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【体験記】キャンピングカーで巡るオーストリア|湖・アルプス・小さな町を味わう13日間

オーストリアは湖とアルプスに囲まれた絶景天国だった。車中泊事情やおすすめスポットも紹介

キャンピングカーで暮らしながらヨーロッパ各国を巡る私たち夫婦は、気づけば2年半で21カ国以上を旅してきました。

どの国にもそれぞれの魅力がありましたが、中でも“楽園”と呼びたくなるのが「オーストリア」。

透き通る湖と美しいアルプスの山並みに、何度も息をのみました。

この記事では、その風景のままのリアルな旅の空気と、実際に感じた車中泊のしやすさ、私たちが本当に良かったと思うおすすめスポットなどをお届けします。

キャンピングカーでヨーロッパ旅を考えている方、湖のある自然をゆったり楽しみたい方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です!

夫婦でキャンピングカーに暮らしながらヨーロッパを旅すること2年半


ヨーロッパの車中泊風景

私たち夫婦は、長年の夢だった「ヨーロッパでのバンライフ」を叶えるため、2023年1月に日本を出発。

イタリアで中古のキャンピングカーを購入し、リモートワークをしながら暮らすように旅するスタイルで各地を巡ってきました。

現在、2年8カ月目に突入。

これまでにスイスやドイツ、デンマーク、スウェーデン、スペインなど20カ国以上を訪れ、最西端のポルトガルから北極圏のノルウェー足を延ばしてきました。

国によってはフェリー移動もしながら、時間をかけて自分たちの目で確かめる旅を続けています。

今回ご紹介するオーストリアは、実は訪問するのが2回目。

初回は2024年、リヒテンシュタインからドイツへ向かう際に、西部を3日だけ通過しました。

その短い滞在で「次はしっかり観光したい」と心に決め、2025年の夏に再訪。

今回は13日間かけて、有名観光地だけでなく、キャンピングカーだからこそ行けた知られざる絶景スポットにも出会えました。

この記事では、その中でもとくに良かった場所を厳選してご紹介します。

オーストリアとは?


オーストリアの景色

ヨーロッパの中央部に位置するオーストリアは、アルプスの壮大な山並みと美しい湖に囲まれた自然豊かな内陸国です。

国境は8カ国(イタリア、スイス、リヒテンシュタイン、ドイツ、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア)と接していて、ヨーロッパ旅行の拠点にも人気があります。

公用語:ドイツ語
通貨:ユーロ(キャッシュレスが浸透しており、カード払いはほぼ問題なし)
治安:良好。公共交通・観光施設も整い、初めてのヨーロッパ旅にもぴったり


オーストリアは芸術と音楽の国。

モーツァルトやシューベルトなど、世界的作曲家を多数輩出し、首都ウィーンでは「音楽の都」として名高く、毎晩のようにクラシックの公演が楽しめます。

また、街歩きなら、絵本のように可愛いザルツブルク、アルプスの玄関口インスブルックなど、個性豊かな都市が点在。

都市と大自然がコンパクトにまとまっているので、移動負担を抑えつつ、多彩な景色と文化を一度に楽しめるのがこの国の最大の魅力です。


オーストリアでの”自由な”車中泊旅は意外と厳しい?!


キャンピングカー車中泊禁止の看板

「キャンピングカー旅=どこでも泊まれる」と思われがちですが、オーストリアでは指定場所以外での車中泊は基本NG。

自然保護区や国立公園内はとくに厳格で、各地に「キャンピングカー車中泊禁止」の標識が出ています。

違反した場合、高額の罰金になるケースもあるので注意が必要です。

とくに私たちが旅した、ドイツ国境に近いチロル州のアルプス山岳エリアは、無料スポットがほぼ見つからず、かなり苦労しました。

実際、「昼はオーストリア観光、夜は国境を越えてドイツ側で車中泊」という日を何度か過ごしました(ドイツは無料車中泊スポットやピクニックエリアの受け入れが比較的寛容)。

もちろん、オーストリアが全面的に車中泊NGというわけではありません。

都市部から離れた地域や小さな町では、静かな無料スポットや給水地点が点在していることもあります。

そんな時に頼りになるのが、車中泊向けスポット共有アプリ、「Park4night」。

現地のキャンパーが実際に利用したスポットの情報や、泊まれる場所・泊まれない場所のリアルなレビューを見ることができます。

私たちもこのアプリには何度も助けられました!

