バンライフ
【ボスニア治安】車中泊は危険?実際に旅してわかったリアルな体験談
キャンピングカーで暮らしながらヨーロッパを旅している私たち夫婦。
最近巡っているのは、バルカン半島や東欧など、まだヨーロッパの中でも情報の少ないエリア。
ブルガリア、ギリシャ、アルバニアと旅を続ける中で、途中立ち寄ったモンテネグロでは、少し怖い車中泊体験もありました。
そんな状況で迎えた、ボスニア・ヘルツェゴビナへの入国。
「どんな国なんだろう」「車中泊は安全にできるのか」。
正直、不安を抱えたまま始まった旅でした。
しかし実際に滞在してみると、そこには想像とは少し違う景色が広がっていました。
今回は、日本ではあまりなじみのないボスニアを実際に旅して感じた雰囲気や治安、車中泊事情、そして訪れてよかったスポットなどリアルな体験談をお届けします。
3年で32カ国!キャンピングカーに暮らしながらヨーロッパを旅する夫婦

私たちは、キャンピングカーで暮らしながらヨーロッパを旅している夫婦です。
2023年にイタリアで旅をスタートして以来、北欧のフィンランドから最西端のポルトガルまで、気づけば32カ国を訪れていました。
旅のスタイルは、有名観光地を巡るだけでなく、あまり知られていない田舎町や自然の中にも足を運び、その土地で“暮らすような旅”をしています。
キャンピングカーの車内には、トイレやシャワー、キッチン、ベッドも完備。
コンパクトながらも快適に生活できる環境が整っています。
また、旅をしながらリモートで仕事もしており、キャンピングカーはそのまま“家であり職場”でもあります。

そんな旅も3年目に突入。
「思い切って冒険してみよう」と思うようになりました。
これまで旅してきた、西・中央ヨーロッパのようにキャンピングカー文化や施設が充実している地域を離れ、情報の少ない東欧、そしてEU外のバルカン半島へ。
ブルガリア、ギリシャ、アルバニアと巡り、次に向かったのが、今回の舞台となるボスニア・ヘルツェゴビナです。
不安を抱えたまま入国したボスニア
ボスニアの前に訪れていたモンテネグロで、私たちは少し怖い車中泊体験をしていました。
モンテネグロは、観光地化されすぎていない、ワイルドな自然を味わえる国として知られています。
しかし、そんな環境の中で、思いがけない出来事に遭遇してしまいました。

落ち着いた湖畔で車中泊をしていたある夜、不審者が車の周りをうろつき始め、さらには車内に入ろうとする気配があったのです。
幸い被害はなかったものの、この一件で 「車中泊への警戒心」は一気に強まることに。
これまでヨーロッパ各地で車中泊をしてきた中でも、「怖い」と感じる経験はほとんどありませんでした。
それだけに、この出来事は私たちにとって衝撃的で、その後の旅にも少なからず影響を与えることになります。
もともと車中泊スポットは慎重に選んでいましたが、この経験以降、この周辺の国々を巡ること自体に、少し身構えてしまうようになっていました。
そんな中で次に向かう予定だったのが、ボスニア。
モンテネグロと同様にEU圏外であり、シェンゲン協定にも加盟していない国です。
「このまま進んで大丈夫だろうか」「また同じようなことが起きたらどうしよう」と、不安を抱えたままの移動となりました。
私たちの旅の拠点でもあるイタリアへ一刻も早く戻りたかったのですが、ルート的に、ボスニア、そしてクロアチアを通るのが現実的。
ルートを大きく変えることもできないので、少しの緊張と不安を抱えながら、私たちはボスニアへと入国することになったのです。
ボスニア・ヘルツェゴビナってどんな国?

Bosnia and Herzegovina(ボスニア・ヘルツェゴビナ)は、ヨーロッパ東南部のバルカン半島に位置する国です。
クロアチア、セルビア、モンテネグロと国境を接し、アドリア海にもわずかに面しています。
さまざまな文化や宗教が混ざり合っていることが特徴的で、イスラム教、セルビア正教、カトリックといった異なる宗教を信仰する人々が暮らしており、それぞれの歴史や文化が今も共存しています。
民族構成も少し複雑で、主にボシュニャク人(ムスリム系)、セルビア人、クロアチア人の3つの民族が共存しています。
そのため、言語もボスニア語、クロアチア語、セルビア語の3つが使われています。
細かな違いはあるものの、基本的には互いに通じる関係にあります。
通貨は「兌換マルク(KM)」。
カード決済ができない場所もあるため、現地通貨が必要になりますが、一部ではユーロが使える場面もありました。
また、旧ユーゴスラビアの解体に伴うボスニア紛争の影響から、現在でもその歴史の痕跡を感じる場面があります。
観光地としてはまだ知名度が高いとはいえませんが、その分、手つかずの風景やローカルな空気感を感じられるのも、この国ならではの魅力です。
ボスニアのリアルな治安、車中泊事情は?

