時代を超え愛される「エアストリーム」の魅力とは
アメリカンキャンピングトレーラーの頂点とも言われる「エアストリーム」。
中でも、70年代までに製造されたエアストリームはビンテージエアストリームと呼ばれ、半世紀以上たった今でも、人々の心を魅了している。
そんな、ビンテージエアストリームを多く取り扱う企業が、埼玉県三郷市に本社と工場を構える「株式会社トレーラービレッジ」だ。
目次
ビンテージエアストリームのスペシャリスト
株式会社トレーラービレッジは、主に海外のキャンピングカー・キャンピングトレーラー・カーゴトレーラーの輸入・カスタムおよび販売、購入後のメンテナンスを手掛けている。
中でも、70年代までの「ビンテージ」と呼ばれるエアストリームを多く取り扱っており、メンテナンスや内装カスタムの高い技術とノウハウを持っているのが特長だ。
愛され続けるエアストリーム
エアストリーム社のキャンピングトレーラーと言えば、銀色の鏡のような外装と独特の曲線ボディで知られている。
アメリカ映画に登場したり、日本だとイベントブースや移動式のカフェとして使われていたりもするので、日常の中で自然と目にしたことがあるという人も多いのではないだろうか。
エアストリームの歴史は古く、創業は1936年。
ロサンゼルスの裏庭から始まったトレーラー製作は、世界恐慌や第二次世界大戦をも乗り越え、今もなお世界中で愛されている、業界でも最古の企業と言えるだろう。
エアストリームは創業以来、「アルミの外装をリベットでとめる」というスタイルを一貫して製造されている。
その独特なルックスは、耐久性・重量・空気抵抗の問題をクリアするために、当時最先端だった飛行機の設計手法を流用。外装にも、飛行機と同素材のアルミ合金が採用されているのだ。
アルミ合金を使ったシルバーに輝く車体は、「ジェラルミンボディ」とも呼ばれ、軽量でありながら強度や耐腐食性に優れ、錆に対しても強い性質を持つ。
外装は何年経っても磨けばまた輝きを放ち、内装もまた、リノベーションすれば何度でも蘇る。
時代を超えて愛される”もの作り”には、ロマンが詰まっているのだ。
ビンテージエアストリームの魅力
そして、今回ご紹介する株式会社トレーラービレッジの創業者であり代表取締役の大窪正和氏も、エアストリームの魅力にどっぷりハマってしまった一人である。
トレーラービレッジの事業は、以前、大窪正和氏が飛行機の製作に関わっていた時、それと似た構造のエアストリームのトレーラーに惚れ込んで、カスタムを始めたのがきっかけだという。
トレーラービレッジでは、ビンテージエアストリームの中でも、主に1960年代から70年代のモデルを扱っている。
70年代までのエアストリームは、現在のようにプレス技術がまだ発達していなかったため、職人の手作りによって生み出されていた。
現在のエアストリームと比べると、曲線部分に使われるアルミプレートの枚数も多く、その独特の丸みを帯びたフォルムは、この年代のものにしかない”味”となっている。
さらに言うと、70年代のモデルならどれでもいいというわけでもなく、トレーラービレッジではできるだけ74年までのモデルを取り扱うのが多いそうだ。
これは、75年以降のものは外装にフッ素コーティングがされているため、エアストリームの代名詞であるピカピカの鏡面仕上げがしにくいためだそう。
ちなみに、上の写真は61年に製造された「BAMBI」というモデル。エアストリーム社のトレーラーの中では1番コンパクトで、牽引のしやすさから復刻販売されるほど今でも人気が高い。
約60年が経っているとは思えないほど輝きを放ち、完成されたデザインは、全く古さを感じさせない。
スケルトンにしてからフルリノベーション
外装は何十年経っても朽ちることなく、磨けばピカピカに輝く。
では、内装はどのようにして蘇っていくのだろうか。
オーダーによって完成形はそれぞれ違うが、フルリノベーションする場合、スタートは同じ。
まずはもともとの家具や壁を撤去。内張りや床を全てはがして外装と骨組みだけのスケルトン、車の改造で言うところの、いわゆる”ドンガラ”状態にするところから作業を開始するという。
一度スケルトンにすることで、トレーラーの課題でもある雨漏りの対策もしやすくなり、また、ビンテージ車両は断熱材も劣化していることがほとんどなので、新たに断熱材を入れ直すためにも、この工程は必要だ。