Park4nightアプリの紹介はこちら

有料のキャンプ場・RVパークについて


RVパークの景色

低コスト旅が基本の私たちは頻繁には使いませんが、オーストリアには有料のRVパークやオートキャンプ場が多数あります。

設備が整っているため安心感は抜群。

シャワーやトイレ、給水・排水、電源が利用できるところも多いです。

利用料金の目安
RVパーク:1泊 約20〜40ユーロ(約3,400〜6,900円)
キャンプ場:1泊 約40〜60ユーロ(約6,900〜10,000円)


都市部や人気観光地施設はやや高めですが、地方へ行くほどリーズナブルな施設も見つかります。

有料高速道路に気づかずに入らないように注意!


オーストリアの道路風景

オーストリアでは高速道路や一部の自動車専用道路が有料で、「ビニエット(Vignette)」というステッカー型の通行許可証が必要です。

ビニエット
・購入場所:ガソリンスタンドやサービスエリアなど
・貼付方法:購入後、フロントガラスに貼るだけで利用OK
・料金(2025年):10日間11.50ユーロ(約1,900円)、2カ月間:28.90ユーロ(約5,000円)
・注意:料金所やゲートがないため、うっかり有料区間へ入ってしまいがち。


ビニエットなしで走行すると、最大で120ユーロ以上の罰金になることもあります。

もし節約やのんびり旅を優先するなら、一般道のみでの移動も可能です。

少し時間はかかりますが、田舎道を楽しみたい方や、私たちのような節約派の旅行者にはぴったりです。

実際に訪れたオーストリアのおすすめスポット


Lünersee(リューナー湖)|標高1970mにある秘境の絶景湖


Lünerseeの景色

オーストリア西部・フォアアールベルク州の山岳地帯にあるリューナー湖は、ダムとして造られた人工湖。

1920年代から水力発電に利用され、いまも地域の再生可能エネルギーを支えています。

透き通ったターコイズブルーの水面と、周囲を囲むアルプスの山々が織りなす絶景は、「アルプスの宝石」。

整備された登山道と、ロープウェイのおかげで簡単に登ることができるため、家族連れにも人気のスポットです。

ロープウェイを降りてすぐのところからは、湖をぐるっと1周できるハイキングコース(約1.5〜2時間)も整備され、初心者でも安心して楽しめます。

アルプスに囲まれた湖は、息を飲むような美しさで、まるで絵画のような絶景!

どの角度からでも写真映えすること間違いなしです。


ロープウェイ料金(往復):大人1名24.50ユーロ(約4,200円)、子ども1名14.70ユーロ(約2,500円)
乗車時間:約10分、15分間隔で運転
※2025年現在の情報


そして、少し体力に自信がある方は、スチャガファール山頂へ登るのがおすすめ。

スチャガファール山頂の景色

少し厳しい登りではありますが、頂上からのパノラマビューは格別です!

湖の色がより深く、より鮮やかに見えて、雪に覆われたアルプスと青く輝く湖のコントラストの景色は最高のご褒美です。

スチャガファール山頂の景色

ロープウェイが出るLünerseebahn(リューナーバーン)には、キャンピングカーも停められる広い駐車場があり、問題なくアクセスできたので、キャンピングカー旅にもおすすめのスポットです。


Seebensee(ゼーベン湖)とDrachensee(ドラッへン湖)|2つの湖を”ハシゴ”する絶景ハイキング


Seebenseeの景色

チロル州のエールヴァルト近郊、ドイツ国境にほど近い山岳エリアに、透明度抜群のゼーベン湖とさらに上にひっそりとたたずむドラッへン湖があります。

こちらは自然湖なので、夏には湖畔で水遊びを楽しむ人々の姿も見られる、開放感あふれるロケーションです。

Seebenseeの景色

アクセスは登山道からの本格的なハイキング、もしくはロープウェイを使って登ることができます。

ロープウェイで約10分、標高約1,500m付近まで一気に上がれるので、体力に自信がない方にもおすすめ!