キャンピングカー旅で気になるのが、車中泊事情や治安です。
ボスニアでも車中泊は可能ですが、西ヨーロッパと同じ感覚で行くと、少しギャップを感じるかもしれません。
まず、給水や排水ができるキャンピングカー専用の設備はかなり限られています。
フランスやドイツ、イタリアのように、RVパークが充実している環境とは異なり、ボスニアではそういった施設はまだ少なめです。
利用できる場所の多くは有料のキャンプ場になります。
有名観光地周辺には少しありますが、そこまで多くありません。
そのため、事前に車中泊スポットや給水場を調べてから行くことをおすすめします。
気になる治安については、街中を観光している分には過度に怖さを感じることはありませんでした。
ただし、場所によって雰囲気に差があるのも事実です。
実際に車中泊アプリのレビューでは、「外出中に窓ガラスを割られた」「車上荒らしにあった」といった被害報告も見かけました。
特に観光中の駐車場所や、夜間の車中泊スポット選びには、慎重さが必要だと感じました。
私たちもモンテネグロでの経験を踏まえ、ボスニア滞在中は無理に無料スポットを探すのはやめ、基本的に管理された有料のキャンプ場や駐車場を利用することにしました。
多少コストはかかりますが、フェンスや防犯カメラ、管理人がいる環境はやはり安心感があり、結果的に落ち着いて過ごすことができました。
料金は場所にもよりますが、1泊10〜30ユーロほど。
西ヨーロッパのように“どこでも快適に車中泊できる環境”とは少し違うものの、場所選びや対策をしっかり行えば、十分に旅は可能だと感じています。
※車中泊スポットを見つけるのに使っているPark4nightアプリの記事はこちら
実際に利用した、”心温まる”ボスニアの車中泊スポット

今回、私たちが車中泊スポットとして選んだのは、観光スポットでもあるブラガイの街で見つけた、個人宅の敷地を一部開放した小さな駐車スペースでした。
トイレと外部電源が利用でき、料金は1泊10ユーロほど。
ヨーロッパでは、いわゆる公式のRVパークだけでなく、個人の住宅やレストラン、牧場などが敷地を開放し、車中泊スペースとして提供しているケースもあります。
私たちもこれまでの旅で何度か利用してきました。
こうした場所の魅力は、現地の暮らしに触れられること。
そして、思いがけない交流が生まれることです。

今回の滞在で特に印象的だったのは、家主の方の温かさでした。
言葉はあまり通じなかったものの、コミュニケーションを取ろうとしてくれて、到着時にはウェルカムドリンクとお菓子を用意してくれていました。
さらに、毎朝ボスニアの朝食まで準備してくれるという心遣いもあり、ホッと心温まりました。

もともと1泊の予定でしたが、あまりの居心地の良さに、気づけば3泊することに。
安心して過ごせる環境はもちろんですが、こうした現地の人との出会いも含めて、印象に残る滞在となりました。
【訪れてよかった観光スポット】思わず息をのむ、神秘的な絶景「ブラガイ」

今回のボスニア旅は、モンテネグロからクロアチアへ向かう途中の“通過点”として立ち寄ったもの。
滞在期間もわずか4日間と短く、いわゆる観光地をたくさん巡るような旅ではありませんでした。
それでも、「ここに来てよかった」と感じられる場所に出会えたのが、モスタル近郊にある小さな町・ブラガイのブラガイ・テッケ(Blagaj Tekke)です。

断崖絶壁のふもとから湧き出るエメラルドグリーンの泉。
そして、そのすぐそばに佇む修道院。
自然と建築が一体となったその景色は、これまで訪れてきたヨーロッパのどの場所とも少し違う、どこか東洋的な雰囲気を感じさせてくれます。

この建物は、イスラム神秘主義(スーフィズム)の修道院として使われていた場所で、内部を見学することも可能です。
また、修道院のそばには小さな洞窟があり、乗り合い小舟で洞窟の中に入ることもできます。
ひんやりとした空気と静けさに包まれた空間は、外の景色とはまた違う神秘さが広がっていました。

観光地としては比較的コンパクトですが、川沿いにはレストランやカフェ、お土産ショップが並び、のんびりと散策するのにぴったりです。

景色を眺めながら食事をしたり、名物のボスニア・コーヒーを飲んだりと落ち着いた時間を過ごせます。
まとめ|少しの不安の先にあった、新しい旅の景色
正直、少し不安を抱えたままのボスニア入国でした。
しかし、訪れる場所や車中泊スポットをいつも以上に慎重に選んだおかげで、想像以上に落ち着いた良い経験ができました。
4日という短い滞在ではありましたが、それでも心に深く残る旅になったと感じています。
実際に足を運んでみると、そこには想像していたよりもずっと穏やかで、どこか懐かしさを感じるような景色が広がっていました。
神秘的な風景や、現地の人の温かさ、そして異なる文化や宗教に自然と触れられたことも印象的です。
最初は少し不安もありましたが、それでも一歩踏み出してみたことで、これまで知らなかった景色や価値観に出会うことができたボスニアの旅。
慎重さは大切にしつつも、「行ってみる」という選択が、新しい旅の楽しさを教えてくれた気がします。