外食テイクアウト時代に車中食可能なキャンピングカーを活かせるか?
今回のコロナ禍で、世の中が大きく変わったと感じるのは「外食」利用のスタイルではないかと思います。
「密」を避けると言う意味で店内飲食は避け、テイクアウトをメインにする飲食店が増えていますし、中には、テイクアウトやデリバリーだけに絞ってしまった店舗も少なくありません。
もしこのままコロナが終息したとしても、この「密を避ける」「ソーシャルディスタンスを取る」という意識は容易に霧散するとは思えませんし、多くの人の気持ちの中に深く根差して残り続けるように思います。
かく言う筆者も、「もうコロナの心配はありませんよ」と言われても、きっと心のどこかで「密を避け」「人との距離を取る」という意識が残り、完全に元に戻る事はもうないのではないかと感じています。
今回は、そんな外食がテイクアウト中心となった今、車内で飲食可能な設備を持つキャンピングカーや車中泊仕様車などを活かせないか…という事にフォーカスして筆者なりに実践してみました。
目次
外食の中心はテイクアウトへ~しかしデメリットも
みんなで集まって飲んで食べて語り合って…という人と会う楽しみ、外食の楽しみが「避けるべき事」になってしまいました。
ですが、デリバリーやテイクアウトであれば、自宅など、人と人が「密」にならずに、家族だけで好きなメニューを食べる事ができます。
テイクアウトのメリット
今後、外食の中心になってゆくと思われるデリバリーやテイクアウトですが、コロナ前提で考えた場合、店内飲食にはないメリットがあります。
前述のような「密」にならずに、家族以外の人との距離を気にする必用がない事はコロナに関連したメリットですが、その他にも、テイクアウトには以下のようなメリットがあります。
・事前に予約すれば待ち時間なしで購入できる
直接お店に連絡を入れ、「何を何時に幾つ」と予約を入れる事はほとんどのお店で可能ですが、電話がなかなか繋がらなかったり、注文の聞き間違えや売り切れ品の受注等、トラブルも少なくないと聞きます。
最近では、テイクアウト専用アプリが次々にリリースされていて、アプリを使って事前に予約する事ができるようになっており、電話予約のトラブルの回避にも役立っているようです。
・キャッシュレス決済で接触を減らせる
コロナの影響は、店内飲食を避けるだけでなく、多くの人の手に触れる現金を使いたくないという処にも表れています。
上記のテイクアウト専用アプリでは、アプリ内で事前にキャッシュレス清算が可能であったり、お店のキャッシュレス対応状況を事前に知る事ができる等の機能を持っており、よりキャッシュレスで支払いやすくなっています。
・複数店舗の好きなメニューを組み合わせて食べる事ができる
店内飲食の場合には他店のメニューを持ち込む事はできませんが、テイクアウトであれば、好きなお店の好きなメニューを自由に組み合わせて購入する事ができるため、街中を大きなフードコートのように利用する事ができます。
また、デリバリーには最小金額の設定がありますが、テイクアウトなら小さなサイドメニュー1個だけでも購入できるので、「あの店のアレだけが欲しい」といったニーズにも対応する事ができます。
・「配達可能エリア」「配達料」がない
これはデリバリーとの比較になりますが、デリバリーには「配達可能エリア」「配達料」という2つの決定的な使い勝手の悪さがあります。
デリバリーでは、道路1本挟んで、向こう側は配達可能なのにこちら側はエリア外だったり、配達料金が違ったりというケースもありますが、テイクアウトにはそうしたエリアや手間賃のような設定がありません。
自分で出向くので、エリアなど関係なく購入できますし、配達料を別途支払う必要もありません(多少の手間と交通費・燃料代は必要ですが)。
最近では有名店を含め、続々とテイクアウトへの対応を進める飲食店が増えており、少し前までとは比べ物にならない程、種類豊富にテイクアウトメニューを選べるようになっている点も大きなメリットではないでしょうか。
テイクアウトのデメリット
そんなメリットの多いテイクアウトがこれまであまり隆盛にならなかったのには、ある理由があると思われます。
それは、自宅などに持ち帰る頃には「冷めている」「(麺など)のびている」「(汁あり)ご飯が汁を吸っている」などで、メニューによっては、店内飲食と同等の美味しさを味わう事ができない「時間経過」の問題ではないかと思います。
これは多くの方が経験した事があると思いますが、例えば、テイクアウトの牛丼では白米が汁を全て吸ってしまいますし、天丼では天ぷらの衣がベチャベチャになってしまって、とても店内飲食と同等の美味しさを維持できているとは言えません。
例え、自宅で再加熱したとしても、暖かくはできますが出来立てに戻る訳ではないので、それはテイクアウトが店内飲食を超えられない大きな障壁と言えます。
しかし、同じ牛丼でも松屋ではご飯と牛丼の具を別々に持ち帰る事ができますし、最近では丸亀製麺がテイクアウト対応を開始し、やはりうどんと汁を別容器で持ち帰る事ができるようにしている等、徐々にではありますが店内メニューをそのまま持ち帰るのではなく、テイクアウトの状況に配慮した持ち帰りへの対応が増加しているように感じます。
テイクアウト食堂車としてキャンピングカーを活かせるか?