山頂駅から、ゼーベン湖までは片道約1.5〜2時間。

青く澄んだ水面にアルプスの稜線が映り、湖畔には広い草原が広がって放牧の牛たちがのんびりと草をはむ、絵のようなのどかさです。

湖は一周もでき、芝生でピクニックや水遊びを楽しむ人たちで賑わっていました。



さらに静かな絶景を求める方は、ゼーベン湖から上へと急登を越えて標高約1,900mのドラッへン湖へ。

ドラッへン湖の景色

湖畔には山小屋コーブルガー・ヒュッテ(Coburger Hütte)があり、下の湖より人が少ないぶん、静けさに包まれた環境は、まさに”隠れた絶景スポット”といえます。

一日に2つの神秘的な湖をめぐり、湖好き、アルプス好きにはたまらない心と体をリフレッシュする体験になること間違いなしです!

ロープウェイとハイキングのスタート地点のあるエールヴァルダー・アルムバーン(Ehrwalder Almbahn)には、キャンピングカーも停まれる広い駐車場があるのでとても便利です。

料金は1日5ユーロで、夜の車中泊は禁止されています。


サウンド・オブ・ミュージック・トレイル|映画の世界に迷い込むハイキング


サウンド・オブ・ミュージックの聖地

ミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」の名場面、アルプスの山々を背に「ドレミの歌」を歌い踊る、あの丘はオーストリア中部の小さな町ヴェルフェン(Werfen)にあります。

現在は、「サウンド・オブ・ミュージック・トレイル」として整備され、映画の象徴的なロケ地を実際に歩けるのが魅力です。

サウンド・オブ・ミュージック・トレイルの風景

ハイキング自体は片道1時間。

子どもから大人まで無理なく楽しめます。

視界いっぱいに雄大なアルプスの山々が広がり、まさに映画のワンシーンそのもの。

自分が映画の中に入り込んだような気持ちになれる特別な場所でした。

また、ヴェルフェンには、世界最大級の氷の洞窟「アイスリーゼンヴェルト」もあり、トレイルと合わせて観光するのもおすすめです。


名前も聞いたことがないような、小さな田舎町を訪れるのがおすすめ!


オーストリアの駐車場の風景

湖や山を巡る旅ももちろん楽しいけれど、キャンピングカー旅ならではの醍醐味は、観光名所ではない場所で過ごす、静かで落ち着いた時間です。

ガイドブックやSNSにもほとんど載らない、小さな市町村などには、自治体が整備した無料のキャンピングカー用駐車場が見つかることがあります。

給水・排水場、電源付きのステーションなどもあり、地元の人が「ゆっくりしていってね」と声をかけてくれるような、あたたかい雰囲気も印象的でした。

私たちが立ち寄ったのは、オーストリア中部にあるLiezenとGamingという小さな町。

観光するスポットは多くないものの、ありがたいことに無料のキャンピングカー施設があり、数日滞在しました。

町を散策したり、地元のパン屋を訪れたりと、普通の観光では味わえないのんびりした時間を過ごすことができました。

このような田舎町を見つけ出して、訪れてみるのも旅の魅力のひとつだと思います。

まとめ|自然に包まれた13日間のオーストリア旅


今回の13日間は、歴史ある町並みや観光地を巡るのではなく、アルプスの稜線や美しい湖、そして素朴な田舎風景など、自然の中でのびのびと過ごせる場所を中心に巡りました。

また、オーストリアは公共の場での車中泊に制限がありますが、事前に車中泊可能なスポットや施設をいくつかピックアップしておいたことで、想像以上にスムーズで快適な旅になりました。

キャンピングカー旅=ハードルが高いと思われがちですが、ちょっとした準備があれば、自然をたっぷり味わえる最高の旅スタイルになります。

Luana

登山、キャンプ、旅が大好きな夫婦です。 日本を飛び出し、イタリアで中古キャンピングカーを購入し、ヨーロッパ一周中です。自然の絶景スポットが好きで、観光ガイドブックには載っていないヨーロッパの絶景スポットをキャンピングカーで周りながらをたくさんお届けします。 旅の様子はInstagram、YouTubeでも発信しています、よかったらご覧ください!