盛夏へ向けて車内の暑さ対策、換気扇を作ってみた
駐車中の車内の暑さ対策では、換気が有効であると思うと前回書いた。
暑い空気は高いところに溜まるから、何年か前に家のロフト部分に換気扇を取り付けて、夏の日中はタイマーで換気扇が稼働するようにしてみたことがある。
これが効果てきめんで、数字で比較したわけではないけど、十分に効果を体感できた。
車内の空気も、なるべく温まらないようにする工夫が第一だが、冷やすことを考えるより、家のロフト換気扇の実例もあるから、先ずは温まってしまった空気を排出することが先決なのではないかと思っている。
上の写真のような車の窓に取り付ける換気扇(ファンの裏側がソーラーパネルになっていて、ソーラーパネル側を外に出して、ファン側が車内に入るようにして窓に挟んで使用する)も市販されている。
しかし、キャラバンスーパーロングの広い室内には力不足のようで、もう一つ効果が実感できなかったり、ハッキリ言って作りがチャチであったり、電源がソーラーパネルなのは良いのだけど、ドアバイザーで小さなソーラーパネルが半分くらい隠れてしまってフル稼働できないなどの弱点がある。
そこで換気扇を自作してみようとなったのだが、その前に辞書で「換気」を調べると「屋内・室内の汚れた空気を、新鮮な空気と入れ替えること」とある。
しかし普通に換気扇と呼ばれている物は、外に空気を出すプロペラだけの一方通行の装置のことだ。だから「実はこれは正しくは排気扇なのではないか」なんて考えたりもして、まあそんなのどうでも良いことなんだけど、今回作ったのは排気する側と外気を取り入れる側の2つのプロペラを備えた換気扇だ。
この市販品もそういった仕組みにはなっているのだが、それと今回自作しようとした物との大きな相違点は、窓付近にファンがある(市販品)のではなく、室内に換気扇を置き、ホースを介して車内中心付近の空気を換気する点だ。
材料
ファンはAmazonから調達。HDDやゲーム機などの電子機器を冷却するための、プロペラの直径が6cm位の小さなファンだ。価格は1つ1,000円ちょっと。これを排気用と吸気用で2つ使う。
電源はUSBからとる5V/0.25Aとなっていて、スピードは3段階で調節でき、強でも0.23Aだから、サブバッテリーにつないでかなり長時間つけ放しにしていても心配ない。
外径が15mm位(16mmだったかもしれないけど、まあそんな感じのサイズ)の切り売りのホースやベニヤは近所のカインズホームで調達。
ファンを収める桐の箱は家にあったもので、お茶が入っていたものだ。この箱に合わせてファンのサイズを決めたわけではないのに、合わせて作ったみたいにちょうど良い大きさ(後の完成後の画像を参照)だ。
現在とかく断捨離がクールのような風潮があり、私にも無駄なものは処分したいという気持ちはあるのだが、「何に使うかわからない物をとっておくのも悪くない」の典型例のようでもある。
やはり無闇に物を捨ててしまうのも良くないようだ。
ところで、このサイズでは大きな効果は望めないかもしれないが、あまり大きな物を作ってしまって持て余す割に期待した程の効果が得られないよりは、先ずはあまりお金をかけずに、半分実験のつもりでやってみるのも良いのではないかと思いこのサイズにした。
もう少し大きくしたら凄い効果が望めそうだと目星がついたらまた作り直せば良いだけだ。
製作過程
今回作るものは、窓付近にファンがあるのではないと先に書いたが、空気の出し入れには窓を使うのが一番簡単な方法。
そして現行のキャラバンもハイエースも後部座席横の窓は基本はめ殺しになっていて、オプション(?)の開けられる窓は、窓の中に小さな窓があるような形になっている(初期の200系ハイエースのこれが、言っちゃなんだげど超絶カッコ悪かった)が、私のキャラバンは先代(E25)で横スライド開閉式窓だから、セキュリティー上ここを利用するのは難しい。
助手席の窓を少し開けた状態にしておいて、その隙間から空気を排出したり取り入れたりすることになる。それで最初にこんな物を作った。
これは、少し開けた窓の隙間を塞ぐための板だ。
下の写真のように、窓枠に段ボールを当てて型取りをしテンプレートを作る。
これを元に2mm厚のベニヤ板を切り出す、というのが手順なのだが、これが簡単そうで案外そうでもなかった。
切り出したテンプレートを窓枠に当ててみると何故か形が微妙にズレている。何度か修正を繰り返してテンプレートが完成し、それを基にジグソーでベニヤを切り出すと、テンプレートと同じ形なのに何故かまた微妙にズレてしまう。
しっかりしているようでも段ボールはベニヤほど張りがない。
そして、そもそもパッと見四角い車なのに、窓の形が直線と単純なRで構成されているわけではなく、案外複雑な曲線の組み合わせで出来ている。
そのせいで、例えば後ろ側の角から上辺の直線(正確にはここも微妙にRがついていて直線ではない)へ移る部分の角度がほんの僅かにズレていると、前側の斜め部分の形自体は完璧なのに、ここに大きく隙間が空いてしまったりするのだ。
梅雨の晴れ間の暑い中、段ボールはカッターナイフとともに、ベニヤの方はジグソーとサンダーを駆使して格闘し、結局ここまでの作業に昼過ぎまで時間を費やしてしまった。