このようなテイクアウトのメリットを生かし、デメリットを軽減する方法としてキャンピングカーを活かせないかと考えています。
上記の画像は、アルトピアーノ車内で近隣の「美味しい」と評判のスーパーの出来立て弁当を購入し、車内で飲食した際のものですが、どちらの弁当も価格は500円前後とスーパーらしく非常にリーズナブルです。
弁当は容器のままですが、別々に購入した生野菜サラダとゴボウサラダは、車内に常備しているキャンプ用の皿に盛りつけ直しています。
筆者は勝手に我が家のアルトピアーノを「テイクアウト食堂車」と呼んでいるのですが、車内にダイニングを備えるキャンピングカーならではの、テイクアウトの弱点克服方法ではないかと考えています。
自宅まで持ち帰っていては、冷めて固くなり、麺はのびてしまい、丼は汁を吸ってしまうところ、車内ですぐに食べられれば、上記のようなテイクアウトの弱点を克服できるのではないでしょうか。
ショッピングモール内の店舗、ロードサイドの店舗など、キャンピングカーを駐車できるスペース(※)さえあれば、そこが食堂になると言う意味で、我がアルトピアーノを「テイクアウト食堂車」と呼んでいる次第です。
※筆者の所有するアルトピアーノは、外観は見た目もサイズも全てオリジナルのタウンエースバンのままなので、全長・全幅・全高のいずれも通常の駐車スペースであれば問題なく駐車できますが、コンバージョンしているキャンピングカーの場合には施設内の駐車場には入れない場合もありますので、進入可能かどうかの事前確認が必要です。
どこにでも駐車して良いわけではなく、飲食して良いわけではない
ただし、キャンピングカーを駐車できるかどうか…という点については、単に大きさや時間的な事ばかりではなく、その場所が、駐車禁止ではないか、駐車して他者の迷惑にならないか、飲食が禁じられていないか等、最低限、確認すべき事がいくつかあります。
ショッピングモールや商業ビルの駐車場では、駐車場利用規約などは特に設けていない場合が多いようで、特に飲食も禁止との表記はないケースが多いようです。
しかし、週末など混雑している場合に、長時間駐車して車内で飲食する事が、ルールとして禁止されていないとしてもマナーや良識の観点から「是非」を自問すべきでしょう。
また、ロードサイドの飲食店の駐車場でも混雑時のそうした利用は、明文化されていなくても歓迎されない事は明らかです。混雑したらすぐに撤収する旨を添えて「テイクアウトを車内で食べてもいいですか」程度の確認は必要だと思いますし、店舗や他の利用者の迷惑にならないよう配慮すべきである事は言うまでもありません。
また、路上のパーキングメーターも同様で駐車中の車内での飲食を禁ずる記載は見当たりませんので、正規に料金を支払った上でキャンピングカーを駐車する事自体は問題にはならないはずですが、パーキングメーターが作動していない時間帯は駐車禁止区域になるケースもあるので、法規に違反しないかの確認は充分に行う必要があります。
駐車場などで「炎」を使ってはいけない
東京消防庁のWEBにこんな記述があります。
『劇場や百貨店などの大勢の人で混雑する場所では、火災が起きると大きな災害になってしまいます。東京消防庁では、火災予防条例第23条において、不特定多数の人が出入りする場所での火気の使用などを規制しています。』
そして、その具体的な事例(指定場所)として以下を挙げています。
『劇場・百貨店・屋内展示場・飲食店・スタジオ・ホテル・地下街・重要文化財・駐車場・高さ100m以上の建築物・駅舎・空港・など』
さらに、指定場所での禁止行為として『喫煙』『裸火の使用』『危険物品の持込』の3点を明記しています。
裸火の使用とは、『炎・火花、又は発熱部を外部に露出した状態で使用するもの』であるとし、気体・液体・固体の核燃料に加え、電気であっても、「発熱部が外に露出しているもの」「可燃物が触れた際に瞬時に着火(約400℃超)するもの」は使ってはならないとしています。
余談になりますが、キャンパーに当てはめて考えてみると、燃料の如何に関わらずバーナーやコンロは全てNGですし、電気コンロであっても熱源が露出して赤く加熱するようなものはNGとなっています(トースターやオーブン等、熱源が庫内にあるものは可)。
つまり、テイクアウトを購入して車内で飲食する場合、駐車場所が上記の場所に該当する場合には、バーナー等でお湯を沸かして、コーヒーやお茶を淹れる行為は禁止行為に当たると理解できます。
逆に、電気ケトル、ITヒーター等での加熱による湯沸かしや、電子レンジでの弁当類等の再加熱は、この禁止行為には当たらないと言う事になります。
キャンピングカーをテイクアウト食堂として利用する場合には、施設や、駐車場が定めるルールを確認し、火気の使用は控える必要があります。
テイクアウト食堂車としてのキャンピングカー利用まとめ
実際に、今回アルトピアーノを「テイクアウト食堂車」として使ってみて思ったのは、店内飲食を避けたいコロナ禍の中では、テイクアウトを早く美味しく食べる方法として充分に「アリ」だなと感じました。
各所の駐車場が、そういった利用方法で使われる事を想定していないため今のところは禁止行為になっていませんが、逆に言えば、場内に駐車した車中での飲食を認めている訳ではないので、店舗や他の利用者に迷惑になるような利用をするキャンパーが増えると禁止される可能性もありそうです。
道の駅でキャンプ道具を展開してしまうなど、施設側が看過できない利用方法が重なれば、車中泊自体が禁止になってしまう可能性があるのと同様に、街中でテイクアウトの際に、違法な駐車や禁止行為の規則を無視する等が多発すれば、自ずと自分たちの首を絞めてしまう事になるはずです。
テイクアウトの1つの活用方法として認知が拡がって、各所の駐車場で車中食が認められればもっとキャンパーの使い道や使い勝手は向上すると思いますが、やり方によっては逆に、キャンパーを活かせないような状況にも進んでしまう可能性もあると感じました。