技術にこだわる大窪氏がつくった会社ということもあり、カスタム作業もかなりの徹底ぶり。
独特のアールがついた壁面や前後の三次曲線部分の内装は既製品では対応できないので、全て手作りの専用品。
木工加工、金属加工のそれぞれのプロフェッショナルが、トレーラービレッジのもと、1つの空間を作り上げていくのである。
さらに”ビンテージ”を扱う上で大事な部分として、ただ全てを真新しくするのではなく、年代物ならではの部分は活かしながらオーダーに沿った、最適の空間を作るのだ。
その費用も手間も相当のものだろう。
また、製作するトレーラーは、もちろん全て走行可能(=けん引可能)とするのが必須条件なため、内装のリフォームだけでなく、車両に関する技術とノウハウも必要になる。
『ビンテージエアストリームを将来にも残し続けたい』という想いのもと、ポリシーとこだわりを持って一つ一つトレーラーの修理やカスタムが行われているのである。
el colina Lake Yamanaka RV Resort
実はトレーラービレッジは、キャンピングトレーラーの輸入・カスタム・販売事業のほか、イベント事業やリゾートスペース開発事業も手掛けている。
リゾートスペース開発事業として運営している一つが、「el colina Lake Yamanaka RV Resort(エル・コリーナ)」である。
こちらは、トレーラービレッジが輸入・リノベーションしたキャンピングトレーラーに実際に宿泊できて、トレーラーライフやグランピングが体験できるアウトドアリゾート施設だ。
場所は山梨県南都留郡にある富士五湖最大の湖、山中湖のほとり。
静かに揺らぐ湖の対岸に荘厳な富士が望める、なんとも贅沢な最高のロケーションだ。
門を入るとそこは、まるで本場アメリカのキャンプ場を模したテーマパークのよう。
ヴィンテージエアストリームはもちろん、ログハウス調トレーラーハウス、1960年代のアメリカンダイナー風トレーラーなど、多種多様なトレーラーに加え、さらには飛行機までが並ぶ。
それぞれアメリカの州の名前が付けられた宿泊施設のトレーラーの前にはウッドデッキが設けられ、自然を満喫しながらアメリカンBBQやel colina自慢の料理を楽しめる。
ちなみにトレーラーは、もちろん全て移動可能。見た目だけではない、リアルなアメリカの移動生活文化を味わうことができるのだ。
憧れのビンテージエアストリームに泊まれる
el colinaでひときわ目を引くのは、「オクラホマ」と名付けられた、こちらだろう。
銀色に輝くエアストリームと飛行機は、なんともインパクト抜群だ。
エアストリームは、トレーラービレッジが宿泊施設用としてカスタマイズした、1969年製のモデル。
全長:9480㎜(31ft)、全幅:2350㎜、全高:2750mm。
明るく開放的な室内(車内)は、4名まで宿泊できるよう、一度スケルトンにしてから新たに内装をフルカスタムしている。
ビンテージの良さは残しつつ、快適に泊まれるよう「ナチュラル・特別な空間」をテーマにトレーラービレッジの技術を注いで完成させたそう。
入って左手奥には、トイレとシャワーまで完備されており、水道や電気はもちろん使える仕様だが、それらを外せばけん引できるれっきとしたキャンピングトレーラーだ。
実際に埼玉県三郷市の工場から山中湖までテスト走行も兼ねて引いてきたという。
ちなみに、カスタム費用だけで約300万円、期間は約1ヶ月かかっているそう。
そしてトレーラーを出ると、同じように銀色に輝く飛行機が。
これは、実際に沖縄で定期便として活躍していた飛行機を移設&レストアしたもの。空を飛んでいた本物の飛行機だ。
こうやって並べてみると、改めて飛行機とエアストリームの構造が似ているのがよく分かる。
またこれは、一度ばらして運び、現地で再度組み立て直したというから、トレーラービレッジの技術力の高さには驚きだ。ちなみにレストアには約4ヶ月の期間を要したとのことだ。
さらにこの飛行機、ただの展示品として置かれているのではない。
富士山が見える操縦席に座りパイロット気分を味わえるだけでなく、なんとこの飛行機の中でも宿泊ができる。
『飛行機があることを子どもに内緒で連れて行き、現地に着いて飛行機があることを知った子どもは大喜び!』というサプライズをした利用者もいたとか。
こんなことができるRVリゾートは、国内でもここだけだろう。