雨が降っていたら作業しにくかったりできなくなってしまったりするのだが、梅雨の晴れ間は暑い。
そして例年だったら外に出ていて徐々に暑さに体を慣らしていく時期に、今年は外出自粛の煽りで外にいる時間が短く、いつもより体が暑さに慣れていない。
前日前々日の海での日焼け疲れも加わって輪をかけて消耗し、昼飯を食べ終わってワイドショーなんか見ながら休憩していたらいつの間にか意識を失い、ガオ~と物凄い音がして我に帰り、今の音は何だったのだと考えてみたら自分のイビキだったようだ。そして時計に目をやると3時近くになっていた。
計画性のある人間だったら、暑くなる前に計画を実行に移すから、こんなことにはならないのだろうが、毎年暑い夏がやってくるのを知りながら、暑くなってみなければ対策を実施しようとしないような性格だから仕方がない。
気を取り直して午後の作業を開始する。
最初に同じ形のベニヤを2枚切り出した理由は、2枚の板の間に窓ガラスと同じ位の厚みの板を「具が沢山入っている風だけど実は見える部分だけで、実はパンとパンの間に挟まっている部分は僅かな”上げ底的インチキサンドイッチ”」のような状態で挟み込んで固定し、はみ出た具(窓ガラスと同じ位の厚みの板)の部分を窓枠の溝に窓ガラスの代わりに入り込むようにするためだ。
具のパンとパンの間に挟まっている部分の幅は3cm位にしてあり、具の底辺は窓ガラスの上辺と同じ形に切ってある。そして窓ガラスを上げると、ガラスは2枚のパンとパンの間に入り、サンドイッチの具材の底辺の部分で止まる仕組みだ。何だか良くわからない説明かもしれないけど、とにかく、これで3cm位開けた窓の隙間が板でほぼ覆われ、その板は内側にも外側にも外れないことになる。
そして、この具材の挟まった3cm幅の部分にホースを取り付ける穴を開ける。
サンドイッチのパンと具材を接着中に、ファンを入れる箱の作業に取り掛かる。
先ずは上の画像のようなビットをドリルに付けて、ファンのサイズに合った穴を箱に空ける。
2つの穴を空けるとこんな感じ。
そして、箱の反対側、この穴と対面する部分に、ホースの外形に合わせた穴を空ける。
箱の中を吸気側と排気側の2気室に分けなければならないので、バルサ板で間仕切りを作る。それから、2個のファン同士の表裏が逆になる(ファンが同じ向きを向いていたら、どちらも吸気または排気になってしまう)ようにして箱の中にはめ込む。
ファンの固定方法は、案外簡単な仕組みだ。
箱との隙間を段ボールで埋め、箱を閉めたときにファンが押さえつけられる高さの円筒を段ボール作って箱を閉じるだけ。これだけで全然問題なくファンは箱の中で固定される。
箱を閉じたらフックで留める仕組みを当初考えていたのだが、バンジーコードで仮止めして作動確認した際に、意外と隙間からの空気漏れがバカにならない感じがした。それで、滅多に箱を開ける必要性もないからアルミテープで固定してしまうことにした。
元々結構正確にできている箱だけど、これでほぼ空気漏れもなくなる。もし開ける必要が生じたとしてもまた新しいアルミテープに張り替えれば済むことだ。
売り物の商品だったらこんなわけには行かないが、自分のための物なのだからこれで一向に構わないから気楽だ。
そうこうしているうちにパンと具材の接着がほぼ終了したので、窓枠に仮設置してみたところ、なんだか「ガラスが割れてしまったんですか?」のように見えなくもないが、まあともかく上手く行ったようだ。この後パンの部分の幅はこんなに要らないと思い、少し幅をカットした。
プリントの木目が割れたガラスを塞いでいる風に見える原因かと思い、黒く塗ってしまおうと思ったら僅かに残っていた黒のスプレーの使いかけは固まってしまっていて使えず、シルバーのスプレーの使いかけがあったのでそれを塗ってみることにした。
スプレーして一晩外に置いておいたらそれが失敗だった。夜露でブツブツができてしまい、翌朝見たら非常にみすぼらしい状態となってしまっていた。そして木目プリントの上に何も処理せずにスプレーしただけだから塗料は剥がれやすい。仕方なく、その上からアルミテープを貼ってしまうことにした。
塗料のせいで所々凸凹してしまい、こんなことなら最初からアルミテープを貼っておけばもっとキレイに仕上がったのにと若干後悔しつつも、まあいいやということで一応この部分も完成。
パンの底辺にはウレタンのテープがあったから貼ってみた。機能的に必要な物ではないのだが、この方がなんとなく少しちゃんとした物に見える。
中から見るとこんな感じ。
ホースの長さは結構長くとってあるから、実際に使用する際にはファンの箱はお部屋の部分(運転席から後ろの荷室部分のこと)に置くつもりだが、写真では判り辛くなってしまうので、取り敢えずここに置いて撮ってみた。
電源を入れて外気取り入れ側のホースの口に指を当ててみても吸い付けられる程のパワーはないが、顔を近付けてみると空気の動きは十分に感じる。
それで試しに蚊取り線香をファンに近付けてみたら、排気側のファンに煙がしっかり吸い込まれて行く様子が見て取れた。
あいにく本日は曇りで、小雨も降ってきたから効果があまり良く判らなかったが、暑い日の日中の海岸に停めた時などの感想をまた改めて報告したいと思う。