroometto

少ない水で使用できるようマリントイレが採用されている。水道に繋いていないときは、節水モードに切り替えられる優れものだ。



無駄と言ってしまえばそれまでのような贅沢な作りだが、凄い大人数の集まるイベントではないけど(そもそもトイレなどの設備の整っていないところに凄い大人数を集めてしまうこと自体に私は疑問を感じる)、トイレやシャワーなどの設備のないところで私のような野蛮人ではない普通の人が快適に過ごすための移動式の設備と考えたら、贅沢と言うよりむしろ理に適っているとも考えられる。

こうした発想は常人にはないものだ。

木軸マルチフレームと20ftマルチコンテナトレーラー


木造コンテナ

20ftコンテナを利用したキャンプ場受付。内装もクロコアートファクトリーが手がけている。



クロコアートファクトリーでは、トレーラー製造だけでなく20ftコンテナをモバイルハウスや店舗などに改造する施工も行なっている。

そして人気も高く需要もかなり多いそうだ。

また一方、20ftコンテナと同じサイズの頑丈な木軸の建物用のフレームも製作している。

木軸フレーム

同社が開発した木軸マルチフレーム



実はこの木軸マルチフレームに関しての話を聞くまでは、私も20ftコンテナ(鉄のコンテナ)を改造して使う方が頑丈でありながら施工も簡単で合理的なのではないかと思っていて、正直に言えば、事前に写真だけ見ていた時には、この木軸マルチフレームにそれほど大きな関心を抱かなかった。

しかし、それが素人の浅はかさだ。

勿論これはただ柱を組んでトレーラーの上に載せただけのような代物ではない。

ぱっと見は至ってシンプルだが、特許出願中の技術なども盛り込まれた、クロコアートファクトリーならではの拘りの塊のようなものだったのだ。

木軸フレームの特許

昇降機で持ち上げることも可能



詳しい説明を聞いて現物を見た結果、間違いなく鉄のコンテナを改造するより、このフレームをベースに箱(建物)を好きなように組み上げていく方が、デザインの自由度・耐久性・強度・居住性・メンテナンス性・発展性など全てにおいて優れたものが作れ、より合理的であるとの結論に私は達した。

複数繋げられるコンテナ

コーナーには独自開発した結束金具が用いられている。この金具部分が木軸マルチフレーム のキモで、従来のコンテナの移動方法や、複数を繋ぐ、2階建にするということも可能にしている。



しかし、ここで安易に私がこれ以上説明しても中途半端で意味がない。コンテナを改造して利用することを考えている人や、モバイルハウスなどを真剣に考えている人は、是非とも直接徳田社長から話を聞くことをお薦めする

きっと木軸マルチフレームに気持ちが傾くのではないかと思う。

また、建物を作る上で非常に大きなネックとなるのが「屋根」で、キャンピングカーのメンテナンスでも屋根の防水は最も厄介な問題の一つだ。

だが、今後このフレームに合うRoometteのような防水性の高い強化プラスチック製の屋根の開発も視野に入っているそうだ。

それによってより一層このフレームの活用の幅が広がる。

フレーム専用のトレーラー

20ftコンテナや木軸マルチフレームをけん引できる低床のマルチトレーラー



そして、さらに素晴らしいことに、20ftコンテナやこの木軸マルチフレームを積載して普通車でけん引できる低床のマルチトレーラーも製造しているのだ。

トレーラー運搬中

20ftコンテナや同サイズのモバイルハウスを移動するとなると、業者に依頼することになるのが普通だ。

しかし、けん引免許は必要になるが、税込1,320,000円のこのマルチトレーラーと少ししっかりとしたクルマ(普通のハイエースなどで十分)があれば自分で移動することができてしまうのだ。

トレーラーで文化も夢も広がる?


ここまで、クロコアートファクトリーが手がけるトレーラーの話で終始してしまったが、現在同社では各種のトレーラーの製造にとどまらず、キャンピングトレーラーを快適に活用できるキャンプ場の開発も進行中とのことだ。

今回の取材で色々なタイプのトレーラーを見ていて思いついたのだが、トラックはカーゴトレーラーと同じ働きをし、キャンピングカーはキャンピングトレーラーが同じ働きをする。
乗用車+トラックやキャンピングカーを所有するより、しっかりした作りの乗用車とカーゴトレーラーやキャンピングトレーラーを所有する方がずっと経済的なのだ。

ヨーロッパ車は乗用車でもけん引も考慮に入れて作られているものが多いが、日本車はけん引するとボディーが歪んでしまうものもある。この辺りに文化の違いを感じる。

また、クロコアートファクトリーのライバルとなるような会社も出現して切磋琢磨するようなことになれば、もっと日本の自動車文化も面白くなるのだろうか?なんてことも考えてしまった。

そして、具体的にそんな計画などあるわけでもないのだが、「仕事や遊びの道具を収納する倉庫とRoometteか木軸マルチフレームをベースにして作ったモバイルハウスを普段は海岸近くに置いて、たまに移動しながら暮らす」なんてことを想像してしまった。

家族が増えてもトレーラーを増やせば済むし、引っ越したくなったら土地を変えるだけだ。若い人なら、普通の家やマンションをローンで買うより、そんなことを真剣に考えてみるのも良いと思う。

若くない私は宝くじでも買うとするか。