el colina Lake Yamanaka RV Resortの非日常体験
el colinaには、ビンテージエアストリームと飛行機の「オクラホマ」ほかにも、アメリカンテイスト満載にトレーラーをカスタマイズした宿泊スペースがいくつもある。
それらは、また違った雰囲気で魅力的なので、続けて簡単に紹介したい。
イリノイとミズーリ
湖畔沿いに並んだ2つのログハウス調のロフト付きトレーラーハウス。
明るく開放的な室内は、ビンテージ感ある家具で彩られ落ち着いた雰囲気だ。
コの字型にレイアウトされたキッチンや、広々としたバスルームが完備されるなど、ホテルと変わらない機能的な作りで快適性も抜群。
1階ベッドルームとロフトスペースをあわせると、最大6名まで就寝可能なので、家族や仲間との団欒にもうってつけだろう。
湖側に備えられた専用ウッドデッキからは、富士山、山中湖が一望できる。
el colinaは敷地内のどこからでも良い眺めだが、その中でも随一のロケーションだ。
ニューメキシコ
大型キャンピングトレーラー「RETRO」。
目の前は、広いウッドデッキになっているので、ハンモック、焚き火やBBQ、天体観測なども楽しめる。
入るとまず、想像以上の室内の広さに驚くことだろう。
1960年代のアメリカンダイナーをコンセプトにデザインされている。
ウッディな室内に、チェッカーフラッグ柄(市松模様)や、目を引く真っ赤なソファーが配され、まさに映画の中で見る「オールドアメリカン」なスタイルに仕上がっている。
レトロポップな雰囲気に、気分もアガること間違いなしだ。
至れり尽くせり、まさにグランピング
全ての宿泊施設には、冷暖房設備は元より、シャワー、ウォシュレット付きトイレ、電子レンジや瞬間湯沸かし器まで完備。
タオルはもちろん、ソープ類からクレンジング、化粧水、乳液といったアメニティグッズも用意されており、着替えだけ持っていけば、本当になんの不自由もなく、トレーラー体験が楽しめる。
もう少しアウトドアの気分を味わいたい人のためには、焚火キットレンタル2,000円/セット、BBQ機材レンタル2,000円/セット、マシュマロセット300円/人、薪800円/束(いずれも税込)も用意されている。持ち込みもOKだ。
ちなみに、ジャグジーとサウナテントも導入準備中とのこと。
日中は山中湖畔で、ワカサギ釣りやウェイクボード、SUP&カヌーなどのアクティビティを楽しみ、夜はel colinaでキャンプ体験。
富士山に沈む夕日を眺めながらゆったりと過ごす時間は、なんとも贅沢で特別なものになるだろう。
気になる宿泊料金は、以下の通り。
【1泊素泊まりプラン】
大人15,000円〜/人、小学生10,500円〜/人、幼児(4~6歳)施設利用料2,000円/人
【1泊2食付きプラン】
大人18,000円〜/人、小学生12,600円〜/人、幼児(4~6歳)施設利用料2,000円/人
(全棟同一料金・プランにより価格の変動有り)
素泊まりで食材を持ち込むのも、自分たちで焚火をしてバーベキューを楽しむのも大歓迎!とのことだが、el colinaではレストランなどで修行を重ねた料理人の本格的な食事も楽しめるので、ぜひ堪能してほしい。
el colina Lake Yamanaka RV Resort
所在地:〒401-0502
山梨県南都留郡山中湖村平野479-107
TEL:050-1072-0230 (9:00〜18:00)
公式サイトはこちら
「ココロにアソビを」
「トレーラー文化を日本で根付かせる」というミッションのもと、キャンピングトレーラーの輸入・カスタマイズ・販売、そしてRVリゾートの運営をしている株式会社トレーラービレッジ。
今回はビンテージエアストリームをメインにご紹介したが、時代を超え、国境を超え、繋がれる”もの作り”への想いに、胸を熱くせずにはいられない。
その事業は多岐に渡るが、そこにはワクワクする・楽しい・かっこいいといった、純粋な「好き」という気持ちが核にあるのではないかと思う。
それゆえに、まずは自分たちが納得する、徹底的にこだわったものを提供しているのだ。
株式会社トレーラービレッジ- HEAD OFFECE & SHOW ROOM –
住所:〒341-0053 埼玉県三郷市彦倉2-30-1
TEL:048-954-6420
公式サイトはこちら